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作成日:2024/09/02
インボイス制度の経過措置と控除対象外消費税



免税事業者等からの課税仕入れについては、6年間の経過措置により80%あるいは50%の割合で課税仕入れに係る消費税額とみなすことができます。

仮にこの期間中に、控除対象外消費税の対象となる資産を購入した場合、控除対象外消費税の計算はどうしたらよいのでしょうか。

この点については、国税庁から公表されているQ&Aに掲載されています。

○消費税経理通達関係Q&A(令和3年2月)(令和5年12月改訂)

こちらは以前にご案内していますが、改めて質問を受けましたので、上記Q&Aの【問8】〜【問10】で確認します。

まず、【問8】と【問9】は、全額仮払消費税等として経理した場合です。

両者の違いは、経過措置の割合が80%か50%か、です。

これらは、申告調整が必要なパターンです。

たとえば【問8】は、雑損失(72万円)のうち建物の取得価額に含めるべき経過措置対象外部分(20%相当)を、減価償却費として考えた上で、減価償却超過額の計算を行っています。

120万円×0.2=24万円→減価償却費60万円+24万円=84万円
1,224(1,200+24)万円×0.05=61.2万円(税務上の減価償却限度額)
84万円−61.2万円=22.8万円→申告調整(減価償却超過額)

一方、控除対象外消費税の計算では、これまでどおり控除できない部分を計算し、12/60をしたうえで発生初年度であるため1/2をします。

120万円×0.8=96万円→96万円×50%(1-0.5)=48万円(繰延消費税額等)
48万円×12/60×1/2=4.8万円(損金算入限度額)

雑損失(72万円)のうち上記減価償却費とした部分(24万円)を除いた48万円のうち、損金算入限度額を超える部分を申告調整します。

48万円−4.8万円=43.2万円→申告調整(控除対象外消費税額等の損金算入限度超過額)

上記を経過措置50%で計算したのが【問9】です。

他方、【問10】は、免税事業者等からの課税仕入れについては、仮払消費税等として一切計上しないと選択したケースです。

つまり、経過措置の80%・50%が出てこないパターンです。

そのため、通常であれば控除対象外消費税の計算が必要となるようなケースであっても、免税事業者等からの課税仕入れについては仮払消費税等が出てこない(=控除しない)ため、控除対象外消費税の計算が不要となります。

なお、以前にご案内したとおり、簡易課税か2割特例を適用する場合には、さらに選択が増えます。上記説明はすべて一般(本則)課税を前提とした例である点に、ご留意ください。


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