インボイス制度について、適格請求書発行事業者の登録を受けていた親から相続を受け、事業を承継した相続人は、適格請求書発行事業者の登録を自動承継するのでしょうか。
答えは、国税庁から公表されている「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(令和5年4月改訂)」の問16に掲載されています。
(相続)
問16 適格請求書発行事業者の登録を受けていた親から相続を受け、事業を承継したのですが、適格請求書等保存方式において必要となる手続及び適格請求書発行事業者の登録の効力について教えてください。【令和3年7月追加】【令和5年4月改訂】
【答】
1 令和5年10 月1日より前に死亡した場合
令和5年10 月1日から登録を受けることとされていた事業者が、令和5年10 月1日より前に死亡した場合は、登録の効力は生じません。したがって、相続により事業を承継した相続人が、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、登録申請書を提出する必要があります(相続人が既に登録申請書を提出していた場合を除きます。)。
当該相続人が、令和5年10 月1日から登録を受けようとする場合は、令和5年9月30 日までに登録申請書を提出する必要があります。
なお、登録申請を行った事業者が死亡した場合は、相続人は、「個人事業者の死亡届出書」を提出いただきますようお願いします。
2 令和5年10 月1日以後に死亡した場合
令和5年10 月1日以後に適格請求書発行事業者が死亡した場合、その相続人は「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があり、届出書の提出日の翌日又は死亡した日の翌日から4月を経過した日のいずれか早い日(※)に登録の効力が失われます。
また、相続により事業を承継した相続人が、適格請求書発行事業者の登録を受けるためには、相続人は登録申請書の提出が必要となります(相続人が既に登録を受けていた場合を除きます。)。
なお、相続により適格請求書発行事業者の事業を継承した相続人の相続のあった日の翌日から、その相続人が適格請求書発行事業者の登録を受けた日の前日又はその相続に係る適格請求書発行事業者が死亡した日の翌日から4月を経過する日のいずれか早い日までの期間については、相続人を適格請求書発行事業者とみなす措置(※)が設けられており、この場合、被相続人の登録番号を相続人の登録番号とみなすこととされています。
登録申請書の提出から登録通知を受けるまでには、その審査等に一定の期間を要しますので、相続により事業を承継した相続人が適格請求書発行事業者の登録を受ける場合は、お早めに登録申請書をご提出ください。
(※)相続人を適格請求書発行事業者とみなす措置の適用がある場合、その措置の適用がある期間は被相続人の登録は有効です。
消費税の観点から言えば、被相続人が選択届出をしている課税事業者選択届や簡易課税制度選択届などが相続により事業承継をした相続人へ自動的に承継されないのと同様、適格請求書発行事業者の登録についても自動的に承継はされません。被相続人の死亡日がインボイス制度開始前か後かに応じて、各々必要な手続をとることになります。
特に、インボイス制度開始後については、一定期間を経て被相続人の登録の効力が失われることになるため、被相続人が適格請求書発行事業者であった場合の相続開始後の事業承継については、相続人自身の届出関係以外にこの点にも留意いただくことになります。