先日、振込手数料の会計処理とインボイス制度と税制改正についてご案内しました。
会計処理について売上値引とした場合、支払手数料とした場合、それぞれについて概要をご説明しましたが、その際に説明していなかった、支払手数料として会計処理をしつつ、消費税は対価の返還等としたい場合、があります。認められるのでしょうか。
これについては、財務省から公表された「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答(PDF:809KB)」の問18に記載されています。
問 18.売り手が負担する振込手数料を、会計上は支払手数料として処理し、消費税法上は対価の返還等と取り扱うことはできますか。
(答)
ご質問のとおり取り扱って差し支えありません。
なお、消費税法上、売上値引きとして処理する場合には、対価の返還等の元となった適用税率(判然としない場合には合理的に区分)による必要があるほか、帳簿に対価の返還等に係る事項(※)を記載し、保存することが必要となりますので、ご留意ください。
※ ご質問のように、帳簿上、支払手数料として処理していたとしても、当該支払手数料を対価の返還等として取り扱うことが要件設定やコード表、消費税申告の際に作成する帳票等により明らかであれば問題ありません。
実務上は、支払手数料あるいは雑費などの科目で会計処理をしつつ、財務会計ソフトで仕訳を起こした際の消費税コードを対価の返還等とすればよい、ということになります。
この場合の注意点としては、消費税コード変更ミスかな、と思います。通常これらの科目の消費税コードは“課税仕入れ”がデフォルトの設定かと思います。そうなると、このような取引が発生するたびに消費税コードを変更することとなり、コード変更ミスを引き起こす可能性があります。
振込手数料を負担する場合は取引先単位となることから、このような取引先が一定数いるのであれば、補助科目を設定して、この科目の消費税コードを“対価の返還等”としつつ、対価の返還等としたい振込手数料については、すべてこの補助科目で仕訳を起こせば消費税を計算した際のチェックも楽ですし、消費税コードの変更処理ミスも防げるでしょう。
期間を気にすることなくインボイスの保存が不要なのは、対価の返還等として処理をした場合になるかと思います。これまでの会計処理がどうだったかを確認しつつ、どのような処理をすれば事務負担が増えないかを検討されるとよいでしょう。