2021/09/15 追加融資も再リスケも無理、でも事業継続はしていきたい……
2021/09/08 後継者探し、こんな方法もあるよ
2021/09/01 破産会社の7割が社長も破産の実態
2021/08/25 儲かっている商品と儲けの少ない商品の構成比を即答できるか?
2021/08/18 コロナ禍で変わるクリニックの経営
2021/08/11 会計事務所もIT系人材の確保が急務
2021/08/04 弥生のオンライン融資がなくなった

追加融資も再リスケも無理、でも事業継続はしていきたい……(2021/09/15)

 裁判所の司法統計を見ると、「小規模個人再生事件」の新受事件数が令和2年1月〜12月累計で12,064件あった。5年前の平成28年中の新受件数が8,841件だから、約4割の増加になっている。

 個人事業主の債務整理は任意整理・自己破産・個人再生・特定調停の4種類があるが、今回のようなコロナ禍で「事業継続の意思は強いが、現在の債務を抱えたままでは継続は困難」と考えている事業主の場合に「個人再生」を検討する余地はある。自己破産では事業継続も可能ではあるが、個人の住宅や自家用車等は手放さざるを得ないことが大半で、そこに躊躇してしまうことは過去から指摘されてきた。

 個人再生が検討できる条件は

  1. @住宅ローンを除外した債務総額が5,000万円以下であること
  2. A将来的に安定して収入を得られる見込みがあること
  3. Bこのままではいずれ支払い不能になるおそれがあること

 従って業種的には、飲食・サービス・小規模小売等、大きな設備や在庫投資を必要としないで、今回のコロナ禍により一時的に売り上げが減少し、新規融資で食いつないできたが、再度の追加融資やリスケも銀行から拒否されるかもしれないといった危惧を持っている事業主には、個人再生の検討余地がある。

 手続きとしては

  1. @再生計画案を策定する
  2. A計画案に対して債権者総数の1/2以上の反対がない(目処がある)
  3. B反対した債権者の債権額の総額が全債権額の1/2を超えない(目処がたっている)

 過去の銀行との取引の経緯や仕入れ先の顔ぶれを見て、再生に賛同を得られそうな感触があれば、計画案が可決されることになるだろう。

 計画案が可決されると、原則3年以内に最低弁済額を支払いながら事業を継続することになる。「基準債権額」が3,000万円超〜5,000万円以下なら「最低弁済額」は負債総額の1/10になるように法律で定められている。

 例えば

  1. @住宅ローンを除いた負債総額が4,000万円とすると「最低弁済額」は400万円となる
  2. A一方、時価換算した預貯金・保険解約金・自動車・不動産等の保有財産が1,000万円としたら
  3. B「最低弁済額」<保有財産となり、いずれか高い額を支払うことになるので
  4. C保有財産と同額の1,000万円を最低弁済額として3年間(場合によっては5年間)で返済していく
  5. D結果、4,000万円の負債を抱えて事業を継続するはずが、1,000万円の弁済をしながら事業継続が可能となる
  6. Eただし、個人再生をすることにより信用情報機関に事故情報として登録されるので、新規の融資は困難となる

 事業を継続する強い信念があり、仕入れ先からも応援をうけることができ、従業員も協力してくれるような関係なら個人再生も「再生支援」になるかもしれない。

go top
後継者探し、こんな方法もあるよ(2021/09/08)

 昨年の10月に、中小企業庁が政府の事業引継ぎ支援センターと連携する民間M&Aプラットフォーマー3社を選定した。トランビ、バトンズ、ビズリーチ・サクシードの3社である。

 事業引継ぎ支援センターは、主として事業承継に悩む中小企業から相談を受け、希望によって「譲渡企業」として民間のM&Aプラットフォームのデータベースに登録代行し、民間のプラットフォームの既存「譲り受け企業」とのマッチングで「MA&成約」を目指している。M&A仲介会社も300社を超えるまでに増加、それぞれ保有する「売り案件」「買い案件」情報も膨大なものになり、よりマッチングさせやすい仕掛けも求められるようになった。

 ビズリーチ・サクシードでは、静岡県の事業承継引継ぎ支援センターと連携し、静岡県に本社のある「譲り受け希望企業」を約半年間で130社から438社(2021年8月時点)まで増加させ、静岡県内の「譲渡企業」を他社よりも優先的に情報開示する仕組みを構築した。

 これにより静岡県内企業同士のM&Aマッチングが成立しやすくなったようだ。
 親族内承継を断念した第三者への事業承継を求める「譲渡企業」にとっては、「同一地域」での承継は望ましい形であるのだろう。

 また同社は「承継公募」というスタイルで、後継者に悩む経営者に呼び掛けを行っている(9月28日まで継続中)。「譲り受け企業」は製造派遣と製造業を営む兵庫県の企業で社名を出して、自社のプラットフォーム内で公募している。

 応募企業は匿名で応じることができる。当該企業は製造派遣の従業員を全員、正社員として雇用し、技能伝承ができないという問題を抱える町工場に、自社の若手従業員を送り込み技能承継させるモデルで成長している。10年で年商10倍を築いた実績もある。

 次にビズリーチ・サクシードは山陰地方にある業歴50年の日本旅館の「後継者公募」を実施している。この旅館も名前を公表して、可能な限りの情報を提示して全国から後継者を募っている。

 乱立するM&A情報の中で、特に中小企業の場合においては「地域」「譲渡企業のオーナーの想い」「ニッチな技術・マーケット」等の言葉がマッチングの成否に関わっていることが多く、こうした取り組みが今後も出てくることが望ましい。

go top
破産会社の7割が社長も破産の実態(2021/09/01)

 金融庁のホームページに金融機関の新規融資に占める経営者保証に依存しない割合銀行別に掲載されている。直近のデータだと令和2年10月時点の割合が提示されていて、それによると

  1. メガバンクでは、みずほ銀行43.8% 三菱UFJ銀行45.4% 三井住友銀行43%   りそな銀行29.9%

となっていて、メガバンクの大半が新規融資額の約4割に対して経営者個人の保証を取らないで融資していている実態が見える。それでも残りの6割は経営者保証に依存し、融資先が破産すれば経営者個人の財産を投入し、賄えなければ経営者個人も破産することになる。

  1. 地銀・第二地銀103行では同様の割合が40%を超える銀行は11行で全体の1割に過ぎない。東京スター銀行の93.6%を筆頭に北國銀行が82.8%と続き、以下、岩手銀行、北日本銀行、仙台銀行、南都銀行、山陰合同銀行、西京銀行、大分銀行、宮崎銀行、沖縄海邦銀行が40%強となっている。
  2. 9割近い他の地銀・第二地銀は大半が20%台で中には一桁台の銀行もある。

 8月16日に東京商工リサーチが公開したデータによると、「2020年度に破産した5,552社のうち3,789人の社長が破産開始決定を受け、社長破産率は68.2%の高率に達した」となっている。会社の破産と経営者個人の破産との関連を調べた全国でも初の調査だそうだ。

 政府は数年も前から「経営者保証に関するガイドライン」を策定して、社長個人の資産を担保に依存した融資の姿勢を改めるよう金融機関への指導を強化している。しかし実には、銀行も与信リスクの高い中小企業には従来の個人保証を求めるし、借り手の中小企業も必要な融資額を手にするには個人保証もやむを得ないと考える風潮もある。コロナの収束を見て国の様々な金融支援も打ち切りになってくると、社長個人の破産問題が社会問題化することになってくるだろう。

 会計人は顧問先の融資額に個人保証が残っているのか、保証の形態がどうなっているかを再度確認し、時間をかけてでも銀行と経営者保証の解除に向けた話し合いをすべきだろう。

go top
儲かっている商品と儲けの少ない商品の構成比を即答できるか?(2021/08/25)

 コロナの収束が見えない中、経済界へのあるアンケート調査で「景気が上向くのはいつごろからか」という問いに対して、約9割の人が来年の初めと回答したとの報道があった。
 勿論、現在のデルタ株の状況やワクチン接種率が予定通りにならない等のリスクもあるが、経済が落ち込んだままで日本が沈没するようなことはないはずだ。
 中小企業も景気回復に向かう中で、自社の事業計画を検討していく必要に迫られる。

 重要なファクターとして、損益分岐点比率をコロナ前の値からどの程度下げることができるかが鍵となるだろう。損益分岐点比率とは「実際に売上高が〇〇まで減少したら利益が0になる」値。中小企業の損益分岐点比率の平均値は約80%と昔からいわれているから、実際の売上高が20%下がれば利益が0となる。

 コロナ後の売上高目標をコロナ前よりも高い目標を掲げるよりも、先に検討すべきことがある。損益分岐点売上高を低くする努力だ。損益がトントンになる売上高(損益分岐点売上高)をいくらまで下げることが可能かをイメージすることが重要である。
 「損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率」で計算されるから、損益分岐点売上高を下げるには、固定費を下げる若しくは限界利益率を上げる方策が考えられる。

 コロナ禍の経営努力でギリギリまで絞った固定費を安易にコロナ前に戻らないようにチェックすることが求められる。特に交渉して下げてもらった賃料、人件費の固定費化した部分の見直し、要員配置等を重点課題として気が緩まないようにすることが肝要だ。

 限界利益率の向上には、単位当たり利益率の高い商品の売上構成比を上げ、利益率の低い商品の売上構成比を小さくすること。要員配置の見直し、奨励金の導入、広告費の集中投入など利益率の高い商品の拡販にメリハリを利かせることだ。

 回転すしのスシローの限界利益率は54.4%(2021/6月期)、眼鏡チェーンのJINSは79.3%(2021/5月期)、化粧品・サプリメントのファンケルは70.5%(2021/3月期)と高い限界利益率を誇っている。あれだけ安売りしているようでも、商品粗利益率は一般企業の2倍以上になる。

 Withコロナの販売戦略は売上高拡充オンリーでなく、限界利益率の高い商品の売上高構成比をコロナ前よりも高める努力が益々必要になる。自社にそういった商品が無く、開発も難しければ、M&Aで見つけることも検討できる。そういった経営姿勢に、金融機関は応援してくれるはずだ。

go top
コロナ禍で変わるクリニックの経営(2021/08/18)

 厚生労働省の概算医療費データベースの「月別件数」の推移を見ると、明らかに2020年4月〜5月の件数(実患者数)が年初比で10〜13%程度の減少を示し、歯科においても同比で20%程度の減少となった。2020年4月の1回目の緊急事態宣言発出から翌5月の解除の期間中の、受診控えの傾向がデータで証明されている。

 医業収入は「実患者数×診療単価」で決定されるが、診療単価は公定価格なので医業収入の増減は実患者数(レセプト枚数)の増減に大きく影響される。現在も緊急事態宣言が大都市圏で発出され、地方にも拡大の様相を示していて、受診控えという社会現象がコロナが収束しても一定割合で継続するのではないかともいわれている。

 医業経営という観点では、大きな岐路に立たされて入るといっても過言ではないだろう。

 一方、薬局経営において

  1. セルフケア薬局を展開するGOOD AID(グッドエイド)が総額2億円の資金調達
  2. かかりつけオンライン薬局「YOJO」が総額2.5億円の資金調達

を数社のベンチャーキャピタルから実施した。

 セルフケア薬局は、医師の処方箋がなくても医療用医薬品の販売が可能になる「零売薬局」という制度を使って名古屋本社で関西・関東に多店舗展開している。

 現在、医療用医薬品は約15,000種類あるが、その半数近くの医薬品は「零売(れいばい)」が可能になっている。零売は保険適用外なので自費で購入する必要があるが、医師の診察を要しないため時間節約、再診料等医療行為のコストが掛からないため、自費でも患者の負担は少ないようだ。

 かかりつけオンライン薬局「YOJO]は、主に不定愁訴で悩む女性を対象に、LINEで薬剤士と相談をしながら体に合った医薬品を提供するサービスで、現在の会員は9万人以上という。今回の資金調達で高品質なチャットオペレーションシステムの構築を急ぐ。

 コロナ禍で医療機関の受診控えが表面化し、上記のような新しい薬局経営が展開されてくると「実患者数」の減少傾向に益々拍車がかかることも予想しなければならないだろう。

go top
会計事務所もIT系人材の確保が急務(2021/08/11)

 帝国データバンクの調査によると、2021年5月の新設法人数は10,386件で前年同月比で20.8%増であった。この新設法人の大半であるスモールビジネスを、ネット銀行ではGMOあおぞら銀行が、取引先に取り込むべく様々なサービスを展開している。

1. 少額自動立替「あんしん10万円」

 同社で口座を開設すると融資審査不要で10万円の融資枠を標準装備し、「ちょっとお金が足りない」時に10万円の範囲内で自動で資金移動するサービス。フリーランスが創業間もない時には非常に頼りとされるサービスになるだろう。

2. 「入出金アプリfreee入出金管理with GMOあおぞらネット銀行」サービス

 同社で口座を開設すると、他の金融機関の口座残高を一元管理でき、同時にカレンダーに入金・出金予定を入力しておくと、複数の銀行残高合計値から将来の入金予定、支払予定を加減した資金繰り予想が可能になる。スモールビジネスでは専門の経理人材はいないことが多く、経営者のどんぶり勘定経営に陥るのを防ぐ役割となろう。
 このサービスは会計ソフトのfreeeと協業しており、両社によるビジネスローンの拡大にも貢献するだろう。スマホでいつでも必要に応じて資金管理表を閲覧できるようになっている。

3. 組込型金融サービスの拡充

 参照系APIや更新系APIを同社の取引先の勤怠管理システムと繋いで、取引先企業の社員が給与前払い申請をスマホで行うと、翌日には本人口座に入金される仕組みが自動化できる。このほか通販会社が自社の販売システムとGMOのAPIが繋がって、入金確認→売掛金照合→消込まで一気通貫で処理するサービスをGMO側が開発して提供している。

 米国でもGoogleが「Plex」と呼ぶ金融サービスを開始した。スマホ決済の「pring」を買収し、日本でも組込型金融サービスを始めるのではないかと噂されている。このサービスが実現すると預金口座開設・デビッドカードの発行・個人間送金・グーグルpay決済などが一つのアプリで可能になる。

 銀行がネット化するよりも早くIT企業が金融サービスに進出し、既存の金融サービスと協業・競合で生き残りが決まってくる時代に入った。会計事務所もこの流れを察知して、特にIT能力に長けた人材の確保が急務になる。GMOあおぞらネット銀行の社員の4割はIT系人材だそうだ

go top
弥生のオンライン融資がなくなった(2021/08/04)

 3年前に会計ソフトの弥生がアルトアという子会社を設立し、オンライン融資サービスを始めた。融資の申込から借入までオンラインで完結し、決算書不要で、弥生に1年以上の仕訳データが登録されている中小法人や個人事業主なら、50万〜300万円の範囲で即日融資も含め短期間で無担保・無保証で借入ができるサービスであった。

 ところが今年の4月に、「アルトアオンライン融資サービス」の名称が「オリックスオンライン融資サービス」に変更になった。弥生の子会社として3年間積み上げてきた中小事業所向け融資事業を、弥生の親会社であるオリックスに移管したらしい。

 アルトアが世に出現したことで、マネーフォワードやフリーのクラウド会計ソフトメーカーもオンライン融資に参入し、中小事業所からすれば、高金利だが短期間で必要な時に借入することができる便利なサービスとして定着するかと期待されていた。

 しかし、マネーフォワードは昨年6月にこの融資サービスから撤退し、弥生も親会社とはいえ、オリックスに譲渡し、事実上、撤退したことになる。

 要因は間違いなく今回のコロナ騒動で、公的資金や保証協会付き融資が事実上のゼロ金利で借り入れすることができ、オンライン融資の特徴である短期間の審査・実行ではあるが4〜15%前後の金利では流石にゼロ金利には勝てないことにあったのだろう。ゼロゼロ融資で高金利のオンライン融資残額を返済した借り手は、相当多くあったといっても過言ではないだろう。

 米国でもオンライン融資の大手で上場していたOnDeckが買収された。上場時の評価額で日本円で1,300億円強の会社が、約1/10の価格で買収された。同社の売上高もコロナ前と比較すると約9割減少だったらしい。

 弥生・フリーのようなリアルタイムのデータで、新たな与信手法を編み出し、既存の銀行業の持つ「金融仲介機能を代替するかも」との期待は、いったん消滅したように思う。

 コロナで過剰債務を抱えた信用力の低い事業体が、返済のためにオンライン融資を必要とするかもしれないが、そうなれば貸す側の金利は更に高金利になり、サラ金と変わらなくなるかもしれない。

 アルトア等が編み出した与信手法を更に開発し、オリックス以外の金融機関にもこうした手法を提供し、リアルタイムデータによる与信機能の開発と、実際の貸付業務を実施する銀行と役割分担することが今後の課題となるだろう。


dailycontents page
影山勝行経営フォーラム
downloadcontents page
年末調整 給与所得金額 計算ツール


税理士のテレワークはMyKomonで

セミナー一覧へは、こちらから

業界専用グループウェア 給与計算ソフト相続診断と対策ツール DB

会計事務所専用HP制作