2021/03/03 税理士が関与しない相続税申告
2021/02/24 クラウド税務相談が与える影響について
2021/02/17 コロナ特別融資の返済が始まる顧問先への助言
2021/02/10 来年1月施行予定の電子帳簿保存で経理代行が進むかも
2021/02/03 銀行を説得できる事業計画の策定にビッグデータを活用
2021/01/27 廃業のタイミングと相談者
2021/01/20 融資交渉に強い会計事務所

税理士が関与しない相続税申告(2021/03/03)

 会計・税務の業務ソフトでクラウド化が進むが、相続税の申告については、個人が完全に申告書の税務署提出用の書類まで作成可能なソフトのクラウド化はあまり目にしないのではないか?

 税理士のHP上で税額のシミュレーションができたり、画面上で申告書作成の助言を緻密に行うサイトは数多く見受けるが、シミュレーションでは提出用の申告書作成にはならず、緻密に説明すれば素人の個人は益々混乱に陥ることは容易に想像できる。

 昨年1月に運用開始となったbetter相続サービスは、公認会計士・税理士の両資格を持つ3名が立ち上げたもので、ニッセイキャピタルの出資を受ける業界のベンチャーでもある。

特徴は

  1. 質問形式で相続財産の洗い出しを行う(ラジオボタン形式で回答するのみ)
    例えば被相続人の財布に現金があるか……等かなり具体的な質問が多い
  2. 質問の回答に専門家の助言が必要になった場合には、画面横のチャットボックスを利用する。何度利用しても当初の料金の範囲で可能
  3. 財産の洗い出しが終わると必要となる税務署提出用資料が掲示され、収集のチェックを行い、資料の入手場所等も明示される
  4. 遺言や分割協議による情報により相続人の課税価格を算定し納税額を算出
  5. 申告書作成と税理士によるチェックを経て申告書をPDFで出力、自身で印刷・提出
  6. ここまでのサービスの料金は69,000円定額で申告書の作成ができなかった際には全額返納される


 開発者がbetter相続サービスの利用者としてターゲットにしているのは

  1. 相続財産は現金・保険が中心
  2. 相続財産の不動産が少ない
  3. 被相続人は会社経営をしていない

と謳っており、不動産の評価の手間や非上場株式の評価等がないだろうと思える個人向けのサービスに徹底している。

 ある調査では、税理士に依頼しない相続申告件数は全体の15%程度ともいわれており、2万件弱の申告が税理士非関与申告とも想定されている。

 まだまだ認知度も少なく利用者が急増しているようでもないが、今後、銀行や生損保が新規開拓営業のツールにでも利用するようになると、大ブレークする可能性を感じる。同時に関連サービスとして相続後の不動産登記のクラウドサービスも展開しており、関連業界は注目しておく必要があるのではないか。

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クラウド税務相談が与える影響について(2021/02/24)

 東証一部の弁護士ドットコムが「クラウド税務相談」なる新サービスを始めた。同社が運営する税理士ドットコムのサイトでは、5,700人強の税理士が「みんなの税務相談」の場で、一般相談者から無料で質問に回答している。2014年からスタートして今日まで約58,000件弱の回答事例が掲示板形式で掲載されていて、質問者は過去の事例から検索して自身の相談内容に近い質問を参考にもできる。

 こうした活動がありながら「クラウド税務相談」を開設したのは、税務相談では、質問者の税務の基礎知識や質問の意図を明確に表現できる能力等で、回答する側も的確な回答ができたり、回答の手間をあまり要しないなら無料相談に応じるモチベーションが働いたりして、こうした専門家対その分野での素人の無料オンライン相談が可能になってきたことは否めない。勿論、回答者である税理士のサイト上での露出は格好の宣伝になるのだが、提供するコストに見合うものでないと長続きはしない。

 相談者も質問自体が掲示板にて掲載されることを前提に相談しているので、相談自体も一般論的な相談しかできないことに不満もあったに違いない。最初の相談に回答してくれた会員税理士にもっと深く聞いてみたい、実際に申告等の作業に移った時には別の質問をしてみたくなる。

 クラウド税務相談の仕組み

  1. 最初に投降した相談は税理士ドットコムに登録した税理士会員全員に公開される
  2. 次に相談に最初に回答した税理士と相談者のみの対話画面が設置され、最初の相談日から1週間以内であれば、後4回の相談をすることが可能になる
  3. 相談者は回答者の税理士を選ぶことはできない
  4. 相談料は3,000円(税抜き)でクレカ決済となる
  5. 相談終了後、回答した税理士に業務依頼することも可能となる

 特段に優れたプラットフォームでもないが、オンライン相談が税務の世界でも定着するには「質問の前提・背景」を回答者も理解して対応しないと「一般論的回答」「ミスリード的回答」に陥りやすい、その意味では対価を要してでも納得のいく回答を求める姿勢は相談者から強まってくるだろう。

 安易に「私に任せておいて」とか「知識もないのに知ろうとするな」的な「先生」としての姿勢は、こうしたプラットフォームに負けていくかもしれない。同時に税務のセカンドオピニオンにも使用されていくとなると、相談者に混乱を招くリスクもある。

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コロナ特別融資の返済が始まる顧問先への助言 (2021/02/17)

 2月8日付けの日経紙面に、コロナ特別融資の元金返済猶予据置期間について中小企業庁が調査した結果が掲載されている。それによると

1 日本政策金融公庫の据置期間の分布
  • 6ヶ月以内:33%
  • 6ヶ月〜1年:33%
  • 1〜2年:18%
  • 2〜3年:12%
  • 3年超:4%
2 民間金融機関の据置期間の分布
  • 6ヶ月以内:42%
  • 6ヶ月〜1年:14%
  • 1〜2年:9%
  • 2〜3年:27%
  • 3年超:8%

 昨年の4月5月頃にコロナ特別融資を受けた中小企業や個人事業主が、据置期間を1年で申し込んでいれば、後2〜3ヶ月で元金返済が始まる。緊急事態宣言が延長された中で売上高が不振のままであれば、既往債務の返済に加えコロナ融資の返済分まで資金が回らないのは当然であろう。同時に公共料金や社会保険料、税金等の未払い分の決済も重荷になってくる。

 1月19日に総理大臣・財務大臣等が連名で、全国銀行協会会長や地銀協、第二地銀協、信用金庫協会等にあてた「新型コロナウィルス感染症の影響拡大を踏まえた資金繰り支援等について」の書面には

  • 返済期間、据置期間が到来する貸出を含めた既往債務の条件変更について
  • 返済期間、据置期間の延長等の措置など
  • 中小企業、小規模事業者等の実情に応じた最大限柔軟な対応を行うこと

と記載されている。

 コロナ特別融資の返済猶予の据置期間を1年で契約した企業は、据置期間の延長申請を行うか、特別融資も4,000万から6,000万円の増額が可能になったので、増額借換で新規マネー及び据置期間の延長を検討する必要がある。

 昨年のコロナ融資の大混雑を思い出して、早め早めの対応が必要だろう。金融機関が条件変更に消極的であれば、この書面を持参し丁重に交渉すべきだろう。

 会計事務所はコロナ融資を受けた顧問先企業の据置期間を再度確認しておく必要がある。

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来年1月施行予定の電子帳簿保存で経理代行が進むかも(2021/02/10)

 1月の通常国会で提出された、2021年度の税制改正大綱の「電子帳簿保存法」の改正案を見ると、歴史的とも言える大幅な規制緩和となっている。電子帳簿保存法は過去から幾多の改正がされてきたが、実際には、特に中小企業では全くと言ってよいほど普及してこなかった。

 今回の規制改革の特徴は、ルールで企業活動を縛るのではなく、最低限のルールを示して企業のデジタル化を推進し、それでも違反があれば重加算税という罰則で対処しようとするものである。

 普及を妨げてきた理由を羅列すると

  1. 電子帳簿保存を導入する前に税務署長に申請する手間・時間がかかる
  2. 紙をスキャンしても画像と原本を定期的にチェックするまで原本は破棄できない
  3. 領収書にフルネームで署名する必要がある
  4. 3日以内のタイムスタンプの付与義務

 今回の改正案では

  1. 導入前の税務署長への申請は必要ない
  2. 定期的検査を廃止しスキャン後に原本は破棄しても良い
  3. スキャン時に自署することも必要としない
  4. スキャンデータの変更や削除履歴が保存されるシステムであればタイムスタンプも不要となり、保存期間も3日以内から最長2ケ月に変更される

 市販されているクラウド系の会計ソフトでスキャンデータを保存し、税務調査時にいつでもダウンロードできる仕組みさえあれば、「電子帳簿保存」が中小企業でも可能になった。逆に言えば、架空の領収書等をスキャンして原本破棄し、経費の水増し等の違反があれば、重加算税が待っている。

 これでも、PCが苦手、スキャンも写メも分からないという中小企業経理担当者がいる場合には、会計事務所で電子帳簿保存・会計ソフト入力・税務申告の一体で、顧問先の経理代行が益々拡がって行くかもしれない。

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銀行を説得できる事業計画の策定にビッグデータを活用(2021/02/03)

 昨年6月から運用開始されている内閣府地方創生推進室のV-RESASに注目が集まっている。官民一体でのビッグデータで、コロナ禍における経済の刻々と変化する様子を可視化するサービスである。現在、提供されているデータ及びデータ提供元を見ると

  1. 人流(滞在人口、移動人口等):スマホが発信するGPSデータ
  2. 消費・売上データ:JCBの決済データやPOSレジデータ
  3. 飲食:Rettyの飲食店情報の閲覧数
  4. 宿泊・旅行予約:各予約サイトの宿泊者数
  5. イベント:チケットぴあの販売実績データ
  6. 興味・関心:Yahoo!検索キーワード
  7. 雇用:各求人サイトから収集した求人情報数
  8. 企業財務:freeeの勘定科目別データ(全国版のみ)

 上記8つのデータが週単位の更新で、前年同月比の増減の推移が地域別・業種別にグラフ化されている。

 例えばカード決済データで、支払先を「すべての小売業」で見ると、2020年1月以降大半の月で前年同月比で減少しているのに対し、支払先を「EC」で見ると2020年10月を除き前年同月比で増加になっている。

 消費者が実店舗よりもネットで購買行動していることが確実に読み取れる。

 POSデータでは商品の分類と細目で売上データの増減が地域別も含めて表示される。
 例えば分類を「即席食品」とし、細目を「カップ麺」で検索をかけると、地域別の売上高の前年同月比でグラフ化される。巣ごもり需要の実態が如実に表れる。

 freeeは売上・仕入・家賃・給与・外注の勘定科目データについて、有料課金利用者の入力データを加工してV-RESASに提供している。地域別で出さないのは業種・地域で区分するにはデータ数が足りていないのかも知れない。

 会計人はこのサイトは要注目である。特に顧問先の今後の追加融資や新規事業での資金調達に絡んで事業計画を策定する際の「根拠・エビデンス」の有力な情報になるからである。

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廃業のタイミングと相談者(2021/01/27)

 東京商工リサーチの2020年「休廃業・解散企業」動向調査が、今月18日に公開された。

 2020年1〜12月に全国で休廃業・解散した企業は49,698件で、同社の調査開始以来の最多件数であった。更に特徴的なデータでは

  1. 休廃業する直前期決算で損益が黒字だった企業の割合は6割超
  2. 代表者年齢では70代の構成比が4割超

 コロナ禍で補助金や資金繰り支援を受けたものの、後継者が発掘できないか、先行きの見通しがつかない等の理由で休廃業・解散を選択したのだろう。
 2021年も、後継者問題及び現経営者の事業意欲の後退が、休廃業件数を更に押し上げることになるであろう。

 廃業には、従業員や顧客への十分な説明と理解が必要になる。同時に、損益ではなくキャッシュベースで債務超過とならない確認が重要なポイントになる。
 借入金返済残高、買掛金・未払金、未納税金・保険料、退職金……の支払総額を、実際の現預金残高+今後の回収額で賄えるのか、丁寧なシミュレーションが重要である。

 銀行の借入金やリース残高に個人保証をしていないかの確認も必要である。
 信用保証協会のガイドラインに基づく保証債務整理を成立させた件数は、令和2年4〜9月の半年累計で414件、月平均69件にしか過ぎない。最大で360万円の現金と華美でない家を残して、銀行借入金をチャラにできる経営者保証のガイドラインの利用実態は、この程度でしかない。

 廃業にはタイミングが重要なファクターである、タイミングを逃すと倒産・破産の道しかなくなる。
 後継者発掘で社内昇格や第三者への引継ぎが可能でないのか、事業譲渡で専門家・知人・専門サイト等を利用して譲受人を探せないか、再度徹底した確認が必要になる。それには時間も相当要するだろう。

 経営者が廃業の決意を固めても、明日には廃業ができるわけではない。本当に親身になって相談ができる相手がいる。
 廃業のコンサルタントでもなく銀行員でもなく、相談者は会計事務所の担当者であってほしいと、経営者は思っているのかもしれない。

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融資交渉に強い会計事務所(2021/01/20)

 2度目の緊急事態宣言が発出された。従来の外食・宿泊・施設サービス業のみならず、こういった業種への納入業者等にも協力金の要請がなされる状況にまでなってきた。

 全国信用保証協会連合会の「信用保証実績の推移」を見ると、コロナ関連の緊急融資が始まった2020年3月からの保証承諾件数は6月の約32万件をピークに、2020年3〜2020年11月の9ケ月累計で約156万件に達した。保証金額ベースでは、6月の5.8兆円をピークに累計で28.2兆円であった。これは、リーマン時の景気対応緊急保証制度の保証承諾件数150万件、保証承諾金額27兆円を超えている。しかも緊急保証制度の時は2008年10〜2011年3月の27ケ月の累計である。

 コロナ緊急融資で2020年の中小企業倒産件数は大幅に減少し、保証協会の代位弁済件数も、通常年では月平均で3,000件前後であるが、2020年9月以降は2,000件を大きく割っている。

 リーマン時の代位弁済件数を見ると、2010年の77,000件から始まり、2012年までの3年間での累計が約21万件で、保証承諾件数の約15%近くにもなる。金額ベースでも2.3兆円で約10%に及んでいる。

 保証協会融資を行う金融機関の特徴は、規模の大きな地銀は有力な取引先を持ち、プロパー融資で対応する実力を持っているが、体力の乏しい地銀・第二地銀では、不良債権比率の高い銀行ほど保証協会融資の扱いが大きい。特に今回は、銀行にはリスク0の100%保証の融資の比率が大きいので、返済が開始されて資金繰りがつかなくなった中小企業が、100%保証の融資を80%保証の融資に借り換えることは出来ない。この場合、同一条件の借換交渉を銀行を通してお願いすることになるが、2度目となると保証協会も審査の目は厳しくなることは容易に察することが出来る。

 追加融資でのニューマネーの獲得、借換交渉での月額返済額の減少、既存借入金を他銀行での融資と纏めることでの資金調達……、今後、しばらくの間、資金繰りの綱渡りが続く顧問先も少なくはないだろう。融資交渉に強い会計事務所を頼る中小企業は多い。


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