2018/08/08 これからの税理士事務所の差別化要因は…
2018/08/01 相続手続き支援業務の競争激化
2018/07/25 記帳革命となるか?
2018/07/18 freeeが会計事務所になるのかも…
2018/07/11 銀行の決算対策に顧問先が巻き込まれないように!
2018/07/04 月額480円の衝撃
2018/06/27 不動産相続の相談窓口の今後


これからの税理士事務所の差別化要因は…(2018/08/08)

 税理士事務所にとって避けて通ることのできない業務の一つになりつつあるのが、「自事務所のRPA導入」と「顧問先へのRPA導入支援」ではないだろうか?
 RPAについて、「定型的な反復作業で極めてボリュームのある業務を中心にロボット化し、効率を上げる」と思い込んでいる会計人なら、「RPAなんて関係無し」とやり過ごしてしまってはいないだろうか。

 しかし、例えば、売上規模は小規模でも従業員数が100名を超える事業所の場合、給与データから決算時の「預り金残高」を確定する作業等は、顧問先の経理能力が低いほど、大変な業務負荷が担当者に寄りかかる。税務調査では殆ど触れられることのない「預り金残高」を確定させるのには多大な時間を要するが、一方でこの作業は、顧問先から評価されることが少ない業務の一つである。

 顧問先が旅行代理店の場合は、各種の「手付金」や顧客の「預り金」が発生し、旅行終了時点で売上や経費の確定が行われるが、仮にエクセル等で取引がデータ化されていても、会計ソフトへの入力作業が待っている。
 介護施設の場合には、提供する週間のメニューに即して食材の発注を「何を、いつ、いくつ」行うかといった作業も、事務処理業務の中で相当の部分を占めることがある。

 こうした意味では、税理士事務所も小規模な顧問先でも、「定型・反復型」の業務がRPAに置き換えられないかと検討することは重要ではないか?
 しかし、どんなRPAツールを使って、どの業務からロボット化すれば良いのか、現実にロボットソフトを作り上げる人材もいない中小企業は途方に暮れてしまうことにもなる。

 会計ソフトのfreeeが、15業務のRPAロボットをダウンロードできるプラットフォームを作った。入出金明細消し込みロボットや支払い通知書作成ロボット等、部分的ではあるが人を介さないで行える業務ソフトだ。今後、RPA研修を受けた在宅主婦等を組織化し、小規模事業所の意向に従ったロボットを作り上げていく方向だそうだ。

 また9月からは、パナソニック子会社のOCRと、RPAテクノロジーのRPAツールと、クラウドソーシングに登録するRPA技術者が共同で、「RPA導入ワンストップサービス」を始める。

 税理士事務所が顧問先から今後期待されるのは、「自社のどの業務にRPAを導入するのが効果的か」という時代に入ってくるのではないか。


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相続手続き支援業務の競争激化(2018/08/01)

 一般社団法人信託協会の統計によると、「遺言書の保管・執行件数」の累計は平成30年末で128,366件となり、特に平成24年度以降からの新規案件数は毎年7,000件〜11,000件のペースで増加している。信託銀行が受注した「遺産整理業務」も、平成29年度は5,927件の過去最高の取扱件数となっている。

 葬儀費用や配偶者等の当面の生活費など、被相続人の死亡後に簡単な手続きで金銭の支払いを受けることのできる「遺言代用信託」も、累計で約16万件に達し、毎年1万〜2万件の新規受託がある。

 このほど、みずほ信託銀は、「遺言代用信託」の商品や「遺産整理業務」のノウハウを全国の提携地銀に提供し、相続関連の信託ニーズに応えるプラットフォームを目指すと公表した。現在は北海道銀行、北洋、筑波、愛媛、三重など8行の地銀と提携、今後数行が参加する予定という。8行の店舗数だけでも900店舗あり、数行の参加があれば全国1,000店舗以上で信託業務を行う代理店網ができあがる。

 「遺言代用信託」は地銀の一般行員でも販売しやすく手数料収入も望めるし、その後の「遺産整理業務」へ展開ができる。本業の利鞘縮小の中で、手数料ビジネスの軸に育てていきたい思惑があり、他の大手信託の代理店確保も合わせ、競争が激しくなっていくだろう。

 みずほ信託の「遺産整理業務」の手数料は最低でも108万円と、財産額の少ない人には敷居が高く、今後は約40万円程度の低コストで遺産整理を望む顧客の開拓をする予定だそうだ。

 その肝の一つは対面でなく「LINE」を使い、相続人5人以下と対象を絞り、遺産整理作業を極力デジタル化する方向。会計事務所の新しい競争相手ともなる。


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記帳革命となるか?(2018/07/25)

 会計事務所と顧問先との間での「仕訳入力」の業務分担の議論は永遠のテーマである。特に小規模な事業歴の長い経営者であるほど紙帳簿を愛してやまない。
 パソコンやスマホの時代になっても手書きで帳簿をつけ、得意先の発注があれば得意先元帳を取り出し過去の販売単価をチェックしたり、仕入元帳も同様に使い、パソコンを起動して検索するより使い勝手が良いと信じ込んでいる経営者や経理担当者も多い。
 従って経営者は決算の為の「仕訳入力」は会計事務所の仕事と思い込み、手書きの帳簿を提出するだけで良いのだと感じている。

 一方、会計事務所の方は、手書き帳簿のコピーを預かり会計ソフトに入力することで、顧問先が中途半端な仕訳入力をするより、手間ではあるが顧問先の事情に精通した担当者が入力した方が、決算作業を行う際には合理的な方策と考えてきた歴史もある。
 しかし、この手法も1人の担当者が対処できる業務処理量に限界があり、結果として会計事務所の人時生産性を向上させるには至らなかった。

 MFクラウドやfreeeのクラウド会計システムが登場しても、ベンチャー企業や若い個人事業主には大歓迎されても、会計事務所の多くの顧問先は手書き帳簿を好み、その使い勝手に納得しているので、会計事務所からクラウド会計の利便性を説かれても、あまり聞く耳をもっていないのも現実であろう。

 先般、富士ゼロックスが公開した帳票処理クラウド「Smart Data Entry」は、手書き帳票ai-ocr変換サービスといわれるもので、手書き帳票をOCRで読み取ってデータ化し、情報抽出、確認、訂正、データ出力までをシームレスに実現する。
 データ読み取りの認識率は99.1%と高い。
 出力されたデータをCSVフォーマットに取り込み、希望する会計ソフトに入力すれば、顧問先には手書き帳簿をしっかりと記帳してもらえば、会計事務所の入力の手間が激減することになるかもしれない。

 「自計化」指導とは逆行することになるが、AIとOCRの組み合わせが小規模事業者の記帳革命を起こすかもしれない。


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freeeが会計事務所になるのかも…(2018/07/18)

 freeeとソフトバンクが共同でRPAロボットを開発した。ソフトバンクは昨年10月からRPAロボットのSynchRoid(シンクロイド)を提供しているが、今回、freee社と業務提携して20業務のRPAロボットを提供する。ソフトバンクのホームページでは、下記のようなオペレーションが自動で作成可能として一部掲載されている。これが提携第一弾のロボットだそうで、今後更に多くのfreeeと連携したロボットが出てくる見込みだ。
  1. 設定する口座情報の一括登録
  2. 支払通知書の一括作成や一括メール送信
  3. 部門損益計算書を作成しエクセルに出力する
  4. 従業員マスター情報の一括登録
  5. エクセルにある給与データで人事労務freeeで計算
  6. 勤怠の打刻時刻を一括で修正
 今まで会計事務所は、顧問先の会計ソフトに蓄積された多くの仕訳データから必要データを抽出し、エクセルのマクロ等で作成した表に転記し、決算・税務書類の一部を作成したり、経営者や取引銀行の求めに応じて、様々な経営資料を「データの抽出→集計加工→データチェック」の手順で、人手をかけて行ってきたりした。これらの作業がほぼ自動化できることになっていく。
 他の会計ソフトもRPA連携はしてくるだろう。RPAで「何をするか」を会計事務所主導で考えていかないと、顧問先側で大半のことが完了してしまうかもしれない。

 例えば顧問先の株式評価額を決算終了毎に計算し提供するといったサービスは、従来の手法であれば土地の評価や保有証券の時価を人手を介して行ってきたが、RPAロボットを使えば、自動で必要なサイトにログインし、データを抽出し、株価計算のフォーマットに転記する…といったことができてしまう。問題は誰が主導権を持って開発テーマを決めていくかだ。


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銀行の決算対策に顧問先が巻き込まれないように!(2018/07/11)

 銀行の平成30年3月期決算が出揃った。先の日経紙面でも報じられていたが、銀行が貸倒引当金の残高を減らしているというのだ。景気が良く貸出先の企業も業績が順調で、結果、債務者区分がランクアップすることで貸倒引当率が下がり貸倒引当金残高が減少したならば何ら問題ないのだが、マイナス金利が継続する中で、地銀の資金利鞘が減少し、国債等債券損益が赤字となり、実質業務純益が減益になる地銀が「貸倒引当金戻入益」の計上で経常利益を確保する決算も見受けられる。一例として青森銀行の過去5期分の決算短信で推移を見ると、以下のとおり。

  平成30年3月 平成29年3月 平成28年3月 平成27年3月 平成26年3月
資金利益 25,695 26,105 27,101 27,927 28,436
実質業務純益 4,164 3,931 6,363 7,719 7,971
貸倒引当金戻入益 580 2,443 837 0 0
経常利益 5,686 6,778 8,874 9,136 7,675

 資金利益は5期前の90.2%、実質業務純益は52.2%に急減している。青森銀行の平成29年3月の経常利益は、貸倒引当金戻入益を計上していなければ、対前年で48.8%の水準になってしまっていた。

 金融庁の唱える取引先の「経営改善支援」を通じて、債務者区分が正常先等に上がり、貸倒引当金の戻入益があったのも事実だろうが、債務者区分が低い(経営不振先)取引先の貸出金の回収によって、貸倒引当金戻入益が計上されたこともあったのかもしれない。

 昨秋に公表された金融レポートには、地銀の当期純利益に占める貸倒引当金戻入益の割合が10%以上あった地銀(平成29年3月決算)は20行あり、50%以上となった地銀も4行あった。

 保有株式や投資信託の含み益を益出しして決算対策に使う手法は、大半の地銀で既に行われている。融資を受ける中小事業者にとっては、自社の債務区分が悪くメインバンクが相応の貸倒引当金を積んでいるケースに該当しているならば、今度のメインバンクの9月中間決算対策に利用されないように、対策を講じておく必要もあるだろう。


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月額480円の衝撃(2018/07/04)

 クラウドソーシング大手のランサーズが、会員であるフリーランス向けの「専門家サービス」を6月28日から開始した。「Freelance Basics」と呼ぶサービスだ。法務・税務・教育・福利厚生・融資・保険等の項目は、サラリーマンであったなら当然のように「勤務先及び定職に就く人」という評価でサポートされる。Freelance Basicsは、これらの項目をフリーランスに対してランサーズが代行して行うという、言わば実験的なサービスである。

 今回の「専門家サービス」は、法務・税務の支援サービスで相談窓口を設け、フリーランスの不安や不明事項を取り除くとし、「月額たった480円で法律・会計相談できる」と謳っている。最初の月の利用は無料だ。Freelance Basicsの会員登録後にログインすると、法律サービスとして
  1. 弁護士監修・契約リスク判定(AI-CON)
     フリーランスが作った契約書をUPすると一定のリスク評価を行ってくれるサービス
  2. 契約書ひな形ダウンロード
     秘密保持契約、開発業務委託契約、システム等保守・運用契約等現時点では17種類掲載
  3. 弁護士相談窓口
     GVA法律事務所のメール相談フォームに繋がる
 会計サービスとしては「税理士相談窓口・リーズナブル確定申告(税理士紹介)」が表示されて、クリックすると、税理士紹介老舗のビスカス宛のメールフォームに繋がり、税務相談に対応できるようにしているようだ。ビスカスはHP上で登録税理士3,000人超、24時間365日対応と謳っているので、会員から税務相談があれば登録税理士に振って回答を促す仕組みのように思える。

 月額480円は衝撃だが、実のところ既存のサービス業者と繋いだだけで、現段階でフリーランスの期待に応えるものかどうかは定かではない。


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不動産相続の相談窓口の今後(2018/06/27)

 マザーズ上場のハイアス・アンド・カンパニー社が運営する「不動産相続の相談窓口」加盟店の相続教室が賑わっている。全国の地場工務店、中小ハウスメーカー、不動産仲介業者を対象に2016年10月から加盟店を募集し、半年で100店舗、今年6月時点では168店舗にまで拡大している。

 今年1月には全国一斉相続勉強会を各店舗にて開催し、開催数は113件に達した。昨年9月の同様の開催に比べ倍増となっている。「不動産相続の相談窓口」のサイトでは、7月実施予定の勉強会が約100回、8月予定が約80回開催となっており、ほぼ全エリアで受講者を募っている。内容は相続の基礎知識から中級・上級編や不動産相続、空き家相続等まで個人を対象にした勉強会である。

 今後、加盟店が増加し勉強会の開催が定例化すると、年間で1万人強が学ぶ相続勉強会に発展する可能性もある。


 6月21日、マザーズに上場した(株)ZUUの運営する金融・経済メディアのZUU onlineと「不動産相続の相談窓口」が協業し、「(仮称)相続online」の開設を公表した。

 ZUU onlineは金融・経済・不動産・資産運用等の専門コンテンツを配信するサイトで、月間訪問者数は400万人を超える。この強力なネットメディアとアナログな「不動産相続の相談窓口」店舗がタッグを組むことで、相続教室の集客能力がこれまで以上に増加する可能性がある。

 大相続時代を控え、一般家庭の資産相談に応じるインフラが求められている中、このネットとリアルの融合は興味深い。一般個人が「相続online」で知識を高め、「店舗」で資産分析や不明点を解消し、専門士業が評価・チェックし、対象者の相続事案が終結する。このサイクルにまで発展していくと、面白い展開になるだろう。



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