2020/10/21 顧問先の請求書の電子化に指導できますか?
2020/10/14 旅館の3割が淘汰される
2020/10/07 税務調査手法が変わる
2020/09/30 向こう1年での廃業数の予測
2020/09/16 新総理の発言は中小企業の経営環境を激変させる
2020/09/09 日弁連の事業承継トラブル・チェックシート
2020/09/02 歯科医院施設数の純減状況

顧問先の請求書の電子化に指導できますか?(2020/10/21)

 河野行革大臣の「脱ハンコ宣言」で、政府内のハンコの「廃止」若しくは「廃止の方向」で検討するとの回答が98%に達した。鶴の一声で前例踏襲の官僚群が動いたのである。
 菅首相の「中小企業へのデジタル化支援」も、年内には方向性が見えてくるはずである。

 現時点での電子請求書に関する保存義務では、タイムスタンプを付与するか、改ざん防止対策を講じた社内規定整備を用意して運用するか、いずれかの条件が必要とされる。
 しかし、外部からのデータ書き換えができないクラウドサービスで電子請求する側とそれを受け取る側が、同一のプラットフォームで双方で確認しあうことができれば、タイムスタンプも社内規定も不要になってくる。今後の電子帳簿保存法の改正で、上記のようなクラウドサービスの導入が一挙に進むことは間違いないだろう。ここに中小企業のデジタル化支援策の一具体例として盛り込まれるかもしれない。

 電子請求のクラウドサービスの最大手はインフォマートで、同社は食材の売り手・買い手をプラットフォームでマッチングさせ電子請求の発行・受取のサービスで伸びてきた。東証一部の上場企業で時価総額は約2,500億円である。

 最近はフードビジネスと別の領域で「B to Bプラットフォーム請求書」を立ち上げ、既にログイン数で約43万社(2020年7月時点)の利用がある。
 請求書を発行する側は、固定料金が請求書の発行枚数が100枚までなら月額15,000円で、請求書を受け取る取引先には無料のIDを配れる

 請求書の受け取りをクラウド化したい企業は、受取件数が50件までなら月額15,000円で利用でき、請求書を発行する自社の取引先には無料のIDを発行し、請求書の必着日の案内をし、請求データが送信されたら通知書を送信し、取引先へ承認を送信することで完了する。
 当然自社の会計システムにも請求データの仕訳取り込みを行い、電子帳簿の保存もOKとなる。

 請求書の紙・印刷・データ入力・封入・発送等の業務工数が激減するとともに、コスト削減に繋がることは間違いない。下請け系列を多く持つ建設業や卸売業、製造業を中心に電子請求が進み、取引先である中小・零細企業もこうしたクラウドサービスへの対応を早急に迫られる。

 こうした指導をサービスの業者が主導権を取るか、会計事務所が会計システムとは別の電子請求まで顧問先に先手指導するかで顧客対応が変わってくるだろう。

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旅館の3割が淘汰される(2020/10/14)

 10月から東京都民も参加してのGo Toトラベルが動き出して、一部の観光旅館は年内の予約が満室状態になっているところも目立つ。一人1泊5万円前後の料金の高級旅館が約3万円前後で宿泊できるので相当のお得感があるが、1〜2万円程度の魅力の少ない旅館では、数千円程度のお得感しか出ないので、インバウンドが期待できない状況ではGo Toトラベルでの対策も万全とはいえない。

 今年の5月に観光庁が実施した「旅館等事業者の経営・財務状況等に関する経営者アンケート調査」の報告書(全国1,600件を対象とし、約6割の956件が回答)を見ると、旅館群を3つのパターンに分類し、課題と今後の対処について述べている。

パターン@:成長・新興旅館群(全体の約2割)

資金調達意欲活発で積極投資している

パターンA:成熟旅館群(全体の5割)

地域で中心的な地位を占め収益も好調だが新規借入は困難になっている
しかし一部の有力旅館は地域内の事業者間の連携には積極的である

パターンB:衰退旅館群(全体の3割)

生産性が低く赤字傾向で債務返済の目途がたっていない、経営者の高齢化や第三者への事業承継の意欲はあるが行動に移っていない事業も多い

対処策として

  1. 地域旅館統合プラットフォームを設立し、Bの旅館群の不動産を各金融機関の債務調整を行ったうえで賃借し公的機関等から資金調達しリノベーションする
  2. 地域旅館統合プラットフォームがAの地域有力旅館や新規事業者に一括賃貸し事業の運営を委ねる
  3. 地域旅館共通機能プラットフォームも設立し、共同仕入れ・セントラルキッチン・人材の共通化・共同マーケティング・共同集客で生産性向上を目指す

 いずれにしても旅館群の約3割は整理淘汰せざるを得ない報告書になっており、首相がリーダーシップを発揮する地域銀行の再編中小企業の定義変更に伴う再編も含め、約370万社の中小零細企業数の大幅な減少は、待ったなしの状況になっていくのではないかと思える。

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税務調査手法が変わる(2020/10/07)

 昨年閣議決定された官民データ活用推進計画にある「金融機関×行政機関の預貯金照会業務のデジタル化」の実験が、今月より始まる。

 税務調査や資産調査等で、行政機関が調査対象者の取引先の金融機関等に対して、預貯金等の照会を行ってきた。これら全てのやり取りは書面で行われ、その件数は年間で約6,000万件に及ぶとされている。行政機関でも、質問文書作成→封書詰め→郵送→返送時の開封→返送文書のチェック・保存といったアナログ作業に膨大な人手を要し、同様に照会を受ける金融機関も一連の回答作業に膨大な時間を要していた。

 今回の実証実験にはNTTデータの預貯金照会業務ソフトを使用し、行政機関側は東京国税局・仙台国税局・神奈川県管内税務署・福島県管内税務署が、金融機関側は東邦銀行・横浜銀行・福島銀行・ゆうちょ銀行が選定され、それぞれネットワークでつなぎ預貯金の照会・回答業務をデジタル化する。デジタル化に伴い、どの程度の作業量の削減、業務の効率化が図れるのかを、年内かけて実証実験を行うそうだ。

 NTTデータは、2021年度末までには120の金融機関及び300自治体へのソフト導入を目指していて、菅首相肝入りのデジタル庁の最初の成果になるかもしれない。

 税務調査においてこの仕組みが普及すると、調査対象者の各金融機関の預貯金データが実地調査前にあることで税務調査の効率化は格段に向上する。特に個人事業者の非事業預貯金の把握や相続税調査で全国に散らばった預貯金の把握にも威力を増すことになるだろう。自治体における滞納整理や生活保護審査等にも有効な手立てにもなる。

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向こう1年での廃業数の予測(2020/09/30)

 東京商工リサーチが9月23日に公表した「2020年1−8月の休廃業・解散企業数」は前年同月比で23.9%増の35,816件(速報値)で、通年では休廃業・解散企業数が過去最高の5万件に達し、倒産予想件数1万件を合わせ6万件になるかもしれないと警告している。

 更に同社が8月28日から9月8日に行った「中小企業の廃業」に関するアンケート結果では、「廃業を検討する可能性」が「ある」と回答した企業が全体の8.8%あり、うち、廃業時期を「1年以内」とした回答が44.4%あった。まさに大廃業時代を迎えようとしていると主張する。

 競合の帝国データバンクも休廃業・解散企業数のデータを公開しているが、東京商工リサーチのデータと食い違いがある。例えば2019年の両社の休廃業・解散企業件数は、東京商工リサーチは前年比7.2%減の43,348件とするが、帝国データバンクでは前年比2.6%増の23,634件とした。2018年のデータでも東京商工リサーチは前年比14.2%増だが帝国データバンクは5.6%減と、増減率も件数合計も相違がある。過去8年分のデータでも、件数の総数で各年2万件くらい、東京商工リサーチのデータのほうが多いのである。

 休廃業の定義も「事業活動の停止」というワードを含むのは両社同様であるが、この動向調査は個人事業者も含まれているので、「閉店」を休廃業とするか調査員の心象で異なる可能性も考えられる。両社の倒産件数データには大きな食い違いはないが、休業か廃業かは明確な証拠がないので、こうした差異が生じるのかもしれない。

 いずれにしてもアンケートで「廃業を1年以内に検討する」とした事業者が中小企業の約4%(8.8%×44.4%)とすると、事業者数では約15万者になり、早急な事業引継ぎ対策が必要になってくる。

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新総理の発言は中小企業の経営環境を激変させる(2020/09/16)

 第99代総理大臣となった菅首相の「地銀の再編」発言が波紋を呼んでいる。

 地銀の経営体力を強化するために再編を進めてきた金融庁と、独占・寡占を審査する公正取引委員会との調整を、政府で行ってきたのが官首相(当時官房長官)である。

 10月1日に、長崎県の第一地銀である親和銀行と十八銀行が合併し、「十八親和銀行」になる。翌年1月からシステム統合もされ、店舗の整理統合も具体化してくる。

 11月には合併特例法が交付され、各都府県で一つの地銀に再編することが可能な環境が出来上がる。

 現在64行ある地銀協の加盟行で、都府県単位で2行以上の地銀があるのは

青森、岩手、秋田、山形、茨城、千葉、新潟、富山、岐阜、静岡、三重、大阪、福岡、長崎、沖縄

の15府県で、このうち静岡県には3地銀、福岡県には4地銀がある、長崎県は今回の合併で「1都府県1地銀」になった。

 更に第二地銀も加えて都府県単位で3行以上あるのは

山形、岩手、福島、千葉、東京、新潟、富山、静岡、愛知、三重、福岡、長崎、沖縄

の13都県である。

 都府県でも、東京、大阪、愛知、静岡、千葉のように経済圏が広い地域では、複数行の地方銀行が存在し、競争を維持していくことも必要であるが、人口減少や地域経済の疲弊を抱えた県では、地方銀行の再編は避けられないだろうし、菅新総理の登場で再編論議が政府主導で進められていくことに、経営者は注意を払う必要がある。

 取引している地銀や第二地銀が突然の合併となれば、自社にとってメイン行が従来同様存続するのか、合併相手に引き継がれるのかで自社の資金調達環境が激変するだろうし、取引店舗が閉鎖し違う支店に移行されれば「銀行との取引の歴史」が寸断されてしまう。人間関係も同様だ。

 10月発足の十八親和銀行の動きや、青森銀行+みちのく銀行の動向など、関心を高める時期だと思う。

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日弁連の事業承継トラブル・チェックシート(2020/09/09)

 日弁連の「事業承継トラブル・チェックシート」の改訂版が公表されている。

 シートの構成は現経営者向けの質問が33項目、後継者向けの質問が31項目用意され、個々の質問に具体的な相談事例があり、弁護士としての回答が付されている。今回の民法改正にも対応したチェックシートになっている。

 正直、中小企業の経営者がこのシートを使って事業承継時の自社や個人にどのような法的リスクがあるかを自己診断するには、具体的相談事例を踏まえてもハードルが高いだろう。
 会計事務所勤務経験が数年程度の職員でも「質問の意味」すら理解できない人も一定数存在するかもしれない。

 少なくとも顧問先の決算を行い、債権・債務の明細作成に積極的に関与している事務所は、このチェックシートの一部について説明できるようにしておかねばならならない。

 例えばチェックシートの現経営者向けのQ4の質問項目には

自分と会社の間の貸付金や負債は多くなく、内容も貸借対照表に正確に記載されている

とあり、相続発生時に、事業承継しない一部の相続人から代表者借入金の返済を迫られたり、金銭の出入りを伴わない代表者借入金の発生の経緯の説明を求められたりすると、決算担当者として「知りません」では通用しない。

 Q7の質問項目には

誰が借金を引き継ぐか決めるには遺言だけでは不十分であることを知っている

とある。遺言書で、後継者が株式も銀行借入金の個人保証もすべて引き継ぐとしていても、銀行が当該債務の承継を承認していなければ、他の相続人も連帯保証義務を負うことになるので、遺言書の書き方や銀行との事前折衝が重要になる。

 コロナ禍で既存借入金以外にも銀行借入金が増える中小企業では、後継者と事業承継しない相続人も含めて「債務継承」の法的リスクを検討しておく機会になるだろう。
 日弁連のチェックシートの最後の欄には「事業承継において必要とされる専門的な法律知識については税理士でも十分理解していない場合もあります」と注意書きされている。

参考リンク:
日本弁護士連合会「中小企業のためのチェックシートを改訂しました

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歯科医院施設数の純減状況(2020/09/02)

 コロナ禍での不要不急の診療科、且つ飛沫感染リスクが高いと言われているのが、歯科診療所である。

 現実に東京の歯科保険医協会の調査によると、4月の保険収入で3割以上の減少と回答した歯科医院が5割近くに達したとあった。東京の歯科医院の7割が店舗を賃貸で行っているので、賃料支払いも厳しくなっているところもあるようだ。

 厚生労働省の「医療施設動態調査」は、歯科診療所施設数を毎月概数で2ヶ月遅れで公表している。全国の施設数を純増・純減で過去1年の月別データを開示すると、

令和2年 5月 4月 3月 2月 1月    
純増数 ▲11 ▲30 +13 ▲8 ▲77    
令和元年 12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月
純増数 ▲75 ▲28 ▲4 ▲11 +16 ▲8 +26

 令和元年6月〜令和2年5月の1年間で、歯科診療所施設数は▲197の純減となった。

 施設数を過去5年で見ると

令和2年5月時点 68,291 ピーク時から626件減少
令和元年5月時点 68,488  
平成30年5月時点 68,774
平成29年5月時点 68,917
平成28年5月時点 68,867

 平成29年をピークに、歯科診療所施設数も毎年微減状態に入ってきた。過去5年間の新規開設数が年1,500〜1,900件なので、純減状態にあるというのはこれを上回る廃業・休業数を意味する

 歯科診療所の新規開設者は内装のデザイン性や最新医療機器の設置を望むことが多く、旧来の施設形態で廃業する診療所の事業譲渡や賃貸で引継ぎを行うのは難しいものがある。コロナ後も歯科に患者数が戻ってくる期待も少ないなかで、新規開設で数千万の投資を行うのもリスクが大きく、歯科医院経営の実情に明るい専門家の新規開業指導がより一層求められることになるだろう。


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