2025/03/19 中古車の減価償却費の計算〜Gemini 2.0を使って
2025/03/05 クラウド請求書受領サービスが急拡大した後に起こること
2025/02/19 スタートアップ企業を顧問先にするには
2025/02/05 地銀の経営統合で融資がどう変化するか?
2025/01/22 税理士が顧問先の価格転嫁交渉の裏付け資料を作成する
2025/01/08 ゼロゼロ融資の会計検査院の報告
2024/12/18 人の介護の次は、住宅の介護

中古車の減価償却費の計算〜Gemini 2.0を使って(2025/03/19)

 GoogleのAI、Geminiの最新バージョンである「Gemini 2.0」(無料版)を使って、中古車の減価償却費の計算を相談してみた。以下はその回答である。

 

事業用の3年落ち中古車(普通乗用車)を250万円で取得し、令和6年5月から使用開始した場合の減価償却費の計算ですね。確定申告で計上できる減価償却費を計算するために、以下の手順で進めます。

1. 法定耐用年数の確認

普通乗用車の法定耐用年数は6年です。
中古車の場合、法定耐用年数を簡略法で計算する必要があります。

2. 中古車の耐用年数の計算(簡略法)

法定耐用年数の一部を経過した資産の場合
(法定耐用年数 − 経過年数) + 経過年数 × 20%

この場合、
(6年 − 3年) + 3年 × 20% = 3年 + 0.6年 = 3.6年

1年未満の端数は切り捨てて、3年となります。ただし、計算結果が2年に満たない場合は2年になります。今回の場合は3年と計算できます。

3. 償却方法の選択

原則として、個人事業主の場合は定額法で償却します。定額法の場合、毎年同額の減価償却費を計上します。

4. 減価償却費の計算

定額法の償却率の確認

耐用年数3年の定額法の償却率は0.334です。

減価償却費の計算

250万円(取得価額)× 0.334(定額法の償却率)= 835,000円

月割計算

令和6年5月から使用開始なので、5月から12月までの8ヶ月分を計上します。
835,000円 ×(8ヶ月/12ヶ月)= 556,666.666...円

5. 結論

令和6年の確定申告で計上できる減価償却費は、556,666円となります。(1円未満切り捨て)

注意点

  1. 上記はあくまで概算であり、実際の申告にあたっては税務署や税理士にご確認ください。
  2. 中古車の耐用年数の計算や償却方法については、税法の改正等により変更される場合がありますので、最新の情報を確認してください。
  3. 減価償却費は、車両の取得価額から備品等の金額を除いた金額で計算する必要があります。
  4. 事業供用割合に応じて、減価償却費を按分する必要があります。プライベートでも使用する場合は、事業で使用した割合のみを必要経費として計上します。

確定申告の準備

確定申告の際には、以下の書類が必要になります。

  1. 確定申告書
  2. 減価償却費の計算書
  3. 車両の購入時の領収書や契約書
 

 以上が「Gemini 2.0」の回答だ。

 従来のAIツールでは

  1. ガイダンスは行うものの実際の数値を入れての解説はできない
  2. 数値を使っていても計算結果が違う
  3. 筆者の質問をGeminiが「簡潔に質問の意図」を理解して整理してくれている

 税務相談や税金計算を顧問先にレクチャーする際のテキストブックを担当者自ら時間をかけなくても、上記のアウトプットを印刷して説明すれば、十分に時間が省けるように思う。

 晴らしい助太刀が現れたように思うが……。次回、もう一問試してみようと思う。

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クラウド請求書受領サービスが急拡大した後に起こること(2025/03/05)

 東証上場のSansanが2020年から運営する「Bill One」事業が急成長している。

 Sansanは創業時に、大手企業を中心に、社員が個々に保有する「名刺」情報を郵送・fax・メール添付などで代理受領し、OCR+人手を介してデジタル化し、利用先企業の社内情報として「共有化」「最新の情報へ更新」「データベースで検索」といった付加価値を付けて事業展開を図った。現在はこの分野で80%以上のシェアを握るまでになり、2025年5月期の決算予想では、約266億円の売上高を計上する見通しだ。

 インボイス制度が2023年から始まったが、同社は2020年から「クラウド請求書受領サービス」という市場に進出した。次のようなサービスを構築し、全国展開している。

 名刺情報のデジタル化と同様に、請求書関連業務をBill Oneの利用企業から受託する。利用企業の取引先が作成する請求書を同社が代理受領し

  1. 紙の請求書をスキャン
  2. Bill One上で回覧や支払いの承認
  3. 複数の拠点、部門で受領した請求書も一元表示・検索
  4. 閲覧範囲も制限可能

 同社の利用企業である竹中工務店は、Bill Oneを全社導入し

  1. 全国1,000以上の拠点で、年間約40万件もの請求書を受領
  2. このうち、約20万件は紙の請求書
  3. 取引先が小規模な場合は、手書きの請求書も多いが、99.9%の精度でデータ化している

 オペレーションセンターやカスタマーサクセスは完全に内製化し、Bill Oneのサービス開始から4年超で、固定売上が84億円を突破した。2025年5月期決算予想では、100億円超の「Bill One」事業の売上を見込んでいる。

 名刺や請求書といった紙情報がなくならない限り、アナログ情報をデジタル化する事業はさらに急成長し、Bill One以外の周辺のサービスも拡充していくだろう。「給与計算・経費精算・請求書のデジタル化」→「会計システムへの自動仕訳」→「月次決算の早期化」の流れが着実に進む中で、会計事務所の果たす役割が大きく変わってくることは確実だろう。

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スタートアップ企業を顧問先にするには(2025/02/19)

 2024年の全国の企業倒産件数が1万件を超える中で、税理士事務所も顧問先件数の減少傾向が、今後の経営において大きな課題となってきた。

 当然、新規開拓営業の強化が求められる。業種のカテゴリをさらに詳細に特化した業種特化営業や、相続税等に特化した税種目特化営業も有効には違いないが、時代の流れでいうと、スタートアップ企業へのアプローチは欠かせない。

 スタートアップというと、「東京等の大都市に集中」「技術開発中心で、税理士に理解できないのでは?」といったイメージが先行して気後れする方も多いだろう。また、スタートアップとの接点をどう持ったらよいのかがわからない、といったことが、新規営業を躊躇させているのかもしれない。

  1. 全国47都道府県には必ず複数個所のコワーキングスペースがある。そこで開かれる交流会に参加する。
  2. 多少の接点ができてきたら、スタートアップ向けの税務セミナーを開催する。
  3. スタートアップが関心を寄せる税務テーマをあげると、
    • 株式発行時の税務及びストックオプションの税務
    • クラウドファンディングによる資金調達の税務
    • ベンチャーキャピタルからの投資と税務
    • 海外からの投資と税務
    • 研究開発費の税額控除制度
    • スタートアップ特有の研究開発費の取扱
    • 会社分割、合併、吸収合併などの税務
    • 株式交換、株式移転などの税務
    • テレワーク導入時の税務
    • 副業・兼業と税務
  4. コワーキングスペースの交流会の人脈や、スタートアップ支援団体等を通じて、セミナー集客を依頼する。
  5. 自身の専門性や実績をわかりやすく紹介したwebサイトを作成し、SEO対策を行う。
  6. セミナー終了後の個別相談会を設けて、個社単位の提案書を作成できるよう、ヒアリングに力を入れておく。

 地方でも、例えば秋田県では、秋田駅直結の映画館を改装したスペース、古民家をリノベーションしたスペース、秋田の中心街にある歴史あるビルをリノベーションしたオフィスなどが活発に利用されている。

 自事務所のエリアにおいて、スタートアップの集まる場所を確認したり、施設を検索したりしておくことは、今後の活動において必須である。

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地銀の経営統合で融資がどう変化するか?(2025/02/05)

 愛知県の中小企業向け融資は、従来から名古屋銀行、愛知銀行、中京銀行の3つの第二地銀と岡崎信用金庫や岐阜信用金庫といった強力な信金を中心に、激しい貸出営業が続き、「名古屋金利」と呼ばれる低金利競争も激化していた。

 金融庁の指導もあり、金融機関の再編・統合の波が東海地域にも及び、今年の1月1日で愛知銀行と中京銀行が合併し、「あいち銀行」となった。合併方式は吸収合併で、愛知銀行が存続会社、中京銀行が消滅会社となった。

 合併前の直近の決算短信(2024年9月第二四半期)を見ると

  預金(末残高) 貸出金(末残高)
愛知銀行 3.9兆円 3.2兆円
中京銀行 1.9兆円 1.5兆円

 二行合計で預金が約6兆円、貸出金が4.7兆円で、愛知県のトップの地銀となった。

 貸出金をさらに詳細に見ると

  1. 愛知銀行は、2024年3月〜9月の半年間で、貸出金が約792億円の増加
  2. 愛知銀行の2023年10月〜2024年9月の過去1年間での貸出金は、約1,469億円の増加
  3. 中京銀行は、2024年3月〜9月の半年間で、貸出金は約192億円の減少
  4. 中京銀行の2023年10月〜2024年9月の過去1年間での貸出金は、282億円の減少

 この結果は、如実に中京銀行が新規融資のハードルを高めた、もしくは不良債権化する前に回収を早めた、と考えざるを得ない。

 合併後は、2025年7月から店舗再編に着手し、現在の154拠点を最終的に110拠点規模にする計画で(日経記事より)、これはつまり、154人の支店長が110人の支店長になることを意味する。

 中京銀行をメインとし、支店長との人間関係を脈々と築いてきた経営者は、「あいち銀行」の新支店長や融資担当者との関係づくりの再構築を迫られる。仮に資金繰りが厳しく追加融資や期限延長の必要性がある場合は、県外の金融機関や信金等との新たな取引も考えざるを得なくなる。

 地銀の再編・経営統合が借り手に与える影響を列挙すると

  1. 統合後の銀行の方針で融資の審査基準や金利が変わる可能性がある
  2. 統合により特定のサービスが廃止されたり、新しいサービスが導入されたりすることがある
  3. 統合により手数料やサービスのコストが変動し、借り手の経営コストに影響がある

 長期的には、人口減少で地方の金融機関ほど「預金」が減少し、地域の中小企業の融資に回らなくなる恐れもある。今のうちに、体力のある金融機関やネット銀行も検討しておく必要があるだろう。

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税理士が顧問先の価格転嫁交渉の裏付け資料を作成する(2025/01/22)

 中小企業基盤整備機構(中小機構)は昨年12月、「価格転嫁検討ツール」をリリースした。会計事務所の担当者には、これを体験しておくことを勧める。

 事業者が取引先に価格転嫁交渉を行うのに「物価も上がっているし、今後の取引価格は○○%値上げさせてほしい」と頼み込む姿は容易に想像できるが、取引先の担当者が「何を根拠に」と一旦保留にする姿も日常であろう。

 中小機構の開発したツールは

  1. 仕入れ・材料費、エネルギー価格、人件費等が高騰し始める前(機構では2021年)の決算書のPLを入力する
  2. 商品名・取引先名のいずれかを選択し、各個別の売上・原価・販管費等の金額を推定でも入力する
  3. 現在の決算書を、1.と同様のフォーマットに入力する
  4. 商品名・取引先も同様に、現在の売上・コストを入力し、加えて販売数量も入力する
  5. この段階で、全体の「原価構成」と個別の商品・取引先の「原価構成」を比較し、特徴点を把握しておく
  6. 人件費や製造原価・販管費項目から内訳表示でき、全体と個別のコスト比較が可能になる
  7. 水道光熱費も、水道代・電気代・ガス代の内訳を入力すれば、全体・個別の比較が可能になる
  8. 現在の項目別コストをコスト高騰前の「売上高各コスト比率」で割返した「参考価格」が算出される
  9. 参考価格と現在の各コストを販売数量で割り、1個あたりの各コスト単価の増減を検討する
  10. この検討表は印刷すると8ページで出力され、価格転嫁の交渉材料として社内で共有できる
  11. PCであれば使用可能で無料、かつ登録も必要としない
  12. 全国の商工会議所も、このツールの使用を勧めているようだ

 中小機構は、税理士等の支援機関や金融機関にも、このツールを使った経営助言をお願いしている。 現段階では単一商品か単一の取引先のみのコスト検討しかできないが、この2月には複数商品、複数の取引先別でのコスト比較が可能なツールにバージョンアップされる予定だ。

 税理士が使用するイメージとしては、まず全体のコスト高騰前と現在の決算書入力を行い、顧問先の経営者及び現場責任者から商品別若しくは取引先別で売上高・仕入れ材料費・人件費・水道光熱費等の個別(推定でもよい)数値の聞き取りを行い、ツールを完成させるとよいだろう。価格転嫁交渉の論理的な展開ができるはずだ。

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ゼロゼロ融資の会計検査院の報告(2025/01/08)

 会計検査院は2024年12月18日、「中小企業者等に対する新型コロナ特別貸付等に係る貸付債権等及び新型コロナ関連保証に係る保証債務等の状況について」の検査結果を公表した。

 この検査は前年に続き行われたもので、これらの比較を行うと

  令和5年度末 令和4年度末 対前年増減
貸付実績累計金額 20.6兆円 19.4兆円 1.2兆円増
貸付実績累計件数 127万件 118万件 9万件増
年度末の貸付残高 12.4兆円 14.3兆円 1.9兆円減
貸付残高件数 96.8万件 98.9万件 2.1万件減
貸付債権償却累計金額 1,490億円 697億円 793億円増
貸付債権償却件数 1.4万件 0.7万件 0.7万件増
条件変更中債権金額 1兆654億円 6,654億円 4,000億円増
条件変更中債権件数 8.3万件 5.3万件 3万件増
延滞等金額 2,182億円 1,195億円 987億円増
延滞等件数 2.3万件 1.1万件 1.2万件増
リスク管理債権金額 1兆1,965億円 8,785億円 3,180億円増
(注1)貸付債権償却額は、債務者の破産等により回収の見込みがないものとして処理されたもの
(注2)延滞等は、元利金支払の延滞及び事業者の破綻

 日本政策金融公庫の国民生活事業で扱う小規模事業者向け融資では

  1. 条件変更中の貸付債権残高が前年比で1.6倍に急増
  2. 延滞等の貸付債権額も前年比で1.9倍
  3. リスク管理債権も前年比で1.5倍

 今年は、過剰債務を背負った中小企業や個人事業が、小規模かつ旧来型ビジネスモデル(価格転嫁が困難)から脱しきれず、物価高や人手不足が直接の誘因となって倒産・廃業に向かうケースが急増する年になりそうだ。

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人の介護の次は、住宅の介護(2024/12/18)

 総務省が5年ごとに行っている「令和5年住宅・土地統計調査」が今年の9月25日に公表された。最も関心の高い空き家数は900万2千戸と過去最多で、空き家率も13.8%になった。

 空き家数の内訳を見ると

  1. 賃貸用の空き家:443万6千戸
  2. 売却用の空き家:32万6千戸
  3. 二次的住宅(別荘等):38万4千戸
  4. @〜Bを除いた空き家:385万6千戸
  5. 空き家で問題視されているCが5年前に比して36万9千戸の増加

 空き家状態で相続すると、相続人の固定資産税や都市計画税は従前の税額の6倍になることは理解が進んでいるようだ。これは、居住を目的とした小規模住宅用地(200平米までの部分)に限って、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3に減額する特例措置があるためで、相続して「特定空家」になった途端、空き家の相続人に上記の税負担が生じるようになった。従前の納税額が10万円だった小規模住宅用地を相続し特定空家になると、年60万円の税負担になる。この状態が10年続くと600万円、20年続くと1,200万円の納税をし続けることになる。

 特定空家とは

  1. 人が住んでいない状態が長期間にわたり続いている建物・敷地のうち
  2. 倒壊など著しく保安上の危険があること
  3. 著しく衛生上有害となる恐れのある状態
  4. 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

 2023年12月には改正空家対策措置法が施行され、特定空家だけでなく、将来的に特定空家になる恐れのある空き家も「管理不全空家」として行政指導の対象になり、固定資産税の住宅地特例の解除も可能になった。空き家の相続人は「空き家の管理責任」が明確になり、特に遠方に住む相続人の負担は益々増加する一方だ。

 このような状況下で、「日本空き家サポート」が注目を浴びている。

  1. 各県の不動産業・地元建設業を加盟店として、現在196社(2024年8月、京葉銀行ニュース)で活動
  2. 月額11,000円のコースでは月に1回約1時間かけて、建物外観チェック、室内の換気・通水・防犯管理を実施
  3. WEBで依頼人に毎月の報告

 運営するL&F(千葉市)は、相続を接点として地銀との提携を急いでいる。

 年間10数万円のコストをかけることになるが、固定資産税の大幅な増額や周囲環境の悪化等を考えると、こうしたサービスは、人の介護に続く住宅の介護として必要なものになっていくのだろう。

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