2024/02/28 日経平均株価最高値更新が同族会社に与える影響
2024/02/21 人件費3%、金利2%上昇すると……
2024/02/14 代位弁済と倒産、関西は強い相関あり
2024/02/07 会社引き継ぎ書の作成を
2024/01/31 コロナ融資の返済開始時期の第二波到来
2024/01/24 今や被相続人6人のうち1人は相続税申告対象に
2024/01/17 税理士事務所の廃業が前年度の1.7倍に

日経平均株価最高値更新が同族会社に与える影響(2024/02/28)

 日経平均株価が、2月22日に34年ぶりの最高値を更新し39,000円台で終わった。

 PER(株価が1株当たり純利益の何倍くらいまで買われているかを示す指標)は、昔から15〜20倍程度が妥当とされ、それ以上だと買われ過ぎ(相場が過熱)と言われてきた。

 34年前の株価は60倍以上まで買われた。しかし、現在の株価はEPS(1株当たり純利益)の16倍弱程度だ。最高値を更新し続けている米国は20倍を超えている。

 一方、東証は昨年、PBR(1株あたり純資産)1倍割れが続く上場企業に対し、1倍以上の株価にする方策を検討して報告するよう求めた。

 PBRは言わば会社の解散価値で、1倍割れということは「上場を維持しないで解散して純資産を株主に分配したほうがうよい」ということでもある。

 上場を維持するのであれば対策を考えよとの命が出たことにより、自社株買いを実施し発行済株式数を減らすことで、PBRを改善する企業が多く出た。これも株価高騰の要因になっている。

 こうした流れはしばらく続く。

 中小企業(同族会社)で類似業種比準価額を使って株価を算定する場合に、今回の最高値更新がどんな影響を与えるかを考えてみると

業種(注) 令和5年1月 令和5年12月 伸び率
生産用機械器具製造業 399円 420円 105%
食料品製造業 537円 578円 107%
各種商品卸売業 274円 339円 123%
飲食店 403円 448円 111%
日経平均株価 27,327円 33,464円 122%
(注)
  1. 業種は中分類で掲載
  2. 株価は「課税時期の属する月以前2年間の平均株価」を掲載
  3. 国税庁の「類似業種比準計算上の業種目及び業種目別株価等(令和5年分)参照

 日経平均の最高値更新を受けたことで、株価の変動は勿論あるが、趨勢的には右肩上がりのチャートになって、日経平均が4万〜5万円に向かっても不思議ではないだろう。

 影響を受けるのは、事業承継で同族会社の株式を相続・贈与等により引継ぎを考える人たち。早めの対策が必要となる。

  1. 評価会社の業種目を、更に詳細に検討しておく
  2. 過去2年の平均株価及び前年の平均株価を動きを、常に情報として持っておく
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人件費3%、金利2%上昇すると……(2024/02/21)

 三井住友FGのシンクタンクでもある日本総研は、1月24日に公表したレポート「金利ある世界が迫る中小・零細企業の再編と経営改善」で、零細企業(資本金1,000万円以下)の経常利益は人件費3%、金利2%の上昇で6割減少し、倒産件数は2割増加する計算になる、と警告している。

 人件費の面では

  1. 日銀短観の雇用人員DIで中小企業は▲38となり人手不足感が強くなっている
  2. 2023年の最低賃金は全国加重平均で1,002円で、前年比+4.3%となった
  3. 2030年半ばの最低賃金1,500円という政府目標からすると年平均3%台半ば程度の賃上げが続く
  4. 中小企業の労働分配率が70〜76%と高く、労働分配率の引き上げで賃上げ原資を賄うのは困難
  5. 再編を含めた経営改善によって収益力を高めることが必須

 金利の面では

  1. 新規貸出時の約定平均金利で短期金利は0.4〜0.5%
  2. 同様に長期金利は0.9〜1.1%で、すでに金利上昇が始まっている
  3. 日銀のマイナス金利の解除があれば短期の貸出金利の上昇が始まる
  4. 零細企業ではコロナ禍の助成金等で営業外利益があったが、今後は縮小していく
  5. 零細企業の有利子負債の依存度は61.2%と高く、金利上昇の影響を受けやすい

 昨今急増している保証協会の代位弁済を金融機関別で見ても、信用金庫の融資先の弁済件数が圧倒的に多い。その取引先が大半は零細企業であり、信用金庫も財務的体力が乏しいので、賃上げ・金利上昇→零細企業直撃→代位弁済→倒産の循環になるだろう。

 小手先の経営改善でなく、M&Aや再編で経営規模を拡大して倒産を防ぐ必要がある。

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代位弁済と倒産、関西は強い相関あり(2024/02/14)

 全国信用保証協会連合会が公表した令和5年1月〜12月の代位弁済件数は41,572件で、代位弁済された金額は約4,688億円だった。保証債務残高は、令和2年度の約42兆円から令和5年12月時点で約37兆円で、5兆円減った。

 一方、東京商工リサーチ(TSR)の2023年全国倒産状況によると、倒産件数(負債1,000万以上)が8,690件に達した。これは代位弁済件数の20.9%に相当する。代位弁済を受けた中小企業の5社に1社が倒産している実態を表している。

 信用保証協会は47都道府県及び横浜、川崎、名古屋、岐阜の各市合わせて51ある。中小企業が多い関西圏の代位弁済件数と倒産件数を見ると

  代位弁済件数 倒産件数 割合(%)
全国 41,572 8,690 20.9
大阪 3,463 1,080 31.2
兵庫 1,793 526 29.3
京都 917 314 34.2
奈良 336 103 30.7
和歌山 241 81 33.6
滋賀 506 102 20.2

 京都銀行は任天堂や京セラ、オムロン等を創業時から保有し、多額の株式含み益を抱えることで有名であるが、京都は信用金庫間の競争も激しく、ゼロゼロ融資の審査も甘く、「借り放題・貸し放題」の状態になっている。ゼロゼロ融資の返済が始まると、途端に返済遅延に陥り、保証協会が銀行の債権の肩代わりせざるを得ない(代位弁済)。

 製造業の強い愛知県は、県保証の代位弁済件数1,807件と市保証975件の合計で2,782件に対し、倒産件数は532件で割合は19.1%である。

 今後は更に代位弁済と倒産の相関性が強くなり、同時に地域間の跛行色も目立つだろう。地域の信用保証協会の「保証月報」「マンスリーレポート」等に各月のデータが公開されているので、専門家は注目しておく必要がある。

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会社引き継ぎ書の作成を(2024/02/07)

 後継者不在が理由で「黒字廃業」する中小企業が社会問題化している。一方で黒字廃業をM&Aで対処できないかと、中小企業庁も大きな関心を寄せて様々な施策を打ち出している。

 中小企業のM&Aで買い手企業からすると、「いくらで買えるのか?」という譲渡価格よりも、優先されるのは「買いたいと思わせる魅力が何か?」に尽きる。

 黒字廃業企業の大半が、歴史があり、建設・製造業では「下請け」に属し、独自製品がなく「加工」が主で、価格転嫁が進まない特徴を持っている。ITや横文字の並ぶ今風の中小企業の黒字廃業は少ない。

 後継者不在の理由は多岐に渡るが、「将来展望がないので現社長が息子に継がせたくない」と考える経営者も少なくない。

 黒字廃業を考える経営者は「息子に継がせる自社の魅力は何か?」を真剣に考えてみるべきだ。これが買い手企業へのアピールに繋がる。

 「会社引き継ぎ書」を今からでも用意して

  • 自社の得意先及び得意先の売掛先の属する市場の特徴や、シェア及び優位に立っているポイント
  • 自社保有の(加工設備と稼働させる職人のセットの能力)が、買い手企業の(新規設備投資+社員教育投資)より優れていることのアピール
  • 危険物取扱者・電気工事士・左官技能士・タイル張り技能士等、社員が保有する資格
  • 現社長が、一定期間の引継ぎ後でも「大きな不安や変化」はないことの証明
  • 子息や親族内で、第三者承継に対する理解があることの証明
  • 「工場は会社、敷地は個人」といった所有と経営が分離されていない資産の扱いに関しての説明
  • 過去5期分の財務諸表と、その間の「数値の大きな変化」があった時の変化に関しての説明文

 「自社を購入し子会社にすることで買い手企業には「どんなリターン」があるのか、客観的にプレゼンできる能力を持てば、黒字廃業が唯一の選択ではないことに気づくこともある。

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コロナ融資の返済開始時期の第二波到来(2024/01/31)

 東京商工リサーチの「倒産データ分析」によると、法的倒産件数は、2023年(1-12月)で8,357件となっている。2022年は6,245件だったことから、前年比133.8%となる。

 コロナ融資で2年間は倒産件数が大幅に減ったものの、コロナ融資の返済開始時期が本格化するにつれ、法的倒産も増加し始めた。倒産の前兆となる信用保証協会の「代位弁済」の件数推移も、同様の推移を見せている。

 全国信用保証協会連合会の「信用保証実績」によると

年度 2021年度 2022年度 2023年度
代位弁済件数 20,816件 30,148件 32,110件※
前年比 89.6% 144.8% 155.2%※
※ 4-12月の累計(前年比も2022年度4-12月の累計20,686件に対する比率)

 中小企業庁金融課が昨年6月に公表した資料より「コロナ関連融資の返済開始時期の実績と見通し」(下グラフ)を見ると、民間ゼロゼロ融資の返済のピークが2023年7月と2024年4月に来て、2023年7月の返済開始の件数は49,527件、2024年4月の返済開始の件数が51,423件になっている。

中小企業庁金融課「事務局説明資料」(2023/6/29付け)

 2024年4月の返済開始時期の2回目のピークから、代位弁済→法的倒産・廃業の大波が確実に到来する。再度の借換や追加融資も期待できない。残る道は起死回生の事業転換か、M&Aによる解決しかないのかもしれない。

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今や被相続人6人のうち1人は相続税申告対象に(2024/01/24)

 国税庁から「令和4年分における相続税の申告事績の概要」が公表されている。

 同時に各国税局からも管内事績も公表されており、その概要を見ると

  全国 東京 大阪 名古屋 3都府県計 構成比
死亡者数(万人) 156.9 32.1 25.1 17.8 75.0 47.8%
被相続人数(万人) 15.0 4.8 2.4 2.2 9.4 62.7%
課税割合(%) 9.6 15.0 9.7 12.2 12.8  
国税庁及び各国税局の発表資料(東京大阪名古屋)より作成
  1. 3都府県で死亡者数全体の47.8%を占め、相続税の申告に係る被相続人数は全体の62.7%を占める
  2. 課税割合は平成27年の課税最低限の引き上げ後で約8%となったが、令和4年で9.6%にまで上昇
  3. 東京国税局管内の課税割合は15.0%と、死亡した人100人のうち15人が相続税申告者
  4. 3都府県合計の課税割合は12.8%になり、都市部では「10人に1人以上」が相続税申告がある

 同資料の「相続財産の金額の推移」で、10年間の相続財産別(土地、有価証券、現預金)の増加率(%)を見ると、

  全国 東京 大阪 名古屋
土地 135.7 133.2 128.7 131.2
有価証券 172.7 188.8 128.9 181.6
現金・預貯金等 234.4 222.3 191.1 251.8
国税庁及び各国税局の発表資料(東京大阪名古屋)より作成
  1. 相続財産の内、土地は、全国及び主要都府県も10年間で1.3倍前後の価格になっている
  2. 有価証券は、全国平均では10年間で1.7倍で、東京は1.9倍近くになっている
  3. 現預金は、全国でも10年間で2.3倍、名古屋も2.5倍と、相続財産に占める割合が最も増えた

 令和4年の相続財産の主要な財産の1人当たり価格(万円)で見ると、

  全国 東京 大阪 名古屋
土地 4,685.7 6,090.4 3,832.2 4,642.8
有価証券 2,366.6 2,871.9 3,000.7 2,018.0
現金・預貯金等 5,058.0 5,382.6 5,337.9 4,630.8
国税庁及び各国税局の発表資料(東京大阪名古屋)より作成
  1. 土地は東京がトップなのは当然だが、大阪より名古屋の価格が大きいのは意外な結果
  2. 有価証券は東京・大阪が全国平均の1.2〜1.3倍あり、名古屋は全国平均より少ない
  3. 現預金は名古屋が全国平均の1割減で、不動産保有に使われているのがわかる

 相続税の増税前は課税割合は4%前後、増税後で8%台になったと記憶してきた。しかし今回のデータを見ると、東京で課税割合が15.0%で、6人の死亡者のうち約1人に相続税申告が必要となる。昨年後半から続く日経平均高騰による有価証券が相続財産を増加せしめ、課税率は更に上がっていくであろう。

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税理士事務所の廃業が前年度の1.7倍に(2024/01/17)

 帝国データバンクの「全国企業「休廃業・解散」動向調査」が公表された。それによると、2023年の休廃業・解散の件数は59,105件となり、前年比で10%増であった。地域別では43都道府県で前年比増となり、増加率最高は徳島県だった。

 更に業種詳細増減率を見ると増加率のトップが税理士事務所で、前年の30件から81件の1.7倍に増加した。

 帝国データの原因分析では

  • 従前から税理士の高齢化が課題であった
  • 競争激化による顧問企業の減少
  • 顧問料の低下
  • インボイス制度の導入等の業務負荷に耐えられない

 今年の1月から本格的に電子帳簿保存のルールが運用されることになり、小規模企業及び個人事業主を中心として顧問の税理士事務所に相談や指導業務が集中してくることは避けられない。まして税理士事務所の所長が高齢で、税制改正には十分な対応ができても、ITが絡んだ経理処理のルール変更には追い付けず、「あきらめの廃業」も出現したのかもしれない。

 中小機構が2023年10月に行ったアンケート調査「中小企業のDX推進に関する調査」では、DXに取り組む課題についての質問に関して、従業員規模20人以下の事業所の課題の上位(複数回答)は

  1. 何から始めてよいかわからない(27.7%)
  2. 予算の確保が難しい(26.2%)
  3. 具体的な効果や成果が見えない(19.8%)
  4. ITに関わる人材が足りない(19.1%)
  5. DX推進に関わる人材が足りない(18.4%)

 もともと人的資源の乏しい小規模事業所に、インボイス・電子帳簿保存等の運用を迫られ、同時に高齢化した税理士がIT・DXを学び、顧問先に指導するのを通常業務と同時並行で進められると「税理士事務所の廃業」もやむを得ないところもあるといえよう。

 この傾向はしばらく続くかもしれない。若手の税理士は「ITを武器に」顧問先開拓のチャンス到来とも言える。

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