2024/07/10 海外送金のWISEを使ってみよう
2024/07/03 地銀と保証協会がタッグを組むと……
2024/06/26 入金待ちの請求書で資金調達する
2024/06/19 大手ゼネコンの完成工事の粗利益がマイナスになっていた
2024/06/12 相当厳しい社会保険料徴収の実態
2024/06/05 非上場少数株主の買取請求への対応は……
2024/05/29 貸す側の立場で決算書を見よう

海外送金のWISEを使ってみよう(2024/07/10)
  • 送金取扱量:570億ポンド(2023年前半6ヶ月 約10兆円)
  • 収益:6億5,600万ポンド(2023年前半6ヶ月 約1,200億円)
  • 顧客数(全世界):1,000万人(1年以内に送金を行った顧客の実数)
  • 従業員(全世界):5,000人
  • 株式上場先:ロンドン証券取引所
  • 時価総額:90億ポンド(2023年12月末時点 約1兆6,000億円 ロンドン証取52位)
[出典]FinTech Journal  FINOLABコラム

 上記の数値は、昨年12月に来日した英国のフィンテック企業WISEの経営者のスピーチの原稿を参照している。

 同社は2011年英国で設立し、日本法人はワイズ・ペイメンツ・ジャパン(株)で資金移動業者としての認可を受けている。

 ワイズの海外送金の最大のポイントは

  1. 送金手数料のみ
  2. 為替手数料は0

 例えば、100万円を米国の取引先の口座に送金すると、受取人の受取額は(現時点の為替レート)

  1. ワイズだと6180.95ドル
  2. 三菱UFJ銀行だと6137.95ドル

で、43ドルの差が生じる。これは送金手数料はほぼ同額であるものの、為替手数料が三菱UFJ銀行だと上乗せされるので、この部分で海外送金の受取人の受取額が減少することになる。

 法人でもワイズ口座を利用することで法人の国際取引や海外送金手続きをスムーズに行うことができる。

 法人口座を作成するには

  1. ワイズの公式WEBSITEにアクセスし、法人アカウントを取得する
  2. 審査を終えると法人口座が作成される
  3. 法人口座に必要な口座番号や支店コードなどの情報を取得し、クレジットカードと紐づけもできる

 海外送金はSWIFTコードを用い、送金国銀行→中継国銀行→受取国銀行の流れで行うことが一般的であったが、手数料が高くなることと、送金→受取までの時間がかかるのが難点だった。ワイズはフィンテック技術を駆使して「中継」を抜くことで、海外送金できる仕組みを作って急成長した。

 個人もオンラインで簡単にアカウントを取得でき、少額送金も受取人の受取額を最大化して使用できるようになった。

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地銀と保証協会がタッグを組むと……(2024/07/03)

 帝国データバンクによると5月度の企業倒産件数は1,016件になった。12年ぶりに1,000件の大台を超え、前年同月より322件増加している。増加数はリーマンショック直後の337件に次ぐ2番目の多さだった。

 中小企業向け資金繰り支援について、中小企業庁は2024年6月末で

  1. コロナセーフティネット保証4号
  2. コロナ借換保証

を原則終了させ、経営改善・再生支援に軸足を置いた資金繰り支援に転換する方針を出した。こうした支援の手から漏れる企業数が一定数出ることは、承知の上での決定である。

 ドル円が160円を再度突破し、借入金利も上昇しつつある経営環境で、年後半に向けて企業倒産は増加速度を増し、1万件(1-5月は4,080件)を超えることは確実になるであろう。

 6月27日の日経新聞に「北国銀行、石川県信保協と顧客情報一部共有 審査迅速に」の見出しで、2025年前半をめどに北國銀行の顧客情報管理(CRM)の一部に、石川県保証協会のアクセスを可能にするとの報道があった。

 個人情報も絡むのでアクセス可能な範囲を協議中とのことだが、実現すれば

  1. 協会は、保証付き融資の審査の迅速化が可能になる
  2. 銀行は保証協会へ提出する資料等が少なくなり、業務の効率化が進む
  3. 協会は、銀行の取引先に対する企業支援の姿勢をうかがえる
  4. 銀行の支援が高まれば、代位弁済の可能性が低くなる

 DXで地銀の先端を走る北國銀行は数年前から保証協会との連携を見込んで活動しており、保証協会に関する事務作業が軽減すれば、その分、取引先支援に活動時間を割ける。

 コロナ以降、中小・小規模企業に「金を入れる」政策一辺倒から、「利益を生む」「返済原資を伴走して獲得する」方向へ保証協会も支援の在り方が変わってきた。

 2024年5月度の保証承諾金額は前年同月比で113.7%(全国信用保証協会)の伸びに対して、北國銀行の5月度の前年同月比は306.7%になり、石川県保証協会との連携がスムーズに働いているようだ。

 今後は各地域の保証協会も、この「石川モデル」を参考にした「協会+地銀・信金のタッグ」で中小・小規模企業の経営支援サービスが強化されてくるだろう。

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入金待ちの請求書で資金調達する(2024/06/26)

 OLTAクラウドファクタリングがOEM提携する金融機関が2024年4月で37行になった。地銀27行、信用金庫10庫が、顧客紹介して、OLTAのシステムを使って売掛金の買取を行っている。すでにファクタリングで買い取った債権の累計は1,000億円を超えるという。

 中小企業が緊急に資金を必要とするときに、銀行融資・ビジネスローン等の方法がある。この方法だと借り手側の信用状況が審査されることになり、財務状況が好転しない借り手は融資手段での資金調達は難しくなるし、調達までの時間も必要になる。

 得意先との取引で発生した「入金待ちの請求書」である売掛金は、取引先の信用状況を買取会社(OLTA)が審査するので、売掛債権の売り手側の財務状況が悪くても資金調達手段の一つの有効策になりうる。

 OLTAクラウドファクタリングの特徴は

  1. 利便性の向上:
    OLTAのクラウドファクタリングは、インターネット上で申し込みから現金振込まで完結できる。ファクタリング会社を訪問する手間がなく、忙しい経営者にとって便利だ
  2. 買取額の上限・下限がない:
    少額から高額まで、金額に関係なく申し込みが可能である
  3. 取引先に通知されない:
    OLTAのファクタリングは「2社ファクタリング」であり、相手に請求書の現金化を知られることはない
  4. 手数料が安い:
    OLTAのクラウドファクタリングの手数料(2〜9%)は低く設定されている
  5. 最短で即日振込:
    審査が早いため、提出書類等に不備がなければ最短で即日に現金を受け取ることができる

 2022年度の中小企業白書で「新たなオルタナティブ・ファイナンス(補完金融)」としてOLTAクラウドファクタリングが取り上げられていて、今後、さらに利用が進むのではないか。

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大手ゼネコンの完成工事の粗利益がマイナスになっていた(2024/06/19)

 帝国データバンクの「建設業倒産動向調査」によると、2023年に発生した建設業者の倒産件数は1,671件で、前年比38.8%増となった。大口の倒産を除外した実質の負債額は1件あたり約8,900万円と、小規模建設業者の倒産が急増しているようだ。資材高騰と人手不足で、これまでにない建設コストの上昇と過剰債務が重なったことが、最大の要因である。

 実際に、日本を代表する大手建設会社の清水建設大成建設の2024年3月の単体決算の中身などを見ると

(建築事業のみ、 単位:億円)
  当期完成工事総利益 前期完成工事総利益 増減
清水建設 ▲74 746 ▲820
大成建設 ▲105 358 ▲463

 両社とも完成工事原価>完成工事高で、完成工事総利益は赤字である。

 工事損失引当金の計上も

(単位:億円)
  当期工事損失引当金 前期工事損失引当金 増減
清水建設 1,247 647 600
大成建設 960 474 486

 当期で損失を見積もった引当金も、前期比でほぼ倍増となっている。

 清水建設は森ビルの大型プロジェクト「麻布台ヒルズ」の施工を請け負っている。赤字を補填するために投資有価証券の売却も積極的に行った。

(単位:億円)
  当期有価証券売却益 前期有価証券売却益 増減
清水建設 550 188 362
大成建設 174 23 151

 大成建設は土木の総利益が693億円あり、営業利益の赤字は免れたが、清水建設は上場来初めての営業損失を計上することとなった。

 建設業は下請け・孫下請けの中小企業も多く、よほどの構造改革をしないと、今後も中小・零細の建設業の倒産は更に急増するだろう。同時に建築発注する側も工事期間遅延やコスト増に対応していく必要がある。

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相当厳しい社会保険料徴収の実態(2024/06/12)

 日本年金機構の「令和4年度業務実績報告書」に社会保険料の滞納に関する記述がある。

  1. 厚生年金保険の徴収決定額345,889億円で、前年比6,740億円の増加
  2. 同上の収納未済額は5,071億円で、前年比308億円の減少
  3. 協会管掌健康保険料も対前年比で1,132億円増加しているが、収納未済額は43億円の減少

となった。

 結果、滞納事業所数は令和4年度末で140,811事業所となり、適用事業所に占める滞納事業所の割合は5.2%で前年比で0.5%減少した。この背景には「職権による換価の猶予」の適用を受けた事業所が42,926事業所に上り、前年比で13,671事業所増加した。要は行政指導で1年以内の滞納額の分割払いの計画書を提出させられているのだ。

 申請による換価猶予の事業所3,001事業所を含む法定猶予事業所数は46,150件で、内、新規発生保険料以上の納付をした事業所は42,926件に達し全体の93%を占め、前年比で52%改善している。

 毎月徴収される社会保険料にプラスして過去の滞納した社会保険料の分割払い分も含めての納付を行った事業所が全体の93%に達したというのだから、相当に厳しい取り立てだったに違いない。

 それでも滞納せざるを得なかった事業所に待っているのは「差押処分」で、過去4年間の差押執行事業所は

  令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度
差押執行事業所数 27,784 6,781 3,357 33,142

となり、完全にコロナ前の水準に戻った。

 東京商工リサーチの調査によると、2024年1月-5月「税金(社会保険料含む)滞納」倒産が81件と、前年同期の3倍に急増し、年間ペースでは滞納による倒産が過去最多ペースになると警告している。滞納事業所は早めに徴収機関に相談し、誠意ある分割納付計画を出すべきである。

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非上場少数株主の買取請求への対応は……(2024/06/05)

 非上場の中小企業の株主は

  1. 創業者が100%保有のケース
  2. 配偶者及び子も少数株主として保有しているケース
  3. 持ち株制度の一環で会社の役職員も少数株主として保有するケース
  4. 経営に参画しない兄弟・親戚・取引先も少数株主として保有しているケース

等、様々なパターンがあるだろうが、大半のケースでは51%以上の支配株主がいて経営しているのが実態だ。

 昨今、この非上場少数株式の譲渡を巡って、非上場少数株主売却専門弁護士法人や非上場少数株式の買取会社が活発な動きを見せている。

 一般的に多くの非上場会社の株式には「譲渡制限」が付いており、株式を売却するには

  1. 株式発行会社へ「譲渡承認請求」をし、不可なら
  2. 発行会社への買取請求か、発行会社が指定する第三者への買取請求を行う
  3. 売り手・買い手の株価希望価格が大きく異なれば、裁判所で審理する

現実問題として、会社法や株価算定の見識を持たない少数株主は、専門の弁護士に売却の交渉を依頼せざるを得ない。

 大手の弁護士法人が運営する「少数非上場株式売却専門サイト」の売却事例を見ると

  1. 買い手側の株価算定は配当還元や類似業種比準株価が多く
  2. 売り手側代理人の弁護士は純資産価額をベースに算定するケースが多い
  3. 時には非上場株式を運用する投資ファンドへの売却も検討との示唆も交渉材料とする

 結果、大半の売却事例では当初の発行会社の株価より数倍の株価で決着をつけたケースも多くある。

 業歴の長い中小企業の純資産は、過去の利益の蓄積に加え、土地等の不動産、取引している上場会社の株式等の含み益が多額になっているケースが多い。筆者の知る事例でも、トヨタ自動車の2次下請けメーカーが昔から保有してきた株式数は100万株を超えており、その時価たるや30数億円になっていて、少数株主が配当還元や類似業種比準方式の株価で満足するはずがない。ここに専門弁護士や買取会社が動く背景がある。

 こうしたケースで発行会社が買い取れば多額の資金を必要とし、ファンドや第三者が株主として参加してくれば、今後の経営に少なからずの影響は必至であろう。

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貸す側の立場で決算書を見よう(2024/05/29)

 全国信用保証協会連合会の2023年度の「信用保証実績」が公表された。代位弁済件数は43,830件で、対前年度比で145%だった。このペースで代位弁済が進むと、2024年度は63,700件近くになり、リーマンショックから4年後の平成24年度の代位弁済件数に並ぶことになる。確実に倒産件数が中小・零細企業を主に増加しており、銀行は金利上昇下にあって、融資先に対して「貸出優先」「回収優先」の色分けを益々強めてくるだろう。

 3月決算法人の決算書作成も終了の時期に来ているが、今一度、作成された決算書を銀行員の立場でチェックしてみることが必要ではないだろうか。銀行員なら誰でも知っている「財務分析指標」で粉飾が疑われるような決算書になっていないか、銀行提出前に調べておく必要があろう。

  1. 「経常収支比率」が2期連続で100%未満になっている
  2. 「経常損益比率」は100%を超えている

 こういう財務指標が出たら要注意である。損益面で黒字を出しているが、キャッシュベースでは赤字。ゆえに「粉飾を疑いたくなる」決算書と銀行員は見てしまいがちで、「回収優先」先に振り分けられ易くなってしまう。

  1. 架空の売上を計上すれば損益面は改善されるが、経常収入は架空の売掛金が増加するだけなので増加しない
  2. 仕入除外して売上原価を減らせば損益はプラスに働くが、経常支出は買掛金が減る分増加する

 経常収支比率は「経常収入/経常支出」で求められる。1. の行為は経常収入は増にならないので比率を下げることになり、2. の行為は分母が増えて同様に比率を下げることになる。

損益面では

  1. 売上高が期末に集中している
  2. 粗利益率が期末若しくは翌期首に通常以上の数値になっている

といったような兆候を銀行員が発見すれば、これも粉飾を疑う決算書として更に詳細にチェックされるだろう。

 少なくとも損益計算書では黒字であっても、経常収支比率が100%未満である理由はきちんと説明できるようにしておかねばならない。

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