2026/02/10 賞与の給与化についての顧問先向け説明書
2026/01/14 1人当たり課税価格は変わらないのに課税割合は増える
2025/12/23 知らないうちに譲渡されていた……とならぬよう
2025/12/09 相続土地国庫帰属制度と、大分の大火災事故
2025/11/26 診療所は儲かっているので診療報酬の改定は必要ない?

賞与の給与化についての顧問先向け説明書(2026/02/10)

 昨今、大手企業を中心に「賞与の給与化」に取り組む事例が、メディアを通じて報道されている。

 中小企業の経営者や経理担当者の中にも、「賞与を毎月の給与に取り込むことで社員や企業にどんなメリット・デメリットがあるのか」、関心を持っている方が多いのではないか?

 そこで、生成AIに案内文の作成を依頼してみた。作成された文章は以下のとおり。

顧問先経営陣向け:賞与の給与化に関するご説明(税理士事務所作成)

1.はじめに

 平素より大変お世話になっております。

 本日は、貴社の人件費構造の見直しおよび中長期的な経営基盤の強化を目的として、「賞与の給与化(賞与の一部または全部を月例給与へ組み替える制度)」についてご説明申し上げます。

 近年、大企業を中心に導入が進んでおり、採用競争力の向上・人件費の平準化・(制度設計次第では)社会保険料負担の見直しにつながる可能性があることなど、複数の経営メリットが確認されています。

2.賞与給与化の主な目的

 賞与給与化は単なる給与制度変更ではなく、人件費の戦略的再設計として位置づけられます。

 特に以下の3点が大きな目的となります。

@ 採用力の強化(初任給・月給の見栄え向上)

 求人市場では「月給」が最も重視される指標です。
 賞与を給与に組み替えることで、総年収を維持したまま月給水準を引き上げることが可能となり、若手採用において一定の優位性を確保できます。

A 人件費の平準化とキャッシュフローの安定

 賞与支給月の大きなキャッシュアウトが平準化され、年間を通じた資金繰りが安定します。
 また、業績変動時の賞与調整リスクを軽減でき、中長期的な予算管理が容易になります。

B 社会保険料の最適化(賃金水準により影響が生じやすい)

 給与と賞与では社会保険料の上限が異なるため、賃金水準(標準報酬月額の等級)や賞与水準によっては、賞与給与化により企業・従業員いずれか、または双方の保険料負担が変動するケースが見られます

  1. (※)必ずしも一律に保険料が減少するものではなく、個別の条件に応じた試算が必要となります。

3.年収分布を踏まえた貴社への影響(試算結果の概要)

 貴社の年収帯を以下のように仮定し、一定の前提条件のもとで賞与給与化の影響を試算いたしました。

  1. 年収400〜500万円:30%
  2. 年収500〜800万円:40%
  3. 年収800〜1,200万円:20%
  4. 年収1,200〜1,500万円:10%

 この分布では、高年収層が30%存在するため、賃金水準や賞与額によっては、賞与と月給における社会保険料の上限の影響が生じやすい構成といえます。

(試算例)

  1. 従業員全体の社会保険料:年間約75〜95万円の負担減
  2. 企業負担の社会保険料:年間約110〜230万円の負担減
  1. (※)上記は、加入する社会保険制度、賃金水準、賞与支給方法等を一定とした場合の一例であり、実際の結果は個別条件により増減します。
  2. (※)詳細な数値は別途シミュレーション資料として提出可能です。

4.従業員側のメリット

 賞与給与化は従業員にとっても複数の利点があります。

  1. 月収が増えることで生活設計が安定
  2. ローン審査で有利(金融機関によっては、月給が重視される場合があります)
  3. ボーナス依存の家計リスクが減少
  4. 制度内容や説明次第では、若手層の満足度向上につながる

 特に若年層は「毎月の手取りが安定すること」を高く評価する傾向があり、適切な制度設計と説明を行うことで定着率向上にも寄与します。

5.企業側のメリット(総合)

 賞与給与化の導入により、企業は以下の効果を期待できます。

@ 採用競争力の向上

 月給が上がることで求人票の訴求力が高まり、優秀な人材の確保が容易になります。

A 人件費の平準化

 賞与月の資金負担が軽減され、年間のキャッシュフローが安定します。

B 社会保険料の最適化

 特に高年収層の多い企業では、企業負担の保険料が減少し、実質的な人件費削減につながります

C 経営管理の透明性向上

 月例給与が増えることで、人件費の予算管理がより精緻になります。

6.導入にあたっての留意点

 賞与給与化にはメリットが多い一方、以下の点に配慮が必要です。

  1. 就業規則の改定が必要
  2. 従業員への丁寧な説明(場合によっては個別同意の取得が必要となることもあります)
  3. 賞与原資の扱い(完全給与化か一部残すか)
  4. 評価制度との整合性
  5. 社会保険料が増加する可能性のある従業員層へのフォロー
  6. 賞与の支給回数によっては、社会保険上「賞与」として扱われず、月給(標準報酬月額)の対象となる点への留意

 当事務所として、制度設計から従業員説明資料の作成まで一貫してサポート可能です。

7.まとめ

 賞与給与化は、「採用力の強化」「人件費の平準化」「社会保険料負担の見直しの可能性」という3つの観点から、貴社の中長期的な経営基盤を強化するための有力な検討テーマの一つです。

 特に貴社の年収分布においては、賃金水準や制度設計の内容によっては、企業・従業員いずれか、または双方の社会保険料負担に影響が生じる可能性があり、個別に試算・検討を行う意義は大きいと考えられます。

 このまま使用するには、まだ十分とは言えない。検討を要する部分もあるが、たたき台や論点整理としては有用で、一歩踏み出すための助っ人として、生成AIは着実に進化してきている。

 もっとも、実務で利用する際には、生成AIの回答内容を十分に確認・精査したうえで判断する必要がある。高い専門性が求められることには変わりなく、その責任が利用者自身にあるという点も忘れてはならない。

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1人当たり課税価格は変わらないのに課税割合は増える(2026/01/14)

 令和7年12月に、国税庁及び各国税局から「令和6年分 相続税の申告事績の概要」が公表された。

 特徴的なことは、

  1. 申告書の提出に係る被相続人の数は、166,730人(前年比107.1%)
  2. 課税価格の総額は、23兆3,846億円(同108.1%)
  3. 申告税額の総額は、3兆2,446億円(同108.0%)

 いずれも基礎控除額引き下げがあった平成27年分以降で最高になった。

 全国及び東京国税局の申告事績から、主な特徴点を比較すると、

(※)カッコ内は対前年比

  全国 東京
課税割合(%) 10.4(+0.5ポイント) 16.2(+0.8ポイント)
課税価格(億円) 233,846(108.1% 86,522(108.1%
税額(億円) 32,446(108.0%) 14,250(105.8%)
被相続人1人当たり課税価格(万円) 14,025(101.0% 16,209(100.0%
被相続人1人当たり税額(万円) 1,946(100.8%) 2,670(97.9%)

[出典]国税庁公表資料東京国税局公表資料より作成

 全国も東京も、課税価格の対前年伸び率は1割近い上昇をしているものの、被相続人1人当たり課税価格は、対前年では伸びてはいない。しかし課税割合は全国で10.4%、東京管内で16.2%と急増している。

 推論ではあるが、

  1. 不動産価格(特に都市部マンション)が上昇
  2. 金融資産が微増(株価上昇)
  3. 高齢者の資産保有が増加

などにより、「基礎控除ギリギリの層」が課税側に流れ込んでいる。つまり、

  1. 1億円以上の富裕層 → もともと課税
  2. 3,000万〜7,000万円層 → ここが増えて課税対象に入る

 こうした傾向はしばらく続くだろう。

[参考]国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要

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知らないうちに譲渡されていた……とならぬよう(2025/12/23)

 中小機構の運営する事業承継・引継ぎ支援センター実績が、2025年5月20日に公開された。それによると「第三者承継の成約件数が過去最高を更新」とあった。

  1. 令和6年度の事業承継に係る相談者数が23,000者を超えた
  2. センター開設以来の累計数は15万者超となった
  3. 令和6年度の第三者承継の相談者数は16,045者、累計で119,294者に達する
  4. 令和6年度の第三者承継の成約件数は2,132件と、過去最高を記録した
  5. 第三者承継の成約件数は累計で12,306件で、対相談者数比で約10.3%となった

 成約譲渡企業の業種は、サービス業、製造業、卸・小売業、宿泊・飲食サービス業、建設業が主で、売上規模1億円以下が約68%を占めている。

 日本政策金融公庫が5月に公表した「事業承継マッチング支援」の実績に関するレポートによると、

  1. 令和6年度の引き合わせ数が709件(前年比106.5%)
  2. 成約数が163件(前年比158.3%)
  3. 過去6年間の引き合わせ数の累計は2,058件
  4. 同期間内の成約数は331件(約16%の成約率)
  5. 譲渡側は年商で5千万円以下が7割、譲渡価格は500万円以下が5割
  6. 赤字企業の成約も約3割ある
  7. 令和6年にオープンネームで後継者の公募に対し48社の事業者が参加した

 このように、金融公庫も中小規模の事業承継の取り組みを活性化してきている。

 宮崎県に拠点を置くライトライトが運営する「オープンネーム事業承継relay(リレイ)」は、事業承継のマッチングをオープンネームで行い、後継者を募る方法で成約率を伸ばしている。このrelayが公表したニュースリリースによれば、

  1. 2020年のサービス開始以来、約800件の後継者募集案件に対し約160件の成約があった
  2. relayには無料会員とプレミアム会員があり、無料会員でも社名や一定の企業情報は閲覧できる
  3. 現在110の自治体・商工団体・支援センターとの連携が進んでいる
  4. 経産省の「中小企業支援事業補助金」に採択されている
  5. 内閣府の「関係人口創出・拡大のための対流促進事業」にも採択されている

 今後は特に、創業者の高齢化や親族承継の不発等で、ますます「第三者承継」による事業承継活動が活発化する。小規模企業の税理士は「知らぬうちに譲渡されていた」とならないよう、関与先企業の承継問題に注視する姿勢が重要になるだろう。

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相続土地国庫帰属制度と、大分の大火災事故(2025/12/09)

 法務省の統計によると、令和7年10月末時点の相続土地国庫帰属制度の申請件数は4,556件。そのうち帰属が認められたのは2,145件で、帰属の承認割合は約47%となる。

 同制度の概要をまとめると

  1. 令和5年4月開始。相続人にとって不要な土地、維持管理が困難な土地が対象
  2. 必要となる費用は、原則「1筆あたり14,000円の審査手数料」と「1筆あたり20万円の負担金
  3. 申請件数のうち、却下は74件、不承認は74件で、全体の数%に過ぎない
  4. 建物がある土地、担保権が設定されている土地、他人の利用が予定されている土地、汚染土地、境界が明らかでない土地等は、却下の対象になる

 次に、帰属承認後の登記簿上の扱いについては

  1. 通常と同様の所有権移転登記が行われ
  2. 所有者欄には「国(財務大臣)」と記載される
  3. 地目・地積は従来の登記内容が引き継がれる
  4. 登記簿上に「国庫帰属土地」といった特別な符号や注記はない
  5. 将来的に処分(売却・貸付)が行われる場合には、国有財産の広告や入札情報として公開される

 宅地に注目すると、申請件数は1,588件、これに対し帰属が承認された件数は784件で、約半数に上る。

 先の大分県の火災事故では、焼損した約170棟のうち、空き家が約70棟と見られることが発覚した。空き家がすべて相続土地とは限らないが、建物を取り壊して(可能なら自治体の補助金等)で更地にし、国庫帰属制度を使っていれば、この大火災事故の影響は軽減できたかもしれない。自治体の復旧コストも、大幅に削減できたであろう。

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診療所は儲かっているので診療報酬の改定は必要ない?(2025/11/26)

 来年度の診療報酬改定の議論が「財政制度等審議会」で始まっている。

 11月11日に公開された財政制度分科会の配布資料で、医療法人の病院・無床診療所の収益・費用構造が詳細に述べられている。
 令和5年に定められた「全ての医療法人の経営情報を決算後3ヶ月以内に提出」義務化により、地域の大病院医療法人や一人医師医療法人の収益・費用構造が明らかになった。

 日経新聞の11月5日付の記事の見出しに、「経常利益率、診療所6.4%・病院0.1%」とあった。病院経営が明らかに苦しく、診療所の経営は儲かっている、との印象を与えるような書き出しで、今回の診療報酬の改定は「病院の増額改定を行うべき」との方向性を打ち出しているようだ。

 同審議会配布資料を詳細に見ると

  病院 診療所(医療法人)
平均の年間収益総額 約36億円 約1.9億円
平均の年間経費総額 約36億円 約1.7億円
給与費総額 約19億円(52.6%) 約9,400万円(48.3%)
内 院長給与費 約2,600万円 約2,700万円
給与費以外の経費 約17億円 約8,200万円

[出典]財務省HP「財政制度分科会(令和7年11月11日開催)資料」より作成

 特に診療所では平均収益の13.7%を院長報酬が占め、かつ利益が約2,000万円生じる実態となっている。そのため今回の改定に関しては、特に診療所への増額は期待できないことになるかもしれない。

 この配布資料には「医師給与の国際比較」のデータも添付されており、以下のように報告されている。

  1. 医師の給与水準は国内(全産業)平均の4.5倍、勤務医は2.5倍
  2. OECD諸国の医師給与は国内(全産業)平均の2.9倍、勤務医は2.1倍
  3. 日本の医師給与水準は国際的にみても高く、特に診療所の院長の給与水準については、OECDの開業医との比較においても大きく乖離している

 病院は現在の物価高や人件費高騰の影響を受けて経営にダメージを受けている。しかし診療所は院長の高い給与水準でも利益を獲得し、経営実態は良好。「診療報酬」の増額改定は必要なし。

 配布資料はそう訴えているようだ。

[参考]
財務省「財政制度分科会(令和7年11月11日開催)資料一覧

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