
- 2026/04/21 原油高騰による追加融資は可能か?
- 2026/04/07 小規模な事務所に打ってつけのツールが登場
- 2026/03/24 顧問先の「価格交渉」を手助けする、税理士の役割
- 2026/03/10 銀行コンサルが税理士交代に至る理由とは?
- 2026/02/25 預貸率が4割もない金融機関をメインバンクにしていると
原油高騰がいつまで続くか、誰にも分からない。このような経営環境下において、コロナ融資の返済残高がある中小企業は、新規の資金調達をどうすればよいのか?
- コロナ融資は「危機対応」枠で、今回の原油高騰対応による制度融資は「経営環境変化対応」枠
- 枠が異なるため、原則、コロナ融資残高があっても申請は可能とされている
- 信用保証協会も特にセーフティネット保証4号は、発動期間中は「100%保証」なので、金融機関も積極的に扱いやすい
- 資金繰り悪化要因が原油・物価高騰によるものと数値で説明できれば金融機関も追加融資は可能
- 原油高騰の影響で「原価率の上昇」「燃料費の増加」「利益率の悪化」を明確に示すことが必要
- 資金使途は原則として運転資金に限られ、既存債務の単純返済目的は認められない
コロナ融資の返済が残っていても、「追加融資」の審査を通りやすくするために、金融機関の担当者への提出資料として、今後以下が必要となってくるだろう。
- 今後12ヶ月の資金繰り表の作成
- 原油高騰の影響を示す「原価率・燃料費」等の推移を示す資料の作成
- 返済原資の説明が可能な事業計画書の作成
国も2026年3月27日付で、官民の金融機関向けに「中東情勢を踏まえた金融上の対応について」として指示を出した。その中で、「既往債務の条件変更や借り換え等については、引き続き申し込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応を継続すること」とフォローしている。
早めの情報整理と準備が、資金調達の可否を分けるポイントとなりそうだ。
[参考]金融庁「中東情勢を踏まえた金融上の対応について」(2026年3月27日)
株式会社Bloom Act(ブルームアクト)の運営するオンライン商談システム「ROOMS(ルームス)」は、人手不足に悩む会計事務所や小規模な税理士事務所には、現状を打破する可能性を大いに秘めたツールになるかもしれない。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、日本郵便、野村證券など、日本を代表する金融機関を始め、大手地銀等も続々と「ROOMS」を導入している。
税理士事務所が顧問先や新規開拓先に「ROOMS」を使う場合、次のようなイメージができる。
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他にも多くの機能があり、実際の月次訪問と同様の効果をあげる可能性を秘めている。
利用料は1ルームあたり月額35,000円、ルームに参加するメンバー1人あたり月額3,000円で、ユーザーである会計事務所の費用負担になる。顧問先側の負担はない。
例えば顧問先の社長と会計事務所の担当者及び所長(若しくは管理者)の3人で、月次試算表の説明、社長とのやり取りと、次月までのお願い事項などの伝達をオンラインで行うとする。会計事務所側の費用は、35,000円+3,000円×2=41,000円で済む。接続時間帯を変えて他の顧問先を同じルームでオンライン面談すれば費用は増えない、担当者が変われば、3,000円の追加が必要となる。
顧問先社長のデバイスは、PC・タブレット・スマホ等、なんでもよい。ルームに接続する方法は4通りある。面談後のログは残るので、所長や管理者は不在であっても、後にログをチェックすることで担当者の説明力や間違い等を管理できる。
忙しい経営者の時間を奪うことなく、記録が残る。職員の品質管理や説明力向上ができるサービスになるであろう。
今年の1月から施行された「取適法(中小受託取引適正化法)」は、従来の下請法+フリーランス新法を包括的に拡張した上位法で、中小企業全体の取引環境を改善するための新しい取り組みとして期待される。
具体的には、
- 委託側(発注側)が価格交渉に応じない、無視する、といったことが禁止される
- 受託側(下請側、仕事を受ける側)にとって、原材料費、労務費の上昇を理由にした値上げ要求が、制度的に認められやすくなる
- 委託側による受領拒否、支払い遅延、減額、返品、買いたたきなどの禁止行為が、従来に増して強化された
- 法律に違反したときの指導・勧告・公表リスクが増大し、委託側にとってはより慎重になってくる
同時に、
- 契約書・発注書・協議記録などの保存が、従来以上に重要になってくる
- メール・議事録などにより、価格交渉の証跡を残す
などの義務を果たすことがますます重要となり、その分、管理コストも増加する。
中小企業の取引適正化についての法整備は進んできたものの、現実には、受託側となる中小企業やフリーランスにとっては、法律よりも「取引継続」を優先せざるを得ない事情があることも確かである。
- 「契約書をください」と言ったら嫌がられるのでは?
- 「支払サイトを守ってください」と言ったら次の発注が来なくなるのでは?
- 「無償修正はできません」と言ったら他社に変えられるのでは?
等の心配はぬぐい切れない。
しかし2026年施行の取適法は、
- 行政が取引慣行を監視
- 匿名相談・通報の仕組み
- 業界ごとのガイドラインの整備
- 発注側への行政指導・公表制度を強化
- 中小企業庁による実態調査の強化
によって、受託側が委託側に言いにくい風土を、少なからず弱める作用を準備している。
さらに今回の法律は、行政が委託側に「調査」→「指導」→「公表」を行う仕組みを強化している。「言ったら切られる」から、「言わないと委託側が行政指導される」という時代に変わるかもしれない。
中小企業の相談を間近に受ける税理士は、今回の「取適法」を丁寧に顧問先経営者に説明すべきだろう。
名古屋に本店を置く「あいち銀行」は、昨年1月に愛知銀行と中京銀行が合併して誕生した地銀である。
あいち銀行の親会社である「あいちフィナンシャルグループ」は、銀行コンサルを行う「栄町リサーチ&コンサルティング」を昨年10月に発足させた。社員数39名でスタートし、今後の5年間で人員を100名程度まで増員する予定だ。
コンサルティングの主なテーマは、事業承継(M&A含む)及び中小企業向けDX導入、経営改善等、多岐にわたり、税理士の提供する範囲にも被さってきている。
全国的にも横浜銀行、静岡銀行、千葉銀行等のコンサル子会社、コンサルを内製化する北國銀行や大手信用金庫にも、中小企業向けのコンサル部隊が充実している。
従来は、「融資の銀行」と「税務の税理士」で中小企業向けの営業活動は棲み分けができていたが、銀行のコンサル活動の拡大によって、相互の境界線が曖昧になってきた。
銀行がコンサル活動を始めると、
- 試算表が遅くて改善計画が作れない
- 月次の精度が低く、銀行が数字を信用できない
- 経営者が数字を理解しておらず、改善会議が進まない
- 税理士が資金繰り表を作成できない
- クラウド会計に非対応で、データ共有が遅い
といった銀行の不満が中小企業の経営者に伝わり、その結果、税理士変更が起きやすくなってきている。
大手の税理士事務所なら、コンサル専属部門を持って、会計・税務申告の本業とは切り離して活動時間を確保したり、コンサルタントの教育を充実させたりするところもある。しかし平均的な事務所では、人員的に本業もコンサルも兼務して行わなければならず、コンサル専担になりにくいのが実情であろう。
銀行担当者も従来は、融資を獲得するための「無料の簡易なコンサル」を提供しているに過ぎず、時間を割いて経営改善指導を行うまでには至らなかった。
ところが、こうして「あいち銀行」のように100名規模のコンサル会社を目指し、他のライバル銀行の優良得意先に食い込むような展開に持っていく銀行が生まれてきた。
「先代からの付き合いの税理士」にとっても、銀行コンサルによって顧問先との綻びが見え、税理士の変更(交代)が進んでいる、ということが、十分にあり得る状況ではないだろうか。
3年前は、10年物新規発行国債の利率が0.3%前後だった。現在の市場金利は2.2%前後。今この債権を売却すると、額面の85%程度になり、大きな売却損が生じる。国債の市場金利は、貸出金金利や住宅ローン金利に影響を与えるため、今後の金利動向に注意を払う必要がある。
中小企業経営者は、融資を受ける金融機関がどのような財政状態なのか、知っておく必要がある。顧問する会計事務所担当者も、積極的に金融機関の財務情報を集めて分析し、その後の資金調達や与信姿勢について助言できるよう、研究しておくべきだろう。
2025年3月期決算で、100億円を超える国債売却損を計上した信用金庫がある。函館市や北斗市など、道南エリアで展開する「道南うみ街信用金庫」だ。貸出金が約1,178億円(前期比約48億円減)、預貸率38.56%、自己資本比率7.77%の信用金庫である。
[参考]道南うみ街信用金庫「ディスクロージャー2025(2024年4月1日〜2025年3月31日)」
預貸率が4割に満たない金融機関は、
- 積極的に貸出を増やしたいが、自己資本比率を悪化させたくないので、リスクある貸し出しは避けたい
- 預貸率が4割程度ということは、預金100に対して貸出金が40ということ
- つまり、今後、金利上昇で貸出金利が上がっても、預金金利も同時に上がる(周囲金融機関との競争上)
- そのため、「金利上昇に伴う貸出金利収益 < 預金金利上昇に伴う支払コスト」になりかねない
- 預金と貸出金の差額は、有価証券運用にならざるを得ない
結局、この信用金庫をメインバンクとしている中小企業は、融資先の分散を図る目的でサブバンクを設けるしかない。若しくは、金融機関と心中するつもりで、とことん付き合っていくと覚悟を決めることである。
信用金庫は全国に240以上存在するが、いずれも上場しておらず、財務諸表は公開されていない。しかし、大半の信用金庫のホームページでは、半期ごとのディスクロージャー誌が添付されている。貸出金を増やして攻めの営業をしているのか、過去の有価証券運用の後始末で自己資本を増加させることに注力し、内向きの営業をしているのか、企業経営者も金融機関の分析を行うべきである。























