2021/01/20 融資交渉に強い会計事務所
2021/01/13 この補助金申請はビッグチャンス
2021/01/06 2021年の会計事務所の重要な解決課題の一つ
2020/12/23 会計事務所が銀行に負ける日
2020/12/16 特例贈与財産の助言
2020/12/09 顧問先の取引先の取引先が上場企業なら
2020/12/02 freeeが上場して1年を迎える

融資交渉に強い会計事務所(2021/01/20)

 2度目の緊急事態宣言が発出された。従来の外食・宿泊・施設サービス業のみならず、こういった業種への納入業者等にも協力金の要請がなされる状況にまでなってきた。

 全国信用保証協会連合会の「信用保証実績の推移」を見ると、コロナ関連の緊急融資が始まった2020年3月からの保証承諾件数は6月の約32万件をピークに、2020年3〜2020年11月の9ケ月累計で約156万件に達した。保証金額ベースでは、6月の5.8兆円をピークに累計で28.2兆円であった。これは、リーマン時の景気対応緊急保証制度の保証承諾件数150万件、保証承諾金額27兆円を超えている。しかも緊急保証制度の時は2008年10〜2011年3月の27ケ月の累計である。

 コロナ緊急融資で2020年の中小企業倒産件数は大幅に減少し、保証協会の代位弁済件数も、通常年では月平均で3,000件前後であるが、2020年9月以降は2,000件を大きく割っている。

 リーマン時の代位弁済件数を見ると、2010年の77,000件から始まり、2012年までの3年間での累計が約21万件で、保証承諾件数の約15%近くにもなる。金額ベースでも2.3兆円で約10%に及んでいる。

 保証協会融資を行う金融機関の特徴は、規模の大きな地銀は有力な取引先を持ち、プロパー融資で対応する実力を持っているが、体力の乏しい地銀・第二地銀では、不良債権比率の高い銀行ほど保証協会融資の扱いが大きい。特に今回は、銀行にはリスク0の100%保証の融資の比率が大きいので、返済が開始されて資金繰りがつかなくなった中小企業が、100%保証の融資を80%保証の融資に借り換えることは出来ない。この場合、同一条件の借換交渉を銀行を通してお願いすることになるが、2度目となると保証協会も審査の目は厳しくなることは容易に察することが出来る。

 追加融資でのニューマネーの獲得、借換交渉での月額返済額の減少、既存借入金を他銀行での融資と纏めることでの資金調達……、今後、しばらくの間、資金繰りの綱渡りが続く顧問先も少なくはないだろう。融資交渉に強い会計事務所を頼る中小企業は多い。

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この補助金申請はビッグチャンス(2021/01/13)

 先月18日に公表された経産省の「中小企業等事業再構築促進事業」の原案には、大きな関心を寄せておく必要がある。今国会で承認後のスケジュール感、対象、採択予想事例等々述べてみると

1 スケジュール感

補助金は、申請→審査→採択→実行→補助金入金 が一般的で、今回も1月の国会承認後2〜3月が募集時期、5〜6月で審査・採択通知となろう

2 補助金規模

  • 予算枠1兆円で通常枠の補助額(再構築資金の2/3限度)が1件当たり100万円〜6,000万円
  • 卒業枠が新設されて補助額が6,000万円〜1億円
    卒業枠とは組織再編、新規設備投資、グローバル展開等で事業再構築をする場合を言う

3 対象中小企業等とあり、個人事業主も含まれると推定される

4 採択予想事例経産省のパンフより)

  1. 対面販売業で店舗面積を減らしネット販売やサブスク事業に業態転換
  2. 航空機部品の製造からロボット関連部品や医療器械部品の製造を新規立ち上げ
  3. レストラン事業で既存店舗を廃止、オンライン専用の注文サービスに転換

5 まとめ

  1. コロナで売上高が10%以上減少していて
  2. 事業再構築計画を税理士等の認定支援機関と一緒に策定
  3. 事業終了後の成果物として付加価値額が年率平均で3%以上増加 が求められる

 今回の事業再構築補助金の狙いは、コロナによって売上高が減少した中小企業等が、既存事業を見直し(捨てる、集約する)することで付加価値額UPさせることである。

 売上至上主義から脱却し付加価値(粗利益)を増やすための設備投資、マーケティングコスト、必要人員の確保等を計画に謳い申請すれば採択の可能性は高い。

 仮に補助額の平均が200万円だと総額予算が1兆円だから採択数は50万件にもなる。小規模企業や個人事業主にとって、金銭のみならず今後の事業構築をどう考えるかのきっかけともなる。

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会計事務所が銀行に負ける日 (2020/12/23)

 金融庁の金融審議会の「銀行制度等ワーキング・グループ報告(案)」が今月16日に公表された。銀行本来の収益の好転が見通せない中、首相の唱える合併・統合等で銀行の数を減らすことで規模の拡大によるコスト削減を図るか、銀行に「他業ビジネス」の規制緩和で収益力向上に繋げるか、銀行ビジネスの転換点として様々な議論が起こっている。

 今回のWGの報告の中で興味深いのは、銀行及び銀行グループの子会社等が行う「他業」に課せられていた「収入依存度規制」を緩和しようと提言していることである。
 他業の一つであるバックオフィス業務を例にとると、収入依存度規制とは、銀行子会社等が親銀行やグループ会社のバックオフィス業務を受注することで得られた収入が全体収入の50%以上ないと、グループ外のバックオフィス業務を受注できないといった規制である。

 銀行の取引先がIT活用で経理や労務事務の生産性を高めたいといった要望があっても、銀行ビジネスから見ればこうした支援業務は他業ビジネスに該当し、規制緩和がないと積極的な営業ができなかったことも事実のようだ。
 異業種が銀行業務に参入する例は過去も今後も多く生じるだろうが、銀行が「脱銀行」として他業ビジネスに進出するのは、こうした規制緩和によってであろう。

 地域金融機関と会計事務所は、中小企業及び個人事業主をそれぞれの領域で囲い込みをしている。金融機関は「融資」を武器に取引先とし、会計事務所は「税務申告」を武器に顧客にしている。最近では「経営改善」「資金調達計画」「相続提案」「事業承継」……といった分野では、競合したり、場合によっては連携したり、顧客の相互紹介であったりして共存してきた。

 2021年秋には規制緩和が実施され、銀行の他業ビジネスが積極化してくるだろう。会計事務所としては、IT導入支援の名のもとに経理システムや給与計算等の業務改善が銀行主導になってくる前提で、顧問先の取りこぼしにならないよう、今から対策が必要になってくるのではないか。
 銀行の最大の武器は「融資」であり、顧問先のメインバンクが、顧問先のバックオフィス関連業務の強力なコンサルタントとして君臨しているかもしれない。

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特例贈与財産の助言(2020/12/16)

 コロナ禍で米国ダウが3万ドル超え、日経平均株価も26,600円前後の高値で推移している。金融緩和による金余りの減少やコロナワクチン開発期待等が、株高の理由に挙げられている。

 日経平均株価は、採用銘柄225社の平均株価で算出される。あくまで単純平均株価なので、採用銘柄中「値がさ株」が上昇すると、日経平均株価の上昇に強く連動してくる。

 よく新聞紙上で「ユニクロを展開するファーストリテイリング一社で日経平均が〇〇円上昇した」といった報道を見かけるが、株価の動きが与える日経平均への影響は、近年にはない強いものになっている

 TOPIXは東証一部全銘柄の時価総額の加重平均値で算定されているので、時価総額の大きいトヨタ自動車やソニーのような株式が上昇すると、TOPIXも大きく跳ね上がる構造になっている。

 ともあれ年末に向けて株価が上がってくると、保有株式の贈与を考える投資家も出てくるであろう。日本を代表する値がさ株を12月11日に贈与すると仮定して、贈与税評価額を見ると(最終価格の平均額は日本取引所グループの月間相場表参照、12月平均価格はまだ無いので無視、単位は円)

銘柄 12/11終値 11月平均価格 10月平均価格
ファーストリテイリング 84,030 80,975 70,730
ソフトバンクグループ 7,913 6,807 6,991
東京エレクトロン 36,350 31,566 28,531

 贈与実施日の株価と最も低い最終価格の株価の比は、ファーストリテイリングで118%、ソフトバンクグループで116%、東京エレクトロンで127%にもなる。

 仮にファーストリテイリング株式を100株贈与すれば、840万円相当の現金贈与より贈与税で、一般税率で約50万円、特例税率で約40万円節税になる

 祖父母から孫へ「特例贈与財産」の規定を使って、「月間相場表」と「現在時価」との乖離のある銘柄がないか、助言してあげることも必要だろう

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顧問先の取引先の取引先が上場企業なら(2020/12/09)

 コロナの衰えの兆しが全く見えない中で、上場企業の存続も業種によっては厳しいと言わざるを得ない決算発表がある。ワシントンホテルや東京椿山荘を運営する藤田観光(12月決算)、外食・宅食事業を運営するワタミ(3月決算)、ビジネススーツ販売の青山商事(3月決算)を例にとって、決算短信から現状を見てみる。

(単位:億円)
  四半期 営業利益 純資産 短期借入増減 長期借入増減 純資産増減
藤田観光 第3 ▲167 61 +60 +160 ▲202
ワタミ 第2 ▲55 72 +30 +100 ▲72
青山商事 第2 ▲138 1838 0 0 ▲160

 青山商事は借入金の増減はなく、有価証券売却及び手元預金の一部取り崩しで赤字補填している。ビジネススーツの将来に明るさがないものの、純資産の厚みで事業ポートフォリオの組みなおしに余裕がある。

 ワタミの2021/3月本決算予測が開示されていて、営業利益で▲142億円、当期純利益で▲290億円としているが、このままでは確実に債務超過に陥ることになる。

 藤田観光は、コロナ前の決算期も赤字であった。希望退職者700名を募り、経営再建途上にあるが、go to トラベルも継続延長の方針は出たものの、年末年始は依然として厳しいものになるだろう。このままだと2020/12本決算での債務超過は確実なのではないか。基幹資産の東京椿山荘がどのように金融機関から評価されているのかに関心が集まる。

 顧問先が個人を対象に商売する事業でない限り、顧問先である中小企業の取引先若しくは取引先の取引先、更には取引先の取引先の取引先まで追っかけていくと、上場企業やそのグループ会社にあたる。その際には、決算短信や決算説明会の資料等で、各事業単位の経営成績や財政状態がわかる。該当しそうな上場会社があれば、チェックして顧問先に説明しておくことも、重要なサービスになるのではないか。

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freeeが上場して1年を迎える(2020/12/02)

 クラウド会計ソフトのfreeeが昨年の12月に上場してから1年を迎える。上場時の株価の初値は2,500円で、公募価格の25%高で寄り付いた。その後1年、先日の株価は1万円を超え、時価総額は4,300億円に達している。

 ところが、過去3期の決算を見ると

  売上高(単位:億円) 営業利益(単位:億円)
2020年6月期 68.9 ▲26.8
2019年6月期 45.1 ▲28.3
2018年6月期 24.1 ▲34.0

 創業以来赤字決算続きである。マザーズ市場以外なら、上場廃止基準に触れることにもなる。2021/6月期の業績予想では売上高96.5億円で前期比40%増としているが、営業利益は▲22.1億円だ

 今年の決算説明会の資料の冒頭に

  1. 2020年6月時点の継続課金ユーザーの月額売上高×12ケ月=78.9億円
  2. サブスクリプション売上高比率 90%(ユーザーの解約0とした時の全売上に占める継続課金売上の割合)
  3. 有料課金ユーザー企業数 22.4万者(個人事業主含む)
  4. 有料課金ユーザーの平均課金年額 35,200円

 このビジネスモデルはまさに税理士事務所そのものだ。顧問料単価35,000円で22万者の顧問先数を持ち、解約がなければ79億円の売上のある税理士事務所の誕生と同じである。ただ税理士事務所で現状の仕事の仕方であれば、職員1人で担当可能な顧問先数を30件とすれば、この売上高を実現するには約7,000人強の職員を必要とする。freeeの社員数は決算期時点で500人ほどだ。

 freeeの新規顧客の開拓は、広告宣伝による直接営業や一部金融機関等からの紹介によるものもあると思われるが、何といっても会計ソフトの選定は税理士事務所の影響が強い。TKC、弥生、MJS等、従来から税理士事務所の支持を取り付けているメーカーを相手に、新興のfreeeがシェアを伸ばすには、営業力の強化とソフト開発力が当分の間必要になる。営業力強化で人員を増やせばコスト高になるし、ソフト開発も減価償却負担の増加で同様にコスト高になる。

 定額課金モデルで確実に売上予測を立てれるのは良いが、来期の4割upの売上計画でも今期と変わらないだけの赤字予想では、継続企業の疑義がついてもおかしくないかもしれない。開発も営業人員も削減して、現状の課金ユーザー数で経営を成立させることは可能であろう。ただ、現経営陣は微塵にも思ってもいないだろう。

 株式市場の世界では、時価総額4,000億円に見合う課金ユーザー数と月額単価の計画を見たいはずである。


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