2020/02/19 新型コロナウィルスへの緊急融資、緊急措置
2020/02/12 財務の専門家としてサーチャー支援を
2020/02/05 動き始めたマイナポータル
2020/01/29 税理士もリーガルテックを活用して差別化する
2020/01/22 顧問報酬の一部が地銀のコンサル報酬に取って代わる
2020/01/15 上場で事業承継に繋げる
2020/01/08 令和2年の会計事務所における重要な仕事の一つは……

新型コロナウィルスへの緊急融資、緊急措置(2020/02/19)

 新型コロナウィルス感染症の拡がりによる中小企業経営への影響が深刻になってきている。

 直接的には、中国関連の売上依存の高い業種で、一時的に売上高の急減があった中小企業・零細企業に、厚労省から2つの緊急的措置が公表された。顧問先企業に周知して、対策を取ってもらうよう呼び掛けることが会計事務所の忙しい時期ではあるが重要な責務だ。

(1)雇用調整助成金の特例の実施(主たる要件)

  • 中国関連の売上高が10%以上ある中小企業が対象
  • 休業等計画届が事後提出(令和2年3月末)でも構わない
  • 最近1ヶ月の売上高が前年同期比10%以上減少している

(2)衛生環境激変対策特別貸付制度の実施

  • 対象となる業種は飲食店・喫茶店・旅館
  • 運転資金として飲食店・喫茶店は1,000万円、旅館は3,000万円まで融資
  • 貸付期間7年、据置2年
  • 利率(日本政策金融公庫の基準金利、1.11%)
  • 令和2年2月21日から実施

 一方、各自治体でも大幅に経営環境が悪化し、災害対策的な意味も含め「緊急融資」の概要が相次いで発表されている。条件等概要の項目のみ拾うと

都道府県名 現在の売り上げ状況 融資限度
大阪 有料課金ユーザー数 8,000万円
静岡 同上かつ今後3ヶ月売上予想も10%減 5,000万円
愛知 直近1ヶ月が前年同期比3%以上減 8,000万円
奈良 直近1ヶ月が前年同期比5%以上減 5,000万円
兵庫 最近3ヶ月売上が前年同期比5%以上減 10,000万円
京都 直近1ヶ月売上が前年同期比10%以上減 8,000万円

 このように趣旨は同様でも対象となる条件が自治体により多少異なる。顧問先の属する自治体の広報で確認して早急に対処することが肝要である。

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財務の専門家としてサーチャー支援を(2020/02/12)

 親族内承継が困難な企業の後継者の発掘には、当該企業の従業員から選抜するか、人材紹介会社等からの紹介に頼るかの選択になるが、最近はサーチファンドの動きが注目されるようになってきた。

 サーチファンドとは

  1. 社長となって企業経営を行いたい若者(サーチャー)が
  2. 承継先企業をサーチするにあたり
  3. サーチファンドから一定期間、給与や候補企業のリサーチ費用を投資してもらい
  4. 承継先企業との間で買収の交渉を行い
  5. 買収が決まればサーチファンドから投資を受け
  6. 買収先企業の価値が向上したところで、様々なEXITでファンドに還元する仕組み

 若者が社長になるには、企業に永年勤続して出世の階段を走るか、スタートアップで起業するしかないが、サーチファンドで社長候補としての投資対象者となれば、ファンドの構成員である金融機関等のネットワークを使って、一定期間、生活リスクを取らずに買収先企業の発掘に力を注げる利点がある。

 山口フィナンシャルグループと女性コンサルタントが代表を務めるジャパン・サーチファンド・アクセラレータ(JaSFA)がサーチファンドを立ち上げ、現在、数名の社長候補に投資をしているそうである。中国地方や九州の一部を地盤にする山口FGの融資先で事業承継を検討する企業に対し、サーチャーが承継後の事業計画を示し、投資に値するものかどうかを決める。投資後の助言もJaSFA等が行い円満な承継に関与するそうだ。

 地方の中小企業にとって経営力のある(と、ファンドが認める)若者が承継し、経営改善及び新規事業の取り組みに力を発揮すれば、地方での雇用も守られ、新規の人材採用面で若者を地方に呼び込む可能性も秘めている。

 会計事務所も顧問先の事業承継対策として今後増加するであろうサーチファンドと連携して、財務面での専門家としてサーチャー支援を行えば、地域での専門家として貢献できるのではないか。

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動き始めたマイナポータル(2020/02/05)

 政府の委託によりNTTデータが開発した「法人設立ワンストップサービス」が、マイナポータル上でリリースされた。法人設立登記後の国税・地方税・社会保険に関する手続等をオンラインで完結できる。

 マイナポータルにログインして自社の個別情報を一度登録しておくと、各種手続書類に反映され、何度も同一情報を入力する手間や管轄の省庁に出向く必要はなくなる。

 今回リリースされたのは法人設立登記終了後の各手続きであって、定款の認証や設立登記手続は来年の2月を目途にリリースされる予定だ。

 マイナポータルのサイトを開いて「法人設立ワンストップサービス」コーナーの「かんたん問診」を開くと、法人番号取得の有無から始まって、有りを選択すると

  • 青色申告の承認申請の届け出を行うか?
  • 棚卸資産の評価方法を、「最終仕入原価法による原価法」以外での評価方法にするための届け出を行うか?
  • 減価償却資産の償却方法を「定額法」にするための届け出を行うか?
  • 有価証券の一単位当たりの帳簿価額を、総平均法等その他の計算方法にするための届け出を行うか?
  • 法人税の申告を、その事業年度終了の日の翌日から2ヵ月以降に行うための届け出を行うか?
  • 消費税の還付を受けるために課税事業者を選択する届け出を行うか?
  • 消費税の計算を簡易課税制度の適用を受けるための届け出を行うか?
  • 消費税の納付及び還付を3ヵ月に1度又は毎月受ける届け出を行うか?
  • 源泉所得税の納期の特例の承認を得るための届け出を行うか
  • 「事前確定届出給与」の届け出を行うか?

 これら問診以外にも、社会保険・労働保険・雇用保険の新規適用か変更届か等の問診がある。

 問診に回答すると手続書類一覧が表示され、その後、マイナンバーカードを使ってログインし、申請の手続きに入っていく。

 「かんたん問診」を丁寧に読んでいくのには、多少の税務知識があっても時間は一定程度必要とするし、また、語句自体が慣れていない人には、この段階で自己完結を諦めるかもしれない。

 マイナポータルの「行政機関等が保有する自己情報(所得・世帯など)を確認できるサービス」を使って、ふくおかフィナンシャルグループが個人のローン審査の実証実験を行っている。ローンを申し込む人の所得証明書取得手続きが緩和されることになる。

 この他、今年の10月以降から年末調整や確定申告に必要な控除証明書データをマイナポータルで取得し、各種申告書への自動入力が予定されている。

 マイナポータルの活用に当たって、マイナンバーカード以外にカードリーダー若しくは読み取り専用スマホが必要とされている。特に専用スマホはiPhone7以上とハードルが高く、マイナポータルの普及を妨げているところもあるが、少なくともマイナンバーカードの発行を顧問先の経営者や従業員に浸透させておく必要はあるだろう。

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税理士もリーガルテックを活用して差別化する(2020/01/29)

 登録弁護士数15,000人が回答する法律相談サイトや、契約書締結をクラウド上で行うサービスを運営する弁護士ドットコムが出資するLegalScript(リーガルスクリプト)社が、オンラインでの登記書類作成支援サービスの内容を強化している。

 現在の支援サービスは

  1. 会社設立登記(電子定款作成含む)
  2. 本店移転登記(株式・有限・合同)
  3. 代表取締役の住所変更登記
  4. 定款の再作成
  5. 商号変更登記(株式)
  6. 目的変更登記(株式)

であり、設立支援サービスは無料としている。

 他の支援サービスも、本店移転は管轄内の移転なら7,000円、管轄外移転で9,000円、代表取締役の住所変更は3,000円、定款再作成・商号変更・目的変更はいずれも9,800円と、類似サービスのai-con登記より安い。

 ログインし、ガイドの案内に従って、画面上に掲示された書類の必要項目を埋める。完成した登記申請書を印刷し、登記所へ送付するステップまでで、30分以内で出来るイメージだ。

 日本の商業登記件数は約120万件。内訳は役員変更が約50%、設立が10%、本支店移転も10%、目的変更が約6%。リーガルスクリプトの支援サービスに役員変更登記が加われば、一般の中小企業なら、専門家を通さずにオンラインで安価に手続きが出来る時代に入った。

 弁護士ドットコムが運営する税理士ドットコムとリーガルスクリプトが業務提携し、税理士ドットコムに参加する約4,000人強の税理士にオンライン登記支援サービスを告知し、税理士ルートで顧問先企業の活用を促す作戦に出た。

 税理士も、本業ではないが、顧問先の本店移転や商号変更は相談を受けることが多い。巡回時に、持参のパソコンやスマホで申請書類の作成助言がその場でできれば、「ありがたい先生」になっていくだろう。

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顧問報酬の一部が地銀のコンサル報酬に取って代わる(2020/01/22)

 自行の取引先に向けて、経営計画策定や事業承継対策等のコンサルティングを自行の事業として本格的に立ち上げる地銀が急増している。

 コンサル報酬を5年後に現在の4倍の売上を目指すと中期計画で公表している北國銀行を始めとして、岩手銀行や仙台銀行、青森銀行も今年からコンサルティング子会社の設立を公表している。

 北國銀行では、法人の取引先が約2万社、法人担当行員が約400人いるとされるが、コンサルティング事業に関しては従来の本部の特定メンバーが対応する方式から営業店の法人担当全員がコンサルタントとして稼働する体制を組もうとしている。

 2024年3月のコンサル報酬の目標が15億円としているので、仮に取引先数の15%に相当する3000社が、年額で50万円のコンサル契約を結べば達成できる数値目標である。5年後に営業店の法人担当行員が一人平均で7社のコンサルを受け持ち、並行して本業の融資業務を担当するイメージになる。

 税務申告代理と地域の中小企業の経営助言を行う巨大な会計事務所と、中小企業に欠くことの出来ない資金調達支援と経営助言を行う地銀が、同一のエリア内で共存することになる。

 北國銀行のコンサルの内容も従来のように経営計画を作って終わりでなく、月次での進捗の確認や計画の修正にまで踏み込んでいくようだ。会計事務所の巡回監査型のように、地銀も月次の進捗状況の把握をすることで、定額の顧問報酬を請求することになる。

 今後の地銀と会計事務所の関係が変わっていくかもしれない。従来なら決算書を通して会計事務所の仕事の品質への地銀の評価が、今後は月次決算ベースでの品質の評価になってくるであろう。地銀がコンサル報酬を獲得する為に会計事務所への報酬が減らされることのないように対処しておく必要があるだろう。

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上場で事業承継に繋げる(2020/01/15)

 特定投資家のみが参加できる証券市場の東京プロマーケットに上場する企業がここ数年で急増している。2019年で9社、2018年も8社が上場した。

 特定投資家とは、金融機関や上場企業及び金融資産3億円以上、かつ投資経験が1年以上の投資家群のことで、一定のリスクが取れる企業が株式の購入者として登場する。

 上場を希望する企業のメリットとしては

  • 上場基準(売上高、利益等)に数値基準がない
  • 上場前の監査期間が1年で良い
  • 四半期開示は任意で構わない

等があげられる。マザーズやジャスダック等の新興市場に上場を希望するIPO予備軍が多くて、上場承認を得るのに数年は必要になってきたことに比べると、東京プロマーケットに上場し、後にマザーズ等に鞍替えする方法もある。

 上場後は東証の証券コードも得られるので、宣伝効果によって、営業戦略や人材確保、金融機関の信頼度向上につながるとの評価もある。一方、一般投資家の参加がない市場なので流動性は低く、当初の公募、売り出し以外での資金調達が主の目的である企業には向かない。

 東京プロマーケットの上場審査は、Jアドバイザーの資格を持った民間企業が行い、上場後も積極的に経営助言も行うが、Jアドバイザーから見放されると上場廃止にもなる。

 現在、野村、日興、大和等の証券会社及び日本M&AセンターやGCA等のM&A仲介の企業が、Jアドバイザーの資格を保有し、上場審査代行を行っているので、その分、上場への敷居は低いと言える。

 地方企業で業歴が古く地味な会社でも、東京プロマーケットに上場し、優秀な後継経営者を外部から募り、事業承継に繋げることなども有効な手立てとなるかもしれない。

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令和2年の会計事務所における重要な仕事の一つは……(2020/01/08)

 事業承継時の経営者保証を不要とする特則について、顧問税理士及び担当者として、この時期に確認しておきたいことは

  • 後継者の目途
  • 事業承継時期
  • 現経営者の経営者保証の有無
  • 後継者が銀行から経営者保証を求められたら事業引継ぎを「良」とするかのヒアリング

 意外に顧問税理士も、顧問先が銀行と交わした保証契約の存在を知らない、聞いていないことが多い。後継者が親族であれ、債務の連帯保証が引継ぎの条件と聞けば、躊躇するのも当然だし、まして従業員等の親族外承継なら断られても当然なのかもしれない。先日、知人が社長から「跡を継いでほしい」と言われ、家族に相談したところ、個人保証の有無で揉めたという話を聞いた。

 令和2年4月から、先の特則が「事業承継時に経営者保証を不要とする新たな信用保証制度」として創設され、原則個人保証を不要とし、貸し手の金融機関も経営者保証解除に伴うリスクを分担する新たな信用保証制度(事業承継特別保証制度)で「保証解除」の割合を増加させやすくする施策が実行される。

 事業承継特別保証制度のポイントは

  • @ 3年以内に代表者交代を予定する中小企業で
  • A 資産超過で、返済緩和中でない
  • B ネット借金が償却前営業利益の10倍以内
  • C 法人と経営者の分離が前提
  • D 保証限度額は2.8億円(うち無担保8,000万円)
  • E 保証期間10年
  • F 既存の個人保証を入れているプロパー資金の借り換えが可能
  • G 今後予定されている「経営者保証コーディネーター」による確認を受けると、保証料率も最大半減する

 顧問先の中ならA、Bの対象となる中小企業を選定し、Fで借り換えを行って、保証解除を顧問先が選択するか、保証料等のコスト面で保証継続するかの判断を、現経営者、後継者にしてもらうことは、必須な作業であろう。
 事業承継時の案件数で最も多い課題が、この「保証解除」であるのだから。


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