2026/07/07 AI自動記帳サービスが会計業界を変える
2026/06/23 日本政策金融公庫の決算から読み取る中小企業向け融資
2026/06/09 弥生の記帳代行支援サービスが補助金対象に
2026/05/26 ナフサ関連品の業種別影響マップを作成しておこう
2026/05/12 税理士が知っておくべき「医師の新規開業ルール」の大変革

AI自動記帳サービスが会計業界を変える(2026/07/07)

 AI自動記帳サービスの開発・提供の「tofu」(トーフ)がfreee会計とのAPI連携を発表した

 「tofu」は、領収書・請求書・銀行通帳などの書類をAIが自動で読み取り、仕訳作成までを一気通貫で行うAI自動記帳サービスで、今回のAPI連携により、freee会計で使用している勘定科目などの各種マスタ情報や過去の取引データを、tofuへ連携できるようになった。

 tofuとfreeeの連携の全体像を示すと

  1. 顧問先の領収書・請求書・通帳・クレジットカード明細等をtofuにアップロード
  2. tofuがOCR+AIで内容を読み取り、仕訳を自動生成
  3. tofuがAPI連携によりfreee会計と連携する
  4. freee上でAIが作成した仕訳データを、担当者がレビューする

 連携の技術的な仕組みは、

  1. tofu → freee はAPI連携
  2. CSVインポートではなく、会計ソフト連携によりデータを反映する
  3. freeeの勘定科目や税区分などのマスタ情報をtofuへ同期する
  4. tofu側でAIが仕訳を生成するため、freee側で自動仕訳ルールを設定しなくても運用できる
  5. freeeのマスタ情報をもとに仕訳データを作成する

 従来、領収書を見て、科目を判断して、入力作業を行って、税区分を選んで、摘要を入力して、その後の月次チェックの段取りだったものが、AI導入後は

  1. 顧問先若しくは事務所で証憑をアップロードする
  2. tofuが仕訳をつくる
  3. freeeへ連携する
  4. 担当者はAIが作成した仕訳をレビューする

の手順になってくる。

 tofuはAIで仕訳を作るが、経費判定や税務判断、例外的な取引の確認は人間が行うので、真の相棒となってくる。これが普及すれば、これが普及すれば、会計事務所は少人数でも多くの顧問先を担当できるようになる。職員数では小規模でも、顧問先数では大規模な事務所が出現することは確実であろう。

[参考]
freeeアプリストア「tofu

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日本政策金融公庫の決算から読み取る中小企業向け融資(2026/06/23)

 日本政策金融公庫の令和8年3月期決算の概要が公表されている。

 損益計算書を見ると経常損失が2,925億円となり前期比918億円の損失増となった。損失の最大の要因は公庫の与信関係費用の増加によるもので、令和8年3月期の貸倒引当金繰入額は2,948億円の計上となった。

 同期のリスク管理債権のうち、貸出条件緩和債権の状況をみると、

■ 貸出条件緩和債権額(いわゆるリスケ債権) (単位:百万円)

  令和7年3月期 令和8年3月期
国民生活事業(従来の国民金融公庫) 1,160,316 1,243,238
農林水産事業 191,593 202,774
中小企業事業 160,146 169,458

 特に小規模事業者向け融資を担う国民生活事業では、与信関係費用の増加が顕著であり、公庫の収益環境悪化の要因になっている。

 結果として、今後の中小企業向け融資について考えられるのは、

  1. 審査が厳格化される(特に返済能力のチェック)
    1. 過去の返済遅延、条件変更歴があれば要注意
  2. 融資対象の選別が進む
    1. 創業、新事業、省エネ設備投資、民間との協調融資、事業承継等は優遇されやすい
    2. 赤字補填目的の追加融資、返済計画が曖昧な借り換え等は審査に通りにくくなる
  3. 民間金融機関との協調が前提となる
    1. 「公庫の単独融資」 → 「銀行+公庫の協調融資」 へシフトしていく

 借りる側の中小企業は、

  1. 銀行との定期面談を行う
  2. 事業計画(売り上げの根拠、コスト削減の実効性)を共有しておく
  3. モニタリング体制を整備しておく

などが、融資の可否に直結することが想定される。顧問税理士の力量が問われていく。

[参考]日本政策金融公庫「IR情報

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弥生の記帳代行支援サービスが補助金対象に(2026/06/09)

 弥生の記帳代行支援サービスが、デジタル化・AI導入補助金の対象ツールとして認定された。

 同サービスは、紙証憑のスキャン → データ化 → 自動仕訳 → 弥生会計AEでの確認までを一気通貫で外部化できるため、記帳代行の工数を大幅に削減できるサービスである。特に「証憑データ化サービス(99.9%精度)」と「口座連携ツール」が強力で、「あらゆる顧問先の記帳代行業務を効率化できます」と、弥生のホームページで訴求されている。

 同サービスが補助金の対象ツールとして認定されたのは、次の点で補助金の趣旨に合致するサービスであることが評価されたものと思われる。

  1. 中小企業・会計事務所の労働生産性の向上
  2. インボイス制度・電子帳簿保存への対応支援
  3. バックオフィス業務のデジタル化

 補助金の対象要件を満たす場合、利用料金負担を大きく軽減できる可能性がある。

 弥生が公表している試算では、15顧問先(各65明細)で利用した場合の割引適用価格(今後2年間限りの値引き)は17,200円となる。さらに、補助金の対象要件を満たし、申請が採択された場合には、実質負担額は中小企業で4,300円(利用料の25%)となる。小規模事業者の場合は3,440円(利用料の20%)で、実質80%の負担軽減となる。

 これで

  1. 経理担当者がいない(採用できない)小規模事業者が
  2. 会計事務所に証憑を紙ベースで送るだけ、渡すだけで
  3. 記帳代行の効率化が図れる。

 会計事務所サイドからすると、外部の記帳代行支援サービスを活用することで入力負荷を軽減できれば、本来業務である経理内容のチェックや試算表の早期提示、決算書の説明など、顧問先への付加価値業務により多くの時間を充てることができる。結果として、経営者の数字に対する理解向上につながり、金融機関に対する説明力や決算書の信頼性向上にもつながる可能性がある。

 一方で「自計化」を促進することも重要であるが、小規模事業者やアーリーステージにある新設企業等の経営者が、経理業務にとらわれることなく商品開発・営業・製品・サービスの改善やコストダウン等に注力できる環境を提案することも、重要ではないだろうか。その意味でも弥生の記帳代行支援サービスは、中小企業経営者及び会計事務所にも競争力をもたらすことになるかもしれない。

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ナフサ関連品の業種別影響マップを作成しておこう(2026/05/26)

 中東紛争が、いよいよ中小企業の事業存亡にも影響する事態となってきた感がある。少なくとも業種別に、どんな業種でどんな商品(製品)の仕入れに難題が生じているか、知っておく必要がある。

 例えば、

  1. 樹脂・プラスチック加工等の製造業の樹脂ペレットの入手難及び価格高騰により
    1. 受注済み案件の原価が合わなくなる
    2. 納期遅延で取引先からのペナルティが生じる可能性
  2. 包装材に依存した食品製造業のプラ容器・フィルム・トレーの不足で
    1. PB商品、OEM商品の製造遅延
    2. 包装変更による追加コスト
    3. 小ロットの調達が益々不利になってくる
  3. 医療・介護業界の衛生用品や消耗品では手袋・マスク・チューブ類などの供給不安で
    1. 訪問介護サービスの継続に支障が出る可能性
    2. 在庫確保のための資金繰りの悪化
  4. 建設業の塗料・接着剤・断熱材の調達不安で
    1. 工期延長による追加コストが生じる
    2. 元請からの値下げ圧力
    3. 代替材料の品質問題
  5. 小売り・ECの包装材・緩衝材の調達不安で
    1. 梱包資材の不足、コスト増加
    2. 包装品質の低下で顧客満足度が下がる

 こうした経営課題に共通して求められる支援は、

  1. 原材料の先買い及び在庫積み増しを見越した資金繰り表作成支援
  2. 融資既存枠の増額やつなぎ資金の確保といった金融機関との調整
  3. 価格転嫁の根拠資料の作成
  4. 取適法を根拠に経営者が交渉するための資料作成
  5. 下記の補助金・支援策の活用を考える
    1. ものづくり補助金(材料変更、設備更新)
    2. 事業再構築補助金(製造ライン変更)
    3. 中小企業再エネ補助金(設備更新)
    4. セーフティネット保証

 政府はナフサの供給への過度な懸念は不要との見方を示しているが、既に各業種において、ナフサ関連品の在庫不足や今後の供給不足に関する通知書が届いているケースもあるようだ。中東紛争が終結しても、このナフサ関連品の供給問題は解決しそうもない。

 特に中小企業の立場は弱く、倒産や廃業が大幅に増加する予測もある。税理士のしっかりとした対応が望まれる。

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税理士が知っておくべき「医師の新規開業ルール」の大変革(2026/05/12)

 医師が診療所を新規に開業する場合、これまでは「自由開業」が原則であった。誰でもどこでも、開業地を選定して自治体や保健所に届けさえすれば、開業が可能であった。ところが、改正医療法(2025年12月12日公布、2026年4月1日施行)により、外来医師過多区域では、開業前の届出・協議が重要となり、「新規開業」のルールが「自由」から「行政との相談」に大転換することになる。

 厚生労働省の資料より、ポイントをまとめると、

  1. 地域及び診療科において、医師の偏在が社会問題化している背景があり
  2. 外来医師過多区域において、新規開業や一定の承継により無床診療所を開設する場合、
    1. 開業6ヶ月前に都道府県に届出(提供予定の医療機能を記載した事前届出)が必要
    2. 提供予定の医療機能(夜間休日診療、在宅医療等)を明示すること
    3. 開業予定地で不足する機能の提供が求められる可能性があり、要請に応じられないと、保険医療機関の指定期間が、通常の6年ではなく3年(再々指定時以降も勧告に従わない状態が続く場合には2年)に短縮されるリスクがある
  3. 管理者となる医師等に求められる要件の一つとして、原則、次の従事経験が必要
    1. 医師は、2年の臨床研修修了後、保険医療機関(病院に限る)における3年以上の保険医従事経験
    2. 歯科医師は、1年の臨床研修修了後、保険医療機関における3年以上の保険医従事経験

 注意点として、

  1. 2026年10月以降の開業案件では、6ヶ月前の事前届出と行政との事前調整が実質必須となる
  2. 物件契約・内装契約の前に、対象区域に該当するか、不足する医療機能として何が求められるか、事前届出・協議の流れを都道府県に確認してから行うこと

 顧問先に医療機関が少ない税理士事務所でも、今回の医療法改正の「新規開業ルールの見直し」は、大きなチャンスとなる。

 まずは

  1. 開業予定地が対象区域に該当するか否か、自治体に早期に確認
  2. 求められる医療機能による収支シミュレーション
    1. 在宅医療:往診車・スタッフ・ICT費用
    2. 夜間休日:当直費・人件費
    3. 公衆衛生:収益性は低いが、不足している地域では提供を求められる
  3. 既存診療所で親から子へ継承を予定している場合の「子が管理者要件」に該当するか
  4. 既存医療法人の支店の管理者を変更する場合も、要件に該当するかを確認

 今回の規制は、保険医療機関の指定期間短縮という実効性ある措置を伴うものであり、医師自身にも周知しておくことが必要になる。

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