2021/12/01 小規模調剤薬局のコンサル需要
2021/11/24 保証協会の眼が厳しくなるかも……
2021/11/17 地方での移住起業者が新規顧問先の有力候補に
2021/11/10 弥生が再び買収される?
2021/11/03 継業を求める人を発掘する
2021/10/27 「実抜計画」の骨子が緩和された
2021/10/20 「新型コロナ特則」知ってますか?

小規模調剤薬局のコンサル需要(2021/12/01)

 コロナ感染第6波も危惧される中、現状の報道される感染者数は激減状態のままである。

 帝国データバンクは調べをもとに、医薬品小売業(薬店・調剤薬局など)の休廃業が倒産件数の5倍程度に達するのではと警鐘を鳴らしている。

 調剤薬局の売上高の大半は、病医院から発行される処方箋枚数の扱い数量で決定される。コロナ感染の流行時期と日本薬剤師会が公表する年月単位での処方箋枚数とを比較してみた。

コロナ第○波 年月 処方箋枚数(万枚) 前年同月比
第1波 R2/5 5,334 81.3
第2波 R2/8 5,914 91.7
第3波 R3/1 5,665 86.6
第4波 R3/5
第5波 R3/8 ? ?

※日本薬剤師会のデータより
https://www.nichiyaku.or.jp/activities/division/faqShinchoku.html
現段階で、令和3年2月までの数字が発表されています。

 厚労省の令和2年度「処方箋発行元医療機関分析」によると、診療科別の調剤技術料(処方箋枚数にほぼ比例)は対前年比で小児科▲25.6%、耳鼻咽喉科▲21.0%、外科▲10.7%と落ち込んでおり、結果、特定の小児科や耳鼻咽喉科からの処方箋の受取りに偏っている調剤薬局のダメージは、相当多いと考えられる。

 年始から第6波の到来が予想され、同時に2年にわたるコロナ禍で生じた患者の「通院抑制」も相まって、小規模調剤薬局の経営はしばらく厳しい状態が続くであろう。

 独自路線で行くのか、大手ドラッグチェーンの傘下に入るか、逆に廃業を検討している同業のM&Aで一定地域のシェア拡大路線で行くのか、戦略的判断が求められる。

 ある地方金融機関は、業種別コンサルティングの強化種目に「地域の調剤薬局」を挙げているそうだ。

go top
保証協会の眼が厳しくなるかも……(2021/11/24)

 メガバンクの中間決算は、揃って過去最高益かそれに近い好決算となった模様だ。三菱UFJ銀行の2022年3月決算は1兆円超の純利益予想だ。コロナ禍でのゼロゼロ融資により、企業の倒産件数が圧倒的に少なく、貸倒引当金の戻り益が好決算をもたらした。

 一方で、日本政府が100%出資している日本政策金融公庫(以下、日本公庫)の2021年3月決算は、1兆372億円の赤字決算となっている。日本公庫の収益(売上高に相当)は、企業への直接融資による利息収入と、各自治体の信用保証協会から得る保険料収入で大半を占める。

 企業が民間金融機関から保証協会の保証で融資を受けると、保証料を保証協会に支払う。保証協会は、融資先の返済不能に備える保険として、保険料を日本公庫に支払う。

 2021年3月期に日本公庫が全国の信用保証協会から引き受けた信用保険は33兆2千億円で、残高は42兆4千億円に達した。コロナ前の2019年3月期の保険引き受け残高は21兆円だったので、この2年で倍増の結果となっている。2019年3月期の日本公庫の当期利益は764億円の黒字決算である。

 2022年の末でゼロゼロ融資の据え置き期間が終了する。それを待たずして、新規の追加融資が受けられなかった中小企業から、本格的に倒産が表面化してくるだろう。目下議論されている補正予算での中小企業支援金が実施されても、過剰債務に陥っている中小・零細企業には根本的な解決策にはならない。

 日本公庫の2021年3月期の赤字決算は、2009年3月期におけるリーマンショック時の赤字決算の1.5倍を超える。そしてこの先、コロナ後の倒産ラッシュが始まると、日本公庫には莫大な保険金支払いが待ち構えている。保険金支払いは日本公庫の赤字決算を継続させ、最終的には税金の投入で埋め合わせがなされていく。

 こうした状況にもかかわらず、信用保険業務がさらに拡大していくのかは甚だ疑問である。信用保険業務が縮小していけば、保証協会も簡単に民間金融機関の融資に対して保証はつけなくなるだろうし、となれば、企業自身の信用で民間金融機関から追加融資や返済猶予を受けられる力を持たねばならない。あまり時間はないが。

go top
地方での移住起業者が新規顧問先の有力候補に(2021/11/17)

 今年1月1日から10月末日までの新設法人数は112,352社で、昨年同期間比で約14%増となっている(法人番号公表サイトより)。

 大都市圏の新設法人数は

  令和3年1-10月 令和2年1-10月 対前年増加率
東京都 32,834社 29,605社 11%
大阪府 11,200社 9,631社 16%
愛知県 5,735社 5,257社 9%
福岡県 4,866社 4,227社 15%


 新設法人数の増加率が高い地方の自治体を見ると

  令和3年1-10月 令和2年1-10月 対前年増加率
山梨県 512社 383社 34%
山口県 660社 517社 28%
長崎県 636社 514社 24%

 更に地方の市区町村では

  令和3年1-10月 令和2年1-10月 対前年増加率
長崎市 217社 162社 25%
軽井沢町 65社 40社 61%

 2019年度の地方創生施策として「起業支援金」制度が誕生した。各自治体が競って「起業支援」したことが、地方での新設法人数の増加に繋がったと考えられる。

 例として山梨県では、「やまなし地域課題解決型起業支援金」「女性起業応援事業」「やまなし創業チャレンジ応援補助金」といった移住起業を促す仕組みが以前から用意されていて、民間の専門相談員ネットワークも強力な支援者として活動しているようだ。
 起業して株式会社を設立すれば285千円の助成金が出る。移住して起業すれば最大300万円の補助金も獲得できる。

 長崎県も県内外の事業者に向け、「起業による新規雇用促進」を目的とした、各種の補助制度を県及び市区町村と打ち出している。

 リモートワークも定着し、大都市から地方に移住して副業形態で起業するケースも増えており、新しい新設法人の形態も生まれてこようとしている。

 日本政策金融公庫総合研究所が行った調査によると、起業者が望む最大の支援策は「税務・法律の相談制度」となっている。会計事務所が地域の起業支援制度を熟知し、起業者にアピールする必要があるだろう。

go top
弥生が再び買収される?(2021/11/10)

 会計ソフトの弥生はオリックスの子会社だが、再び、投資ファンドに売却されることになるかもしれない。価格は2,000億円で、オリックスも「株式譲渡を含めて弥生の件を検討している」と認めているようだ。

 弥生は米国の会計ソフト「intuit」の日本法人として創業され、その後、ライブドアに買収されるが、2007年にMBKパートナーズに所有が移り、2014年にオリックスが800億円で買収したという経緯を持つ。

 弥生の第15期(2020年9月末)の決算公告によると売上高202億円、経常利益55億円と順調に業績を伸ばしている。ただし損益計算書に特別損失として14億円が計上されていて、当期純利益が17億円程度となった模様である。

 弥生の子会社であるオンライン融資のアルトアについて、決算公告の直近3期を見てみよう。

(単位百万円)
決算期 2019/3 2020/3 2021/3
売上高 15 40 29
当期純利益 ▲420 ▲1,035 ▲383
株主資本 877 341 558
負債合計 68 623 660
利益剰余金 ▲602 ▲1,638 ▲2,021

 この推移から、アルトアの創業以来、当初の株主資本及び追加の増資や借入金で約20億円の損失を埋め合わせてきた状況が分かる。そして今年の4月に突如としてアルトアの融資業務をオリックスに移管し、事実上の会社閉鎖となったのではないか。その際の特別損失として、14億円が計上されたものと見ることができる。

 今回の弥生のオリックスから投資ファンドへの株式譲渡は、アルトアの事業整理を済ませ、純粋に中小企業向け会計ソフトメーカーとして打診されたものではないかと想定される。同業のfreeeやマネーフォワードの直近の時価総額は共に4,700億円程度で、両社とも創業以来赤字続きである。

 オリックスに買収されたときの弥生のユーザーは125万社だったが、2020年2月時点の同社の発表ではユーザー数が202万社まで増加しており、今後のクラウド会計市場の拡大を考えると、2,000億円の価値はあるのかもしれない。

 しかしながら、リアルタイムな会計データと与信データベースを組合わせた迅速な中小企業向けのオンライン融資がここで頓挫してしまったことは残念であり、freeeやマネーフォワードの同様の取り組みについても、積極的な情報公開が望まれる。

go top
継業を求める人を発掘する(2021/11/03)

 先般、紹介したM&Aマッチングサイトの「ビズリーチ・サクシード」が行った、譲渡先事業所の実名を公開した後継者公募が、サイト公開後約1ヶ月で成約した。

 譲渡先の事業所は旅館で、譲受けの事業所は設計事務所だった。

 通常のマッチングサイトなら、譲渡先事業所が匿名で、地域・事業内容・規模・特色などが記載されているが、今回の後継者公募は実名・場所・背景の写真・事業への想い・後継者公募に至った理由などが丁寧にストーリーとして描かれ、買い手がサイトを見て即時応募したそうだ。

 世に多くの事業承継マッチングサイトが誕生し、2,000社を超えるM&A仲介事業者が存在している。後継者難による事業引継ぎの助言や指導は間違いなく必要不可欠である。譲渡先事業所の「件数」でいえば、地方の個人事業で飲食・宿泊・建築・各種教室・その他サービス業の比較的債務も少なく、後継者が現れなければ廃業もやむなしと考える小規模事業者が圧倒的に多く存在すると考えられる。後継を検討する側も「買収」というより「引継いでみたい」と思える案件が身近なものとして描かれていて、実名の情報があれば、よりマッチング率は高まるのだろう。

 宮崎県の会社が運営するrelay譲渡先と「継業してくれる人」をつなぐマッチングサイト

  • 誰がどんな想いでやってきた事業かをオープンにする
  • 地域内のさまざまなプレイヤーと協業してネットワークを築く
  • 引継ぎ側(譲渡先)の取材・記事制作・成約時の報酬は完全無料

を謳っている。
 先日も富山県氷見市が運営する「引継ぎサイト」と提携して、実名で譲渡先の実名・各種画像・事業主への取材記事などがストーリー仕立てで掲載されている。他にも、経営者から営業マンに専念したいという理由で「継業」を望む不動産屋、米屋、レストラン、ゲストハウスなど、地域の小規模事業者のストーリーが丁寧に描かれている。

 「M&Aなんて。当社を買うような人は見つからないよ」と結論を出す前に、「継業」を探す事業者・個人にアピールする手段は多く残されている。

go top
「実抜計画」の骨子が緩和された(2021/10/27)

 全国地方銀行協会に属する62行の地銀の2021年3月決算での貸出金の総額は約230兆円に達するが、貸出条件緩和債権は下記のように増加の一途である。

2021年3月期 962,775百万円
2020年3月期 842,562百万円
2019年3月期 725,207百万円

 概ね、1,200億円程度伸びている。率にして対前年115%前後である。貸出条件緩和債権額の貸出金に占める割合は2021年3月期で0.41%で、この平均値を超える地銀は62行中18行ある。地域的には四国・九州・沖縄エリアの地銀が圧倒的に多い。

 九州エリアの地銀を例に緩和債権の推移をみると

(単位:百万円)
  2021/3 2020/3 2019/3
福岡銀行 65,477 48,937 41,131
十八親和銀行 32,271 26,110 20,062
鹿児島銀行 47,094 39,105 37,208

 銀行の債権区分としては、貸出条件緩和債権は「要管理債権」に区分される。貸倒引当金を通常より多くの積み増しを求められるので、銀行側の与信費用が膨らみ、利益圧縮の対象となる。

 コロナ後の過剰債務に陥った中小企業の資金繰りが今後苦しくなることは明らかであり、さりとて銀行も安易に条件緩和を認めると、自身の首を絞めることに繋がりかねない。

 コロナ前から金融庁の指針として、「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画(実抜計画)」を債務者が提示すれば「貸出条件緩和債権」と見なさなくてもよいとする見解が出ていた。

 コロナでさらに債務が増加し、再度の条件緩和を求める中小企業も多く発出することが予想されるので、従来の「実抜計画」の骨子を柔軟なものにするよう、金融庁から銀行側にアナウンスがあった。

 柔軟なものとは、コロナ後の売上高などの想定が難しい企業には、コロナ以前の実績一定の仮定の下で簡易に推計した想定を使用した計画でもよいとすることであり、実抜計画の策定期間を最長1年以内でなく、コロナ影響の収束の見通しが立つ期間も考慮して合理的な期間でよいとするなどである。でよいとするなどである。

 「要管理債権」になれば追加の融資は困難になるので、「要注意債権」の区分に入るよう再リスケの申し入れができるよう顧問先の実抜計画に協力することが必要になってくる。

go top
「新型コロナ特則」知ってますか?(2021/10/20)

 緊急事態宣言も解除され、制限はあるものの、飲食店などの時短・酒類提供も緩和され、人手が戻りつつある。コロナ後の経済を戻さないといけないが、再度の流行も防ぎつつ、様子見で各業界が動いていくことだろう。

 一方で、時短協力金や雇用調整助成金で凌いできた企業は、今後はコロナ融資の返済に全力をあげていかねばならない。官民合わせて56兆円(2021年4月残高)の融資が積み上がっている。民間の中小企業向けコロナ関連融資も、大半が保証協会100%負担で、金融機関にはリスクのない融資である。現実に今後の自助努力でこれだけの借入残高を返済できるとは、誰も思っていないだろう。特に飲食・宿泊・食品卸・飲食店・宿泊関連サービス業に至っては倒産件数も月を追って増加し、更にこの傾向が顕著になってくるであろう。

 昨年の12月から「自然災害債務整理ガイドラインのコロナ特則」(新型コロナ特則)が適用できるようになった。手順は

  1. 債務者は、個人または個人事業者に限る
  2. 最も借入残高の多い金融機関に、「新型コロナ特則」を利用した債務整理(減免)の申し出を行う
  3. 金融機関から申し出の同意を得たら、地元の弁護士会の登録している弁護士の紹介を得る(無料)
  4. 減免交渉ができる債務は、令和2年2月1日までの既存債務の残高に加え
  5. 令和2年2月2日〜令和2年10月30日までに借入したコロナ関連融資の残高が対象
  6. 登録専門家と債務者で、減免を申し出る債務の内容について「調停条項案」を金融機関に提出する
  7. 調停条項案に金融機関の同意を得たら、家裁に特定調停の申立てを行う

 自己破産でなくコロナ特則を使った債務整理のほうが良いと判断されるケースとして

  1. 事業関連の借入の減免は申し出るが、住宅ローンは払い続けて、自宅は残しておきたい
  2. 自己破産時の「自由財産」の考え方(現金99万円、他の財産は換金処分)が基本となるが
  3. 自然災害債務整理ガイドラインの自由財産の上限が現金500万円とあるので、交渉の余地は残る
  4. 自己破産と異なり、個人信用情報に掲載されない

 減免後の債務を、既存事業の将来収入や新規事業での収入により、概ね5年程度で返済可能な計画が組めれば、自己破産を検討する前に新型コロナ特則での債務整理を検討してみたらどうだろう。

 自然災害債務整理ガイドラインの運営事務局が令和3年9月末時点でのコロナ特則の利用状況を公表している。

  1. 登録支援専門家に手続支援を委嘱した件数……1391件
  2. うち手続き中の件数……887件
  3. うち特定調停の申立に至っている件数……49件
  4. うち債務整理成立件数……15件

 コロナ特則が運用されて10ヶ月経過した。手続支援に至っている件数を見ると、少なくとも金融機関はコロナ特則の申し出は受理する環境になっているようだ。

 金融機関からすれば、既往債務がプロパー融資であれば極力減免に応じたくない。コロナ融資なら金融機関には損失がないから減免に応じる可能性はある。ただし保証協会が協力すればの前提とはなるが……。

 56兆円の後始末で「新型コロナ特則」の認知が重要になり、その意味での税理士の役割は大きい。

参考:一般社団法人東日本大震災・自然災害被災者債務ガイドライン運営機関


dailycontents page
影山勝行経営フォーラム
downloadcontents page
年末調整 給与所得金額 計算ツール


税理士のテレワークはMyKomonで

セミナー一覧へは、こちらから

業界専用グループウェア 給与計算ソフト相続診断と対策ツール DB

会計事務所専用HP制作