2022/11/30 コロナによる経営破綻企業の特徴
2022/11/23 個人保証さえ無くなれば……
2022/11/16 応募すれば2/3の確率で採択される補助金
2022/11/09 経営者保証の監督指針改正案は必要か?
2022/11/02 税理士業界が参考にすべき調剤薬局業界の変革
2022/10/26 過剰債務に悩む企業こそ、年末に向けての対策を
2022/10/19 認定支援機関の登録済の税理士・税理士法人の今後

コロナによる経営破綻企業の特徴(2022/11/30)

 東京商工リサーチ(TSR)によると、「新型コロナ関連の経営破綻」の11月24日16時現在で判明した累計件数が4,537件に達した。これは負債1,000万円以上の件数で、1,000万未満の小規模倒産は別途累計で230件だった。

 コロナが発生した年度別で見ると

  • 2020年の年間件数:843件
  • 2021年の年間件数:1,718件(対前年比203%)
  • 2022年10月までの累計件数:1,832件(前年超え)

 国内の企業数358万社を基にしたコロナ破綻率を、都道府県別で見ると

  • 全国平均:0.132%
  • 1位 東京:0.239%(全国平均の2倍強)
  • 2位 福岡:0.182%
  • 3位 宮城:0.176%
  • 4位 大阪:0.173%
  • 47位 宮崎:0.054%(全国平均の4割)

 コロナ関連破綻件数(負債1,000万円以上)が累計で100件以上ある都道府県は

  • 東京:948件 大阪453件 福岡225件 愛知223件 神奈川201件 兵庫193件 北海道177件 埼玉160件 千葉127件 静岡121件 宮城101件

 業種別では

  • 飲食業:712件(来店客減少、休業要請)
  • 建設業:514件(工事計画の見直し)
  • アパレル製造・販売業:332件(小売店の休業)
  • 飲食料品卸売業:198件(飲食業の不振)
  • ホテル・旅館の宿泊業:156件(インバウンド消失、出張等の自粛)

 倒産の形態別では破産が89.8%と最も多く、先行きのめどが立つ再建型倒産の形態は1割に満たない。

 従業員5人未満のコロナ関連破綻の中小企業の割合が57.2%と、半数以上を占めている。

 年末から来年上期に向けて、更にコロナ関連倒産が急増するだろう。緻密に情報を集めて「取引先」及び「取引先の取引先」の動向に気を配ることが、当面の重要な経営課題となるだろう。

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個人保証さえ無くなれば……(2022/11/23)

 11月16日に公表された帝国データバンクの「全国企業後継者不在率動向調査(2022)」によると、同社が保有する190万社の信用調査報告書データベースのうち、事業承継の実態について分析可能な全国の中小企業約27万社を対象に後継者不在の調査を継続的に行っていて

  1. 2022年で後継者が決定している中小企業が約11.5万社
  2. 後継者が不在の中小企業が約15.4万社
  3. 1.のうち2022年中に「後継者不在→在り」に変化した先が約1万社
  4. 2.のうち2022年中に「後継者在り→不在」に変化した先が約1600社
  5. 27万社の後継者不在率を過去5年の推移で示すと
    (%) 2022年 2021年 2020年 2019年 2018年
    後継者不在率 57.2 61.5 65.1 65.2 66.4
    対前年増減率 ▲4.3 ▲3.6 ▲0.1 ▲1.2  
  6. 後継者の就任経緯の調べでは
    • 同族承継→34.0%(対前年▲4.3%)
    • 内部昇格→33.9%(対前年+2.5%)
    • M&A →20.3%(対前年+1.7%)
    と、従来の同族承継の割合が減少し、内部昇格やM&Aによる承継が増加している。

 来年4月から実施される「経営者保証」の改正によって、金融機関の個人保証の解除が少しでも緩くなってくれば、身内ではない幹部社員による事業承継も更に増加してくるだろうし、M&Aで無理に譲渡先を発掘しなくても、事業の継続が果たされるかもしれない。

 それには、従来以上に「法人単独の返済原資の確保」や「所有と経営の分離」を徹底し、金融機関から経営者保証の解除を果たさないといけない

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応募すれば2/3の確率で採択される補助金(2022/11/16)

 9月に公表された第6回事業再構築補助金の応募・採択件数の状況を見ると、「回復・再生応援枠」の採択割合が相対的に高い

 事業再構築補助金の応募枠には、他に「通常枠」「大規模賃金引上枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」があるが、全体の95%を占めるのは通常枠と回復・再生応援枠である。双方の比較をしてみると、以下のとおり。

  通常枠 回復・再生応援枠 総件数合計
応募件数 11,653 2,933 15,340
採択件数 5,297 1,954 7,669
採択割合 45.4% 66.6% 49.9%

 さらに、回復・再生応援枠の申請要件を整理すると

(補助金の限度額)

  • @2021年10月以降で
  • A前年同月若しくは前々年同月比で
  • B売上高が30%以上減少している月がある

(付加価値の状況)

  • @付加価値=営業利益+人件費+減価償却費
  • A前年同月若しくは前々年同月比で
  • B付加価値額が40%以上減少している月がある

 上記のいずれかの要件を満たせば、事業再構築補助金の「回復・再生応援枠」で申請が可能になる。

(補助金の限度額)

  • @従業員数 5人まで  500万円
  • A従業員数 6〜20人  1,000万円
  • B従業員数 21〜50人 1,500万円

 コロナの打撃で緊急的な応援の意味もあり、補助額は通常枠よりも少ない。しかし、中小企業等の補助率は3/4と通常枠の2/3よりも高く、補助率を高めることで多くの応募企業の採択数を実現している(3件に2件の割合で採択されている)。

 補助額が少ない場合には通常枠で応募すれば良いし、今年1月以降の売上減少が顕著(30%以上の減少)なら「原油価格・物価高騰等緊急対策枠」を検討しても良いだろう。この緊急対策枠の補助額限度は、従業員5人までで1,000万円、6〜20人で2,000万円、21〜50人で3,000万円となっている。

 売上は30%以上の減少ではないものの、例えば飲食店でアルバイト等の人件費が高騰して「付加価値額」が40%以上減少している顧問先はないだろうか。顧問先の「付加価値額」の検討も行い、第8回事業再構築補助金申請の締め切りが予定されている来年の1月13日までに、申請を提案することも必要であろう。

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経営者保証の監督指針改正案は必要か?(2022/11/09)

 来年(令和5年)4月から、民間金融機関が新規融資の際の「経営者保証」を取る場合に、これまでの「ガイドラインに沿って」から「一定の制限かつ理由の説明」を求められ、違反があれば行政処分もあるといった金融庁の監督指針の改正があるとの報道が出た。

 岸田政権の重要政策の一つに「スタートアップ」を増やすとしているが、起業時の新規融資に経営者保証を取る慣行が約7割あり、依然として「中小企業融資=個人保証」という構図は変わっていない。
 事業承継にしても、経営者交代時に「前経営者」の保証の継続か、「後継経営者」の新規保証を求めている現状も変わっていない。

 今回の監督指針改正案は

  • @経営者保証が必要な理由の説明責任を課す
  • A理由を説明したことを記録し、金融庁に報告する
  • B金融機関の広報誌等で取り組み方針を公表する

との厳しい制限をつけるようだ。

 金融機関が経営者保証を取るのは

  • @借り手の企業の「法人・個人の区分」が不明確で、資産を一体のものとして評価するから
  • A法人の財務基盤が弱く個人資産も返済能力原資として捉えたいから
  • Bいつでも法人の財務実態がわかるデータの開示を求めたいから

で、逆にこうした要因が取り除かれるのであれば、経営者保証を解消できると捉えることもできる。

 この改正案を、借り手である中小企業の側から見ると

  • @代表者貸付金もなく、契約どおりの返済も継続しているのに、従来の慣行のまま経営者保証を要求されているところは、積極的に金融機関に解消を求めやすくなる
  • A財務基盤が弱く、法人ー個人間の資金移動も頻繁にあるところは、金融機関からすれば、個人保証付きの新規融資を増やしたくないとのモチベーションが働き、貸し渋りを増長させることにならないかとの危惧もある(新規融資の二極化

 決算を担当する会計事務所側から見ると

  • @社長貸付金・社長借入金勘定を極力なくすこと
  • A最低でも翌月には前月試算表が提示できるようにしておくこと(顧問先への協力依頼にもなる)
  • Bグループ会社があり、資金移動もある場合には、必要に応じて「簡易な連結決算」も提供できるようにしておくこと

がますます重要となってくるであろう。

 ゼロゼロ融資の本格返済が始まり、毎月の返済原資の確保を経営者個人にも頼らざるを得ない中小企業にとっては、「法人・個人」の区分が一層不明瞭となる。このタイミングでこうした改正案が必要なのか否かは、議論の余地があろう。

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税理士業界が参考にすべき調剤薬局業界の変革(2022/11/02)

 調剤薬局のビジネスモデルが根幹から変わるかもしれない。

 調剤薬局の薬剤師の仕事は大きく2つに分かれる。

  1. 薬剤の調達・備蓄・在庫管理・調剤・受け渡し等の「対物業務
  2. 患者との対話・服薬指導等の「対人業務

である。

 薬剤師の日常の業務の多くは「対物業務」に追われており、厚生労働省が求める「対人業務」への工数が取れない現状を打破するために、「対物業務」の外部委託を実現させるべく規制改革の議論を進めている

 現在、中小の調剤薬局が約6万件、薬剤師数が約19万人といわれており、結果として調剤薬局業界は小規模な組織体で構成されているために、組織単体で「対物業務」の効率化をDXの導入により行っても、投資に対するリターンも限られるので効果は少ないとされる。多くの患者から大量の処方箋を一か所に集め、薬剤の調達や調剤、配送を含めた受け渡し等の業務を、ロボットやITを活用した大規模調剤センターに外部委託して、薬剤師が本来期待される対人業務の工数を確保する案を検討している。

 そのきっかけともなる「電子処方箋」の解禁が来年1月から始まる。患者は医療機関で対面若しくはオンラインで医師から診察を受け、電子処方箋を発行してもらい、大規模調剤センターで調剤し、掛かりつけの薬局で対面若しくはオンラインで服薬指導を受けるような診察・投薬環境の実現が想定されている。

 また、最近の報道では、amazonが自社のプラットホームや物流網を使って、電子処方箋の解禁に合わせ調剤薬局業界に参入するようだ。医療機関から交付された電子処方箋をamazonのサイトに集め、プラットホームに参加する全国の中小の調剤薬局で調剤し、amazonの物流網で患者宅に配送するような案が出ている。

 調剤薬局のビジネスは、処方箋枚数×処方点数(国の統一価格)=売上なので処方箋枚数を増やすことが、営業で求められる。結果として病院や診療所の近くに薬局を構え、そこに通う患者の処方箋を受けとり調剤することで競争してきた。

 しかし、電子処方箋が登場して、調剤の外部委託が認められ、amazonに代表される大手IT業界が参入してくると大手薬局チェーンも含め、熾烈な処方箋獲得大競争が起こるであろう。しかし、そこには異業種も含め大きなビジネスチャンスが到来するかもしれない。

 税理士業界は、規模も業界メンバーの属性も調剤薬局業界と非常に似ている。計算書類作成等の「対物業務」の外部委託も含め、企業経営者が望む「対人業務」への工数を大幅に増やす方向に変革させていかないと、業界の活性化は望めないかもしれない。

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過剰債務に悩む企業こそ、年末に向けての対策を(2022/10/26)

 全国の信用保証協会の上期保証実績が、各ホームページ上で公開され始めている。融資先金融機関への返済が滞り保証協会が肩代わり返済した「代位弁済」の件数と金額(令和4年4月〜9月)を、主要な保証協会別でみると以下のとおり。

保証協会 上期件数 前年比(%) 上期金額(億円) 前年比(%)
東京 1,830 140 226 140
大阪 969 113 146 116
愛知 519 147 70 146
北海道 588 193 62 248
福岡 544 137 59 131

 企業の資金繰りとしては比較的楽なはずの上期で、代位弁済の件数・金額が急増してきている。これから年末にかけ資金需要が高まってくる下期の代位弁済も、更に急増することになるだろう。

 代位弁済された企業に対しては、保証付き融資に限らずプロパー融資もあるはずなので、金融機関からすれば、このプロパー融資分は「破綻先」若しくは「破綻懸念」の不良債権となって跳ね返ってくる。

 今、議論されている政府の「私的整理円滑化法案」は、過剰債務に悩む中小企業の私的整理が迅速に進むよう、債権者の「全員同意」から債権者の「多数決」で私的整理を可能にする法案である。

 企業からすれば、過剰債務相当分が債権放棄されれば企業再生も見えてくるが、金融機関からすれば、メイン寄せや下位行の反強制的な債権カットも覚悟しなければならない。

 年末にかけ、過剰債務企業と地域金融機関との激しい駆け引きが起こってくるだろう。過剰債務企業を顧問先に持つ会計事務所も一応のシミュレーションをしておかねばならない。

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認定支援機関の登録済の税理士・税理士法人の今後(2022/10/19)

 認定支援機関である税理士・税理士法人の担当者は、経済産業省の「中小企業収益力改善支援研究会」事務局資料(8月31日付)を熟読すべきである。

 まず資料には、支援機関別の405事業(経営改善計画支援)の過去の実績を分析した、支援機関のカテゴリ別の改善状況の特徴が述べられている。

  • 税理士・税理士法人は売上の改善率が他のカテゴリよりも良く、収益の改善率はやや劣っている
  • 売上の改善率及び収益の改善率双方ともトップなのは公認会計士の支援機関であった。

 また、中小企業診断士のカテゴリでは支援した企業の69.9%で増益を実現した実績も表記されている。

 来春からコロナ融資の返済が本格的に始まる。政府も中小企業支援策の軸足を「追加融資やリスケ」から「返済原資の確保は収益力改善」として、支援機関向けの「収益力改善支援実務指針」なるものを策定してはどうかと、この研究会メンバーに投げかけ、議論しているようだ。

 支援機関の数としては税理士・税理法人のカテゴリが圧倒的に多いが、「支援の取り組み数」「支援の改善実績」等々で玉石混交ではないかとの意見もあり、支援機関の実質的な格付けを行うような方向性を持っているようだ。

 この事務局資料の「@支援の質の向上・ボトムアップ」に向けた論点に、「経営改善計画策定支援事業の対象とする認定経営革新等支援機関は、実務指針に沿った支援を行うことを宣言した支援機関のみ」としてはどうかとの問いかけがなされている。

 実務指針がどのような内容になるかはこれからの議論だが、対象となる中小企業と一緒になってPDCAを回すことができる支援機関に仕事が集中したり、地域の他の有力な支援機関や金融機関と組んで活動したりなどの動きが活発化していくであろう。

 実際に宣言し活動する支援機関は重宝されるが、名前だけの支援機関は排除されていくといった傾向が顕著になっていくのかもしれない。


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