2019/11/20 貸主が変わると……
2019/11/13 フリー社の財務状況
2019/11/06 年末商戦でキャッシュレス還元を開始するには
2019/10/30 地銀と競合するか連携するか
2019/10/23 電子帳簿保存法の法的要件とは
2019/10/16 300種の業種別開業ガイド
2019/10/09 税理士報酬もキャッシュレス還元の対象に……


貸主が変わると……(2019/11/20)

 構造改革を叫ばれている地銀で、滋賀県トップバンクの滋賀銀行が「全体の1/4に相当する30店舗程度を統廃合する」と発表、同じく奈良県の南都銀行も30店舗を閉鎖する決定の報道が日経新聞でなされた。

 支店の統廃合、閉鎖は中小企業の経営者にとっては一大事である。自身の取引支店が他の支店に統合されたり、閉鎖で他支店に口座が移管されたりすると、いくら取引支店からの引継ぎがあったとしても、再度、自社の強みや事業継承の固有の課題等を理解してもらう必要がある。融資残高があり、新しい支店長や担当者が決算書・試算表を見て、数値以外の特性を見出してくれるかどうかも不安が残る。

 先ほど、SBIホールディングスが島根銀行の筆頭株主になり、福島銀行にも資本業務提携がなされた。

 SBIホールディングスが全国の地銀とネットワークを組み、第4のメガバンク構想を打ち出したのも、地銀単独では10年間も続く低金利の下での業績回復は困難との背景がある。

 島根銀行と福島銀行の預金・貸出金の動きを見ると(2020/3期中間決算より。単位億円、残高は平均残高)

  預金 貸出金 増減
2019年9月 2018年9月 2019年9月 2018年9月 預金 貸出金
島根銀行 3,629 3,682 2,880 2,762 ▲ 53 118
福島銀行 6,784 6,928 5,008 4,992 ▲ 144 16

 いずれも預金流出の動きがある。楽天銀行や住信SBI銀行などのネット銀行は預金も貸出金も2桁増の決算である。

 政府も地銀統合の際の独占禁止法審査での特例案を来期国会に提出すると言っている。同一県で地銀統合があって競争力が低くなったとしても、地銀の経営体力を一定の条件の下で優先する方向だ。

 とはいえ、同じビジネスモデルの地銀間の統合でネット金融や異業種の金融進出に対抗できるかは困難であろう。

 借主は自身の取引銀行が再編の中心にいるのか、再編に値するのか、見極める必要がある。少なくとも銀行の決算書は十分に吟味しておくことが望ましい。

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フリー社の財務状況(2019/11/13)

 創業して7年の会社で無借金経営、但し、7年間赤字が続き、結果、約120億円の累計赤字になった会社が、12月に東証マザーズに上場する。その会社とは会計ソフトのフリー(freee)社である。同業のマネーフォードも先に上場したが黒字化は果たせていない。

 フリーの上場申請の目論見書によると2019年6月期決算は

  1. 売上高     4,579百万円
  2. 経常利益   ▲2,764百万円
  3. 資本剰余金  16,006百万円
  4. 利益剰余金 ▲11,829百万円
  5. 株主資本    4,276百万円

 フリーの収益構造は会計ソフトの利用料が全体の9割超を占め、収入体系は課金額×有料課金数で会計事務所の収入構造と似ている。顧問先数がフリーでは有料課金ユーザー数にあたり、2019年9月時点で161,904件になっている。

 コスト面では販管費が約63億円で、うち、広告宣伝費が約13.5億円、研究開発費が16.2億円となっている。

 フリーが黒字転換するには、有料課金額が年3万円とすると、単純計算で有料課金ユーザーを年約9万件ほど獲得できなければならない。2019年6月から2019年9月までの有料課金ユーザー増加数は約8,000件である。このペースで増加するとすると9万件に達するには最低3年は必要になる。

 マネーフォワードや弥生と競合しながらユーザー獲得を図るには、研究開発費や広告宣伝費の投入はやむを得ないし、解約防止策も講じなければならない。フリーが上場しても、マネーフォワード同様、黒字転換には数年を要するだろう。

 しかし、フリーの時価総額は、約850億円とも言われている。赤字が続いても定額課金ビジネスの成長性を投資家は考えているのだろう。

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年末商戦でキャッシュレス還元を開始するには(2019/11/06)

 経産省が11月1日に「キャッシュレスポイント還元事業に関する直近の状況」について公表した。

  • 11月1日時点の登録加盟店数は64万店
  • 10月31日時点の登録申請数は約92万店

 経産省が当初見込んだ参加登録店総数200万店に対し、概ね半数の登録店に達したようだ。今後も増加し続けると予測されている。10月1日の還元事業のスタートから約2週間のキャッシュレス決済額は1日あたり平均267億円に達し、1日当たりの還元額も約10億円となった模様で、当初予算の2,800億円で賄えきれるかとの声も聞かれるくらいである。

 今までキャッシュレス還元事業について傍観している事業者が、今年の年末商戦に「還元開始」をしたいと思うなら、経産省の今後の「キャッシュレス・ポイント還元事業 各種締日/消費者還元開始日」のスケジュールを閲覧すると良い。

 これによると(一部抜粋)

還元開始日 申請手続最終日
12月11日 11月15日
12月21日 11月26日
1月1日 12月6日

 申請から加盟店登録を行って加盟店IDの発行をしてもらってから申請手続になるので、この間の日数もカード会社等に確認をする必要がある。

 参加する中小事業者が検討すべき課題は

  • カード決済額の増加によって発生する運転資金の不足額の算定
  • キャッシュレス決済可能なカード、スマホの種類をどの程度増やすか?

 いずれにしても年末商戦に「キャッシュレス還元対象店」の看板を出すのであれば、すぐにでも行動に移さないと間に合わないだろう。

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地銀と競合するか連携するか(2019/10/30)

 日銀が毎年2回公表する金融システムレポートの2019年10月号が出た。前回の4月号では10年後に地銀の6割が最終赤字になるといった衝撃のレポートだった。

 今回は、地銀の経営効率が向上するための中長期のシミュレーションを実施している。経営効率改善の前提を「経費削減率」と「非資金利益比率」の2点で予測したものだ。地銀64行の近年の経費削減は概ね年率で1%程度、手数料収入等の非資金利益は2018年度実績で5,103億円で、コア業務粗利益41,410億円の12.3%である。

 この現状での地銀の損益分岐点比率は、概ね70%と過去に比べ10%程度悪化しているとレポートでは指摘し、今後の10年で損益分岐点比率を60%台に向上させる方策をシミュレーションしている。

10年間の経費削減率 非資金利益増加目標(億円) 2018年度実績に対する増加率
5% 1,518 29.70%
10% 455 8.90%
15% 70 1.40%

 近年の経費削減率が年率1%程度であることから、今後の10年間で経費削減率が10%程度と固定すれば、非資金利益率を現状より約1割程度積み増せば、損益分岐点が60%程度に改善されると指摘している。

 銀行の経費削減の対象となるのは、大半が人件費と店舗運営費なので、今後さらに支店の統合や個人対象のミニ店舗等で再編され、法人客にとっては従来慣れ知った支店、支店長、担当行員が離反し、融資面での評価が変化するリスクが待っているかもしれない。

 非資金利益のうち、投信販売や保険販売の手数料は昨今の批判からセーブがかかっており、今後ますますM&A仲介や事業承継支援、人材紹介、ビジネスマッチング、経営コンサル、ソフト販売等に力点が移る傾向にある。

 こうした銀行にとっての手数料収入は、会計事務所の収益構造に酷似しており、地域において競合もするが、同時に連携することで双方win-winの関係にもなる。近くの地銀の手数料収入の主が何になるのか注目すべきだろう。

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電子帳簿保存法の法的要件とは(2019/10/23)

 TKCの財務会計システムが、日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)から電子帳簿保存法の法的要件を満たしたソフトとして、国内第一号の認証を受けたと報じられた。

 現時点でJIIMAのホームページでは、日本ICS及び会計王のソリマチも、認証ソフト一覧に掲載されている。

 中小企業の事業者からすると、電子帳簿保存法のことを詳しく知っていない人のほうが多いだろう。TKC、ICS、会計王以外の会計ソフトを使っている納税者は、帳簿や証憑書類の電子保存はできないのかと、顧問の会計事務所に確認を求めてくるケースが増えるのではないかと思う。freeeやMFクラウドや弥生等の会計ソフトでは、電子帳簿保存法の法的要件を満たしていないのかと疑問を持つかもしれない。

 国税庁の「電子帳簿保存法一問一答」を見ると、電子帳簿の保存について「真実性と可視性を確保する」ことが要件と記載がある。具体的には、最大7日を経過した仕訳データの削除・修正の履歴が閲覧できることとある。TKCの財務会計システムは、当初から登録済みの仕訳データの修正・削除はできず、「反対仕訳」を起こして正しい仕訳に訂正していた。会計事務所の担当者からすると、決算時の勘定残高の把握等に相当の手間が生じた経験を持った人は多いだろう。

 オフコンやパソコン会計ソフトの多くは修正・削除ができるようになっていて、TKCの「真実性の追求」の理念も重要であるが、記帳能力の弱い顧問先への「利便性」を考え、会計ソフトの変更も促したりしたものだった。

 しかし、消費税の軽減税率の登場や2023年に予定されるインボイス導入を迎えて、電子帳簿保存の需要は益々高まってくる。現在の主要な会計ソフトも漸次JIIMAの認証を取得するであろうから、その動向に注視しておかねばならないだろう。


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300種の業種別開業ガイド(2019/10/16)

 経産省所管の独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する中小企業・小規模事業者向け専門サイトである「J-ネット21」https://j-net21.smrj.go.jp/のリニューアルが行われ、非常に検索性の高いサイトになった。

 特に「業種別開業ガイド」は、会計事務所が新規顧問先の受託や営業を行う際に、業種別でマーケットの特徴、市場規模、開業に必要な設備投資、売上高の構造、業界特有の規制、平均的な損益計算書等の情報を入手できる優れものだ。大手税理士法人や地域金融機関等も自社ホームページにリンクを貼って助言活動している。

 業種別開業ガイドは下記のカテゴリーに分類され、約300業種の閲覧が可能である。
  1. サービス業  116業種
  2. 専門サービス業  17業種
  3. 飲食業  52業種
  4. 小売業  39業種
  5. IT関連業  19業種
  6. 医療・福祉  29業種
  7. その他  21業種
 金融、製造業の開業ガイドはなく、新規に起業を考える人やフリーランス向けの業種を選別したような構成になっている。

 サービス業では、運転代行・家事代行、食材宅配、コインランドリー、民泊、レンタルオフィス、IT関連業では、プロゲーマ、YouTuberなどの業種が、医療・福祉では、施設介護や通所介護事業等が24業種に区分されて記載されている。

 データで古いものも見受けられるが、最新のデータや事務所内にある実在データなどを参考にアレンジすれば、立派な開業提案書が作成できるようになるだろう。


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税理士報酬もキャッシュレス還元の対象に……(2019/10/09)

 10月1日からキャッシュレスポイント還元事業がスタートした。モノの消費だけでなく、サービスの消費にも事業者が加盟店登録していれば、当該事業者が中小企業なら5%のポイント還元が受けられる。1ヶ月で最大15,000ポイントの還元(5%なら30万円の消費)が上限だが、来年の6月まで事業が継続するので9ヶ月間で最大135,000ポイントの還元が可能になる。

 私の周囲でも、従来から現金決済オンリーだった飲食店が、クレジットカードやスマホ決済を導入し5%ポイント還元のシールを軒先に掲げていたり、ゴルフ場でも加盟店登録しているところもある。

 家計簿アプリを展開するZaimu(ザイム)が開発した「キャッシュレス還元マップ」というサイトでは、地域や事業名のキーワードで検索すると該当する加盟店一覧が閲覧できる。「士業」も加盟店登録している事業所もあり、「税理士」では約200件近く、「行政書士」も100件超、「弁護士」でも20件近くの士業が閲覧できる。

 税理士事務所でも、顧問料のような定期に発生する報酬は振込や口座引き落としで対応しているが、加盟店登録している税理士事務所の多くは、相続税の申告報酬、譲渡所得税の申告報酬、個人所得税の申告報酬、一時的な相談料等に限定して、クレジットカード決済やスマホ決済で5%還元が可能になることを、ホームページ等でアピールしているようだ。

 より積極的な事務所は、月額顧問報酬を年払い契約に変更して5%ポイント還元のメリットを顧問先に感じてもらうとともに、還元事業に該当しそうな顧問先であれば、来年4月までなら加盟店申請も可能なので、この制度の加入をコンサルしている事務所もある。

 中小企業のキャッシュレス対応がこの還元事業をきっかけに普及していくと、補助金も多少は救われることになるのかもしれない。



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影山勝行経営フォーラム
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