
- 2026/09/02 相続税申告マーケットをいかに取り込むか
- 2026/08/18 税理士交代・変更の実態調査
- 2026/08/04 高齢の経営者及び小規模事業所のDXが進まない理由
- 2026/07/22 資金繰りの緊急度に応じたWeb完結の金融サービス
- 2026/07/07 AI自動記帳サービスが会計業界を変える
財務省のホームページに「相続税の課税状況の推移」が公開され、令和6年分のデータが掲載されている。これによると、
- 令和6年の死亡者数は160万5,378人と、初めて160万人台を超えた
- 課税件数は16万6,730件で、死亡者の10.4%に相当する
- 相続税の被相続人1人当たりの納付税額は1,948万円で、相続税収は3兆2,487億円
- 課税価格が1億円以下の件数が、全体の60.1%を占める
- 課税価格が5億円以下の件数で、全体の97.1%に達する
- 課税価格5億円超の件数が全体の2.9%で、納付税額は全体の48.7%となった
団塊の世代が順次80歳代に差し掛かり、「多死社会」が本格化する。日本の今後10年間の死亡者数は年間160万人前後の高水準で推移すると思われる。
相続税の課税件数も、当面の間は「死亡者の1割」が継続するだろう。今後の相続税申告マーケットを予測すると、
- 年間16〜20万件の相続税申告需要が見込まれ、
- その大半は、課税価格5億円以下の層。
- 遺産の多くは、不動産、有価証券、預貯金等で占められ、
- 税理士と接点がない個人も一定数存在すると考えられる。
- 銀行・証券会社・信託銀行・大手不動産会社等が最初の相談窓口となり(オーナー経営者等であればM&A仲介会社も)、
- 個人と税理士の間に入るケースが、更に増加してくる。
- 結果、税理士は、需要者である個人にコストをかけてPRするよりも、相談窓口となる機関に営業し、
- その競争がますます増加してくるのではないか。
いずれにしても、相続税申告マーケットは今後10年は確実に成長するだろう。
[参考]財務省「相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料」
東京の小谷野税理士法人が、税理士交代・変更を行った、または検討した経営者325名を対象に、インターネット調査を実施し、その結果を公表した。
ここではその調査結果から、3点取り上げてみたい。
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@ 前の(現在の)税理士に対する最大の不満・課題(上位3つ)
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税理士に求められている役割は、単なる申告業務に留まらない。経営者は、困ったときにすぐ相談でき、経営について気軽に話ができる相手を求めていることがよく分かる。
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A 新しい税理士を選ぶ際に最も重視した(している)項目(上位3つ)
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これに対し、「顧問料の安さ」は7.2%という結果で、選択肢の中では最下位であった。価格ではなく、「相談しやすさ」が最も重視されている点は印象的である。さらに、クラウド会計などのITへの対応力や業界特有の知識も重視されており、税理士に求められる役割が変化していることがうかがえる。
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B AI普及後に人間の税理士へ「最も残ってほしい役割」(上位3つ)
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AIの活用が進んでも、経営者が税理士に期待するのは「人にしかできない役割」であることも注目したい。数字を入力したり計算したりする仕事はAIが担えるようになっても、経営者の悩みを聞き、状況に応じた助言を行う役割は、依然として人間に期待されている。
税理士業界の顧問先の大部分は中小零細事業者で、物価高倒産やコロナ後の過剰債務倒産など、苦境が続いている。一方で税理士側も、所長の高齢化や人材難により、「質の高いサービス」の提供が難しい。このような中で今回の調査結果を見ると、「人間味のある伴走型助言者」としての税理士像が不可欠な時代に入ったことを思わせる。
[参考]
小谷野税理士法人「325人の調査から見えた、これからの税理士選びの基準」
先だって、知り合いの経営者が、次のように語った。
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このように、デジタルサービスの利用経験や知識には、当然、個人差がある。会計事務所でも、昔からの顧問先では経営者の高齢化が進んでいたり、「うちは小規模だからDXなんて……」「DXを取り入れて、どんなメリットがあるの?」との反論をもらうこともあろう。
こうした類の顧問先で、業務にDXを普及させるには、業務の一部を取り出し、その部分を軸に最小単位のDXを採用してもらう方法も検討すべきである。
例えば、給与明細だけ電子化する事案を取り上げてみよう。紙の手渡しを廃止すると、
- 給与担当者の封入作業や、紛失による再発行等の業務負荷が減り、
- 従業員はスマホやPCで明細を見ることができ、過去の給与明細も瞬時に把握できる
といった具合で、双方にメリットが感じられる。加えて、会計事務所にとっても、給与仕訳や年末調整等の業務時間の減少につながる。
ところが、給与明細だけ電子化したいのに、給与ソフト変更もセットとなると、導入が止まる。給与ソフトはそのまま、給与明細だけ電子化するという最小単位のDXを提案することが、先決になる。
そこで給与明細だけ電子化できる外部サービスを使うことも必要になる。例えば、
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Web給与明細(オフィスステーション)
- 利用コストは、従業員21名以上の場合、1人あたり年間660円(月額55円・税込)
- 現在の利用者数は55,000社(同会社ホームページより)
- 現在の給与ソフトからCSV出力→アップロード→従業員へ配信という最小限のDXで済む
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他にも
- MyKomonのWEB明細
- マネーフォワード クラウド給与の給与明細機能
- LINE WORKSと給与ソフトとの連携通知機能
- ジョブカン給与計算の給与明細機能
顧問先にも、その従業員にも、直接的なメリットを感じられてこそ、DXは進む。普及のポイントは、最小単位のDXの提案に尽きる。
資金繰りに窮している経営者は非常に焦っていることが多いため、まずは「いつまでに、いくら必要なのか」を確認しよう。同時に、Webで完結する各金融機関の融資などのサービスを知っておこう。
@ 数営業日以内の支払いがマズい
- 三菱UFJ銀行の「Biz LENDING」(最短2営業日・最大1,000万円)
- GMOあおぞらネット銀行の「あんしんワイド」(融資枠型借入れ・最大1,000万円)
- PayPay銀行「ビジネスローン」(最大1,000万円)
これらは必要書類や口座開設の要否が異なる。本人確認書類や入出金明細等を求められるほか、審査の過程で決算書等の提出を求められる場合もある。
Web申込時に入力・アップロードできるよう、必要な情報や書類を準備しておこう。
A 来月の支払いに備えて手元資金を温存したい
- 手元資金はあるが、運転資金を温存しておきたい……というときは
- SMBCの中小企業向け法人口座「Trunk(トランク)」による請求書カード払い
- 請求書をカードで支払うことで、カード利用代金の支払いまで資金流出を最大60日間先送りできる
- メインバンクがあってもカードを作っておくことは有用になる
B 中長期で資金繰りを立て直したい
- PayPay銀行の事業性融資(保証協会付融資)は、24時間365日、来店不要で申込みが可能
- 事前審査は最短で翌営業日
- 融資額は最大で8,000万円(利用する保証制度や審査結果による)
- 保証協会への申請を含め、手続きをオンラインで進められる
- 現時点での利用可能な地域は東京都・神奈川県で、対象地域内に本店または事業所等があり、事業を営んでいることなどが条件となる
ただし、いずれのサービスにも所定の審査があり、「最短」とされる日数で必ず借入れや利用ができるわけではない。資金が必要になる前に、口座開設や融資枠の設定などを進めておくことが重要になる。
[参考]
三菱UFJ銀行「Biz LENDING」
GMOあおぞらネット銀行「あんしんワイド」
三井住友銀行「Trunk 請求書支払」
PayPay銀行「ビジネスローン(法人向け)」
PayPay銀行「事業性融資(保証協会付融資)」
AI自動記帳サービスの開発・提供の「tofu」(トーフ)がfreee会計とのAPI連携を発表した。
「tofu」は、領収書・請求書・銀行通帳などの書類をAIが自動で読み取り、仕訳作成までを一気通貫で行うAI自動記帳サービスで、今回のAPI連携により、freee会計で使用している勘定科目などの各種マスタ情報や過去の取引データを、tofuへ連携できるようになった。
tofuとfreeeの連携の全体像を示すと
- 顧問先の領収書・請求書・通帳・クレジットカード明細等をtofuにアップロード
- tofuがOCR+AIで内容を読み取り、仕訳を自動生成
- tofuがAPI連携によりfreee会計と連携する
- freee上でAIが作成した仕訳データを、担当者がレビューする
連携の技術的な仕組みは、
- tofu → freee はAPI連携
- CSVインポートではなく、会計ソフト連携によりデータを反映する
- freeeの勘定科目や税区分などのマスタ情報をtofuへ同期する
- tofu側でAIが仕訳を生成するため、freee側で自動仕訳ルールを設定しなくても運用できる
- freeeのマスタ情報をもとに仕訳データを作成する
従来、領収書を見て、科目を判断して、入力作業を行って、税区分を選んで、摘要を入力して、その後の月次チェックの段取りだったものが、AI導入後は
- 顧問先若しくは事務所で証憑をアップロードする
- tofuが仕訳をつくる
- freeeへ連携する
- 担当者はAIが作成した仕訳をレビューする
の手順になってくる。
tofuはAIで仕訳を作るが、経費判定や税務判断、例外的な取引の確認は人間が行うので、真の相棒となってくる。これが普及すれば、これが普及すれば、会計事務所は少人数でも多くの顧問先を担当できるようになる。職員数では小規模でも、顧問先数では大規模な事務所が出現することは確実であろう。
[参考]
freeeアプリストア「tofu」























