2021/10/13 預金口座の全貌が税務署に簡単に判る時代へ
2021/10/06 今年4月の新設法人がやたらに多い
2021/09/29 時短に協力して納税額が増える?
2021/09/22 企業価値評価算定を売りにすべし
2021/09/15 追加融資も再リスケも無理、でも事業継続はしていきたい……
2021/09/08 後継者探し、こんな方法もあるよ
2021/09/01 破産会社の7割が社長も破産の実態

預金口座の全貌が税務署に簡単に判る時代へ(2021/10/13)

 金融機関に対する国税局・税務署による預貯金等照会をオンラインで行うことが10月1日より開始される

 昨年10月から12月に、ゆうちょ銀行ほか複数の金融機関と一部の国税局・税務署との間でNTTデータが開発した「pipitLINQ(ピピットリンク)」を使って、預貯金照会を「紙」を介さずオンラインで質問・回答する実証実験がなされ、従来では金融機関から「紙」での回答が約2週間弱要したのに対し、「オンライン」での回答は2.5日程度であり、税務署・金融機関双方の業務時間の削減効果が確認できたとして、本格導入に至った。

 10月1日からゆうちょ銀行と全国の国税局・税務署との間で、「pipitLINQ」を使っての納税者の預貯金などの質問・回答に関するオンライン化がスタートした。質問する側の国税局・税務署が「標準様式」に従って金融機関に照会をかけ、ゆうちょ銀行からオンラインで回答をデータで得る仕組みだ。

 「相続」では申告されていない預金口座の発掘、家族間の預金の移動状況を税務署が照会掛ければ2〜3日で回答を得られるので、税務調査の精度向上や調査の期間短縮に繋がってくるだろう。
 事業者にとっては「売掛金」「買掛金」などの反面調査が取引先の金融機関照会を経て簡単に実行されるだろう。

 NTTデータの「pipitLINQ」は同社のホームページによれば、現時点で金融機関43行、行政機関は194自治体がすでに導入しており、自治体では「健康保険料の収納率」が大幅に向上したり、瞬時の「差押え」に威力を発揮している事例もある。

 NTTデータでは「pipitLINQ」を100の金融機関及び300の自治体への導入を令和3年度末までに終える計画をしている。

 今後、運用が進めば様々な課題が出てくるだろうが、オンライン照会には納税者の同意が無くても金融機関・税務署間で行えるので、会計事務所としては顧問先に「pipitLINQ」を導入した金融機関名をホームページなどで確認して情報提供しておくことも必要だと思う。

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今年4月の新設法人がやたらに多い(2021/10/06)

 今年に入って新設法人数が異様に増加している。
 国税庁の法人番号公表サイトで確認してみると(株式+合同のみ、登記閉鎖を含む)

令和3年1〜9月新設法人数
100,532件
令和2年1〜9月新設法人数
88,673件

前年比113%となっている。

 さらに、令和3年4月単月の新設法人数は14,495件で前年同月比で142%、6月単月の新設法人数が12,566件で前年同月比で133%と際立っている。

 都道府県別で令和3年4月単月の新設法人数を見ると、東京都が4,066件で前年同月比で148%、同様に大阪府が1,388件で136%、愛知県が760件で139%、福岡県は685件で213%(1〜9月新設法人数は前年比117%)となったようだ。

 4月に新設法人が急増した背景には推定であるが

  1. 従来と同じく個人事業主の確定申告が終わり「法人なり」を実行した
  2. 4月から新しく設けられた「月次支援金」の給付が最大で個人10万円、法人20万円とされ、法人で受給するほうが有利と考えた事業主が多かった  
  3. コロナ関連の給付金・補助金の手続代行及び法人なりに伴う有利不利の助言を税理士や行政書士等の専門家が「法人設立」をメイン商品としてアピールした
  4. 地銀・信金がコンサルティングと称して給付金等を助言する際に「法人なり」を進める金融機関も出現している

ことがある。

 士業・地域金融機関の間で中小法人や個人事業主を「法人なり」の商品で、本来商品である「会計」「融資」の拡大を図る動きが垣間見えた。

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時短に協力して納税額が増える?(2021/09/29)

 東証一部に上場するシンクロ・フードが運営する「飲食店リサーチ」がコロナ禍の飲食店に対する財政支援等についてのアンケート調査を実施した。ネットでの調査回答は433名で約7割は首都圏の飲食店事業者のようだ。興味深いデータとして、調査をした今年の8月25日時点での協力金の支給状況を問うたところ

  1. 6月までの申請期間分の入金があった…30.7%
  2. 5月分までの入金があった…24.6%
  3. 4月分までの入金があった…16.1%
  4. 7月分までの入金があった…12.8%

 結果、半数近くの事業者の懐に協力金が届くのに2〜3月を要している実態が見える。
 一方で7月度の損益が黒字と回答した事業者が7割に達し、協力金や補助金が収益を伸ばしている実態も見えた。

 9月末までに延長された緊急事態宣言も感染数の急減で解除されそうな雰囲気であるが、その間、再度の時短協力を求められた飲食店には、9月度の時短協力金の申請が待っている。

 東京都の申請受付は10/14〜11/15で、昨年・一昨年の月売上が10万円以下のところは日額4万円(最大80万円)、月売上が10万円超の事業者は、過去実績の40%に相当する日額(上限25万円)となっており、大阪府は10万以下は日額4万円、10万円超は40%相当額の日額で上限が10万円となっている。

 この他にも、売上が半減した個人事業者で、月次支援金が月額10万円給付される制度や雇用調整助成金の特例措置で今年5月〜11月までの延長給付が決定している。

 2021年度の個人事業の確定申告は、昨年同様本来の事業所得に加え、協力金や助成金・補助金が所得計算に与える影響は小さくなく、且つ、年度を跨いでの入金という事象も多く発生する見通しなので、未収金の総額及び計上時期を早めに確認して事業主への理解を求めておくことが重要になる。

 「時短に協力してなぜ税金が増えるのか?」と怒られないためにも。

参考:シンクロ・フード
プレスリリース「飲食店の65%が時短協力金により「黒字化」。コロナ支援金の活用状況を調査

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企業価値評価算定を売りにすべし(2021/09/22)

 今後もさらに急増すると考えられる中小企業間のM&Aを支援する機関を登録制にし、仲介手数料や諸手続きに伴う費用負担の一部を補助する「M&A支援機関登録制度」の登録者の中間発表があった。9月6日時点での登録者は493社で、上場のM&A専門業者をはじめ、税理士・会計士が104社、地銀・信金で26社あった。登録申請の受付最終は9月21日なので、支援機関として登録する業者はもう少し増える見込みだ。

 この支援機関としての登録制度は「登録している業者に仲介や助言を求め、コストが発生した場合には国が250万円を上限として、コストの1/2を負担する」制度であり、登録していないからM&Aの仲介・助言業務を行ってはいけないということではない。

 仮に1億円の譲渡価格でM&Aが成立して、500万円の仲介手数料を業者から請求されても、実質半額の250万円の負担で済むようになるので、売り手・買い手企業からすると仲介・助言業者が支援機関として登録しているかどうかは、業者選定の大きな誘因になることは間違いない。

 M&A支援機関として登録する業者は「中小M&Aガイドライン記載概要」にそった運用が求められる。特に小規模案件の仲介を行う場合には、売り手・買い手の双方代理を行うケースも多いので、今後は双方への中立性・公平性が厳しく求められ、仲介者が企業価値評価(DD)を実施することは禁じられ、士業等専門家の意見聴取に係る助言を求めるようにガイドラインに明記されている。

 支援機関として登録した金融機関が仲介業者として活動する場合には、銀行内部でDDを行うことはできないので税理士・会計士にその役割を求めてくるだろう。

 会計事務所が支援機関として登録する(専従者が必要、且つ活動実績開示が毎回ある)には負担も大きく、むしろ金融機関の扱う案件のDD実施営業を行うのも十分ありだ。

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追加融資も再リスケも無理、でも事業継続はしていきたい……(2021/09/15)

 裁判所の司法統計を見ると、「小規模個人再生事件」の新受事件数が令和2年1月〜12月累計で12,064件あった。5年前の平成28年中の新受件数が8,841件だから、約4割の増加になっている。

 個人事業主の債務整理は任意整理・自己破産・個人再生・特定調停の4種類があるが、今回のようなコロナ禍で「事業継続の意思は強いが、現在の債務を抱えたままでは継続は困難」と考えている事業主の場合に「個人再生」を検討する余地はある。自己破産では事業継続も可能ではあるが、個人の住宅や自家用車等は手放さざるを得ないことが大半で、そこに躊躇してしまうことは過去から指摘されてきた。

 個人再生が検討できる条件は

  1. @住宅ローンを除外した債務総額が5,000万円以下であること
  2. A将来的に安定して収入を得られる見込みがあること
  3. Bこのままではいずれ支払い不能になるおそれがあること

 従って業種的には、飲食・サービス・小規模小売等、大きな設備や在庫投資を必要としないで、今回のコロナ禍により一時的に売り上げが減少し、新規融資で食いつないできたが、再度の追加融資やリスケも銀行から拒否されるかもしれないといった危惧を持っている事業主には、個人再生の検討余地がある。

 手続きとしては

  1. @再生計画案を策定する
  2. A計画案に対して債権者総数の1/2以上の反対がない(目処がある)
  3. B反対した債権者の債権額の総額が全債権額の1/2を超えない(目処がたっている)

 過去の銀行との取引の経緯や仕入れ先の顔ぶれを見て、再生に賛同を得られそうな感触があれば、計画案が可決されることになるだろう。

 計画案が可決されると、原則3年以内に最低弁済額を支払いながら事業を継続することになる。「基準債権額」が3,000万円超〜5,000万円以下なら「最低弁済額」は負債総額の1/10になるように法律で定められている。

 例えば

  1. @住宅ローンを除いた負債総額が4,000万円とすると「最低弁済額」は400万円となる
  2. A一方、時価換算した預貯金・保険解約金・自動車・不動産等の保有財産が1,000万円としたら
  3. B「最低弁済額」<保有財産となり、いずれか高い額を支払うことになるので
  4. C保有財産と同額の1,000万円を最低弁済額として3年間(場合によっては5年間)で返済していく
  5. D結果、4,000万円の負債を抱えて事業を継続するはずが、1,000万円の弁済をしながら事業継続が可能となる
  6. Eただし、個人再生をすることにより信用情報機関に事故情報として登録されるので、新規の融資は困難となる

 事業を継続する強い信念があり、仕入れ先からも応援をうけることができ、従業員も協力してくれるような関係なら個人再生も「再生支援」になるかもしれない。

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後継者探し、こんな方法もあるよ(2021/09/08)

 昨年の10月に、中小企業庁が政府の事業引継ぎ支援センターと連携する民間M&Aプラットフォーマー3社を選定した。トランビ、バトンズ、ビズリーチ・サクシードの3社である。

 事業引継ぎ支援センターは、主として事業承継に悩む中小企業から相談を受け、希望によって「譲渡企業」として民間のM&Aプラットフォームのデータベースに登録代行し、民間のプラットフォームの既存「譲り受け企業」とのマッチングで「MA&成約」を目指している。M&A仲介会社も300社を超えるまでに増加、それぞれ保有する「売り案件」「買い案件」情報も膨大なものになり、よりマッチングさせやすい仕掛けも求められるようになった。

 ビズリーチ・サクシードでは、静岡県の事業承継引継ぎ支援センターと連携し、静岡県に本社のある「譲り受け希望企業」を約半年間で130社から438社(2021年8月時点)まで増加させ、静岡県内の「譲渡企業」を他社よりも優先的に情報開示する仕組みを構築した。

 これにより静岡県内企業同士のM&Aマッチングが成立しやすくなったようだ。
 親族内承継を断念した第三者への事業承継を求める「譲渡企業」にとっては、「同一地域」での承継は望ましい形であるのだろう。

 また同社は「承継公募」というスタイルで、後継者に悩む経営者に呼び掛けを行っている(9月28日まで継続中)。「譲り受け企業」は製造派遣と製造業を営む兵庫県の企業で社名を出して、自社のプラットフォーム内で公募している。

 応募企業は匿名で応じることができる。当該企業は製造派遣の従業員を全員、正社員として雇用し、技能伝承ができないという問題を抱える町工場に、自社の若手従業員を送り込み技能承継させるモデルで成長している。10年で年商10倍を築いた実績もある。

 次にビズリーチ・サクシードは山陰地方にある業歴50年の日本旅館の「後継者公募」を実施している。この旅館も名前を公表して、可能な限りの情報を提示して全国から後継者を募っている。

 乱立するM&A情報の中で、特に中小企業の場合においては「地域」「譲渡企業のオーナーの想い」「ニッチな技術・マーケット」等の言葉がマッチングの成否に関わっていることが多く、こうした取り組みが今後も出てくることが望ましい。

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破産会社の7割が社長も破産の実態(2021/09/01)

 金融庁のホームページに金融機関の新規融資に占める経営者保証に依存しない割合銀行別に掲載されている。直近のデータだと令和2年10月時点の割合が提示されていて、それによると

  1. メガバンクでは、みずほ銀行43.8% 三菱UFJ銀行45.4% 三井住友銀行43%   りそな銀行29.9%

となっていて、メガバンクの大半が新規融資額の約4割に対して経営者個人の保証を取らないで融資していている実態が見える。それでも残りの6割は経営者保証に依存し、融資先が破産すれば経営者個人の財産を投入し、賄えなければ経営者個人も破産することになる。

  1. 地銀・第二地銀103行では同様の割合が40%を超える銀行は11行で全体の1割に過ぎない。東京スター銀行の93.6%を筆頭に北國銀行が82.8%と続き、以下、岩手銀行、北日本銀行、仙台銀行、南都銀行、山陰合同銀行、西京銀行、大分銀行、宮崎銀行、沖縄海邦銀行が40%強となっている。
  2. 9割近い他の地銀・第二地銀は大半が20%台で中には一桁台の銀行もある。

 8月16日に東京商工リサーチが公開したデータによると、「2020年度に破産した5,552社のうち3,789人の社長が破産開始決定を受け、社長破産率は68.2%の高率に達した」となっている。会社の破産と経営者個人の破産との関連を調べた全国でも初の調査だそうだ。

 政府は数年も前から「経営者保証に関するガイドライン」を策定して、社長個人の資産を担保に依存した融資の姿勢を改めるよう金融機関への指導を強化している。しかし実には、銀行も与信リスクの高い中小企業には従来の個人保証を求めるし、借り手の中小企業も必要な融資額を手にするには個人保証もやむを得ないと考える風潮もある。コロナの収束を見て国の様々な金融支援も打ち切りになってくると、社長個人の破産問題が社会問題化することになってくるだろう。

 会計人は顧問先の融資額に個人保証が残っているのか、保証の形態がどうなっているかを再度確認し、時間をかけてでも銀行と経営者保証の解除に向けた話し合いをすべきだろう。


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