
- 2026/09/29 廃業コストの見積もりを依頼されたら……
- 2026/09/15 金利上昇下での既存・新規融資の金利交渉
- 2026/09/02 相続税申告マーケットをいかに取り込むか
- 2026/08/18 税理士交代・変更の実態調査
- 2026/08/04 高齢の経営者及び小規模事業所のDXが進まない理由
政策金利が0.25ポイント上がって1.25%になった。年内にも再度の利上げがあるかもしれない。当然、既存の融資に対する金利も、銀行からプラス改定の交渉がくるに違いない。仕入れ・運賃・人件費等々、物価も更に上がり続けている。事業継続の意欲を持ち続けるには、一部の経営者にとって辛い時代である。
顧問先から「廃業するのに手元キャッシュで足りるのか」と問われたとき、即座に見積もれるか考えておいたほうが良い。
廃業コストは、
- 未払い税金・社会保険料
- 解雇予告手当・退職金
- 店舗・工場の原状回復費用
- リース契約の残債や機器・車両等の中途解約金
- 在庫・固定資産の処分費用
- 有害物質や産業廃棄物の処理費用
- 登記・専門家への費用
から成る。
経営判断の一つの目安として、
- 実質キャッシュ>債務+廃業コストであれば、「自主廃業」が可能であろう。
- 実質キャッシュ=債務+廃業コストなら、今すぐ決断すべき最終デッドラインといえる。
- 実質キャッシュ<債務+廃業コストなら、法的整理も視野に入れた対応を迫られる。
廃業における最大の敵は、「まだ大丈夫だろう」という先送りであろう。廃業した場合の総コストと手元キャッシュの差額を定期的にシミュレーションしておくことが、経営者自身の今後の人生を守るうえで、最も重要なことである。
10年国債利回りが一時3%に達した。
国内銀行の業態別の「貸出約定平均金利の推移(2026年7月分)」を見ると、
| 業態 | 貸出約定平均金利(新規・長期)(%) | 前年同月比(%) |
|---|---|---|
| 都銀 | 2.014 | +0.557 |
| 地銀 | 1.870 | +0.539 |
| 第二地銀 | 1.821 | +0.410 |
| 信金 | 2.157 | +0.286 |
[出典]日本銀行「貸出約定平均金利」より作成
2026年7月に発行された10年利付国債の表面利率は2.7%となっており、政策金利についても、9月に1.25%への引上げ観測が強まるなど、さらなる上昇が見込まれている。
政策金利が上がると、銀行の資金調達コストが上がる。結果的に、貸出金利の上昇として企業に転嫁されることになるであろう。
さらに、業績の良くない中小企業になると、リスクプレミアムが金利に上乗せされ、4〜5%近い借入金利が現実味を帯びてくるであろう。金利上昇下では、新規の設備投資や運転資金の借り入れコストは、既存融資の金利交渉での金利上昇よりも早く、企業業績に響いてくる。
特に毎月の返済額が厳しくなってきた企業では、既存の複数の融資をまとめて一本化し、返済年数を伸ばして毎月の返済額を軽減させたいと願うだろう。しかし、融資を一本化する場合には、新たな融資として扱われることになる。その時点の金利水準で条件提示され、従来より金利が上がる可能性も覚悟しておかねばならない。
いずれにしても、既存融資についても、変動金利や金利見直しのタイミングでは、銀行側から金利引上げを求められる場面が増えてくる。その対策も必要になってくる。
金利交渉では、単に「金利を下げてほしい」と要請するのではなく、直近の試算表や資金繰り表、今後の事業計画等を示し、自社の返済能力や将来性を銀行に説明することが重要になる。また、複数行と取引がある企業では、各行の提示条件を把握しておくことも交渉材料になる。
金利上昇局面では、借りる側も銀行任せではいけない。自社の信用力を数字で説明する力が問われる。
財務省のホームページに「相続税の課税状況の推移」が公開され、令和6年分のデータが掲載されている。これによると、
- 令和6年の死亡者数は160万5,378人と、初めて160万人台を超えた
- 課税件数は16万6,730件で、死亡者の10.4%に相当する
- 相続税の被相続人1人当たりの納付税額は1,948万円で、相続税収は3兆2,487億円
- 課税価格が1億円以下の件数が、全体の60.1%を占める
- 課税価格が5億円以下の件数で、全体の97.1%に達する
- 課税価格5億円超の件数が全体の2.9%で、納付税額は全体の48.7%となった
団塊の世代が順次80歳代に差し掛かり、「多死社会」が本格化する。日本の今後10年間の死亡者数は年間160万人前後の高水準で推移すると思われる。
相続税の課税件数も、当面の間は「死亡者の1割」が継続するだろう。今後の相続税申告マーケットを予測すると、
- 年間16〜20万件の相続税申告需要が見込まれ、
- その大半は、課税価格5億円以下の層。
- 遺産の多くは、不動産、有価証券、預貯金等で占められ、
- 税理士と接点がない個人も一定数存在すると考えられる。
- 銀行・証券会社・信託銀行・大手不動産会社等が最初の相談窓口となり(オーナー経営者等であればM&A仲介会社も)、
- 個人と税理士の間に入るケースが、更に増加してくる。
- 結果、税理士は、需要者である個人にコストをかけてPRするよりも、相談窓口となる機関に営業し、
- その競争がますます増加してくるのではないか。
いずれにしても、相続税申告マーケットは今後10年は確実に成長するだろう。
[参考]財務省「相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料」
東京の小谷野税理士法人が、税理士交代・変更を行った、または検討した経営者325名を対象に、インターネット調査を実施し、その結果を公表した。
ここではその調査結果から、3点取り上げてみたい。
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�@ 前の(現在の)税理士に対する最大の不満・課題(上位3つ)
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税理士に求められている役割は、単なる申告業務に留まらない。経営者は、困ったときにすぐ相談でき、経営について気軽に話ができる相手を求めていることがよく分かる。
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�A 新しい税理士を選ぶ際に最も重視した(している)項目(上位3つ)
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これに対し、「顧問料の安さ」は7.2%という結果で、選択肢の中では最下位であった。価格ではなく、「相談しやすさ」が最も重視されている点は印象的である。さらに、クラウド会計などのITへの対応力や業界特有の知識も重視されており、税理士に求められる役割が変化していることがうかがえる。
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�B AI普及後に人間の税理士へ「最も残ってほしい役割」(上位3つ)
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AIの活用が進んでも、経営者が税理士に期待するのは「人にしかできない役割」であることも注目したい。数字を入力したり計算したりする仕事はAIが担えるようになっても、経営者の悩みを聞き、状況に応じた助言を行う役割は、依然として人間に期待されている。
税理士業界の顧問先の大部分は中小零細事業者で、物価高倒産やコロナ後の過剰債務倒産など、苦境が続いている。一方で税理士側も、所長の高齢化や人材難により、「質の高いサービス」の提供が難しい。このような中で今回の調査結果を見ると、「人間味のある伴走型助言者」としての税理士像が不可欠な時代に入ったことを思わせる。
[参考]
小谷野税理士法人「325人の調査から見えた、これからの税理士選びの基準」
先だって、知り合いの経営者が、次のように語った。
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このように、デジタルサービスの利用経験や知識には、当然、個人差がある。会計事務所でも、昔からの顧問先では経営者の高齢化が進んでいたり、「うちは小規模だからDXなんて……」「DXを取り入れて、どんなメリットがあるの?」との反論をもらうこともあろう。
こうした類の顧問先で、業務にDXを普及させるには、業務の一部を取り出し、その部分を軸に最小単位のDXを採用してもらう方法も検討すべきである。
例えば、給与明細だけ電子化する事案を取り上げてみよう。紙の手渡しを廃止すると、
- 給与担当者の封入作業や、紛失による再発行等の業務負荷が減り、
- 従業員はスマホやPCで明細を見ることができ、過去の給与明細も瞬時に把握できる
といった具合で、双方にメリットが感じられる。加えて、会計事務所にとっても、給与仕訳や年末調整等の業務時間の減少につながる。
ところが、給与明細だけ電子化したいのに、給与ソフト変更もセットとなると、導入が止まる。給与ソフトはそのまま、給与明細だけ電子化するという最小単位のDXを提案することが、先決になる。
そこで給与明細だけ電子化できる外部サービスを使うことも必要になる。例えば、
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Web給与明細(オフィスステーション)
- 利用コストは、従業員21名以上の場合、1人あたり年間660円(月額55円・税込)
- 現在の利用者数は55,000社(同会社ホームページより)
- 現在の給与ソフトからCSV出力→アップロード→従業員へ配信という最小限のDXで済む
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他にも
- MyKomonのWEB明細
- マネーフォワード クラウド給与の給与明細機能
- LINE WORKSと給与ソフトとの連携通知機能
- ジョブカン給与計算の給与明細機能
顧問先にも、その従業員にも、直接的なメリットを感じられてこそ、DXは進む。普及のポイントは、最小単位のDXの提案に尽きる。























