2020/01/15 上場で事業承継に繋げる
2020/01/08 令和2年の会計事務所における重要な仕事の一つは……
2019/12/25 freeeの10倍値上げの意図は……
2019/12/18 キャッシュレス決済のデータが領収書の代わりになると…
2019/12/11 無料で試せる得意先の与信情報
2019/12/04 顧問税理士事務所も「ガイドラインの特則」を理解しておこう
2019/11/27 銀行も顧問料を請求する時代になるか

上場で事業承継に繋げる(2020/01/15)

 特定投資家のみが参加できる証券市場の東京プロマーケットに上場する企業がここ数年で急増している。2019年で9社、2018年も8社が上場した。

 特定投資家とは、金融機関や上場企業及び金融資産3億円以上、かつ投資経験が1年以上の投資家群のことで、一定のリスクが取れる企業が株式の購入者として登場する。

 上場を希望する企業のメリットとしては

  • 上場基準(売上高、利益等)に数値基準がない
  • 上場前の監査期間が1年で良い
  • 四半期開示は任意で構わない

等があげられる。マザーズやジャスダック等の新興市場に上場を希望するIPO予備軍が多くて、上場承認を得るのに数年は必要になってきたことに比べると、東京プロマーケットに上場し、後にマザーズ等に鞍替えする方法もある。

 上場後は東証の証券コードも得られるので、宣伝効果によって、営業戦略や人材確保、金融機関の信頼度向上につながるとの評価もある。一方、一般投資家の参加がない市場なので流動性は低く、当初の公募、売り出し以外での資金調達が主の目的である企業には向かない。

 東京プロマーケットの上場審査は、Jアドバイザーの資格を持った民間企業が行い、上場後も積極的に経営助言も行うが、Jアドバイザーから見放されると上場廃止にもなる。

 現在、野村、日興、大和等の証券会社及び日本M&AセンターやGCA等のM&A仲介の企業が、Jアドバイザーの資格を保有し、上場審査代行を行っているので、その分、上場への敷居は低いと言える。

 地方企業で業歴が古く地味な会社でも、東京プロマーケットに上場し、優秀な後継経営者を外部から募り、事業承継に繋げることなども有効な手立てとなるかもしれない。

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令和2年の会計事務所における重要な仕事の一つは……(2020/01/08)

 事業承継時の経営者保証を不要とする特則について、顧問税理士及び担当者として、この時期に確認しておきたいことは

  • 後継者の目途
  • 事業承継時期
  • 現経営者の経営者保証の有無
  • 後継者が銀行から経営者保証を求められたら事業引継ぎを「良」とするかのヒアリング

 意外に顧問税理士も、顧問先が銀行と交わした保証契約の存在を知らない、聞いていないことが多い。後継者が親族であれ、債務の連帯保証が引継ぎの条件と聞けば、躊躇するのも当然だし、まして従業員等の親族外承継なら断られても当然なのかもしれない。先日、知人が社長から「跡を継いでほしい」と言われ、家族に相談したところ、個人保証の有無で揉めたという話を聞いた。

 令和2年4月から、先の特則が「事業承継時に経営者保証を不要とする新たな信用保証制度」として創設され、原則個人保証を不要とし、貸し手の金融機関も経営者保証解除に伴うリスクを分担する新たな信用保証制度(事業承継特別保証制度)で「保証解除」の割合を増加させやすくする施策が実行される。

 事業承継特別保証制度のポイントは

  • @ 3年以内に代表者交代を予定する中小企業で
  • A 資産超過で、返済緩和中でない
  • B ネット借金が償却前営業利益の10倍以内
  • C 法人と経営者の分離が前提
  • D 保証限度額は2.8億円(うち無担保8,000万円)
  • E 保証期間10年
  • F 既存の個人保証を入れているプロパー資金の借り換えが可能
  • G 今後予定されている「経営者保証コーディネーター」による確認を受けると、保証料率も最大半減する

 顧問先の中ならA、Bの対象となる中小企業を選定し、Fで借り換えを行って、保証解除を顧問先が選択するか、保証料等のコスト面で保証継続するかの判断を、現経営者、後継者にしてもらうことは、必須な作業であろう。
 事業承継時の案件数で最も多い課題が、この「保証解除」であるのだから。

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freeeの10倍値上げの意図は……(2019/12/25)

 freee社が上場を果たし、12月20日の株価の終値は3,220円で、時価総額は1,500億円を突破した。2019年6月期実績は、売上高45億円に対し経常利益はマイナスの28億円。最近よくある赤字上場の注目企業である。ライバルであるマネーフォワードもこの日は5,080円の高値で終わり、時価総額も1,125億円になった。

 5年前にオリックスが弥生を買収した時の価格が約800億円だった。弥生は買収時も黒字で、2018年9月期の売上高は173億円、経常利益47億円と安定的に利益を計上していた。これと比較しても、何故freee社やマネーフォワードは時価総額が1,000億超の企業となるのか、不思議な現象でもある。

 freee社もマネーフォワードも、海外投資家の持ち株比率が高い。海外では、クラウドの会計ソフトベンダーというより、スモールビジネスの会計周りをフィンテック技術を使ってデータ収集やデータ分析ができる立場にあり、将来的には金融をメインとしたベンチャー企業として成長するといったイメージが膨らんでいるのかもしれない。

 freee社のIRに「成長可能性に関する説明資料」があり、同社の売上高の9割以上を構成する有料課金ユーザー数とユーザーが支払う年額課金額の推移が公表されている(赤字は第一四半期の増減)。

  2015/6 2016/6 2017/6 2018/6 2019/6 2019/9
有料課金ユーザー数 29,392 54,866 82,616 120,703 154,026 161,904
(前年比増減)    +25,474 +27,750 +38,087 +33,323 +7,878
年額課金単価(円) 12,220 14,066 21,051 25,545 34,591  

 ユーザーの声に合わせ機能の拡張を行い、順調に課金ユーザー数を増やしてきたが、増加数の程度は2018年6月期をピークに伸び方は鈍くなりつつある。年額課金単価も35,000円前後で固まってきた模様だ。

 freee社の売上高はユーザー数×課金単価なので、赤字脱却の成長策としては課金単価を上げることが手っ取り早い。既に公表した「各プランの機能変更」がネット上で「10倍値上げ」と騒がれているが、同社の思惑通りに課金単価の大幅上昇に繋がるのかは、これからの同社の将来を決定づけるだろう。

 プラン別の移行内容には、ベーシックプラン(年額47,700円)で使えた機能が来年2月では使えなくなり、プロフェッショナルプラン(年額477,600円)に移行すれば使える機能が13項目にわたり詳しく記載されている。

 例として「未承認仕訳」や「配賦基準の設定」「配賦ルールの設定」等は重要な機能だが、助言者を必要とする機能なので、認定アドバイザーである税理士へは事実上の単価値上げ行わないとしている。freee社からすると、今後のユーザー数の確保やfreeeを本当に使えるツールとしてユーザーの信頼を得るためにも、認定アドバイザーを活性化することを目論んでいるようにも見える。

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キャッシュレス決済のデータが領収書の代わりになると…(2019/12/18)

 2020年度の税制改正大綱に、電子帳簿等保存制度の見直しがある。キャッシュレス決済を行いデータで受領した領収書を、データのまま保存することが認められるようだ。データの訂正削除ができないシステムであるなどの条件はあるが、紙で保存したり、スマホで写して保存する必要がなくなる。来年4月からの実施を目指していたようだが、来年10月からの施行とある。

 会計事務所からすると、顧問先に支払い関係のキャッシュレス化を極力促し、クレジットカードや電子マネーの明細データをクラウド会計システムに取り込んで、領収書等の紙保存の面倒から解放することが可能になれば、相当の業務効率化に繋がることになると思えるが、そう単純なことでもなさそうだ。

 顧問先が小規模な同族会社や個人事業所が多い会計事務所では、税務上の必要経費や損金算入の判断を下すのに、「領収書に記載された日付、金額、但し書、発行元の名前」だけでは判断材料が不足するので、費用区分が

  • 交際費なら得意先名やその内容
  • 会議費なら参加人数
  • 消耗品費なら購入明細、数量
  • 修繕費なら見積もり明細
  • 海外出張費なら旅程表

等々、経費明細を書き込んでもらう指導をすることが重要なことであった。

 大企業のように紙データが大量にあるところでは、データを領収書の代わりにできるなら相当の効率化になるだろうが、物量よりも「経費としての妥当性」を事実として残し、後の税務調査に備える必要性の高い同族会社や個人事業主には、「紙証憑」も有用で、これが支払先が発行する領収書やレシートのデータのみで「保存」となれば、「妥当性」と紐づける仕組みを別に構築する必要性が生じてくるだろう。

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無料で試せる得意先の与信情報(2019/12/11)

 2019年も約半月で終了となる。この時期になると、中小企業は、年末資金として予定している大口得意先の与信状況が気になるころだ。

 与信情報というと、帝国データや東京商工リサーチのような大手から、気になる得意先の与信情報の購入を検討したりする。それ以外にも、最悪となる倒産に至るまでには、それなりの兆候があり、更に昨今のネット社会では、数値以外の「対象企業の気になる兆候」が情報として拡散している。しかし、こうした情報を日々吸い上げるのもマンパワーを要すので、最近話題の「アラームボックス」が有効になってくる。

 アラームボックスは

  • @与信情報を取得したい得意先を登録しておくと
  • ASNS、各種口コミサイト(特に転職・退職者の口コミ)、ブログ、業界専門メディア、取引情報、登記情報、公的機関情報(行政処分等)のサイトをクローリングして
  • B登録した得意先に関する情報があれば
  • C自身にメールで「案内」があり
  • D「信用状況」「最新のアラーム発生日」「アラームレベル」「アラームの内容」の分類で提供された情報を閲覧でき
  • Eアラームの内容として下記のような項目が挙げられる
    (アラームボックスホームページ)
    • ネガティブな口コミ
    • 評価ランクの急降下
    • 取引代金の支払い延滞
    • 不動産の差し押さえ
    • 行政処分
    • 不正・不祥事
    • 退職者増加
    • 信用調査の集中
    • 開店や閉店
    • WEBサイト更新
    • 社長交代
  • F利用料金は月額1,480円で5社まで、月額4,800円なら20〜100社まで登録数を増やせる
  • G会員登録して最初の15日間は無料で上記機能をお試しできる
  • H既に2,000社超の企業が利用していて
  • I今回の増資で岐阜の大垣共立銀行、京都銀行、伊予銀行等の地域金融機関のグループ会社が引き受けした

 無料で会員登録して、得意先の「気になる兆候」をアラームボックスで管理し、本格的な調査を必要としたときは、大手信用機関も利用して債権保全を万全にすることも必要だろう。

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顧問税理士事務所も「ガイドラインの特則」を理解しておこう(2019/12/04)

 金融庁が11月25日に開催した「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」の冒頭で、麻生大臣が事業承継でネックになる個人保証や二重徴求について言及、結果、民間金融機関から「事業承継時に焦点を当てたガイドラインの特則」(以下、特則)を年内に策定するとの回答を得た。

 特則の改定要旨は、日本商工会議所ホームページでも記載されているが、

  • 事業承継時の後継者(親族、第三者)にとっては朗報と言える「原則、二重徴求の禁止」が明確になる
  • 経営者保証の有無で金利水準がどう変わるか明確にする
  • 法人個人の一体性の解消を図る予定の債務者が、一定の要件を満たせば経営者保証を必要としなくても良い

 一般に、同族会社では法人組織で活動していても、経営者=大株主であることが大半で、金融機関からすれば、法人に融資しているのに、資産の大半は個人所有になっていて、法人債務の弁済が滞った時の保証を経営者本人から取っておきたいとするのは、ある意味当然のことであったと思う。
 しかし、中小企業(大半が同族企業)の多くが事業継承という課題を抱えはじめた昨今、後継者が金融機関から経営者保証を求められることに難色を示すケースが多く存在し、まして、ベテラン従業員等が後継者として継承するに際し、法人債務の個人保証は受け入れがたいのも事実である。

 経営者保証のガイドラインの活用が叫ばれて久しいが、金融機関の実態は新規融資の際の「経営者保証を取らない割合」は平均で20%前後に過ぎず、「貸す側」「借りる側」の「保証」に関する溝は埋まっていない。

 そこで、事業継承時に限ってガイドラインの特則を策定することに、政府も予算化をして対処していくことになった。

 同族会社の大半を顧問しているのが税理士事務所なので、この特則を運営していく上で更に大きな役割を担っていくことになる。実際に「所有と経営の分離」が形骸化している同族会社では

  • 取締役会などは事実上開催されず、決算承認等の重要事項も税理士事務所側が用意した書類にサインすることで済ますケースが多く見受けられる(金融機関側も黙認しているようだ)
  • 監査役もいるが、身内で構成されることが多く、監査機能は全くない同族会社も多い

 こうした不適切な社内管理体制で運営されている限りにおいては、「経営者保証」を取らざるを得ないことも事実であり、顧問・指導する立場にある税理士事務所も「特則」を十分に理解しておかねばならない。

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銀行も顧問料を請求する時代になるか(2019/11/27)

 石川県金沢市に本拠を置く北國銀行の中期経営計画(2018/4〜2024/3)が公表されている。計画骨子を率いたのが代表取締役専務である杖村氏である。杖村氏は、freeeとの積極的な提携や、銀行の基幹システムのクラウド化など、地銀全体の中でもICT領域における次世代のリーダーである。計画書の内容が、今後の会計事務所経営に少なからず影響を与えるものと思い、紹介する。

1 過去10年間の総括

  • 資金利益が126.4億円減少した
  • 経費を67.5億円削減した
  • 149店舗から49店舗減少させ、100店舗を閉鎖及び店舗内支店で再編した行員数を649人減らした

 収益環境が激変し、業務効率化等の経費削減で運営してきたが、更なるコストカットのみでは将来展望は描けない。

2 今後の目指す方向として非資金利益の拡大をはかる

  • @ 生産性向上等を通じて、強靭な経営体質を構築する
  • A リース、カード事業の強化によるフィービジネスの実現
  • B コンサルティング(創業、医療、介護、海外、ICT、M&A、経営改善、事業承継、再生ファンド等)

3 目標とする経営指標(一部抜粋)

  • カード、リース、コンサルの収益を、現状の12億円から40億円にまで高める

 これは、現状の経常利益に占める割合を8.5%から目標経常利益の25%にまで高めるという、思い切った指標である

4 コンサルティング収益の目標

  • 2019/3期のコンサル収益3億円を、2024/3期には15億円を目標値とし、約5倍の意欲的な数値を設定
  • この意欲的な数値を達成する手法として「サブスクリプションコンサル」の確立をあげている

 最近、マーケティング手法の一つとして各業界で取り上げられている「サブスクリプション」とは、「定額サービス」のことで、モノ・コトの購入ではなく「使用・利用権」を定額で支払い、サービスを受けることとして認知されてきている。

 銀行が定額サービスのモデルを作って経営コンサルを取引先に行うようになれば、月額課金で経営から事業承継に至るまで、あるいは北國銀行は会計ソフト導入にも積極的だから、入力代行や帳票の読み方までサービスとして提供してくる可能性もある。

 会計事務所は、永くサブスクリプションとして「顧問料」制度を導入してきた。地銀の収益確保の一環として、我々の顧問先へ銀行による顧問料が請求されてくる時代がやってきた。顧問先が、融資で繋がっている銀行と、税務申告手続きで繋がっている会計事務所から「定額サービス」を提案されたら、どちらを選択することになるだろうか。


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