2018/11/14 士業がITで武装すると…
2018/11/07 個人事業主の事業承継
2018/10/31 相続税改正後の税務調査の実態は?
2018/10/24 大手の事務所にとって競合関係になるのかも…
2018/10/17 ペイオフが実施されても大丈夫ですか?
2018/10/10 独立してわかること
2018/10/03 株高と会計事務所の業務


士業がITで武装すると…(2018/11/14)

 士業の中でも、弁護士業界のITを駆使したスタートアップが相次いでいる。上場した弁護士ドットコムが運用する「クラウドサイン」に続けとばかりに、弁護士による起業が盛んだ。

 契約書の作成から管理までを一括サポートするクラウドサービス「Holmes(ホームズ)」や、AI契約書レビューサービスの「AI-CONレビュー」等は、資金調達も果たし利用者数も急増している。

 自身の弁護士活動を通じて、訴訟を起こしたいが賠償請求額より弁護士費用が高く訴訟を断念する被害者を多く見てきたことが体験としてあり、被害者救済のために、集団訴訟を起こしたい被害者の取りまとめを行うプラットフォームを構築した弁護士がいる。(株)クラスアクションが運営する「enjin(円陣)」では、β版ながらこの2ケ月で1万人の利用者を獲得し、集団訴訟の提起に至った案件も出ている。

 サイトを見ると、約100件近い「募集中」と表示された訴訟一覧が掲示されている。概要を見て、自身も集団訴訟に加わりたい人は応募できる仕掛けになっている。

 訴訟の大半は「仮想通貨詐欺」「投資詐欺」等であるが、「商品購入時の説明不足により損害を被った」「当初の約束が履行されなかった」等、大企業を被告として集団訴訟を求めていく案件も、数件であるが出始めている。

 応募を受ける訴訟カテゴリーには、労働問題・製造物責任・個人情報漏洩・株主代表訴訟・フランチャイズ紛争等、企業が対象になるキーワードも多い。

 「enjin」の認知が進み、提訴中の集団訴訟で勝訴したりすれば、例え数万〜数十万円程度の被害額でもプラットフォームを通した集団訴訟が簡単に提起される時代が来るのかもしれない。

 専門性をITでもって多くのユーザーの利益に貢献するような士業のビジネスモデルが、今後も登場してくるであろう。


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個人事業主の事業承継(2018/11/07)

 10月22日に開催された規制改革推進会議の行政手続部会の議事録が公開されている。ここでの議論の一つに「個人事業主の事業承継時の許認可手続きの簡素化について」がある。

 70歳代以上の個人事業主が約80万人いるとされ、相続による事業承継時の手続きの課題と現経営者生前中に行う事業承継時の課題及び各中小企業団体からの要望等が議題に上がっている。

@相続承継時の課題
  1. 事業主死亡後に子又は配偶者が承継する場合は「承継届」等簡易な手続のみ。
  2. 子・配偶者が健在で、孫や兄弟及び従業員等が承継する際には、新規の許認可手続が必要。
  3. 子・配偶者以外の親族承継の手続きを簡素化し、相続後の営業が円滑になるような要望が多くの業界から出ている。
A生前承継時の課題
  1. 理美容の業界であれば、相続承継の手続きなら「相続承継届」「戸籍謄本」「相続人全員の同意書」があれば良く、生前承継になると「開設届」「施設内の平面図」「建物の施設の位置図」「施設の付近の見取り図」「全員分の理美容師の免許証」「従業員が結核ではない旨を証明する書類」「開設手数料」「施設の確認審査」等多くの手続及びコストが必要になる。
  2. 酒類販売業の場合であれば、生前承継の手続きで15種類の書類及び税務署の現地確認や登録手数料の納付が済まないと営業できない。結果、休業をして手続きをしなければならない。
  3. その他、飲食業・クリーニング業・建設業・旅館業等の業種の手続きも複雑で、各省庁にまたがり簡素化を望む声が強い。
 個人事業主の事業承継は早急に対処すべき課題で、第三者への事業譲渡のマッチングサイト等も充実してきており、後継者発掘の機運が芽生えているところからも、特に許認可を必要とする業種の手続きに関する「規制緩和」は必要とされるだろう。

 士業ビジネスにとって規制緩和が実現すれば、「逆風」にもなるし、生前承継の準備をプレゼンする士業にとってはビジネスチャンスにもなると思う。


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相続税改正後の税務調査の実態は?(2018/10/31)

 例年11月には国税庁の報道発表で「相続税の調査の状況について」がホームページに掲示される。今年の11月の報道発表は平成29年事務年度の報告なので、相続税の調査は平成27年に相続税申告を行った人を中心に調査を行い、その結果をまとめた資料が公開される予定だ。

 平成27年は相続税の基礎控除が改定減額された年にあたり、相続税の申告数が前年の倍にあたる10万件を超える年でもあった。基礎控除の改定減額前の相続税の調査実態も把握しておけば、改定前後の影響の違いが読み取れるかもしれない。

 平成28年事務年度の報道発表によると、平成26年に発生した相続事案を中心に税務調査を実施し、その件数は全国で12,116件あり、非違割合は82%に達し、1件当たりの申告漏れ課税価格は2,720万円だった。平成26年分の申告数は約5.6万件なので、申告数に対する税務調査の割合は約2割強で、そのうちの約8割強が修正申告をしている状況になっている。

 3大都市圏のある国税局別に見ると
国税局 調査実地件数 非違割合 1件あたり申告漏れ課税価格
東京 3,227 76.50% 2,964万円
大阪 1,954 85.30% 3,016万円
名古屋 1,722 84.10% 2,900万円

 大阪国税局の非違割合が一番高く、他の国税局の報道発表で見ても、東京を除く国税局での非違割合は80%を超えている。

 平成29事務年度の「相続税の調査の状況」が近く報道されるが、相続税改正で倍増した申告数に対し、調査実地件数がどの程度増えているのか、非違割合は変化しているか、無申告者の件数や非違割合を確認しておくことも相続税申告手続きの受託を強化しようと思う事務所には必要だろう。


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大手の事務所にとって競合関係になるのかも…(2018/10/24)

 2年前のベストセラー「捨てられる銀行」は、地銀のビジネスモデル変革を説いた書物として多くの企業人に支持された。そこにモデル銀行として登場する石川県に本店を置く北國銀行は、営業ノルマ廃止という思い切った施策を打ち出し、世間を驚かせた。強烈な営業ノルマと管理職による非人道的なパワハラが発覚したスルガ銀行とは対極にある。

 金融庁が事業性評価に基づく融資の促進を強調し、銀行員のコンサルティング能力の向上を求めたのは記憶に新しいが、北國銀行は昨年4月に組織改革で「コンサルティング部」を銀行内部に発足させている。約90名強の専任スタッフを置く本格的なコンサルティング会社のようである。
 ほぼ同時期にクラウド会計ソフトのfreeeと提携し、創業期の事業者にはfreeeを使うことを前提に融資を行ったり、「リアルタイム経営シグナル」を共同開発して、取引先の経営状況を把握し問題点の指摘等を進めてきている。

 10月に発刊された「北國銀行のコンサルティング」というパンフで記されたサービス内容を見ると
  1. グループウェア等のシステム導入・運用支援で今日まで65社の実績を持つ
  2. freeeの導入支援を軸に業務効率化支援の実施
  3. 人事評価制度の構築、賃金体系の整備支援等の人事コンサルティングの実施
  4. 管理職向け人材研修等、人材育成支援の実施
  5. シンガポール支店を軸に約20名のスタッフによる海外ビジネス支援の実施
  6. 経営戦略策定支援や改善率86.7%に昇る経営改善支援業務の実施
  7. 事業承継・M&A、ホールディング体制等の組織再編支援の実施
  8. 医療・介護分野では診療圏分析や医療法人出資持分の評価やMS法人の設立等の支援
  9. ビジネスマッチング
  10. 補助金導入で年間100件近い応募支援
  11. 「創業当座貸越」等を利用した創業支援の実施
 これだけのメニューがあり、すべてコンサルティングを受けた取引先の参考事例が掲載された24ページに及ぶパンフレットである。地銀全てがこのように変革するとは思わないが、税理士業界にとってはとんでもないライバルが登場してきたようだ。

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ペイオフが実施されても大丈夫ですか?(2018/10/17)

 スルガ銀行への金融庁の行政処分が公表された。投資用不動産融資の半年間停止が主たる処分で、同行にとって個人向け融資の半分以上を占め、資金利鞘3%を超える、他の地銀からすれば驚異的な収益力を生み出した「金の卵」商品が、実質的に販売できなくなる。

 スルガ銀行のホームページのトップ画面に「当社に対する行政処分について」が告知され、今回の不正に関する項目が記載されている。それによると

「シェアハウスおよび投資用不動産融資に係る書類の改ざんへの関与・黙認等
  1. @レントロールの改ざん  131件
  2. A自己資金の改ざん  1,101件
  3. B収入の改ざん  89件
  4. C二重契約等  225件
 上記には、当社職員が黙認はしないまでも疑念を抱きつつ融資を実行した案件も含みます。」

とある。どうみてもこれは不正というより犯罪に近い。金融庁がこの銀行を「手本」のように他の地銀に奨励してきたことが、信じられない気分になる。


 8月に開示されたスルガ銀行の2019年3月期第一四半期決算短信を見て
  1. 貸出金の表現が住宅ローンから有担保ローンに変更されている
  2. 貸出金残高3.1兆円のうち有担保ローン残高は2.8兆円
  3. 調査委員会の報告によると、有担保ローン残高のうち投資用不動産融資残高が1.9兆円
とあり、過去の決算短信では投資用不動産ローンも大半が「住宅ローン」に含ませていたようだ。こうした行為があると、決算短信も信用してよいのかわからなくなる。

 スルガ銀行の個人預金者も動きが出ているようだ。
 2018年6月期の個人預金残高が1年前に比して1,851億円減少し、3ヶ月前の比較では1,486億円減少している。今回の行政処分等で更に急速な預金払い戻しが出てきてもおかしくない。因みに静岡銀行の個人預金の残高は2,407億円増加している。スルガの個人預金の大半が移動したようだ。

 しばらく話題にもならなかった「ペイオフ」についても、再学習しておく必要がありそうだ。


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独立してわかること(2018/10/10)

 先般、税理士事務所を開業して数年程度経過した税理士が複数集まる機会があり、「独立して思うこと」を述べてもらった。ランダムに内容を挙げてみると
  1. 誰も自身の仕事の出来栄えをチェックしてくれない。
    誤りがないか指摘されないので、不安に思うことがたびたびある。
  2. 目先の仕事に追われて今流行のビジネスワードに疎い。
    会計や税務のソフトの進化についていくのがやっとの状態で、RPAやAI-OCRなんて聞いてもよくわからない。
  3. 事務所で雇用を生み出そうと野心を持たなければ、充分食える実感はある。
    逆に自身のキャパを超えると、それ以上のサービスはできない。
  4. 「先生」と特に呼ばれたくないけど、呼ばれてしまうので「茹で蛙状態」 になっていることに気づかないのが不幸と思うことがある。
 最新のテクノロジーの変化に気づいていても、周知=実行と行かないことへのもどかしさと、税理士及び顧問先が従来通りのやり方で何がダメなの? といった相互納得感が、居心地の良さと焦りを醸し出している現実に、一種の苛立ちを感じているようでもあった。


 ここ数年で確実に、中小の組織体でもITによる業務革新の波がやってくる。なくなる仕事と人にしかできない仕事の境界線がはっきりと見える世界になっていくだろう。自身の信頼できるデジタルレイバーをタスクごとに多く保有し、税理士という「人」がデジタルレイバーの作業のチェック役になっていけば、上記の不安はなくなる。


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株高と会計事務所の業務(2018/10/03)

 9月28日に日経平均株価がバブル崩壊後の最高値を更新した。米中貿易摩擦が世界景気にどんな影響を及ぼすのか判然としない中、円安が進んだこともあり株高となった。これで再び日経平均株価が3万円台に向かうとの強気筋の声が聞こえてくるかもしれない。

 会計事務所の業務に日経平均株価の動向が関係してくることの一つに、顧問先で類似業種株価をもって財産評価する必要のある企業の税金対策がある。

 この2年間の日経平均株価の月の終値を見ると
  1. 2016年9月終値    16,449円
  2. 2017年9月終値    20,356円
  3. 2018年9月終値    24,120円

と、2年前のほぼ1.5倍になった。

 類似業種株価で2年間の推移を見ると(中分類で各年度の6月の株価の一部を抜粋)

 

  2018/06 2017/06 2016/06 2年間の上昇率
総合建設 336 269 168 200%
化学 498 394 299 166%
生産機械製造 361 319 226 159%
電子機器製造 358 202 150 238%
電気器械製造 529 389 277 190%
輸送用機械製造 345 311 234 147%
情報サービス 762 576 458 166%
運送業 388 301 205 189%

 

 電子機械製造の業種株価が倍以上になり、半導体市況の好調さが素直に株価に反映され、総合建設も復興事業や東京五輪関連で株価も倍になった。運送業も運賃単価の値上げ等で株価も反応している。

 顧問先の業種別株価を小分類でこの2年の動きを観察し、類似業種比準株価の今後の予測を行うこともサービスの一環となるのではないか。



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