
- 2026/05/12 税理士が知っておくべき「医師の新規開業ルール」の大変革
- 2026/04/21 原油高騰による追加融資は可能か?
- 2026/04/07 小規模な事務所に打ってつけのツールが登場
- 2026/03/24 顧問先の「価格交渉」を手助けする、税理士の役割
- 2026/03/10 銀行コンサルが税理士交代に至る理由とは?
医師が診療所を新規に開業する場合、これまでは「自由開業」が原則であった。誰でもどこでも、開業地を選定して自治体や保健所に届けさえすれば、開業が可能であった。ところが、改正医療法(2025年12月12日公布、2026年4月1日施行)により、外来医師過多区域では、開業前の届出・協議が重要となり、「新規開業」のルールが「自由」から「行政との相談」に大転換することになる。
厚生労働省の資料より、ポイントをまとめると、
- 地域及び診療科において、医師の偏在が社会問題化している背景があり
- 外来医師過多区域において、新規開業や一定の承継により無床診療所を開設する場合、
- 開業6ヶ月前に都道府県に届出(提供予定の医療機能を記載した事前届出)が必要
- 提供予定の医療機能(夜間休日診療、在宅医療等)を明示すること
- 開業予定地で不足する機能の提供が求められる可能性があり、要請に応じられないと、保険医療機関の指定期間が、通常の6年ではなく3年(再々指定時以降も勧告に従わない状態が続く場合には2年)に短縮されるリスクがある
- 管理者となる医師等に求められる要件の一つとして、原則、次の従事経験が必要
- 医師は、2年の臨床研修修了後、保険医療機関(病院に限る)における3年以上の保険医従事経験
- 歯科医師は、1年の臨床研修修了後、保険医療機関における3年以上の保険医従事経験
注意点として、
- 2026年10月以降の開業案件では、6ヶ月前の事前届出と行政との事前調整が実質必須となる
- 物件契約・内装契約の前に、対象区域に該当するか、不足する医療機能として何が求められるか、事前届出・協議の流れを都道府県に確認してから行うこと
顧問先に医療機関が少ない税理士事務所でも、今回の医療法改正の「新規開業ルールの見直し」は、大きなチャンスとなる。
まずは
- 開業予定地が対象区域に該当するか否か、自治体に早期に確認
- 求められる医療機能による収支シミュレーション
- 在宅医療:往診車・スタッフ・ICT費用
- 夜間休日:当直費・人件費
- 公衆衛生:収益性は低いが、不足している地域では提供を求められる
- 既存診療所で親から子へ継承を予定している場合の「子が管理者要件」に該当するか
- 既存医療法人の支店の管理者を変更する場合も、要件に該当するかを確認
今回の規制は、保険医療機関の指定期間短縮という実効性ある措置を伴うものであり、医師自身にも周知しておくことが必要になる。
原油高騰がいつまで続くか、誰にも分からない。このような経営環境下において、コロナ融資の返済残高がある中小企業は、新規の資金調達をどうすればよいのか?
- コロナ融資は「危機対応」枠で、今回の原油高騰対応による制度融資は「経営環境変化対応」枠
- 枠が異なるため、原則、コロナ融資残高があっても申請は可能とされている
- 信用保証協会も特にセーフティネット保証4号は、発動期間中は「100%保証」なので、金融機関も積極的に扱いやすい
- 資金繰り悪化要因が原油・物価高騰によるものと数値で説明できれば金融機関も追加融資は可能
- 原油高騰の影響で「原価率の上昇」「燃料費の増加」「利益率の悪化」を明確に示すことが必要
- 資金使途は原則として運転資金に限られ、既存債務の単純返済目的は認められない
コロナ融資の返済が残っていても、「追加融資」の審査を通りやすくするために、金融機関の担当者への提出資料として、今後以下が必要となってくるだろう。
- 今後12ヶ月の資金繰り表の作成
- 原油高騰の影響を示す「原価率・燃料費」等の推移を示す資料の作成
- 返済原資の説明が可能な事業計画書の作成
国も2026年3月27日付で、官民の金融機関向けに「中東情勢を踏まえた金融上の対応について」として指示を出した。その中で、「既往債務の条件変更や借り換え等については、引き続き申し込みを断念させるような対応を取らないことは勿論のこと、事業者に寄り添った迅速かつ柔軟な対応を継続すること」とフォローしている。
早めの情報整理と準備が、資金調達の可否を分けるポイントとなりそうだ。
[参考]金融庁「中東情勢を踏まえた金融上の対応について」(2026年3月27日)
株式会社Bloom Act(ブルームアクト)の運営するオンライン商談システム「ROOMS(ルームス)」は、人手不足に悩む会計事務所や小規模な税理士事務所には、現状を打破する可能性を大いに秘めたツールになるかもしれない。
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、りそな銀行、日本郵便、野村證券など、日本を代表する金融機関を始め、大手地銀等も続々と「ROOMS」を導入している。
税理士事務所が顧問先や新規開拓先に「ROOMS」を使う場合、次のようなイメージができる。
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他にも多くの機能があり、実際の月次訪問と同様の効果をあげる可能性を秘めている。
利用料は1ルームあたり月額35,000円、ルームに参加するメンバー1人あたり月額3,000円で、ユーザーである会計事務所の費用負担になる。顧問先側の負担はない。
例えば顧問先の社長と会計事務所の担当者及び所長(若しくは管理者)の3人で、月次試算表の説明、社長とのやり取りと、次月までのお願い事項などの伝達をオンラインで行うとする。会計事務所側の費用は、35,000円+3,000円×2=41,000円で済む。接続時間帯を変えて他の顧問先を同じルームでオンライン面談すれば費用は増えない、担当者が変われば、3,000円の追加が必要となる。
顧問先社長のデバイスは、PC・タブレット・スマホ等、なんでもよい。ルームに接続する方法は4通りある。面談後のログは残るので、所長や管理者は不在であっても、後にログをチェックすることで担当者の説明力や間違い等を管理できる。
忙しい経営者の時間を奪うことなく、記録が残る。職員の品質管理や説明力向上ができるサービスになるであろう。
今年の1月から施行された「取適法(中小受託取引適正化法)」は、従来の下請法+フリーランス新法を包括的に拡張した上位法で、中小企業全体の取引環境を改善するための新しい取り組みとして期待される。
具体的には、
- 委託側(発注側)が価格交渉に応じない、無視する、といったことが禁止される
- 受託側(下請側、仕事を受ける側)にとって、原材料費、労務費の上昇を理由にした値上げ要求が、制度的に認められやすくなる
- 委託側による受領拒否、支払い遅延、減額、返品、買いたたきなどの禁止行為が、従来に増して強化された
- 法律に違反したときの指導・勧告・公表リスクが増大し、委託側にとってはより慎重になってくる
同時に、
- 契約書・発注書・協議記録などの保存が、従来以上に重要になってくる
- メール・議事録などにより、価格交渉の証跡を残す
などの義務を果たすことがますます重要となり、その分、管理コストも増加する。
中小企業の取引適正化についての法整備は進んできたものの、現実には、受託側となる中小企業やフリーランスにとっては、法律よりも「取引継続」を優先せざるを得ない事情があることも確かである。
- 「契約書をください」と言ったら嫌がられるのでは?
- 「支払サイトを守ってください」と言ったら次の発注が来なくなるのでは?
- 「無償修正はできません」と言ったら他社に変えられるのでは?
等の心配はぬぐい切れない。
しかし2026年施行の取適法は、
- 行政が取引慣行を監視
- 匿名相談・通報の仕組み
- 業界ごとのガイドラインの整備
- 発注側への行政指導・公表制度を強化
- 中小企業庁による実態調査の強化
によって、受託側が委託側に言いにくい風土を、少なからず弱める作用を準備している。
さらに今回の法律は、行政が委託側に「調査」→「指導」→「公表」を行う仕組みを強化している。「言ったら切られる」から、「言わないと委託側が行政指導される」という時代に変わるかもしれない。
中小企業の相談を間近に受ける税理士は、今回の「取適法」を丁寧に顧問先経営者に説明すべきだろう。
名古屋に本店を置く「あいち銀行」は、昨年1月に愛知銀行と中京銀行が合併して誕生した地銀である。
あいち銀行の親会社である「あいちフィナンシャルグループ」は、銀行コンサルを行う「栄町リサーチ&コンサルティング」を昨年10月に発足させた。社員数39名でスタートし、今後の5年間で人員を100名程度まで増員する予定だ。
コンサルティングの主なテーマは、事業承継(M&A含む)及び中小企業向けDX導入、経営改善等、多岐にわたり、税理士の提供する範囲にも被さってきている。
全国的にも横浜銀行、静岡銀行、千葉銀行等のコンサル子会社、コンサルを内製化する北國銀行や大手信用金庫にも、中小企業向けのコンサル部隊が充実している。
従来は、「融資の銀行」と「税務の税理士」で中小企業向けの営業活動は棲み分けができていたが、銀行のコンサル活動の拡大によって、相互の境界線が曖昧になってきた。
銀行がコンサル活動を始めると、
- 試算表が遅くて改善計画が作れない
- 月次の精度が低く、銀行が数字を信用できない
- 経営者が数字を理解しておらず、改善会議が進まない
- 税理士が資金繰り表を作成できない
- クラウド会計に非対応で、データ共有が遅い
といった銀行の不満が中小企業の経営者に伝わり、その結果、税理士変更が起きやすくなってきている。
大手の税理士事務所なら、コンサル専属部門を持って、会計・税務申告の本業とは切り離して活動時間を確保したり、コンサルタントの教育を充実させたりするところもある。しかし平均的な事務所では、人員的に本業もコンサルも兼務して行わなければならず、コンサル専担になりにくいのが実情であろう。
銀行担当者も従来は、融資を獲得するための「無料の簡易なコンサル」を提供しているに過ぎず、時間を割いて経営改善指導を行うまでには至らなかった。
ところが、こうして「あいち銀行」のように100名規模のコンサル会社を目指し、他のライバル銀行の優良得意先に食い込むような展開に持っていく銀行が生まれてきた。
「先代からの付き合いの税理士」にとっても、銀行コンサルによって顧問先との綻びが見え、税理士の変更(交代)が進んでいる、ということが、十分にあり得る状況ではないだろうか。























