- 2025/05/23令和5年分 相続税の申告事績の概要 国税庁
- 2025/05/21106万円を撤廃する年金制度改正法案が国会へ提出 厚労省
- 2025/05/19セルフメディケーション税制対象医薬品に係るレシートの表示の誤りについて 厚労省
- 2025/05/16グローバル・ミニマム課税関係への対応に関する改正のあらまし 国税庁
- 2025/05/14令和7年4月1日以後終了事業年度等分の別表公表 国税庁
- 2025/05/12令和7年4月源泉所得税の改正のあらまし 国税庁
- 2025/05/09扶養親族等の所得要件の改正のみ12月1日以後支払う給与から適用に
- 2025/05/07変更を予定している年末調整関係書類 国税庁
- 2025/05/02令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について 国税庁
- 2025/04/30「令和7年度税制改正」(令和7年3月発行) 財務省
- 2025/04/28令和7年分の路線価図等の公開予定日 国税庁
- 2025/04/25産科医療特別給付事業に基づき支払われる給付金の所得税法上の取扱いについて 国税庁
- 2025/04/23令和7年4月改訂 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 国税庁
- 2025/04/21令和7年中に相続等により取得した原子力発電所周辺の避難指示区域内に存する土地等の評価
- 2025/04/18基礎控除等の引上げと基礎控除の上乗せ特例の創設 財務省
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2024年の倒産件数は1万件を超えた。コンプライアンス違反による倒産が増加傾向にある。帝国データバンクや東京商工リサーチの調査では、
- 2024年のコンプライアンス違反倒産は388件(帝国データバンク調査)
- 2024年度は317件(東京商工リサーチ調査)
- いずれの調査でも過去最多を更新している
違反の実態としては、
- 公租公課滞納
- 不正受給
- 粉飾決算
等が大半を占める。
3月決算の税務申告時期を迎えた。過剰債務や関税問題で一時的な資金調達を求める中小企業経営者の一部は、決算書の粉飾の誘惑にかられ、会計事務所の職員に粉飾決算書の一部作成を依頼、もしくは、会計事務所には秘密裏に、自身や自称コンサルタントを使って、決算書の操作を行うこともある。
銀行が融資先について「粉飾決算かどうか」を判定する際に、重点的にチェックする項目は多岐にわたる。主なものを以下に挙げる。
財務諸表の分析
売掛金・買掛金:
□ 売掛金回転期間が不自然に長期化していないか(架空売上の可能性)。
□ 売上高に比べて売掛金残高が異常に増加していないか。
□ 買掛金回転期間が不自然に短期化していないか(費用の過少計上の可能性)。
□ 取引先との関係性や、事業内容と売掛金・買掛金の残高が整合しているか。
在庫:
□ 在庫回転期間が不自然に長期化していないか(不良在庫や架空在庫の可能性)。
□ 売上高との比較で在庫が異常に増加していないか。
□ 原価率や粗利率が急激に変動していないか(在庫評価の不正の可能性)。
固定資産:
□ 減価償却費が適切に計上されているか。
借入金:
□ 簿外負債が存在しないか(連帯保証債務など)。
キャッシュフロー計算書:
□ 営業活動によるキャッシュフローが安定的にプラスであるか。
□ 投資活動や財務活動によるキャッシュフローとの整合性。
財務諸表以外のチェックポイント
勘定科目内訳明細書:
□ 各勘定科目の内訳が詳細に記載され、内容が妥当であるか。
□ 不明瞭な科目(仮払金、仮受金)や金額がないか。
試算表:
□ 月次や四半期ごとの試算表の推移を確認し、急激な変動がないか。
総勘定元帳:
□ 取引の記録が適切に行われているか。
□ 不自然な仕訳や取引がないか。
税務申告書:
□ 決算書と税務申告書の内容に大きな差異がないか。
資金繰り表:
□ 将来の資金繰りの見通しが現実的であるか。
□ 返済能力に問題がないか。
経営者のヒアリング:
□ 経営状況や業績に関する説明に、矛盾や不自然な点がないか。
□ 経営者の人柄や経営姿勢。
実地調査:
□ 事業所の状況、在庫の状況などを実際に確認し、帳簿との整合性をチェック。
□ 従業員へのヒアリング。
銀行はこれらの情報を総合的に分析し、過去のデータとの比較、同業他社との比較なども行いながら、粉飾決算の可能性がないかを慎重に判断する。
近年では、AIを活用した粉飾決算の検知システムを導入する銀行も増えていて、常陽銀行が筑波大学と共同で、AIを使った企業の財務分析から異常な会計を検知する仕組みについて研究・実験を始めている事例もある。この仕組みは、急速に中小企業決算分析の主流になっていく可能性がある。
中小企業経営者は会計事務所の顧問先でもあるので、粉飾の有無を強くただすことが難しいこともあるだろう。しかし、少なくとも再度の資金調達を銀行に求める必要がある顧問先には、決算終了と同時に上記のチェックを実施して、経営者に提言する必要がある。