
税理士が知っておくべき「医師の新規開業ルール」の大変革
医師が診療所を新規に開業する場合、これまでは「自由開業」が原則であった。誰でもどこでも、開業地を選定して自治体や保健所に届けさえすれば、開業が可能であった。ところが、改正医療法(2025年12月12日公布、2026年4月1日施行)により、外来医師過多区域では、開業前の届出・協議が重要となり、「新規開業」のルールが「自由」から「行政との相談」に大転換することになる。
厚生労働省の資料より、ポイントをまとめると、
- 地域及び診療科において、医師の偏在が社会問題化している背景があり
- 外来医師過多区域において、新規開業や一定の承継により無床診療所を開設する場合、
- 開業6ヶ月前に都道府県に届出(提供予定の医療機能を記載した事前届出)が必要
- 提供予定の医療機能(夜間休日診療、在宅医療等)を明示すること
- 開業予定地で不足する機能の提供が求められる可能性があり、要請に応じられないと、保険医療機関の指定期間が、通常の6年ではなく3年(再々指定時以降も勧告に従わない状態が続く場合には2年)に短縮されるリスクがある
- 管理者となる医師等に求められる要件の一つとして、原則、次の従事経験が必要
- 医師は、2年の臨床研修修了後、保険医療機関(病院に限る)における3年以上の保険医従事経験
- 歯科医師は、1年の臨床研修修了後、保険医療機関における3年以上の保険医従事経験
注意点として、
- 2026年10月以降の開業案件では、6ヶ月前の事前届出と行政との事前調整が実質必須となる
- 物件契約・内装契約の前に、対象区域に該当するか、不足する医療機能として何が求められるか、事前届出・協議の流れを都道府県に確認してから行うこと
顧問先に医療機関が少ない税理士事務所でも、今回の医療法改正の「新規開業ルールの見直し」は、大きなチャンスとなる。
まずは
- 開業予定地が対象区域に該当するか否か、自治体に早期に確認
- 求められる医療機能による収支シミュレーション
- 在宅医療:往診車・スタッフ・ICT費用
- 夜間休日:当直費・人件費
- 公衆衛生:収益性は低いが、不足している地域では提供を求められる
- 既存診療所で親から子へ継承を予定している場合の「子が管理者要件」に該当するか
- 既存医療法人の支店の管理者を変更する場合も、要件に該当するかを確認
今回の規制は、保険医療機関の指定期間短縮という実効性ある措置を伴うものであり、医師自身にも周知しておくことが必要になる。