5月30日、令和6年分の所得税等、消費税、贈与税の確定申告状況が国税庁サイトに公表されました。
1.所得税等
令和6年分の所得税(復興特別所得税含む。以下、所得税)の申告状況として、確定申告人員はトータルで2,339万人でした。この数値は、今回公表されている平成27年分から多少上下しながら徐々に増加しつつも、ほぼ横ばいで推移しています。
今回特徴的なのは、例年300万人前後である「申告納税額がない方」が468万人であったことです。
おそらく定額減税が影響したのでしょう。
その増差分、「申告納税額がある方」が減っている、そんな状況のようです。
また、株式市場の好調が要因か、ここ数年、株式等の譲渡所得金額がぐんぐん伸びています。
令和6年分では8.1兆円と、前年の5.7兆円から42.7%のプラスとなり、平成27年分の2.7兆円と比べると約3倍もの開きがあります。
この他、約4人に3人がe-Taxでの申告を行ったようです。
40代以下での利用は、8割を超えています。
e-Taxでの申告のうち約半数がスマホ申告のようで、年々、スマホ申告での利便性が向上しているのが、利用増加の要因の1つとなっているのでしょう。
筆者もスマホ申告を行いましたが、年々楽になっている印象を受けます。
2.消費税
個人事業者の消費税申告について、令和6年分はインボイス制度スタートにより納税申告件数が2倍近く増えた次の年ともあって増えたまま状況の中、10月スタートだったという点もあったのか、そこからさらに増加(+16.8%)しています。
また、インボイス制度スタート後のまるっと1年経過した年ということもあり、申告納税額は8,000億円を超えていました。
3.贈与税
相続時精算課税の基礎控除がスタートした令和6年分の状況は気になるところでしたが、申告状況について大きな変動はないようです。
相続時精算課税の申告人員は、約5万人から約8万人への増加したものの、適用数がもともと少ないからか、さほどのインパクトは感じられません。
ただ、相続時精算課税を選択して、110万円以下の贈与を行った数はどのくらいあったのか気になるところです。この場合は申告不要なので今回の結果には反映されておらず、この資料では分かりません。
選択届出書の提出は必要であるため、この提出数が知りたいところですね。
4.その他
その他、今回の令和6年分について個人的に気になったのは、
- 医療費控除の適用者数は、約800万人(7,969千人)
- 寄附金控除(所得控除)の適用者数は、約550万人(5,496千人)
- 所得税の確定申告人員として、申告納税額あり<還付申告になったのは、平成6年分から。
そこから一度も逆転しておらず、差は開く一方。 - トータルの所得税の納税人員数は過去60年のうち48位にも関わらず、所得金額は3位、税額は4位。バブル期に匹敵する税額となっていることがわかる。
各々の視点で、令和6年分の申告状況を確認されるとよいでしょう。
