防衛費増額の財源とするための「防衛特別法人税」について、具体的な開始時期を含めた制度の内容が令和7年度税制改正により決まりました。
この防衛特別法人税について、概要をまとめたパンフレットと申告書様式が、5月30日、国税庁サイトに公表されました。
防衛特別法人税は、基準法人税額が500万円を超える部分に対して4%が課されることから、中小法人であれば、留保金課税や税額控除がないと仮定すると所得金額が24,384千円で、課税の範囲に入ってきます。
留保金課税があったりすると話がややこしくなりますからそこは割愛して、ざっくり言えば、所得が2,400万円を超えるあたりから注意したほうがよいでしょう、ということになりますね。
ただ、中小法人などの軽減税率が適用できない場合でも、21,557千円で課税範囲に入ってきますので、所得2,000万円あたりでアンテナが立つようにしておくとよいでしょう。
申告上、防衛特別法人税は、別表一に組み込まれます。計算過程は別表一の「次葉一」になります。
現状では、法人税や地方法人税などの計算過程は別表一「次葉」になっています。
防衛特別法人税の創設により、
- 防衛特別法人税:(なし) → 別表一次葉一
- 法人税や地方法人税など:別表一次葉 → 別表一次葉二
このように変わります。
防衛特別法人税は0円でも申告が必要となるため、別表一の提出枚数(2枚→3枚)にご注意ください。必ず3枚です。
申告書作成ソフトが最新版で、かつ、自動で表示してくれさえすれば忘れることはないかと思いますが、課税されないのなら関係ない(不要)と思わないようにご留意ください。
防衛特別法人税は、令和8年(2026年)4月1日以後開始事業年度から開始します。
1年決算法人であれば、通常、再来年(2027年)の5月申告(=3月決算法人)から開始することとなりますので、まだ少し先ではありますが、毎年の所得がコンスタントに2,000万円を超えている法人の場合には、自社はどのくらいの所得がボーダーラインになるのか、さらに防衛特別法人税がかかる場合には、増える税負担を事前に試算しておかれるとよいでしょう。税理士であれば、過去の申告状況から所得2,000万円を超えるあたりの関与先法人に対して、注意を促すとよいかもしれませんね。
なお、防衛特別法人税は、当然、中間申告も関係します。こちらは令和9年(2027年)4月1日以後に開始する事業年度から、となっています。その点も併せてご確認ください。
