令和5年度税制改正により、超富裕層を対象とした、いわゆる「1億円の壁」問題に対応するために設けられた、ミニマムタックス(極めて高い水準の所得に対する負担の適正化に係る措置)。
令和7年(2025年)分の所得税から適用することとなりますが、その適用判定表兼税額計算書が、6月16日、国税庁サイトに公表されました。
ざっくりと言えば、すべての所得を合算した合計が30億円を超えた場合に課税の対象となってきますので、大半の方は関係がありません。
ただし、「申告不要制度」を選択した所得についても含めることとなるため、たとえば、源泉徴収ありの特定口座にかかる所得について申告しなくともここでは含めて計算する必要がある、という点に注意しましょう。
上記判定表内にも「租税特別措置法第8条の5及び第37条の11の5に規定する確定申告不要制度(以下「申告不要制度」といいます。)を適用して、確定申告に含めないことを選択しようとする所得がある場合でも、その金額を加算した合計額を書いてください」とあります。
また、所得が上場株式の譲渡のみであれば10億円程度で課税の対象となるとも言われています。これは、総合課税による所得は超過累進税率で所得税を計算しますが、上場株式の譲渡などの申告分離課税の場合はそれぞれ一律の税率となっており、低く目に抑えられていることが、ミニマムタックスの対象となる金額の境界線が異なる要因です。
いずれにしても対象はそれほど多くはないことが予想されるものの、「申告不要制度」を選択した源泉徴収ありの特定口座は、我々税理士としてはお客様から確定申告の際の資料としてお預かりすることはないため、拝見する機会はありません。そのため、そういった口座をお持ちの方へは多額の株式の売却がないか、念のための一声をかけておくとよいでしょう。
