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作成日:2021/11/22
振込手数料分の値引きと適格返還請求書



インボイス制度が開始すると、適格請求書発行事業者は、原則インボイスの交付と保存が義務付けられます。

このインボイスの交付には、適格請求書だけでなく、値引きや返品等に係る適格返還請求書もあります。

実務上で厄介なのが、振込手数料を売手側が負担したときの値引きです。

大企業であれば、かなりの割合で請求書内に明示されているのですが、ほぼなし崩し的に値引いている場合、わざわざ請求書に値引きを記載しないで、毎月の請求金額のみを記載した請求書のみを発行しているケースを見受けます。

そのような場合、インボイス制度が開始すると、振込手数料分の値引きについて原則、適格返還請求書の発行をしなければなりません。適宜の方法で交付が必要となる点に留意しましょう。

この場合の記載事項は、以下のとおりです。

  1. 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
  2. 対価の返還等を行う年月日
  3. 対価の返還等の基となった取引を行った年月日
  4. 対価の返還等の取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  5. 税率ごとに区分して合計した対価の返還等の金額(税抜き又は税込み)
  6. 対価の返還等の金額に係る消費税額等又は適用税率

上記3.については、対価の返還等の処理を合理的な方法により継続して行っているのであれば、以下の記載でも問題ないようです。

  • 前月末日」「最終販売年月日」をその取引を行なった年月日として記載
  • 「○月分」などの課税期間の範囲内で一定の期間の記載

これは、国税庁サイトで公表されている、以下に記載されています。

○適格請求書等保存方式の概要 −インボイス制度の理解のために−(パンフレット)(令和3年7月)(PDF/8,982KB)

適格請求書発行事業者になると決め、登録申請を行った場合には、

  • どの書類を適格請求書とするのか
  • 値引きや返品等が生じた場合に、どの書類を適格返還請求書とするのか
  • 修正等があった場合に、修正した適格請求書としてどう記載(交付)するのか
  • 保存する書類はどの書類か

などとともに、どのような形態(紙、電子)で交付・保存するのかもあわせて検討する必要があります。


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