作成日:2022/11/25
消費税の納税額が売上税額の2割に?! 免税→課税へ切り替えた場合の負担軽減措置
インボイス制度開始に伴い、消費税の免税事業者が課税事業者へ切り替えた場合には、3年間の時限措置を設けて、その間の消費税の納税額を売上税額の2割におさえる措置を、令和5年度税制改正に盛り込む考えが一部報道で明らかとなっています。
『売上税額の2割』とは、ざっくりとした例で示すと
消費税率10%で税込550万円の場合:
売上税額=550万円×100/110×10%=50万円
納税額=50万円×20%=10万円
ということになります。
還付を受ける目的以外で免税事業者が課税事業者へ切り替えた場合には、大抵、簡易課税制度を選択されると思います。
○No.6505 簡易課税制度
簡易課税では、売上に紐づく事業区分に応じた“みなし仕入率”を用いて、控除対象仕入税額を計算します。
この“みなし仕入率”は、40%から90%まで6段階あり、今回の『売上税額の2割』であれば、小売業などが該当する第2種事業のみなし仕入率80%に相当することとなり、製造業、サービス業などが該当する第3種〜第6種事業のみなし仕入率40%〜70%よりも税額が軽減される、ということになります。(卸売業は第1種事業として、みなし仕入率90%なので簡易課税制度の方がお得です。)
上記の例で、たとえば売上すべてがWebデザイン制作料だったとしますと、“みなし仕入率”は第5種の50%となります。
この場合の簡易課税制度を選択した納税額は、ざっくり計算して以下のとおりです。
消費税率10%の税込550万円の場合:
売上税額=550万円×100/110×10%=50万円
控除対象仕入税額=50万円×50%=25万円
納税額=50万円ー25万円=25万円
これが10万円になるわけですから、簡易課税制度を選択して計算する場合より税額の負担が15万円(25万円ー10万円)軽減できます。
報道の内容がそのまま大綱に盛り込まれた場合、免税事業者のままでいた場合と、課税事業者へ切り替えた場合とでの試算が変わってきます。
「売手」側、「買手側」ともに値段交渉をしている場合には、ご注意ください。
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