免税事業者等インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れは、インボイス制度開始後、仕入税額控除ができないことになりましたが、経過措置により、期間に応じて80%や50%相当額を仕入税額とみなして控除することができます。
この場合、経過措置の適用を受けるには、「区分記載請求書の記載要件を満たした」書類等の保存が求められますので、区分記載請求書の記載要件を満たした書類をもらわなければなりません(帳簿には、経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨の記載が必要)。
その際の書類ですが、おそらくこれまで免税事業者であっても、消費税等の記載があったかと思います。インボイス制度開始後も継続してこのような記載をしても問題ないかについて、先日ご案内した「多く寄せられるご質問(令和5年11月13日更新)」問C(免税事業者の交付する請求書等)に記載がされています。
これによれば、「免税事業者が請求書等に消費税相当額を記載したとしても、それが適格請求書等と誤認されるおそれのあるものでなければ、基本的に罰則の適用対象となるものではありません。」とあります。
この「適格請求書等と誤認されるおそれのあるもの」とは、たとえば「登録番号(T+13桁の数字)と類似した英数字や、自身のものではない登録番号を、自らの「登録番号」として記載したもの」だそうなので、消費税相当額の記載をしても登録番号ぽいものの記載がなければ誤認されるおそれはまずない、と思っていただければよいのでしょう。
なお、区分記載請求書の記載要件は、以下のとおりです(問D(免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置の適用を受ける場合の請求書等))。
- @書類の作成者の氏名又は名称
- A課税資産の譲渡等を行った年月日
- B課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容(課税資産の譲渡等が軽減対象資産の譲渡等である場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等である旨)
- C税率ごとに合計した課税資産の譲渡等の税込価額
- D書類の交付を受ける当該事業者の氏名又は名称
この場合、区分記載請求書ですから、これまで通り上記Bの「軽減対象資産の譲渡等である旨」とCについて、買手が請求書等に自ら追記しても問題ありません(インボイスの場合は、基本的に買手の追記はダメです(問題ないやり方もあります(問E)が、ここでは割愛))。その点もあわせて確認しておきましょう。