先日、「2月26日更新 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ 国税庁」をご案内しました。
その際にも一言記載しましたが、法人の取扱いを明確にしたFAQが追加されています。確認しましょう。
問7
法人が交付を受ける助成金等の収益計上時期の取扱い〔令和3年2月26日追加〕
当社では、新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、国や地方公共団体から助成金等の交付を受けました。この助成金等はいつの事業年度の収益の額として計上する必要がありますか。
○ ご質問の助成金等の収益計上時期については、個別の助成金等の事実関係によって、次のとおり、様々な時期が考えられます。
○ 法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期は、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条2項、4項)。
ご質問の助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の交付が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の交付決定がされた日の属する事業年度の収益として計上することとなります。
X1期 | X2期 |
2/1
現金400 / 雑収入400 |
〇 ただし、その助成金等が、経費を補填するために法令の規定等に基づき交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続(※1)をしている場合には、その経費が発生した事業年度中に助成金等の交付決定がされていないとしても、その経費と助成金等の収益が対応するように、その助成金等の収益計上時期はその経費が発生した日の属する事業年度として取り扱うこととしています(法人税基本通達2−1−42)。
※1 例えば、休業手当について雇用調整助成金を受けるための事前の休業等計画届の提出などが該当します。なお、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、事前の休業等計画届の提出は不要とされています。その場合の雇用調整助成金の収益計上時期は、原則どおり、交付決定日の属する事業年度となります。
X1期 | X2期 |
11/1
経費400 / 現金400
12/31
未収金400 / 雑収入400 |
2/1
現金400 / 未収金400 |
○ また、助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その助成金等の返還を要しないことがその事業年度終了の時までに確定した場合(※2)に限ります。)において、その取得等に充てた助成金等の額に相当する金額(以下「圧縮限度額」といいます。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額をその事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法等により経理(以下「圧縮記帳」といいます。)したときは、その圧縮記帳をした金額に相当する金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされています(法人税法42条)。
つまり、助成金等相当額の収益計上に合わせて、助成金等相当額を圧縮記帳により費用計上することができます。
※2 例えば、交付決定日の属する事業年度中に助成金等の確定通知を受けていない場合には、返還を要しないことが事業年度終了の時までに確定していませんので、交付決定日の属する事業年度において圧縮記帳をすることはできません。
この場合の交付を受ける助成金等は交付決定日の属する事業年度に収益として計上することとなりますが、その交付決定日の属する事業年度において助成金等相当額の特別勘定を設けて費用等として経理する(注)ことにより、確定通知日の属する事業年度まで収益を繰り延べ、確定通知日の属する事業年度において助成金相当額の収益計上と圧縮記帳による費用計上をすることができます。
(注) 交付を受けた助成金等の確定通知を受けた事業年度まで仮受金等として負債の部に経理する場合も同様です。
X1期 | X2期 |
10/1
現金60 / 補助金収入60
12/31
特別勘定繰入損60 / 特別勘定60 |
1/1
資産120 / 現金120
2/1
特別勘定60 / 特別勘定取崩益60
12/31
圧縮損60 / 資産60
12/31
減価償却費** / 資産** |
X1期 | X2期 |
10/1
現金60 / 仮受金60 |
1/1
資産120 / 現金120
2/1
仮受金60 / 補助金収入60
12/31
圧縮損60 / 資産60
12/31
減価償却費** / 資産** |
仕訳の例示があります。実務の参考になさってください。