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作成日:2020/04/15
新型コロナウイルス感染症の影響による役員給与の期中減額 C定期同額給与の場合



 先日に引き続き、法人税における役員給与の取扱いについて確認します。

 前回損金として認められる3つの役員給与について、概要をご案内しました。

 今回はその中から、定期同額給与について、期中減額する場合の留意点をご案内します。

 毎月役員報酬を受け取る人が該当する、この“定期同額給与”。前回ご案内のとおり、全額を損金とするには、原則、その事業年度の各支給時期における支給額又は手取額が同額である必要があります。
 つまり、その事業年度中に増減があった場合には、その事業年度中の報酬額を横並びしたときに、はみ出た部分は損金とはならない、ということです。これが原則です。

 原則があれば、例外があります。

 例外として、次の3つのケースのいずれかに該当する改定が行われた場合は、はみ出た部分についても損金として認めてもらえます。

  1. その事業年度開始の日の属する会計期間開始の日から3か月(※)までにされる改定
    (※)申告延長の指定を受けた法人は、指定月数+2か月
  2. その事業年度において職制上の地位の変更職務の内容の重大な変更その他これらに類するやむを得ない事情(以後、臨時改定事由)によりされた改定(上記1.の改定を除く)
  3. その事業年度においてその法人の経営状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(以後、業績悪化改定事由)によりされた改定(減額改定に限定し、上記1.2.の改定を除く)
  • 上記1.は、定時株主総会(その後の取締役会)での決議。
  • 上記2.は、死亡や病気等による役員交代。
  • 上記3.は、新型コロナウイルス感染症の影響による観光業の落ち込み。

 などが該当するでしょう。それぞれの留意点としては、次のとおりです。

  • 事業年度が切り替わるタイミングでの役員給与の減額については、上記1.の期間に注意します。
  • 法人税における“役員”に該当する方が、新型コロナウイルス感染症に罹患された場合で、状況が上記2.の臨時改定事由に該当するかどうか、十分確認しましょう。
  • 上記1.2.のいずれにも該当しない場合には、上記3.の“業績悪化改定事由”に該当するかどうか、こちらを確認する必要があります。

 上記3.の“業績悪化改定事由”に該当するか否かの判断については、国税庁が公表している『役員給与に関するQ&A』が一つの指針となるでしょう。

○役員給与に関するQ&A

 “業績悪化改定事由”としては、財務諸表の数値がかなり悪化したことだけでなく、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じたケースも含まれます。どういったケースが該当してくるのか、いくつか具体例が掲載されています。こちらも確認しましょう。

 また、先日更新された「 国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」にも、“業績悪化改定事由”に伴う期中減額に関して2つの事例が掲載されています。こちらも併せてご確認ください。

 ちなみに、「減額改定」ではなく、一部返上を行うケースがあります。
 今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、いくつかの企業の役員が役員報酬を一部自主返上する報道等がなされています。
 仮に、定期同額給与としている場合に、一旦役員報酬を全額を支払い、そのうち10%を自主返上する行為は、その全額がその事業年度中同額であれば、その全額は「役員給与」として損金となります。他方、受取った法人側は返上された金額を益金として処理することとなります。こういった行為による返上であれば、上記「減額改定」とは異なりますので、ご注意ください。

 なお、MyKomonでは、この役員給与の減額について、A4用紙表裏1枚にまとめた「ニュースレター」をご用意しています。利用できるのは、MyKomon会計事務所正会員の方に限定しております。
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