新型コロナウイルス感染症に関連して、雇用主から従業員等に対して見舞金を支給する場合に、所得税を非課税とする範囲が明らかにされました。
所得税を非課税とする範囲については、次のすべての要件に該当するもの、としています。
- その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること
- その見舞金の支給額が社会通念上相当であること
- その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと
ただし、上記のすべてに該当していたとしても、緊急事態宣言解除後相当期間を経過して支給決定されているものについては、非課税とはならない旨も併記されています。支給決定時期にもご留意ください。
上記3つの要件について、それぞれもう少し詳しい内容が上記URL上に記載されていますが、この説明よりも、先日更新された「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」内にFAQとして掲載されていますので、こちらの具体例で確認しましょう。
問 9-3 .《 従業員に対して事業者から見舞金が支給された場合の取扱い 》〔5月15日追加〕
私は、介護老人福祉施設を有する法人の代表者です。当社は緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業に該当することもあり、これまで休業することなく事業を継続してきました。
社会的な使命に応えるためとはいえ、緊急事態宣言中に事業を継続する中で、従業員には新型コロナウイルス感染症の感染リスクといった平常時には感じ得ない相当な不安を抱えながらも懸命に事業に従事していただきました。
そこで、当社では、社内規程である慶弔基準を改定し、「新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言下において介護サービスを実施する従業員につ いては、5万円の見舞金を支給する。」こととし、近日、この基準に従って支給することとしました。
この見舞金は、非課税所得に該当し、給与等として源泉徴収することは不要ですか。
上記問いに対する、FAQ内の回答は、「ご質問の見舞金は、非課税所得に該当しますので、給与等として源泉徴収する必要はありません。」です。
この事例で非課税となったポイントは、次の部分だと思われます。
- 緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業に該当
- 支給対象者は、新型コロナウイルス感染症の感染リスクといった平常時には感じ得ない相当な不安を抱えながらも事業に従事
- 支給対象者(緊急事態宣言下で介護サービスを実施する従業員)や、支給額(5万円)が社内規程である慶弔基準で明らかとなっている
- 支給額(5万円)が相当と認められる範囲内
- 支給対象者は“緊急事態宣言下で介護サービスを実施する従業員”とあるとおり、従業員一律でも特定の者いずれでもない
- 支給対象者や支給額の範囲はその業務の程度で決められており、給与の多寡に応じて決定されていない
詳細は上記URLあるいは、FAQでご確認ください。
緊急事態宣言下にあって、危険な業務あるいは精神的に負荷のかかる業務に従事する従業員に対して支給する金員について、一律に給与課税するのではなく、こういった非課税の取扱いも上手く取り入れながら、従業員の職務従事に対して労う方法をお客様へ提示できるとよいでしょう。