作成日:2018/10/29
生命保険料・地震保険料控除証明書等の電子的控除証明書による年末調整と確定申告の手続き
確定申告をする際には、その申告書自体の作成の他、一定の書類の添付が必要となっています。たとえば電子申告する際の添付の方法としては、現物を別送する他、現物の自宅保管を条件に一定の記載内容を入力して送信することで添付省略が認められている“第三者作成書類”やPDF形式による送信、などがあります。
その一方で、“第三者作成書類”として添付省略が認められている給与所得の源泉徴収票は、電子化されたものを電子申告の際にオンライン送信することが可能となっていますので、オンライン送信すれば、わざわざ“第三者作成書類”として、一定の記載内容の入力をする必要はありませんし、現物の自宅保管も不要となります。
このようなオンライン送信をすることができる書類は、これまで給与所得等の源泉徴収票の他、以下の書類がありました。
- 特定口座年間取引報告書
- 公的年金等の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書
- 配当等とみなす金額に関する支払通知書
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 寄附金の受領証
ちなみに、上記「生命保険料控除証明書」と「地震保険料控除証明書」については、平成30年分の年末調整時にも利用することはできるものの、このデータを直接給与支払者へ提出することできず、一定のデータへ変換した上で、書面で提出する必要があります。具体的には、保険会社から交付を受けたデータ(電子的控除証明書等)を「QRコード付控除証明書等」へ自ら変換し、印刷して提出します。
この面倒な変換作業は平成31年(2019年)分までで、平成32年(2020年)分の年末調整からはデータ変換不要で、電子的控除証明書等そのまま提出することが可能となります。
これらのことについては、以下の国税庁ホームページからご確認いただくとよいでしょう。
○控除証明書等の電子的交付について
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/koujyo.htm
特に、以下の証明書等種類別の提出可否表は、参考になります。
控除証明書などについては、毎年自動的に書面で届いているかと思います。今回追加された3つの書類については、他の書類と同様、“第三者作成書類”として添付省略することができますので、わざわざ発行依頼をしてデータとして受領する、というのはハードルが高い気がします。
では全く使えないのか、といえばそうではなく、たとえば再発行手続きです。
実務をしていますと、毎年必ずといっていいほど、控除証明書を紛失して再発行してもらうケースを見受けます。この再発行手続きは、現物を入手するまで日数を要しますので、そのような際にデータで受領する、という方法もありだと思います。
たとえば、生命保険料控除証明書の場合、ある生命保険会社のサイトでは、平日17時までであれば同日中にデータ(電子的控除証明書等)を送信してくれるそうです。電子申告であればデータをそのまま使えますので、非常に便利ではないでしょうか。年末調整であっても、データ入手後上記URLより「QRコード付控除証明書等」へ変換し、印刷して提出してもらう一連の面倒な手間はかかりますが、日数はかかりません。
なお、生命保険料控除証明書に関して電子的控除証明書等の発行依頼をする際には、該当する保険契約の番号等一定の情報が必要になります。番号等が分かる書類(たとえば保険証券等)を手元において手続きを行う必要がありますので、ご注意ください。
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