作成日:2019/07/01
年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(年調ソフト)を無料提供 国税庁
平成30年度税制改正により、令和2年から所得税の取扱いが大きく変わります。特にサラリーマンにとっては影響の大きい改正であることから、年末調整関連の負担が増えることが容易に想像できます。
国税庁もこの年末調整手続きに関して、簡便化を図る取組を実施しています。たとえば昨年に、同庁サイト上で配偶者等の情報を入力するだけで配偶者控除等申告書が作成できるツールを提供したことは、記憶に新しいことでしょう。
この他、年末調整手続きに必要な各種証明書のうち、「生命保険料控除証明書」と「地震保険料控除証明書」については、令和2年分から電子的控除証明書の提出が可能となっています。
そして、先日同庁から発表のあった“「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜”には、更なる発展として、年末調整控除証明書作成用ソフトウェア(年調ソフト)を令和2年10月に導入予定であると、記載がされていました。
○「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況〜スマート税務行政の実現に向けて〜(令和元年6月21日)
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/syouraizou/index.htm
“年調ソフト”と記載がされていますので、思わず年末調整の計算ができるソフトなのかと勘違いをしてしまったのですが、よく読むと年末調整の際に必要となる各種申告書を作成することができる、というもののようです。
上記の電子的控除証明書が手に入ると、このデータを取り込むことで自ら入力することなく保険料等控除申告書を作成できるような記載もされていました。
年末調整の事務を行う側とすれば、こういったデータを年末調整ソフトに取り込むことで、入力漏れや入力ミスなどが防止できるだけでなく、入力の手間等の事務負担の軽減につながります。
特に令和2年分の年末調整からは、基礎控除の見直しや所得金額調整控除の創設にあわせた「基礎控除申告書」や「所得金額調整控除申告書」が新たに必要となります。これらについても対応する予定のようですから、こういったソフトを活用しない、という選択肢はあり得ない様相となっています。
とはいえ、すぐに全ての事業者が導入できるわけではありませんので、書面と並行しながら、徐々に電子化の比率が高まっていくと想像できます。
税理士事務所としては、年末調整の委託を受けていれば、お客様の事務負担の軽減だけでなく、自らの業務負担も減ることにつながります。こういったソフトを活用していくことも視野に入れ、情報を注視していきましょう。
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