先週から、国税庁サイトの「事業者の皆様へ(〜区分経理から消費税申告書作成まで〜)(令和元年11月)」を詳しく見ていきながら、軽減税率制度開始に伴う消費税処理の留意点について確認しています。
前回は、「C計上基準が異なる場合の適用税率」でした。
今回は、 即時充当によるキャッシュレス・消費者還元と仕入税額控除 です。
すでにご案内のとおりキャッシュレス・消費者還元事業として、消費者は登録事業者に対する支払いをキャッシュレス決済で行った場合に、一定割合のポイント還元を受けることができます。
このポイント還元について、消費者が事業者である場合の仕入税額控除について、次のように国税庁から考え方が公表されています。
ここでは、コンビニエンスストアが行っているような、購入時にポイント還元分を支払金額から控除しているケース(いわゆる“即時充当”)について、どの金額が仕入税額控除の対象となる金額なのか、の考えを自社のポイント値引きのケースと比較しながら示しています。
ご覧いただくとお分かりの通り、即時充当があった場合、即時充当前の金額が仕入税額控除の対象となる、“課税仕入れに係る支払対価の額”となります。
他方、自社のポイント値引きについては、値引き後の金額です。
応用として、自社のポイント値引きと即時充当が重なるケースも考えられますが、その場合にも、自社のポイント値引き控除後、かつ、即時充当前の金額が、“課税仕入れに係る支払対価の額”となります。
これらについては、レシート等に表記されているはずですから、そこから判断することとなります。
ちなみに、上記事例における区分経理での仕訳入力例(税込仕訳入力、かつ、自動税抜き処理)は、次と考えられます。
(借方) | (貸方) | |
---|---|---|
即時充当 | 消耗品費 540 [課税仕入れ(軽減税率8%)] 消耗品費 550 [課税仕入れ(税率10%)] |
仮払金(Suica) 1,069 [課税対象外] 雑収入 21 [不課税] |
自社ポイント値引き | 消耗品費 530 [課税仕入れ(軽減税率8%)] 消耗品費 539 [課税仕入れ(税率10%)] |
仮払金(Suica) 1,069 [課税対象外] |
仕訳のポイントは、費用計上する金額が控除“前”か“後”で異なっていることと、即時充当(つまり控除“前”の場合)では、ポイント還元分の計上を忘れないようにすることです(ここでは“雑収入”の科目で処理)。上記の仕訳入力例はあくまでも“例”ですので、事業者ごとに設定した科目に沿って区分経理による仕訳を行っていただければ、と思います。