作成日:2019/03/22
役務提供を年間契約で取り交わす際の消費税率の適用区分
先日の経過措置対象取引でない年間契約の場合の消費税率の適用区分について、もう少し詳しくご案内します。
まず、基本的な考え方です。
【基本的な考え方編】問6をまとめると、次のとおりです。
31年施行日である、平成31年10月1日をまたぐ年間契約(役務提供契約)を行った際の消費税率は、以下のとおりです。
- 原則:
役務提供契約が、次のいずれにも該当する場合には、10%- その契約期間を1年間として料金を年額で定めていること
- その役務提供が年ごとに完了するものであること
- 例外:
上記の場合であっても、次のいずれにも該当する場合で、事業者が継続して1年分の対価を受領した時点の収益として計上している場合は、31年施行日の前日(平成31年9月30日)までに収益として計上したものについては、8%を適用しても差し支えない- 1年分の対価を受領することとしていること
- 中途解約時の未経過部分について返還がない
また、年間契約(役務提供契約)を行ったとしても、次のようなケースはそれぞれ次のように考えます。
月ごとに役務提供が完了・支払うケース:(【具体的事例編】問1)
次のいずれにも該当するケースは、完了した日が31年施行日以後の分については、10%が適用される。(逆を言えば、31年施行日前の分までは、8%適用)
- 月額料金が定められている
- その役務提供が月ごとに完了
- 月ごとに料金を支払う
次のいずれにも該当するケースは、完了した日が31年施行日以後の分については、10%が適用される。(逆を言えば、31年施行日前の分までは、8%適用)
- 月額料金が定められている
- その役務提供が月ごとに完了
- 31年施行日前に年間分を一括支払
- 中途解約があった場合に、未経過期間分の返還あり
次のいずれにも該当するケースは、支払いを受けることが確定したときの税率を適用(確定日が31年施行日前であれば8%、以後であれば10%)
- 月額料金が定められていない
- その役務提供が月ごとに完了しない
- 中途解約があった場合に、未経過期間分の返還なし
なお、一括支払を行った金額全額を短期前払費用として全額支払年度で損金計上した場合の消費税の取扱いは、以下のとおりです。(【具体的事例編】問7)
- 原則
- 損金計上年度に係る課税期間:
- 8%適用分のみ仕入税額控除
- 10%適用分に係る消費税相当額を「仮払金」として翌期へ繰越す
…仕訳例(税抜き経理):仮払金/仮払消費税等
- 損金計上年度に係る課税期間の翌課税期間:
- 「仮払金」とした消費税相当額を仕入税額控除
…仕訳例(税抜き経理):仮払消費税等/仮払金
- 「仮払金」とした消費税相当額を仕入税額控除
- 損金計上年度に係る課税期間:
- 例外
- 損金計上年度に係る課税期間:
- 全ての支払について8%を適用して仕入税額控除
- 損金計上年度に係る課税期間の翌課税期間:
- 10%適用分に係る8%適用相当分を仕入対価の返還の処理+10%適用分の仕入税額控除
- 損金計上年度に係る課税期間:
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