作成日:2019/03/26
消費税率が混在している短期前払費用の消費税の取扱い
この時期の年契約において、消費税率8%と10%が混在しているケースもあろうかと思います。
このような場合において、年間分を一括で支払、これを「短期前払費用」として、支払年度で損金計上した場合の消費税の仕入税額控除について、先日まとめたものをご案内しましたが、ここでは国税庁のQ&Aで確認しましょう。○平成31年(2019年)10月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A【具体的事例編】(平成30年10月)(PDF/210KB)
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/kaisei/pdf/03.pdf
問7(短期前払費用として処理した場合の仕入税額控除)
当社(3月決算法人)は、平成31年3月に、平成31年4月から平成32年3月までの1年間の保守契約を締結し、同月中に1年分の保守料金を支払いました。
この保守料金は月極めであり、契約期間が31年施行日(平成31年10月1日)をまたいでいることから、適用税率は次のとおりとなっています。
- 平成31年4月から9月分までの保守料金には旧税率(8%)
- 平成31年10月から平成32年3月分までの保守料金には新税率(10%)
ところで、消費税の課税仕入れの時期についても、基通11−3−8《短期前払費用》の規定により、その支出した日の属する課税期間において行ったものとして取り扱うこととされていますが、この場合、当社は平成31年3月課税期間の消費税の申告において、当該保守料金の仕入税額控除の計算はどのように行えばよいのですか。
【答】
平成31年3月課税期間に係る消費税の申告においては、
- 平成31年4月から9月分までの保守料金(旧税率(8%)適用分)についてのみ、仕入税額控除を行い、
- 平成31年10月から平成32年3月分までの保守料金(新税率(10%)適用分)に係る消費税等相当額については、仮払金として翌期に繰り越し、翌期の課税期間に係る消費税の申告において、新税率(10%)により、仕入税額控除を行うこととなります。
(注) 31年新消費税法の規定は、31年施行日以後の課税資産の譲渡等に適用されるものであることから、31年施行日前の課税期間に係る消費税の申告においては、新税率による申告ができないため、照会の場合においては、上記の方法により消費税の申告を行うこととなります。
先日ご案内したまとめを再度、以下に記します。こちらもあわせてご確認ください。
- 原則
- 損金計上年度に係る課税期間:
- 8%適用分のみ仕入税額控除
- 10%適用分に係る消費税相当額を「仮払金」として翌期へ繰越す
…仕訳例(税抜き経理):仮払金/仮払消費税等
- 損金計上年度に係る課税期間の翌課税期間:
- 「仮払金」とした消費税相当額を仕入税額控除
…仕訳例(税抜き経理):仮払消費税等/仮払金
- 「仮払金」とした消費税相当額を仕入税額控除
- 損金計上年度に係る課税期間:
- 上記について、金額を例に仕訳を考えてみましょう。
- 【保守料金(税抜き)】
- 平成31年4月から9月分までの保守料金(旧税率(8%)適用分)…1,000,000円
- 平成31年10月から平成32年3月分までの保守料金(新税率(10%)適用分)…1,000,000円
- 支払時:
(短期前払費用)2,000,000(預金)2,180,000
(仮払消費税等) 180,000
仮払消費税等…1,000,000*8%=80,000 1,000,000*10%=100,000
決算時:10%適用分に係る消費税等を繰越す
(仮払金)100,000(仮払消費税等)100,000 - 翌期:繰り越した消費税等を戻す
(仮払消費税等)100,000(仮払金)100,000
- 例外
- 損金計上年度に係る課税期間:
- 全ての支払について8%を適用して仕入税額控除
- 損金計上年度に係る課税期間の翌課税期間:
- 10%適用分に係る8%適用相当分を仕入対価の返還の処理+10%適用分の仕入税額控除
今後このような取引は出てくるかと思いますが、上記注書きにもあるとおり、このような処理を行う期間は限定されています。消費税の処理についてご留意ください。 - 損金計上年度に係る課税期間:
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