作成日:2019/12/04
軽減税率制度 区分経理の留意事項 C計上基準が異なる場合の適用税率
先週から、国税庁サイトの「事業者の皆様へ(〜区分経理から消費税申告書作成まで〜)(令和元年11月)」を詳しく見ていきながら、軽減税率制度開始に伴う消費税処理の留意点について確認しています。
前回は、「B請求書等の記載に誤りがある場合」でした。
今回は、 売り手と買い手で計上基準が異なる場合の適用税率 です。
消費税率は、先日ご案内の通り、原則、2019年10月1日前か以後かで分かれます。
この“2019年10月1日前か以後か”の判断が際どい時期に売上あるいは仕入を行った場合、事業者が採用する計上基準によって、適用すべき消費税率が異なる場合があります。
とりわけ問題となるのは、売り手と買い手で計上基準が異なる場合です。
例.
- 売り手…出荷基準
- 買い手…検収基準
このような場合で、出荷日が9月30日、検収日が10月1日であったとき、適用すべき税率はどうなるのでしょうか。
上記をご覧いただいてお分かりの通り、消費税率が明らかか否かで、次のように適用する税率の見極め方が変わります。
- 請求書等でその取引に係る消費税率が明らかな場合…買い手側はその税率により仕入控除税額の計算を行う(請求書等に旧税率8%の記載があれば、旧税率を適用)
- 請求書等でその取引に係る消費税率が明らかでない場合…次のいずれかの方法により仕入控除税額の計算を行う
- @相手方へ確認(旧税率だと確認が取れた場合は、旧税率を適用)
- A@が困難な場合、自己の会計処理により算出した仕入税額を基礎に仕入税額控除(事業者が検収基準により会計処理をしている場合には、標準税率10%を適用)
例示のケースでAとした場合は、買い手側が採用している検収基準により、10月1日付けで会計処理を行うこととなるため、税率は10%を適用します。そのときの留意点として、仕入税額控除を行うにはその請求書等が「区分記載請求書等」でなければならない、ということです。つまり、次の2点の記載が必要となります。
- 軽減税率の対象品目である旨
- 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
これらについては、自らの追記が可能であることは先日ご案内しました。このようなケースに遭遇した場合に、10月1日以降として処理を行う場合は、区分経理を行うとともに必要に応じて請求書等への追記も忘れないようにしましょう。
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