作成日:2021/05/28
譲渡制限株式(自己株式)の取得対価を会社法第141条の規定に基づき供託した場合のみなし配当に係る源泉所得税の納期限について 国税庁
譲渡制限株式の譲渡について、株主又は買取者から譲渡等の承認要求があったときに会社側が承認しない場合には、当該会社自ら(あるいは会社が指定した買取人)が買い取らなければなりません(会社法140)。
この場合に、当該会社が買取を行うときには、承認請求者に対して承認をしない旨の通知とともに一定額を供託する必要があります(会社法141)。
その後、売買価格は両者の協議によって決定されるわけですが、裁判所に対して売買価格の決定の申し立てをすることができます(会社法144A)。
申し立てを行った場合、裁判所の決定額が株式の売買価格となるわけですが、その価格のうち源泉徴収が必要な「みなし配当」部分が含まれている場合、いつがその「みなし配当」に係る源泉所得税の納期限なのか、について、文書回答事例が国税庁サイトで公表されました。
○譲渡制限株式(自己株式)の取得対価を会社法第141条の規定に基づき供託した場合のみなし配当に係る源泉所得税の納期限について
供託を通じて売買価格が確定したときは、供託額を限度として、売買代金の全部又は一部を支払ったものとみなすこととなります(会社法144E)。
これを前提に、「みなし配当」に係る源泉所得税の納期限が以下のように示されています。
裁判所決定額 (売買価格) |
源泉所得税の納期限 | |
---|---|---|
供託金額以下 | 裁判所決定により売買価格が確定したときの属する月の翌月10日 | |
供託金額超 | 供託金額に係る部分 | 上記と同様 |
上記を超える部分(差額) | 差額支払日の属する月の翌月10日 |
回答者である東京国税局も、上記取扱いで差し支えない旨の回答を示しています。
様々な事情により、会社にとって招かざる株主等に遭遇する場合もあるかと思います。譲渡制限株式を発行することでそのリスクを回避することができますが自らの買取リスクとともに、「みなし配当」が生じた場合の上記源泉所得税の納期限も確認しましょう。
関連コンテンツ:
譲渡制限株式(自己株式)の取得対価を会社法第141条の規定に基づき供託した場合のみなし配当に係る源泉所得税の納期限について 国税庁