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作成日:2018/05/01
定年を延長した場合にその延長前の定年に達した従業員に支払った退職一時金の所得区分について



 定年時に退職金の支給を行う会社が、その定年を延長したらどうなるでしょうか。仮に、その退職金の支給時期も延長することとした場合、制度変更前に入社していた従業員にとっては、いわゆる「不利益変更」に該当します。そのため、これら従業員に対する退職一時金の支給時期を制度変更前の定年にあわせて支給した場合、この退職一時金は退職所得として取扱ってよいのかどうかについて、照会がされています。確認してみましょう。


 ○定年を延長した場合にその延長前の定年に達した従業員に支払った退職一時金の所得区分について
https://www.nta.go.jp/about/organization/takamatsu/bunshokaito/gensen/180306/index.htm
 
 今回の事例の概要は、以下のとおりです。
  1. 照会者は、定年時に退職一時金を支給する会社
  2. この定年の年齢が60歳から65歳へ引上げる制度変更が行われた
  3. 制度変更により、従業員は本来60歳になれば退職一時金が受け取れたのに、65歳まで受け取ることができないことになった
  4. そのため制度変更前に入社していた従業員は、不利益変更となるため制度変更後も引続き60歳で退職一時金を支給することとした
  5. 60歳で支給する退職一時金の計算基礎年齢は60歳までの分
  6. 60歳で退職一時金を支給した後の延長5年分は、退職金の支給対象期間にもならず、退職金の支給もない
  7. 制度変更後も事業主掛金の拠出期間、従業員(加入者)の資格喪失の年齢(60歳に達したとき)及び老齢給付金の支給を請求できる年齢(60歳以上)に変更はない
 以上の概要を踏まえ、60歳の時点で退職一時金を受け取り、その後も引続き勤務する従業員であっても退職所得として取扱って差し支えないか否か、というものです。

 照会者側が退職所得の取扱いとする理由として、次の3つを掲げていました。
  1. 上記概要6. のとおり4. での支給後、退職金の支給もないので、“いわゆる打切支給の退職手当等である”との認識
  2. 上記概要5. のとおり支給年齢と退職金の計算年齢がイコール
  3. 上記概要3. 4. のとおり従業員の不利益変更は「相当な理由」に該当

 上記を受けた回答側である高松国税局側は、差し支えない旨の回答をしています。
 退職金の打ち切り支給に関しては、これまでもいくつか照会がありますし、国税庁サイト内での「質疑応答事例」でもいくつか掲載されています。

 ○質疑応答事例 源泉所得税目次一覧 (退職所得)
  https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/01.htm#a-04
 
 退職所得に該当するか否かは、税金の負担に大きな違いがあります。課税の判断は慎重に行う必要があるでしょう。



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