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作成日:2019/01/18
関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係



 税理士が自らの過失等により依頼者へ損害賠償金を支払った場合に、その賠償を補填するための損害保険「税理士職業賠償責任保険」について、先日ご案内しておりますが、この損害賠償金を受け取った側の課税関係について、東京国税局から照会事例が公表されています。確認しましょう。



 ○関与税理士から損害賠償金を受け取った場合の課税関係について
http://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shotoku/181207/index.htm
 
 
 この事例では、個人で不動産事業を行っている者が、その事業に係る消費税の課税方式について関与税理士へ賠償請求を行い、賠償額を受け取った際のその課税関係を照会しています。

 そもそも損害賠償金は、「不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金」に該当した場合には、所得税では非課税となります。

 また、その損害賠償金のうちに、必要経費の補てん部分がある場合には、必要経費からその補てん部分である損害賠償金を控除することとなります。

 この事例では、消費税の経理方法について「税抜経理方式」を採用し、消費税として控除しきれない部分を繰り延べ、5年間均等に各年分の不動産所得の必要経費に算入しています。(資産に係る控除対象外消費税額等の必要経算入の特例)

 そのような場合、この繰り延べて各年分の必要経費に算入した部分について「必要経費の補てん部分がある」として、損害賠償金のうちこの必要経費算入部分を不動産所得の総収入金額に算入するのかどうか、というところが本事例の焦点となっています。
 本来であれば先に述べたとおり必要経費から控除することになるはずですが、この事例では必要経費算入時期は平成25〜29年分の5年間、対して受け取る損害賠償金の確定は平成30年分になります。このとき、必要経費から控除するよう遡って修正するのではなく、受取確定年分の収入として課税を認識する、ということになります。
 
 結論としては、損害賠償金のうち、資産に係る控除対象外消費税額等の必要経算入の特例を適用して各年分の不動産所得の必要経費に算入した金額について、当該損害賠償金の受領確定年分の不動産所得の総収入金額に算入することとなるようです。東京国税局側も差し支えない旨の回答が公表されています。


 本事例のような消費税の課税方式についての選択誤りは、よく見受けられるケースです。損害賠償の相手方が個人事業者である場合の課税関係について、本事例で確認しておきましょう。



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