作成日:2014/12/01
既に退職所得の選択課税の申告書を提出している非居住者が退職手当等の追加支給を受けた場合の手続
非居住者に対する複数の制度の退職金支給について、別々に支給を受けた場合の更正の請求手続きに関する事例照会がなされています。確認しましょう。
○既に退職所得の選択課税の申告書を提出している非居住者が退職手当等の追加支給を受けた場合の手続についてhttp://www.nta.go.jp/tokyo/shiraberu/bunshokaito/shotoku/141106/index.htm
1つの会社で複数の退職金制度を設けている場合には、退職金支給がその制度ごとに別々退職者へ支給されることもあります。このようなケースでは、退職所得の課税年分は、最初に支払いを受けるべき年分となります(所令77)。
非居住者に対する退職金の支給のうち、日本の居住者であった勤務年数に応じた退職金分は、@原則として国内源泉所得として一定の税率により所得税が課税されます(所法169、170)が、A非居住者の選択により、居住者として退職金の支給を受けたものとみなして課税することもできます(所法171)。
実務上、この“選択”とは、退職所得の課税年分の翌年1月1日以後に選択課税の申告書を提出することにより、“選択”の意思を表示したことになります(所法173)。この選択課税の申告書を提出することにより、所得税の還付を受けることができるわけです。
今回の事例では、社内退職金制度及び確定給付企業年金制度という複数の制度がある会社を退職した場合について、非居住者のまま最初に社内退職金制度による退職金の支給を受け、翌年に選択課税の申告書を提出した後、確定給付企業年金制度による退職一時金を受取った場合、この退職一時金についてAを適用するためには、すでに選択課税の申告書を提出した後であるため、更正の請求の手続きを行うしか方法はありません。
この更正の請求の手続きについては、『国税の法定申告期限から5年以内に限り』行うことができますが、Aの選択課税の申告書は法定申告期限がないため、起算日は“申告書を提出した日”に読み替えます(所基通122-1)。
つまり、選択課税の申告書の提出日より5年以内に更正の請求を行うことで、確定給付企業年金制度による退職一時金に係るAの適用を受けられること(つまり、所得税の還付を受けられる)について、照会がなされ、差し支えない旨の回答がありました。
非居住者に対する複数からの退職金支給に係る更正の請求手続き、という少し複雑な事例ではありますが、実務の参考になさってください。
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