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作成日:2018/06/25
特定調停スキーム(廃業支援型)に基づき債権放棄が行われた場合の税務上の取扱いについて



 年商20億以下の事業者が負債総額10億円以下で民事再生手続きをとる際に利用する私的再生手法として、「特定調停スキーム」があります。


 この「特定調停スキーム」とは、簡易裁判所へ「特定調停」を申立て、債務者が負う金銭債務に係る利害関係の調整を図り、事業継続を可能にするための私的な支援手法の1つです。 
 利用の手引きは、日本弁護士連合会より公表されており、このスキームを利用した際の債務免除に関する債権者・債務者両方の税務上の取扱いについて、従前照会がなされており、このMyKomonTaxでもご案内しております

 この「特定調停スキーム」については、“事業継続を可能にするための私的な支援手法”とあるとおり、“再生”がメインですが、今般“廃業”を支援する「特定調停スキーム」の手引きを日本弁護士連合会が策定し、公表しています。

 ○「事業者の廃業・清算を支援する手法としての特定調停スキーム利用の手引き」の策定について
  https://www.nichibenren.or.jp/news/year/2017/141226.html
 
 このスキームを利用した場合における、債務免除に関する債権者・債務者両方の税務上の取扱い、保証人が保証債務の履行による資産の譲渡を行った場合の税務上の取扱いについて、照会がなされています。確認しましょう。

 ○特定調停スキーム(廃業支援型)に基づき債権放棄が行われた場合の税務上の取扱いについて
  http://www.nta.go.jp/law/bunshokaito/hojin/1805xx/index.htm
 
 
 結論からいえば、次のとおりです。

債務免除:
  1. 債権者側…債務免除額の損金算入が可能(法基通9-6-1(3)ロ)
  2. 債務者側…個人事業者が債務免除を受けた場合の債務免除益は、各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入されない(所法44の2)
保証人が保証債務の履行による資産の譲渡:
  1. 保証人…保証債務の履行により取得した求償権を書面により放棄した場合は、各種所得の金額の計算上、なかったものとみなす(所法64A)

 特定調停スキームに関しては、日税連も検討に参加しており、本照会にも照会者として連名で入っています。
 負債の問題で事業をたたむときに、“破産”という手段でなくても特定調整スキームによる廃業も可能となりました。ただし、依頼する資金までもない、というのでは本スキームを利用することはできません。資金があるうちに、こちらも手段として検討されるとよいでしょう。
 また、債権者側としてこのようなケースに遭遇する場合も今後ありえます。その場合の税務上の取扱いもあわせて確認しておきましょう。



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