作成日:2016/02/26
新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いが公表に
従前より、会社役員賠償責任保険のうち、株主代表訴訟担保特約の保険料を会社が負担した場合には、その負担分は対象となる役員に対する給与として取扱っています。
「株主代表訴訟担保特約」は、株主代表訴訟によって役員が敗訴して負担が発生した場合に備えるものであるため、本来役員個人で負担すべきものです。これを会社が負担した場合には会社法(商法上)問題である、ということに配慮されてわざわざ会社役員賠償責任保険の普通保険約款から免責しつつ、『特約』として取扱っているもので、税務上の取扱いも会社法の見解に沿って課税されているものです。○会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて(照会)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/shotoku/gensen/040120/01.htm
ところで、経済産業省の研究会「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」が取りまとめた報告書において、会社が一定の手続を行えば、上記の保険料を会社が負担したとしても会社法上問題とはならないとの解釈が示されました(「コーポレート・ガバナンスの実践〜企業価値向上に向けたインセンティブと改革〜」(平成27年7月24日公表)より)。
これを受け、今後、これまで『特約』として取扱ってきた“株主代表訴訟担保”について、普通保険約款から免責しない(つまり、特約扱いではなく普通扱いで株主代表訴訟担保が含まれている)タイプの会社役員賠償責任保険が販売されると予想され、その場合の保険料を会社が負担した場合に、税務上どのような取扱いになるのか、経済産業省が国税庁へ照会をかけています。
○新たな会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて(情報)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/160218/index.htm
結論は、新たな会社役員賠償責任保険の保険料について会社が負担した場合には、先の“一定の手続”を行っていれば、役員個人に対する給与課税は行わないことが示されています。但し、当然のことながら、“一定の手続”が行われないものについては従前の取扱いと変わらない、とのことも同時に示されています。
なお、この“一定の手続”とは、会社が利益相反の問題を解消するために行う次の2つとされています。
- 取締役会の承認
- 社外取締役が過半数の構成員である任意の委員会の同意又は社外取締役全員の同意の取得
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