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作成日:2019/04/15
行き過ぎた保険の節税商品 その改正通達がパブコメで公表に



 保険を用いた「節税」が行き過ぎとして、金融庁は実態調査に乗り出し、国税庁は改正する動きを見せていました。これらの事態を受け、保険会社はこぞって対象となりそうな商品の販売を自粛するなどの対応をとる一方で、改正の内容に注目が集められていました。


 そしてようやく、11日に通達改正のパブリックコメントが出されました。

 ○「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)等に対する意見公募手続の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=410300052&Mode=0
 
1.改正理由
 上記パブリックコメント内では、今般の改正に至った理由について、次の4点を挙げています。
  1. @保険会社各社の商品設計の多様化や長寿命化等により、それぞれの保険の保険料に含まれる前払部分の保険料の割合にも変化が見られること
  2. A類似する商品であっても個別通達に該当するか否かで取扱いに差異が生じていること
  3. B前払部分の保険料の割合が高い同一の商品であっても加入年齢や保険期間の長短により取扱いが異なること
  4. C第三分野保険のうち個別通達に定めるもの以外はその取扱いが明らかではなかったこと
2.改正後の定期保険等の保険料の取扱い
 定期保険及び第三分野保険(以下、定期保険等)の保険料は、改正により次の取扱いとなります。
  1. (1)(2)以外の定期保険等の保険料の取扱い
     期間の経過に応じて損金の額に算入(法基通9-3-5(連基通8-3-5))
  2. (2)定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い
     次の条件を全て満たす定期保険等の保険料は、最高解約返戻率に応じて損金の額に算入(法基通9-3-5の2(連基通8-3-5の2))
    1. @契約者:法人
    2. A被保険者:役員又は使用人(これらの者の親族を含む)
    3. B保険期間:3年以上
    4. C最高解約返戻率50%

     ただし、上記の全ての要件を満たしたとしても、次の全ての要件に該当する場合には、(1)の取扱いとする。
    1. @最高解約返戻率:70%以下
    2. A年換算保険料相当額(※):20万円以下
      (※)同じ被保険者が複数加入している場合には各契約分を合算した額
3.個別通達の廃止
 この通達改正により、第三者分野保険を含めた定期保険に係る保険料の取扱いを基本通達内で統一させる、ということになりますので、次の支払保険料の損金算入時期等に関する取扱いが定められた個別通達については、改正通達発遣日と同時に廃止されこととなります。

<支払保険料の損金算入時期等に関する取扱いが定められた個別通達>
定期保険:
  1. 法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」(平成20年2月28日付課法2−3)
第三分野保険:
  1. 法人契約の新成人病保険の保険料の取扱いについて」(昭和54年6月8日付直審4−18)
  2. 法人又は個人事業者が支払う介護費用保険の保険料の取扱いについて」(平成元年12月16日付直審4−52、直審3−77)
  3. 法人契約の『がん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障タイプ)』の保険料の取扱いについて(法令解釈通達)」(平成13年8月10日付課審4−100)
  4. 法人が支払う『がん保険』(終身保障タイプ)の保険料の取扱いについて(法令解釈通達)」(平成24年4月27日付課法2−5、課審5−6)

 なお、改正通達発遣日前に契約された分については、引き続き従来の取扱いが可能となる予定です。そのため、個別通達が廃止されたといっても従来分については引き続きその取扱いの内容がわかるように何らか保全しておく必要があります。今般の改正で取扱いが統一されるとはいえ、過去との線引きと“過去の遺産”としての従前の取扱いの整理は必ずしておきましょう。


 引き続き明日は、定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱いについて、詳細をご案内します。



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