作成日:2023/05/26
税務訴訟資料 令和3年判決分が公表 国税庁
5月24日、国税庁サイトに、税務訴訟資料として令和3年判決分が公表されました。
○税務訴訟資料に「課税関係判決 令和3年判決分(税務訴訟資料第271号)」を掲載しました(令和5年5月24日)
○税務訴訟資料に「徴収関係判決 令和3年判決分」を掲載しました(令和5年5月24日)
課税関係判決の令和3年判決分のうち、相続税更正処分取消等請求事件があります。
○相続税更正処分取消等請求事件(税務訴訟資料 第271号−1(順号13503))
こちらは大阪地方裁判所の判決文です。現在控訴中のようですが、争われたのは『貸付金の相続税評価』です。
この他、更正処分を受けたものの中に、遺産に係る基礎控除額の誤りがありました。
遺産に係る基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算をします。
法定相続人の数とは、相続の放棄があった場合でもなかったものとした数であり、被相続人の養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいる場合は1人、いない場合は2人までとなっています。
この事件では、当初の申告の際、法定相続人の数を「5人」としていました。
「5人」の内訳は、次のとおりです。(以下のアルファベットは説明のため付記。相続放棄の件は割愛。)
- 被相続人の実子Y
- 被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子A・B
- 被相続人の配偶者の実子で被相続人の養子Cの実子D・E
Cは、被相続人の相続開始時点で既に死亡していたため、代襲相続人としてD・Eを加えたようです。
しかし、この2人は、被相続人とCとの養子縁組以前に生まれていたため、被相続人の直系尊属にはなりません。そのため被相続人の代襲相続人としての地位を得ることはできません。
つまり、Y、A、Bの「3人」が法定相続人の数となります。
ちなみに、A・Bは被相続人の養子ですが、配偶者の実子であるため、被相続人の実子とみなして取扱われます。つまり、養子の数の制限対象にはなりません。
養子がいる場合のみなし実子に関する取扱いは、以下もご参考ください。
○相続税法第15条第3項の規定により実子とみなされる養子の範囲
○No.4170 相続人の中に養子がいるとき
養子がいる場合は、配偶者の実子である場合や、既に死亡した養子がいる場合の代襲相続人の考え方など、みなし実子の取扱いなどにご注意ください。
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