作成日:2021/08/12
電子帳簿保存法(電子取引関係) 複数の場所への電子データ保存
昨日に引き続き、電子取引関係の電磁的記録の保存について、ご案内します。今回は、電子データの格納先(保存場所)が複数あっても問題はないのか、について、です。
取引先から受け取る請求書データの保存場所は、その取引先ごとで異なる場合があります。
たとえば、以下のように、相手先(ここでは、A社/B社/C社)によって、状況が異なるケースは容易に想定できるでしょう。
- A社:X社が提供しているクラウドサービスの請求書データによるため、そのクラウドサービス内にデータが保存されている
- B社:電子メールにて請求書データが届くため、自社のサーバー内にある一定のフォルダ内にデータを保存
- C社:Y社が提供しているクラウドサービスの請求書データによるため、そのクラウドサービス内にデータが保存されている
このような場合に、あえて1つのシステム内にデータを集約しなければならないのでしょうか。
この点について、一問一答の問23によれば、以下のように複数に分かれても一定の管理状態が保てているのであれば、差し支えない旨が記載されています。
- 問23 (略)電子データの格納先(保存場所)を複数に分けることは認められますか。
-
【回答】
(略)
電子データの格納先や保存方法についても、取引データの授受の方法等に応じて複数に分かれることは差し支えありませんが、電子データを検索して表示する場合には、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるように管理しておく必要があります。【解説】
(略)
電子データの格納先や保存場所についても、例えば、取引の相手先ごとに取引データの授受を行うシステムが異なっている場合において、各取引データについて、必ず一つのシステムに集約して管理しなければならないとすることは合理的でないと考えられますので、取引データの授受の方法等に応じて保存場所が複数のシステムに分かれること等は差し支えありません。ただし、当該電子データについては、ディスプレイ等に整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておく必要があるため、例えば、A取引先についてはaシステムに、B取引先についてはbシステムに、それぞれ取引データが格納されていることが分かるようにしておく等の管理が必要であると考えられます。
したがって、同じ取引先から毎月同一のシステムを介して請求書データをやり取りしているにもかかわらず、合理的な理由がない状態で規則性なく保存先を散逸させ、保存データの検索を行うに当たっても特段の措置がとられず、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができないような場合は、その保存方法については認められないこととなります。
複数の保存場所が認められるには、「A取引先についてはaシステムに、B取引先についてはbシステムに、それぞれ取引データが格納されていることが分かるようにしておく」等、整然とした形式及び明瞭な状態で、速やかに出力することができるようにしておく必要がある点に、ご留意ください。
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