先日来ご案内しています、令和4年6月に新しく追加された【電子取引関係】の電子帳簿保存法一問一答(Q&A)の中から、今回は“メール受信した電子取引の保存と改ざん防止のための措置”について、確認します。
問38 電子メール等で受領した領収書データ等を、訂正・削除の記録が残るシステムで保存している場合には、改ざん防止のための措置を講じていることとなりますか。
【回答】
訂正・削除の記録が残るなどの一定のシステムを使用することによって改ざん防止のための措置を講じていることとするためには、保存だけではなく、データの授受も当該システム内で行う必要がありますので、改ざん防止のための措置を講じていることとはなりません。別途、不当な訂正・削除を防止するための事務処理規程を制定して遵守するなどの方法によって改ざん防止のための措置を講じることが必要です。
【解説】
規則第4条第1項第3号に規定する電子計算機処理システムとは、電磁的記録の記録事項に係る訂正若しくは削除を行った場合に、その事実及び内容を確認できる要件又は電磁的記録の記録事項について訂正若しくは削除を行うことができない要件のいずれかを満たすものが該当します。
同号では、上記のいずれかの要件を満たしたシステムを使用して「取引情報の授受及び電磁的記録の保存を行うこと」と規定していることから、電磁的記録の保存のみを当該システムで行っている場合は該当しません。
電磁的記録の授受を当該システム外で行うことがある場合には、別途、不当な訂正・削除を防止するための事務処理規程を制定して遵守するなどの方法によって改ざん防止のための措置を講じることが必要です。
請求書等をデータで電子メール受信している方も多いのではないでしょうか。そのような場合において、訂正・削除の記録が残るなどの一定のシステムを使用することによって改ざん防止のための措置を講じていることとしたいのであれば
- データの授受
- データの保存
いずれも当該システム内で行う必要があります。
OutlookやGmailなどの一般的なメーラーは現状、“訂正・削除の記録が残るなどの一定のシステム”には該当しないため、このようなメーラーによりデータを取得し、他へ保存する場合に、改ざん防止のための措置を講じる要件を満たすには、“不当な訂正・削除を防止するための事務処理規程を制定して遵守する”などの対応が必要です。