平成30年度税制改正において、農地等・非上場株式等に次ぐ第3の納税猶予制度として「特定美術品」が創設されています。
この特定美術品の納税猶予制度は、重要文化財や登録有形文化財など一定の指定を受けている美術品について、美術館等へ寄託しているなど一定の要件に該当した場合、その美術品の相続税について8割の納税猶予を受け、上手くいけばその後全額免除してもらえる制度です。
この制度の創設は、国が推し進めている「観光立国」のコンテンツを充実させるために、個人所有の美術品を寄託してもらいたいという意図があるわけですが、これまで過去にあった、浮世絵に代表される価値ある美術品の海外流出を防ぐ狙いも背景にあります。
改正が成立したのは平成30年度になりますが、施行日は文化財保護法の改正施行にあわせた、平成31年4月1日となっています。つまり、平成31年4月1日以後の相続開始からの適用となるため、今般この施行日にあわせ、国税庁がパンフレットを作成して公表しました。
○「特定の美術品についての相続税の納税猶予及び免除のあらまし(令和元年5月)」を掲載しました(令和元年5月22日)
http://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/pdf/bijutsuhin_uyo.pdf
美術品なら何でも良いわけではありませんし、指定を受けていたらそれで即適用されるわけではなく、様々な手続き等を経る必要がありますので、ご注意ください。適用のハードルは決して低いとはいえませんが、相続税評価額が高くなる一級品でしたら、一考の価値はありそうです。
なお、この納税猶予は、他の農地等や非上場株式等の納税猶予制度とは違い、「相続税」に限られています。贈与税は納税猶予の対象ではありませんので、その点もあわせてご留意ください。
作成日:2019/05/24
特定美術品に係る納税猶予制度 パンフレットが公表 国税庁
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