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作成日:2018/03/23
家なき子除外改正のもう1つの経過措置 30年度税制改正



 先日、「別居親族が相続する居住用宅地について「特定居住用宅地等」の適用を受ける場合の通称“家なき子”の要件について、除外される改正が平成30年度税制改正で設けられる予定です。」として、平成32年3月31日までの相続(遺贈)については30年3月31日時点で現行の要件を満たしていれば、“家なき子”として「特定居住用宅地等」の適用を受けることをご案内しました。


 これは経過措置ですが、もう1つこの“家なき子”に係る改正の経過措置があります。
 
 ○所得税法等の一部を改正する法律案 P761〜780PDF(612KB)
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/196diet/st300202h_39.pdf

 ちなみに法改正(案)は、次のファイルの16ページ目以降です。

○所得税法等の一部を改正する法律案 P401〜420(621KB)
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/196diet/st300202h_21.pdf
 
 経過措置はすでにご案内した経過措置と同条で、先日は第二項、今回は以下の第三項です。

附則第118条
3 個人が平成32年4月1日以後に相続(又は遺贈、以下同じ)により取得をする財産のうち経過措置対象宅地等がある場合において、同年3月31日において当該経過措置対象宅地等の上に存する建物の新築または増築その他の工事が行われており、かつ、当該工事の完了前に当該相続があったときは、当該相続に係る申告期限までに当該個人が当該建物を自己の居住用に供したときに限り、当該経過措置対象宅地等は相続開始直前において当該相続に係る被相続人の居住の用に供されていたものと、当該個人は同行第二号イに掲げる要件を満たす親族とそれぞれみなして、同条第一項の規定を適用する。


 今回も若干省略した表現になっていますが、ここでの“経過措置対象宅地等”とは、第二項の“経過措置対象宅地等”のことを指しています。つまり、30年3月31日時点で旧法(現行)の別居親族要件を満たしている場合の特例対象宅地等です。

 たとえば父所有の経過措置対象宅地等について、平成32年3月31日時点で同居するために建替えをしていて、完成前に父が死亡、同居予定だった子が相続により取得し、かつ、父の相続に係る申告期限までにその子が居住している、というようなケースでは、父は死亡時点で当然そこに住んではいないものの居住していたものとして、さらにその子は父の同居親族としてみなした上で特例居住用宅地等としての適用を認めます、というものです。

 まとめますと、この経過措置を適用するためには、主に以下のような条件をクリアしなければなりません。

  1. 経過措置対象宅地等であること
    (つまり、平成30年3月31日時点で旧措法69の4B二ロに該当していること)
  2. 平成32年3月31日時点で経過措置対象宅地等の上物(建物)が工事中であること
  3. 工事完了前に相続開始していること
  4. 当該相続に係る申告期限までに相続取得した個人が居住していること
 該当するケースはそれほど多くはないとは思いますが、この経過措置は法改正適用年の今年(平成30年)ではなくその2年後(平成32年)以降の相続の話です。若干先の話になるため、適用を忘れそうな予感がします。おそらく国税庁はそのようなことがないように、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用する際のチェックシートなどで注意喚起してもらえるような気がしますが、それにしてもこのような数年先の相続について、忘れないでおかなければいけないという、頭の痛い経過措置といえそうです。




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