2017/01/18 TKCと三井情報の連携
2017/01/11 相続税0申告の実態
2016/12/28 税理士事務所も新型融資に絡んでいかないと…
2016/12/21 会計・税務分野の特許申請の実態
2016/12/14 少額資産運用のツールの品揃えが増えてきた
2016/12/07 使わないと損?
2016/11/30 市場のどこにチャンスがあるか?


TKCと三井情報の連携(2017/01/18)

 TKCのモニタリング情報サービスの対応金融機関が1月13日時点で190行になった。全国の地銀・信金数の約5割強が、TKCで月次決算処理する中小企業の財務内容をモニタリングできる環境にある。TKCのモニタリング情報サービスは
  1. 決算書等提供サービス
  2. 月次試算表提供サービス
  3. 最新業績開示サービス(29年4月開始予定)
から成る。従来は、金融機関が融資に際して取引先企業に決算が終了する都度、決算書・申告書等の提出を求め、コピーされた紙資料で提供を受け、行内の財務判定ソフトに入力し融資判断を行っていた。しかしこれからは、決算申告を請け負った会計事務所から取引先企業の承諾を前提に、金融機関にネットで配信されることになる。

 一方、地銀・信金の多くは三井物産の子会社である三井情報が開発した「CASTER」という財務分析ソフトを使っている。今回、TKCと三井情報が今年の3月をめどにデータ連携し、会計事務所から送信された決算書データをCASTERで取り込み、財務分析を瞬時に行えるようになるらしい。

 CASTERで行う財務分析の特徴の一つに「粉飾チェック機能」があり、経常収支比率が95%を下回ると自動で作動することになっている。損益計算書で利益計上されていても、経常収支がマイナスであれば、金融機関はまずその原因がどこにあるかをチェックして、稟議に挙げることになっている。財務収支尻の不具合なのか、粉飾の疑いがあるのかを探らなければならない。

 金融機関が利用してきた財務分析ソフトと中小企業の多くが利用する計算ソフトは、従来であれば全く別の存在であったものが、ネットによるデータ連携で「新サービス」が誕生することになる。これも新しい時代の幕開けであろう。こうした動きに会計事務所が先んじて対応できるかどうかも、勝負の分かれ目になるに違いない。


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相続税0申告の実態(2017/01/11)

 昨年12月に公表された国税庁の「平成27年分相続税の申告実績」によると、相続税額のある被相続人の数は約103,000人で対前年比で約47,000人増加した。これは、27年中に死亡した人(約129万人)の約8%(課税割合)に相当し、前年の課税割合が4.4%なのでほぼ倍増の結果となった。

 相続税申告業務を受任する税理士事務所にとっての関心事は、課税割合件数よりも相続税0申告数も加えた申告件数の動向であろう。同資料によると、平成27年分の相続税0申告の被相続人数は約30,000人で、課税割合件数を合算した申告件数は133,000件となり死亡数の10.3%となった。

ざっくりで言えば死亡数100人に対し10人が申告対象となり内2人が相続税0申告である。

 この数値は全国平均値であり、大都市圏や地方では申告件数も当然異なってくる。主な国税局発表の資料では(死亡数100人に対し)

国税局 申告数(人) 相続税0申告数(人)
東京 17.6 4.9
名古屋 13.7 2.7
大阪 10.4 2.2

東京近郊は地価が断トツに高い事もあり、小規模宅地の評価減の特例を使い相続税0申告の割合が多いのであろう。それにしても、東京近郊は死亡数の2割近い人が納税0でも申告をしなければならない状況になったことになる。

 相続税申告作業を全くの素人の方が自身で完成させることはまず無理であろう。となると専門家に依頼しなければならなくなるが、税額0でも申告手数料が数十万は必要となれば、理解に苦しむことになるのではないか。一方、専門家の側も相続税額0の申告作業も通常と変わらず、0だから工数削減とはならないので利に合わない事情もある。ネットを使って全国一律料金で「相続税額0円申告は98,000円」と謳っている税理士事務所もあるようだ。

 相続税申告が必要な人は死亡者の5%といった話は昔の世界で、今は死亡者の1割になった。大都市では1〜2割になる。特例を使って相続税額0となる「迷える申告者」をどう迎え入れるかも、税理士事務所によって戦術が異なってくるのであろう。


参考:
国税庁「平成27年分の相続税の申告状況について(PDF/347KB)(平成28年12月)


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税理士事務所も新型融資に絡んでいかないと…(2016/12/28)

 横浜銀行とfreeeの協業によるビジネスローンの申し込みが12月19日より開始となった。特徴は
  1. 仮審査申し込み→本審査の2段階を踏むこと
  2. 仮審査でfreee内のデータを銀行が閲覧し第一回答を電話で事業者に行う
  3. 仮審査に合格すると本審査での申し込み手続が必要
 要は複数の書類を用意して申し込む手間はなくなったということ、freeeでデータを見せれば第一次選考に合格するかどうかの判断がつく・・程度がメリットか?
  1. 融資上限は5000万円で先行したジャパンネット銀行とfreeeのビジネスローンより金額は大きい
  2. freeeの2つ星、3つ星認定アドバイザーである税理士事務所の顧問先限定ローンで金利面で0.25%優遇される
 freee認定税理士の顧問先限定なので、利用事業者は限られるが、この制度によって税理士事務所がfreeeの利用を事業者に積極的に進めていく環境は生まれたようだ。

 来年の春には、住信SBIネット銀行がfreeeの会計ソフト上で、振り込み操作が実現できる仕組みが予定されている。ソフト内で資金繰り表を作成し、それに基づいて振り込みまで終わらせる流れが出来ることになる。

 また来夏に予定されているリクルートの中小企業向け融資がフィンテックとの連携でどのような形を見せるのかも興味がわくところでもある。飲食・不動産・美容等々サイト運営で30万社以上の中小企業を囲い込んでおり、企業与信を必要としない大手による新型融資が登場する。

 個人対象であるがソフトバンクとみずほ銀行がタッグを組んだAI融資も2017年前半に事業開始が予定されている。

 金融庁も事業性評価融資の実行を来年から本格的に地域銀行に求めていくことになるだろう。過去の財務諸表から得られるデータに依存することなく、事業そのものを担保に融資可能かどうかの目利き力を更に求められることになっていく。

 一方で、過去の財務諸表に基づいた企業与信でなく、リアルな日常の会計データで即日融資を謳い文句にするフィンテック事業者と銀行との連携も中小企業向け融資の道を開いていくことになるだろう。


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会計・税務分野の特許申請の実態(2016/12/21)

 クラウド会計のfreeeが、同業のマネーフォワードを特許侵害で訴訟を起こし、波紋を呼んでいる。特許情報プラットフォームのサイトで、今回の事件の原因となった「自動仕訳」というキーワードで検索してみると、特許・実用新案の取得件数が延べ63件もある。

 因みに「会計処理」のキーワードでは1132件、「仕訳」では583件、「摘要」なら235件が特許取得済みとなっている。エプソン、オービック、JDL、東芝等大手メーカーの出願件数が多く、freeeのようなベンチャー系は比較的少ない感じだ。

 いずれにしても会計ソフト関連でこれだけの特許取得件数があると、果たして、特許侵害を意識していても、結果的に「真似た」ことになってしまうのも已むを得ないかもしれない。以前から議論になっているソフトの特許出願は認めない方向にいかないと、このような問題が再び起こるのではないか。

 税務周りでは「相続」というワードで333件の特許取得があり
  1. 相続税対策支援システム
  2. 遺言証書収納式エンディングノート
  3. 相続税試算装置
  4. 家系図作成装置
といった出願内容のものもある。上記の下2点の出願者は野村総研である。「消費税」では328件、「法人税」で41件の取得済になっている。「経営支援」というワードでも67件ある。

 会計事務所が出願者になっているのも数件見られ、特許権取得で差別化する狙いもあるのかもしれない。クラウド、ネットワーク、API連携、自動化、人工知能を駆使した会計処理・・時代の変化とともに、会計業界でも新手のサービスが生まれて来るであろう。特許申請が認められている以上、積極的に出願して囲い込み戦略も必要なのかもしれない。


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少額資産運用のツールの品揃えが増えてきた(2016/12/14)

 日本投資顧問業協会より、平成28年9月期のラップ口座の運営状況の開示があった。ラップ口座と言うと富裕層向けの投資一任運用と感じる人も多いだろうが、最近は10万円からの契約も可能になっている。大手証券の運用契約金額1000万未満の契約者数、総額、1人当たり平均を見ると

  契約者数 運用総額(億円) 平均(万円)
1 野村證券 133804 8363 625
2 大和証券 82899 4312 520
3 日興証券 78914 4103 520

 平均5〜6百万の運用を大手証券に一任運用している実態がわかる。しかし、今年2月から運用開始したお金のデザイン社の「THEO(テオ)」はロボット運用でラップ運用を10万円から預入できる。同社の平成28年9月時点の契約状況を見ると
  1. 契約規模別分布は1000万未満が99%
  2. 契約者数は3930件、契約総額が17.6億円、平均で45万円
となっている。

 THEOの特徴は
  1. 年齢、投資経験の有無、運用の安全性への姿勢、価格変動リスクの許容度・・等の質問へ回答
  2. 上記回答結果を基に資産運用方針を示しポートフォリオを作成する
  3. 全世界のETF約11000銘柄を対象に運用
  4. 時価評価ベースでのポートフォリオを常に維持する形でロボットが自動売買する
  5. 手数料は年率1%(運用資産3000万未満の場合)のみ
  6. 海外ETFが投資の主になるので為替変動のリスクはある

 11月末の経済番組報道によると契約者数が11000件を超えたそうである。この2月で8000件近い新規契約者が増加したことになる。NISA、idecoも活用しながら少額資産運用の武器は揃ってきている。


参考:
日本投資顧問業協会「契約資産状況(最新版)(平成28年9月末現在) ラップ業務PDF(187KB)


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使わないと損?(2016/12/07)

 売掛金の回収リスクを完全保証する決済システムが法人間取引でも可能になるサービスが登場した。ネットプロテクションズが運営する「FREX B2B(フレックスビーツービー)」だ。現状、売り手側企業の会員が900社で買い手側取引先累計数が60万社に及ぶという。

 10月に森永製菓もこのサービスの導入を決めたことで話題となった。商品を販売して売掛金となった後は
  1. 買い手側の与信
  2. 請求書発行
  3. 回収督促
  4. 入金管理
  5. 代金回収
等の作業が売り手側の負担となる。この業務をすべてFREX B2Bが請け負う。

 他の後払い決済サービスと違うのは
  1. 買い手側の事前審査は不要
  2. 与信通過率実績が98%
  3. 月額固定費12000円+1.9〜3.6%が基本
  4. 買い手の取引可能額30万〜300万円
  5. 買い手が個人事業者でも屋号があれば利用可能
 通常、新規取引が発生すると初回は現金払いでリスクヘッジするが、これでは販売機会ロスを生じることも多い、取引が継続し取引額も増えてくると買い手側与信管理も大なり小なり必要になってくる、そのための事務コストも増える。買い手側企業の
  1. 企業名
  2. 所在地
  3. 電話番号
  4. メールアドレス
  5. 今回の取引金額
等、売り手側企業が持っている情報のみで審査を行い、早ければ数分で与信判断がくる。

 買い手側は発注し、商品到達後にFREX B2Bから来る請求書に応じて支払いすれば良く、売り手側はFREX B2Bから入金がある。

 売り手側は顧客開拓や商品力強化に専念し、「売った後のことは」新手の決済サービス等を利用する。ネットプロテクションズには個人向けの後払い決済サービスもあり、既に流通総額も1000億円に達する実績もある。修理等の訪問販売型サービス業向けの後払い決済サービスも登場させている。商品力以外にも買い手がメリットを感じられるサービスを付加することで、競争力をさらに高められよう。


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市場のどこにチャンスがあるか?(2016/11/30)

 フォーブスジャパンが主催した「日本の起業家ベスト10」が公表された。事業性、グローバル展開、最先端を行くものかどうか等が評価の対象とされ今後のビジネスを考えるのに参考になる。ベスト10にランクされたビジネスを順に掲げると
  1. メルカリ:
    1. フリーマーケットのアプリで1日50万品目の出品、日米で5500万ダウンロード数
    2. 月間流通総額100億円超、売り手が値付けすることでオークションと異なる
  2. ソラコム:
    1. IoTデバイスに最適化されたSIMの製造販売
  3. ラクスル:
    1. 24時間365日稼働、1枚から発注可能なネット印刷
  4. ビズリーチ:
    1. 登録ヘッドハンター1600人を擁する即戦力人材の採用サイト
  5. sansan:
    1. クラウド名刺管理ソフトの提供
  6. WHILL:
    1. 電動車椅子等次世代パーソナルモビリティの開発
  7. マネーフォワード :
    1. クラウド会計ソフト
  8. アストロスケール:
    1. 宇宙ゴミを大気圏に突入させ燃やして処理する「BOY」の開発
  9. ライフロボティクス:
    1. 工場作業者と協働できるロボットの開発
  10. freee:
    1. クラウド会計ソフト

 ベスト1のメルカリの市場にはヤフオクという強者がいるし、ソラコムの移動体通信販売も3大企業が市場を占有している業界で、ビズリーチの業界も人材の最大手リクルートがいる。WHILLやライフロボティクスは、医療ロボットのサイバーダインの隣接市場に参入している。

 市場のどこにチャンスがあるかをイメージするには、先駆の起業家のアイデア、コンセプトを理解することも重要なことだろう。



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