2018/05/23 スルガ銀行の決算を見る
2018/05/16 小規模事業者のM&A
2018/05/09 人手不足対策として検討してみたら
2018/05/02 顧問先の取引銀行の実情を知ろう
2018/04/25 安く取引先の変化を知る
2018/04/18 会計事務所業界の行方
2018/04/11 実際に体験しておきましょう


スルガ銀行の決算を見る(2018/05/23)

 地銀の雄として金融庁から評価を受けてきたスルガ銀行が、シェアハウス事業への融資問題で窮地に立っている。わずか5年余りでシェアハウスのオーナーを1,200人強集め、2,000億円強の融資を実行。事業運営者の倒産によってオーナーへの貸出金の返済が困難になり、挙句の果てに証憑改ざん等の不正行為も表面化してきた。
 
 スルガ銀行の預金残高は4兆円弱、お隣の静岡銀行は8兆円で、規模的にはスルガ銀行の2倍にあたる。2018年3月期の決算説明会資料によると、スルガ銀行の資金利益(利鞘)は1,183億円に対し静岡銀行は1,115億円、経費の総額もスルガ銀行が467億円に対し、静岡銀行は821億円で経費は規模に比例するが、資金利益は規模が半分でもほぼ同じという結果が見て取れる。
 
 スルガ銀行の特徴は、貸出金の9割が個人ローンに特化していることである。個人・企業からほぼ0金利で4兆円預かり、その8割が住宅ローンやシェアハウス事業のような個人向けアパートローンで占めているようだ。貸出金利回りが3.61%と、他の銀行の運用利回り(約1%強)と比べると突出している。事業者向け融資のように毎期の決算動向をチェックする手間もなく、不動産の担保評価と物件保全をしっかりとしている限りにおいて、一旦貸し出しを行えば人手のかからない融資にもなる。
 
 しかし、今回の運営事業者の倒産でオーナー向け貸出債権が不良債権化した。
 
 債務者が経営破綻の状態には至っていないが、財政状態及び経営成績が悪化し、契約に従った債権の元本の回収及び利息の受取りができない可能性の高い債権である「危険債権」が477億円、3ケ月以上延滞債権、貸出条件緩和債権である「要管理債権」が140億円、今回の決算で計上されている。今回の事件のシェアハウス関連で、他の事業者分も含め約2,000億円強がスルガ銀行で融資されている状況を見ると、不良債得処理には時間がかかるのかもしれない。
 
 「スルガを見習え」と言ってきた金融庁が「今後の地銀の差別化」をどう修正していくのか、興味深いものがある。


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小規模事業者のM&A(2018/05/16)

 年商1億円もいかない小規模事業所の後継者対策は、国・自治体も危機感を高めている。全国で該当する事業所数は約120万社とも言われ、対処の方法としてはM&Aによる解決が優れているが、現実問題として「案件化」するまでの労力、買い先候補の発掘、M&Aに至る一連の手続き等々考えると、ある程度の成功報酬額を見込める案件でないと、ビジネス的には難しいのが率直な仲介業者の感想であろう。従って「譲渡価格」が1億円未満の案件は、人が長期間介在して成約を得る仕組みでは成立が難しい。

 M&A仲介大手の日本M&Aセンターが4月に設立したアンドビズでは、インターネットサイトでの譲渡案件の紹介を行っている。全国75の金融機関及び732の会計事務所と協働して、全国の譲渡案件の発掘を行っている。
 サイトでは譲渡案件が329件と表示され(執筆時点)、地域別・業種別で検索できる。譲渡希望の多い業種を見ると「医療福祉」が62件、「卸・小売」が61件、「製造業」で42件、「飲食・宿泊」で49件と、この4業種で全体の3分の2を占める。「医療福祉」の中では歯科医院の譲渡希望が多い。

 画面には「希望価格」が掲示され、交渉先が既にある場合には「交渉先有り」と表示される。
 買い手希望者は無料の会員登録をし、運転免許証や保険証等、名刺で本人確認し、秘密保護契約をネットで交わすと、案件の「詳細情報」や「財務情報」「実名情報」を得ることが可能になる。
 交渉も「直接交渉」か「アドバイザー交渉」かも表示されており、アドバイザー交渉が圧倒的に多い。アドバイザーは参画する地域銀行のM&A担当者や会計事務所がつくことになるので、買い手からすると突っ込んだ財務や法的な問題を確認することが可能になる。

 譲渡案件は日本M&Aセンターが発掘した小規模案件であり、古くは2015年からの案件もある。今後このサイトの認知が拡がることで案件数は拡大していくだろうし、事業承継としてのM&Aだけでなく、創業案件としても活用は大いにできるだろう。


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人手不足対策として検討してみたら(2018/05/09)

 昨年に公表されていたセブン銀行のATMでの現金受取サービスが、5月7日よりスタートした。

 企業から個人へ送金を必要とする際に、現在では口座振込か現金手渡しくらいしか方法がなかった。働き方改革で副業による企業から個人への送金、ネット通販での返品による返金、建設現場での職人への報酬の支払い等、企業から個人への送金機会が増えている。

 今回の現金受取サービスは次のような仕組みだ。
  1. サービス契約企業が個人宛に電子メールで「番号」を送る
  2. 個人はセブン銀行のATMに「番号」を入力する
  3. ATMから紙幣とセブンイレブンのレジ用のバーコードレシートが出てくる
  4. 送金額が15,200円だとしたら、15,000円はATMで200円はレジで硬貨で受け取る
 人手不足で悩む中小企業では、継続雇用でなくとも「即日払い」や「前払い」を使ってでも臨時の戦力が必要な場合が多い。
  1. イベントスタッフや工場の軽作業
  2. 引越作業や警備員
  3. 深夜スーパーでの商品陳列やティッシュ配り、チラシのポスティング
  4. 飲食店での臨時ヘルプスタッフ
  5. データ入力などパソコンを使った在宅作業
  6. 交通調査スタッフ
  7. 介護、看護、保育のヘルプスタッフ要員
 現金を受け取る個人も「ちょいアルバイト」のつもりなのに「口座情報」等の事務手続きは面倒だし、電子メールを伝えておけば、自分の都合に合わせてセブン銀行のATMに行くだけなので、便利に感じる人も多いだろう。

 会計事務所とすれば顧問先の人手不足対策としてこうしたサービスを周知させるとともに、支払われる現金が「給与」か「報酬」か、源泉徴収額の計算はどうなるか等も合わせて教示しておくことも必要になるだろう。


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顧問先の取引銀行の実情を知ろう(2018/05/02)

 先日、日経新聞で「地方銀行が米国債など海外債券の運用で損失を膨らませている…」との記事があった。確かに昨年から米国の金利上昇で米国債には価格下落傾向があり、最近も米国金利が3%を超えた状況から債権運用の難しさが指摘されてきた。

 日経でも取り上げられたが、関西地盤の池田泉州銀行の29年12月期(第三四半期)決算説明資料を見ると、約350億円程度の利鞘(資金収益)を稼ぐ銀行で「その他業務利益」が約130億円の赤字、経費を差し引いた業務純益(一般会社の営業利益)も約82億円のマイナスとなっている。これを株式売却益で補って経常利益を確保した決算だった。

 同行の「有価証券種類別残高」を見ると、29年3月末の有価証券残高(9,542億円)の約23%がドル建ての外国証券で、金利上昇(債券価格下落)により売却を進めたのか、29年12月末にはドル建て外国証券は約1,300億円減少し、同保有残高は有価証券全体の11%まで圧縮した。この運用実態を見て、金融庁も地銀のリスク管理に警戒を強めている。

 大手地銀の横浜銀行と東日本銀行を傘下に置くコンコルディア・フィナンシャルグループの「その他業務利益」は前年同期約65億円だったのに対し、29年3月期決算では約92億円の赤字と、累計期間比では約157億円の減少となっている。

 一方、地銀の優良行とされている静岡銀行の29年3月期決算説明資料を見ると、「その他業務利益」は約89億円の増加となっている。有価証券の外国証券保有残高の推移を記すと
  1. 2016年12月末残高 5,421億円
  2. 2017年03月末残高   1,362億円(4,059億円減)
  3. 2017年12月末残高 3,251億円(1,889億円増)
市場環境を慎重に見ながら外債の運用を進めてきたことが見て取れる。

 マイナス金利や利鞘縮小が続く中で、債権運用力で地銀の格差が開いていく時代にもなっている。取引銀行の決算説明書を見れば、どのような運用結果になっているのかわかるので、調べてみると良い。


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安く取引先の変化を知る(2018/04/25)

 2016年6月設立のスタートアップの「アラームボックス」に注目しておきたい。このサービスは、同社に取引先を登録しておくと、取引先の重要なリスクや状況変化をメールで通知してくれるというサービスである。従来なら信用調査会社に委託して取引先の与信を判断したりするが、コストもかかり、調査レポートを読むにも一定の知識を求められる難点があった。

 企業の「変化」を知るサイトとして一例をあげると
  1. 転職サイト大手のエン・ジャパンが運営する口コミサイト「カイシャの評判」は社員や元社員による自社の評価情報が100万件に達している。ここから退職者が続出しているとか社内風紀の乱れとかのネガティブな情報も掲載されている。
  2. 国土交通省ネガティブ情報等検索システムには、過去の行政処分や行政指導を行った情報がデータベース化されている。
  3. お店なら「最新閉店情報」サイトがある。
  4. web巡回によって企業のホームページ更新情報も探れる。
 アラームボックスはこうしたSNS、口コミサイト、ブログ、ニュース、業界専門メディア、企業サイト、取引情報、登記情報、公的機関情報等のオンラインデータを収集して、独自のアルゴリズムに基づいて与信状況を解析し、登録ユーザーにアラームをメールにて知らせている。

 コストは一社あたり月額190円から使え、15日間は無料でお試しできる。アラームボックスの開発者は売掛保証会社トラスト&グロースを立ち上げた人物で、信用調査業界では評価されている。

 アラームボックスがクラウド会計とAPI連携して、売掛先一覧にアラームが点滅するようなサービスも遠くはないだろう。


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会計事務所業界の行方(2018/04/18)

 京都中央信用金庫が提供する創業融資を利用するスタートアップ企業及び個人事業主に対して「会計freee」を1年間無料にて使用できるサービスを共同で発表した。

 福井銀行も業務提携するマネーフォワードと協力して、最大1千万円までの融資商品の取り扱いを始めた。MFクラウドを13ヶ月以上利用している北陸三県の中小企業が対象になる。

 福岡の西日本シティ銀行も「freee for 西日本シティ銀行」という名称で、西日本銀行向けにカスタマイズしたクラウド会計の提供を行っている。

 このような動きが活発になってきた背景には、昨年6月に公表されたアベノミクスの成長戦略である「未来投資戦略2017」の中のFinTechの推進があると思われる。一部、具体的な項目として掲げられているものに
  1. 今後3年以内(2020年6月まで)に80行程度以上の銀行におけるオープンAPIの導入を果たす。
  2. 今後10年間(2027年6月まで)に、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す。
  3. 今後5年間(2022年6月まで)に、クラウドサービスを活用して財務・会計領域のバックオフィス業務を効率化する中小企業等の割合を現況の4倍程度とし、4割程度とすることを目指す。
 クラウド会計と金融機関との参照系及び更新系のAPI連携が急速に普及することで、自動仕訳や会計ソフトから銀行取引に繋がっていくサービスの競争が激化するだろう。

 キャッシュレス決済と電子レシート等の普及が現金取引仕訳を最低限のものにし、証憑保管の課題も現在とは別次元のものになっていくのではないか。

 政府が率先してクラウド会計の普及を中小企業に求めているので、オフライン会計に依存している会計事務所の存続は益々困難になるのかもしれない。


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実際に体験しておきましょう(2018/04/11)

 LINEの公式アカウントに@roppoaikoと入力してみよう。すると「AI弁護士六法あいこの残業相談」というトーク画面が出てくる。最初の画面でどんなトーク(相談)が可能なのかの説明がある。
  1. 裁量労働制でも残業代はもらえるか?
  2. 課長でも残業手当がつくことがあるか?
  3. 残業代請求の流れの概要について教えて
  4. みなし労働って何?
 相談者の労働形態で残業代がもらえるのかどうか、正しく計算されているのかどうか、事業主と揉めたときの対処・・云々についてLINEユーザーが「相談」すると、即座にAI弁護士が「回答」するチャットボットである。

 このサービスを開発したのは日本リーガルネットワークの弁護士集団で、無料で使用でき、ユーザーが一定の知識を得たところで、必要に応じて専門家に繋ぐ仕組みになっている。バックエンドにIBMのWatsonを用いて開発されたようだ。

 証券会社や銀行が、チャットボットで商品説明や手続面を回答する仕組みは、既に多くのところで公表されているが、士業系のチャットボットは少ない。

 国税がチャットボットで「相続税申告が必要かどうか?」「相続の手続きは?」「勘定科目をどうしたら良い?」「減価償却費の計算方法」「消費税の課税区分」… 一定の細分化されたカテゴリで相談回答サービスを行ったら、税理士業界にどんな影響が生じるか検討必須だろう。

 ランサーズが行った「フリーランス実態調査」によると広義のフリーランスは約1100万人、一人当たり年間報酬は186万円だそうだ。確実に身近な「税務相談」を求める人は急増し、今後の「申告必要者」になっていくだろう。AI税理士がどういう役割を果たしていくのか注視しておかねばならない。



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