
- 2026/03/10 銀行コンサルが税理士交代に至る理由とは?
- 2026/02/25 預貸率が4割もない金融機関をメインバンクにしていると
- 2026/02/10 賞与の給与化についての顧問先向け説明書
- 2026/01/14 1人当たり課税価格は変わらないのに課税割合は増える
- 2025/12/23 知らないうちに譲渡されていた……とならぬよう
名古屋に本店を置く「あいち銀行」は、昨年1月に愛知銀行と中京銀行が合併して誕生した地銀である。
あいち銀行の親会社である「あいちフィナンシャルグループ」は、銀行コンサルを行う「栄町リサーチ&コンサルティング」を昨年10月に発足させた。社員数39名でスタートし、今後の5年間で人員を100名程度まで増員する予定だ。
コンサルティングの主なテーマは、事業承継(M&A含む)及び中小企業向けDX導入、経営改善等、多岐にわたり、税理士の提供する範囲にも被さってきている。
全国的にも横浜銀行、静岡銀行、千葉銀行等のコンサル子会社、コンサルを内製化する北國銀行や大手信用金庫にも、中小企業向けのコンサル部隊が充実している。
従来は、「融資の銀行」と「税務の税理士」で中小企業向けの営業活動は棲み分けができていたが、銀行のコンサル活動の拡大によって、相互の境界線が曖昧になってきた。
銀行がコンサル活動を始めると、
- 試算表が遅くて改善計画が作れない
- 月次の精度が低く、銀行が数字を信用できない
- 経営者が数字を理解しておらず、改善会議が進まない
- 税理士が資金繰り表を作成できない
- クラウド会計に非対応で、データ共有が遅い
といった銀行の不満が中小企業の経営者に伝わり、その結果、税理士変更が起きやすくなってきている。
大手の税理士事務所なら、コンサル専属部門を持って、会計・税務申告の本業とは切り離して活動時間を確保したり、コンサルタントの教育を充実させたりするところもある。しかし平均的な事務所では、人員的に本業もコンサルも兼務して行わなければならず、コンサル専担になりにくいのが実情であろう。
銀行担当者も従来は、融資を獲得するための「無料の簡易なコンサル」を提供しているに過ぎず、時間を割いて経営改善指導を行うまでには至らなかった。
ところが、こうして「あいち銀行」のように100名規模のコンサル会社を目指し、他のライバル銀行の優良得意先に食い込むような展開に持っていく銀行が生まれてきた。
「先代からの付き合いの税理士」にとっても、銀行コンサルによって顧問先との綻びが見え、税理士の変更(交代)が進んでいる、ということが、十分にあり得る状況ではないだろうか。
3年前は、10年物新規発行国債の利率が0.3%前後だった。現在の市場金利は2.2%前後。今この債権を売却すると、額面の85%程度になり、大きな売却損が生じる。国債の市場金利は、貸出金金利や住宅ローン金利に影響を与えるため、今後の金利動向に注意を払う必要がある。
中小企業経営者は、融資を受ける金融機関がどのような財政状態なのか、知っておく必要がある。顧問する会計事務所担当者も、積極的に金融機関の財務情報を集めて分析し、その後の資金調達や与信姿勢について助言できるよう、研究しておくべきだろう。
2025年3月期決算で、100億円を超える国債売却損を計上した信用金庫がある。函館市や北斗市など、道南エリアで展開する「道南うみ街信用金庫」だ。貸出金が約1,178億円(前期比約48億円減)、預貸率38.56%、自己資本比率7.77%の信用金庫である。
[参考]道南うみ街信用金庫「ディスクロージャー2025(2024年4月1日〜2025年3月31日)」
預貸率が4割に満たない金融機関は、
- 積極的に貸出を増やしたいが、自己資本比率を悪化させたくないので、リスクある貸し出しは避けたい
- 預貸率が4割程度ということは、預金100に対して貸出金が40ということ
- つまり、今後、金利上昇で貸出金利が上がっても、預金金利も同時に上がる(周囲金融機関との競争上)
- そのため、「金利上昇に伴う貸出金利収益 < 預金金利上昇に伴う支払コスト」になりかねない
- 預金と貸出金の差額は、有価証券運用にならざるを得ない
結局、この信用金庫をメインバンクとしている中小企業は、融資先の分散を図る目的でサブバンクを設けるしかない。若しくは、金融機関と心中するつもりで、とことん付き合っていくと覚悟を決めることである。
信用金庫は全国に240以上存在するが、いずれも上場しておらず、財務諸表は公開されていない。しかし、大半の信用金庫のホームページでは、半期ごとのディスクロージャー誌が添付されている。貸出金を増やして攻めの営業をしているのか、過去の有価証券運用の後始末で自己資本を増加させることに注力し、内向きの営業をしているのか、企業経営者も金融機関の分析を行うべきである。
昨今、大手企業を中心に「賞与の給与化」に取り組む事例が、メディアを通じて報道されている。
中小企業の経営者や経理担当者の中にも、「賞与を毎月の給与に取り込むことで社員や企業にどんなメリット・デメリットがあるのか」、関心を持っている方が多いのではないか?
そこで、生成AIに案内文の作成を依頼してみた。作成された文章は以下のとおり。
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顧問先経営陣向け:賞与の給与化に関するご説明(税理士事務所作成) 1.はじめに 平素より大変お世話になっております。 本日は、貴社の人件費構造の見直しおよび中長期的な経営基盤の強化を目的として、「賞与の給与化(賞与の一部または全部を月例給与へ組み替える制度)」についてご説明申し上げます。 近年、大企業を中心に導入が進んでおり、採用競争力の向上・人件費の平準化・(制度設計次第では)社会保険料負担の見直しにつながる可能性があることなど、複数の経営メリットが確認されています。 2.賞与給与化の主な目的 賞与給与化は単なる給与制度変更ではなく、人件費の戦略的再設計として位置づけられます。 特に以下の3点が大きな目的となります。 @ 採用力の強化(初任給・月給の見栄え向上) 求人市場では「月給」が最も重視される指標です。 A 人件費の平準化とキャッシュフローの安定 賞与支給月の大きなキャッシュアウトが平準化され、年間を通じた資金繰りが安定します。 B 社会保険料の最適化(賃金水準により影響が生じやすい) 給与と賞与では社会保険料の上限が異なるため、賃金水準(標準報酬月額の等級)や賞与水準によっては、賞与給与化により企業・従業員いずれか、または双方の保険料負担が変動するケースが見られます。
3.年収分布を踏まえた貴社への影響(試算結果の概要) 貴社の年収帯を以下のように仮定し、一定の前提条件のもとで賞与給与化の影響を試算いたしました。
この分布では、高年収層が30%存在するため、賃金水準や賞与額によっては、賞与と月給における社会保険料の上限の影響が生じやすい構成といえます。 (試算例)
4.従業員側のメリット 賞与給与化は従業員にとっても複数の利点があります。
特に若年層は「毎月の手取りが安定すること」を高く評価する傾向があり、適切な制度設計と説明を行うことで定着率向上にも寄与します。 5.企業側のメリット(総合) 賞与給与化の導入により、企業は以下の効果を期待できます。 @ 採用競争力の向上 月給が上がることで求人票の訴求力が高まり、優秀な人材の確保が容易になります。 A 人件費の平準化 賞与月の資金負担が軽減され、年間のキャッシュフローが安定します。 B 社会保険料の最適化 特に高年収層の多い企業では、企業負担の保険料が減少し、実質的な人件費削減につながります。 C 経営管理の透明性向上 月例給与が増えることで、人件費の予算管理がより精緻になります。 6.導入にあたっての留意点 賞与給与化にはメリットが多い一方、以下の点に配慮が必要です。
当事務所として、制度設計から従業員説明資料の作成まで一貫してサポート可能です。 7.まとめ 賞与給与化は、「採用力の強化」「人件費の平準化」「社会保険料負担の見直しの可能性」という3つの観点から、貴社の中長期的な経営基盤を強化するための有力な検討テーマの一つです。 特に貴社の年収分布においては、賃金水準や制度設計の内容によっては、企業・従業員いずれか、または双方の社会保険料負担に影響が生じる可能性があり、個別に試算・検討を行う意義は大きいと考えられます。 |
このまま使用するには、まだ十分とは言えない。検討を要する部分もあるが、たたき台や論点整理としては有用で、一歩踏み出すための助っ人として、生成AIは着実に進化してきている。
もっとも、実務で利用する際には、生成AIの回答内容を十分に確認・精査したうえで判断する必要がある。高い専門性が求められることには変わりなく、その責任が利用者自身にあるという点も忘れてはならない。
令和7年12月に、国税庁及び各国税局から「令和6年分 相続税の申告事績の概要」が公表された。
特徴的なことは、
- 申告書の提出に係る被相続人の数は、166,730人(前年比107.1%)
- 課税価格の総額は、23兆3,846億円(同108.1%)
- 申告税額の総額は、3兆2,446億円(同108.0%)
いずれも基礎控除額引き下げがあった平成27年分以降で最高になった。
全国及び東京国税局の申告事績から、主な特徴点を比較すると、
(※)カッコ内は対前年比
| 全国 | 東京 | |
|---|---|---|
| 課税割合(%) | 10.4(+0.5ポイント) | 16.2(+0.8ポイント) |
| 課税価格(億円) | 233,846(108.1%) | 86,522(108.1%) |
| 税額(億円) | 32,446(108.0%) | 14,250(105.8%) |
| 被相続人1人当たり課税価格(万円) | 14,025(101.0%) | 16,209(100.0%) |
| 被相続人1人当たり税額(万円) | 1,946(100.8%) | 2,670(97.9%) |
全国も東京も、課税価格の対前年伸び率は1割近い上昇をしているものの、被相続人1人当たり課税価格は、対前年では伸びてはいない。しかし課税割合は全国で10.4%、東京管内で16.2%と急増している。
推論ではあるが、
- 不動産価格(特に都市部マンション)が上昇
- 金融資産が微増(株価上昇)
- 高齢者の資産保有が増加
などにより、「基礎控除ギリギリの層」が課税側に流れ込んでいる。つまり、
- 1億円以上の富裕層 → もともと課税
- 3,000万〜7,000万円層 → ここが増えて課税対象に入る
こうした傾向はしばらく続くだろう。
[参考]国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要」
中小機構の運営する事業承継・引継ぎ支援センターの実績が、2025年5月20日に公開された。それによると「第三者承継の成約件数が過去最高を更新」とあった。
- 令和6年度の事業承継に係る相談者数が23,000者を超えた
- センター開設以来の累計数は15万者超となった
- 令和6年度の第三者承継の相談者数は16,045者、累計で119,294者に達する
- 令和6年度の第三者承継の成約件数は2,132件と、過去最高を記録した
- 第三者承継の成約件数は累計で12,306件で、対相談者数比で約10.3%となった
成約譲渡企業の業種は、サービス業、製造業、卸・小売業、宿泊・飲食サービス業、建設業が主で、売上規模1億円以下が約68%を占めている。
日本政策金融公庫が5月に公表した「事業承継マッチング支援」の実績に関するレポートによると、
- 令和6年度の引き合わせ数が709件(前年比106.5%)
- 成約数が163件(前年比158.3%)
- 過去6年間の引き合わせ数の累計は2,058件
- 同期間内の成約数は331件(約16%の成約率)
- 譲渡側は年商で5千万円以下が7割、譲渡価格は500万円以下が5割
- 赤字企業の成約も約3割ある
- 令和6年にオープンネームで後継者の公募に対し48社の事業者が参加した
このように、金融公庫も中小規模の事業承継の取り組みを活性化してきている。
宮崎県に拠点を置くライトライトが運営する「オープンネーム事業承継relay(リレイ)」は、事業承継のマッチングをオープンネームで行い、後継者を募る方法で成約率を伸ばしている。このrelayが公表したニュースリリースによれば、
- 2020年のサービス開始以来、約800件の後継者募集案件に対し約160件の成約があった
- relayには無料会員とプレミアム会員があり、無料会員でも社名や一定の企業情報は閲覧できる
- 現在110の自治体・商工団体・支援センターとの連携が進んでいる
- 経産省の「中小企業支援事業補助金」に採択されている
- 内閣府の「関係人口創出・拡大のための対流促進事業」にも採択されている
今後は特に、創業者の高齢化や親族承継の不発等で、ますます「第三者承継」による事業承継活動が活発化する。小規模企業の税理士は「知らぬうちに譲渡されていた」とならないよう、関与先企業の承継問題に注視する姿勢が重要になるだろう。























