作成日:2021/02/04
給与と公的年金両方受け取っている場合の所得金額調整控除 具体例
昨日、所得金額調整控除は2種類あることをご案内しました。
今回は、この2つのうち、『その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある給与所得者で、その合計額が10万円を超える者』について、適用できる「所得金額調整控除」の具体例をご紹介します。
例.以下の場合の合計所得金額は、いくらになるか。
前提:
- 年齢 70歳
- 給与収入 120万円(年間)
- 公的年金等収入 200万円(年間)
(1) 給与所得
120万円ー55万円=65万円
(2) 雑所得(公的年金等)
200万円ー110万円=90万円
(3) 所得金額調整控除
(1) + (2) =155万円>10万円 ∴適用対象
(10万円(※1)+10万円(※2))ー10万円=10万円
(※1)(1) >10万円 ∴10万円
(※2)(2) >10万円 ∴10万円
(4) 所得金額調整控除適用後の給与所得
(1) ー (3) =55万円
(5) 合計所得金額
給与所得 (4) +雑所得 (2) =145万円
ちなみに、令和元年分で同額収入だったときの合計所得金額は、以下のとおりです。
給与所得55万円(120万円−65万円)+雑所得80万円(200万円ー120万円)=135万円
つまり、合計所得金額の差は10万円(145万円−135万円)となり、基礎控除額の差10万円(48万円ー38万円)を考慮すると、差引0円となります。
ここで、申告をする際にご留意いただきたいのは、パッと見た目、給与所得の金額が前年と同額の55万円である、という点です。
特に、年末調整後の給与所得の源泉徴収票には、給与所得控除後の給与所得の額が明示されていますが、そこには上記例であれば『65万円』と記載されているはずです。
これが、上記(4)により55万円となるため、上記のような給与と年金両方受け取っているケースは、給与所得の源泉徴収票に記載された金額をそのまま給与所得の金額として記載しない場合があることに、ご留意ください。
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