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作成日:2017/12/19
平成30年度税制改正大綱の公表 資産課税



 12月14日、平成30年度税制改正大綱が自由民主党HP上で公表されました。


 ○平成30年度税制改正大綱
  https://www.jimin.jp/news/policy/136400.html
 
 
 先日ご案内した「新しい経済政策パッケージ見る、税制改正の行方」のとおり、これに沿った改正が行われています。

 目玉は既に報道等された内容がほとんど、といえるかもしれませんが、大項目ごとにざっと改正内容をピックアップしてご紹介します。

 昨日は個人所得課税でした。今日は、資産課税です。

資産課税
  1. 「新しい経済政策パッケージ」に沿って、事業承継税制が大幅に見直されています。
     …非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予の特例制度の創設
      →100%納税猶予に(現行型は80%)
      →納税猶予対象株式も100%に(現行型は総株式数の2/3)
      →都道府県の承認を受けた特例承継計画に沿ったものであること
      →代表者からの贈与等、5年間は代表者以外からでもOK
      →対象となる特例後継者は原則株主グループ内で第1順位者
        (最大3名までOK)
      →特例後継者の死亡まで納税猶予
      →平成30年〜39年までの適用
     …特定の美術品に係る相続税の納税猶予制度の創設
      →担保提供を条件に、特定美術品に係る相続税の80%を納税猶予
     …一般社団法人等に対する贈与等の贈与税課税の見直し
     …特定の一般社団法人等に対する相続税の課税
     …農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し
  2. 機械装置等の固定資産税1/2軽減措置の見直し
     …現行制度は適用期限で廃止(平成31年3月31日)
     …新たに、生産性向上の実現のための臨時措置法(仮称)に係る一定の計画に記載された機械装置等の取得について、3年間50%〜100%の減額措置(条例指定)を創設
  3. 小規模宅地等の特例について趣旨にあわない行き過ぎた節税を封じます
     …いわゆる「家なき子」要件をしめつけます(次の要件が追加)
      →過去3年間3親等内親族又は特殊関係法人所有の家屋に居住していないこと
      →過去マイホームを所有したことがないこと
     …過去3年以内に、貸付事業用とした宅地等を貸付事業用宅地等から除外
     …平成30年4月1日以後の相続等から適用(貸付事業用宅地等は同日前から貸付事業用にしているときは適用しない)
  4. 国外財産に対する相続税の納税義務の範囲が更に見直されます
     …国内に住所なし(10年以内に住所ありで“短期滞在の外国人”以外)の被相続人(贈与者)から、外国籍の外国居住者への国外財産の相続(贈与)は課税対象外(贈与については別途ただし書きあり)
     …平成30年4月1日以後の相続等から適用
  5. 相続登記未了土地問題の解消のために、時限措置で登録免許税が免除されます
     …相続登記未了のまま次の相続人が相続した場合の、移転登記に係る登録免許税を免税平成30年4月1日から33年3月31日までの登記)
     …所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(仮称)に係る移転登記を行う土地の価格が10万円以下のときは、登録免許税を免税
  6. 登録免許税の軽減措置の延長
     …所有権の保存登記等(2年延長)
      →特定認定長期優良住宅
      →認定低酸素住宅
      →特定の増改築等がされた住宅用家屋
  7. 固定資産税の軽減措置の延長(2年延長)
     …新築住宅
     …新築の認定長期優良住宅
     …耐震改修を行った住宅
     …バリアフリー改修を行った住宅(床面積要件を280u以下に限定)
     …省エネ改修を行った住宅(床面積要件を280u以下に限定)
  8. 不動産取得税の軽減措置の延長
     …住宅及び土地の取得(3年延長)
     …中間業者の特例措置を取得期間1年に延長した上で、2年延長
     …新築の認定長期優良住宅(2年延長)
  9. 不動産譲渡の関する契約書等に係る印紙税の軽減措置の2年延長

補足:

 上記2.については、固定資産税の減額措置の幅について自治体に裁量が与えられるようです。また新たな法律とともに“計画”が必要なようですが、これらについては法人課税でも新たな法律や“計画”が登場してきます。今後はますます特例を適用するためには“計画”申請(承認)が必要となりそうです。

 上記3.について、これまで「家なき子」の要件は、相続開始時点で過去3年間で自己又は配偶者所有の家屋に居住していないこと、というのが条件でした。
 そのため、自己所有家屋を他人に賃貸し、自己は賃貸マンションに居住して「家なき子」として小規模宅地等の特例の適用を受けていたケースがありました。また、「自己又は配偶者」所有から外れるために、両親や義父母等近しい親族所有あるいは関連会社が所有する家屋に居住して「家なき子」の要件をクリアしていたケースも見受けられていました。
 これらについては、実質自己所有家屋があると同等のものとして、今回「家なき子」から外されることとなります。
 また、貸付事業用宅地等の改正案は、相続直前に節税のために貸付を開始する、などという節税対策が封じられることを意味しています。
 なお、先日ご案内した会計検査院の指摘事項まで踏み込んだ改正案は、今回なかったようです。
 
 上記6.の相続登記未了土地問題は、以前ご案内した法務省調査にもあった相続登記未了問題について、3年間の時限措置を設けて登記促進を税制面からも支援するようです。不動産取得税はもともとかかりませんから、登録免許税がかかることを嫌がって登記を未了のままにしている方にとっては、まさに登記のチャンスといえるのではないでしょうか。




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