作成日:2015/06/05
国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直しに係る資料が公表
平成27年10月1日からは、国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直しに係る改正の適用がはじまります(一部は28年4月1日以後)。
この見直しは、たとえば「電気通信利用役務の提供」に係る消費税について、これまで役務提供地が国内か否かで課税可否が判断されてきましたが、改正後は役務提供を受ける者の住所地で判断されることとなります。仕入側に立ったとき、消費税の申告がない場合(免税事業者)や、申告があっても簡易課税方式による納税計算であれば当面関係ないものの、本則課税により消費税を計算する場合、とりわけ課税売上割合が95%未満の場合には、リバースチャージ方式により計算することとなるため、該当する取引を行った場合に実務の影響が大きくなります。
この見直しに係る情報が、国税庁サイトで掲載されています。
○「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国内事業者の皆さまへ)(平成27年5月)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/cross-kokunai.pdf
○「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等について(国外事業者の皆さまへ)(平成27年5月)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/cross-kokugai.pdf
○「国外事業者が行う芸能・スポーツ等に係る消費税の課税方式の見直しについて(平成27年5月)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/tokuteiekimu.pdf
そしてこれらに続き、先日Q&Aが同庁サイト上で掲載されました。
○国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し等に関するQ&A(平成27年5月)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/cross-QA.pdf
Q&Aの目次は、次のとおり48項目あります。
まずは「電気通信利用役務の提供」の範囲等、理解する必要があるでしょう。
また、「特定役務の提供」は平成28年4月1日以後から適用が開始されますが、適用される範囲をここで理解しておくとよいでしょう。
≪目 次≫
T 「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」の概要等
(「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」の概要)
問1 「国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税の見直し」の概要を教えてください。
(「電気通信利用役務の提供」の範囲)
問2 今回の見直しの対象とされている「電気通信利用役務の提供」とは、具体的にどのような取引が該当しますか。
(「事業者向け電気通信利用役務の提供」の範囲)
問3 「電気通信利用役務の提供」のうち「事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、具体的にどのようなものをいうのですか。
(「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは)
問4 「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは、具体的にどのようなものをいうのですか。
(リバースチャージ方式の概要)
問5 「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受ける場合、リバースチャージ方式と呼ばれる課税方式が導入されると聞きました。概要を教えてください。
(「国外事業者」の意義)
問6 「国外事業者」とは、どのような事業者ですか。
(「特定資産の譲渡等」の意義)
問7 「特定資産の譲渡等」について教えてください。
(「特定仕入れ」「特定課税仕入れ」の意義)
問8 今回の改正により課税の対象とされた「特定仕入れ」及び「特定課税仕入れ」について、詳細を教えてください。
U 内外判定等
(役務の提供を受ける者の住所等の判定方法等)
問9 平成27年10月1日以後に行うインターネットを介して行う電子書籍等の配信等の電気通信利用役務の提供の内外判定基準については、その役務の提供を行う事業者の役務の提供に係る事務所等の所在地から役務の提供を受ける者の住所等に改正されましたが、役務の提供を受ける者の住所等が国内かどうかについてはどのように判断するのですか。
(国内事業者が国外に住所又は居所を有する者に行った電気通信利用役務の提供の内外判定)
問10 平成27年10月1日以後に、国外に住所又は居所を有する者にインターネットにより電子書籍等を配信した場合の課税関係はどのようになりますか。
(役務の提供を受ける者の住所等の判定)
問11 平成27年10月1日以後に、国内に旅行に来ている外国人旅行者(国内に住所又は居所がない者)に対して行うインターネットを介した電子書籍の提供は国内取引になりますか。
(内国法人の海外支店が受ける電気通信利用役務の提供の内外判定)
問12 平成27年10月1日以後に、内国法人の海外支店に対して行うインターネットを介した電子書籍の提供は国内取引になりますか。
V 納税義務の判定等
(国外事業者の納税義務の判定@)
問13 国外事業者であっても事業者免税点制度は適用されますか。
(国外事業者の納税義務の判定A)
問14 電気通信利用役務の提供を行っている国外事業者の基準期間における課税売上高の計算はどのように行えばよいでしょうか。
(国内事業者の納税義務の判定)
問15 国内に本店を有する法人です。当課税期間に国外事業者から「特定課税仕入れ」である「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けました。また、当課税期間は一般課税で課税売上割合も95%未満なので、特定課税仕入れに係る支払対価の額を課税標準として申告を行います。この場合に、翌々課税期間の事業者免税点の判定を行う際の基準期間における課税売上高に、特定課税仕入れに係る支払対価の額は含まれるのでしょうか。
(事業者免税点制度に関する経過措置)
問16 事業者免税点制度に係る基準期間又は特定期間における課税売上高の計算に当たっての経過措置について、詳細を教えてください。
W 特定課税仕入れに係る申告等
(リバースチャージ方式の概要) 問5再掲
問17 「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受ける場合、リバースチャージ方式と呼ばれる課税方式が導入されると聞きました。概要を教えてください。
(特定課税仕入れに係る消費税の課税標準)
問18 特定課税仕入れに係る消費税の課税標準について教えてください。
(特定課税仕入れに係る消費税額)
問19 課税標準額に対する消費税額から控除する特定課税仕入れに係る消費税額について教えてください。
(「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するかどうかの判断)
問20 当社は、国外事業者と様々な取引を行っています。当社が提供を受けた「電気通信利用役務の提供」が「事業者向け電気通信利用役務の提供」に該当するかどうかはどのように判定すればよいですか。
(事業者向け電気通信利用役務の提供である旨の表示)
問21 国内において「事業者向け電気通信利用役務の提供」を行う国外事業者は、当該役務の提供に際し、あらかじめ、「当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税を納める義務がある旨」を表示する必要がありますが、どのような方法で行えばよいですか。
(役務の提供を受けた者が納税義務者となる旨の表示がない場合)
問22 事業者向け電気通信利用役務の提供を受ける際に、「当該役務の提供に係る特定課税仕入れを行う事業者が消費税の納税義務者となる旨」の表示がない場合、この取引についてリバースチャージ方式による申告を行う必要がありますか。
(課税売上割合に準ずる割合が95%以上である場合のリバースチャージ方式の申告)
問23 一般課税で申告する場合でも課税売上割合が95%以上であれば、その課税期間の「特定課税仕入れ」はなかったものとされ、リバースチャージ方式による申告は必要ないこととされていますが、「課税売上割合に準ずる割合」の承認を受けている場合において、「課税売上割合に準ずる割合」が95%以上である場合も同様にリバースチャージ方式による申告は必要ありませんか。
(免税事業者から提供を受けた特定課税仕入れ)
問24 国外の免税事業者にインターネットによる広告配信を依頼しました。当社は、当課税期間について簡易課税制度の適用がなく、課税売上割合も95%未満ですが、免税事業者から提供を受けた事業者向け電気通信利用役務の提供についてもリバースチャージ方式により申告を行う必要があるのでしょうか。
(特定課税仕入れがなかったものとされた課税期間における特定課税仕入れの仕入税額控除)
問25 一般課税で、かつ、課税売上割合が95%以上の課税期間で、特定課税仕入れについてリバースチャージ方式による申告が必要ない場合であっても、特定課税仕入れに係る消費税額について、仕入税額控除を行うことができますか。
(特定課税仕入れがある場合の簡易課税制度による申告)
問26 簡易課税制度の適用を受ける課税期間において、特定課税仕入れに係る消費税額がある場合の申告方法等について教えてください。
(免税事業者が提供を受けた特定課税仕入れ)
問27 当社は免税事業者ですが、国外の事業者にインターネットによる広告配信を依頼しています。今般、このような取引について消費税法の改正が行われたとのことですが、免税事業者でも申告等が必要になりますか。
(「特定課税仕入れ」に係る帳簿及び請求書等の保存)
問28 特定課税仕入れに係る消費税額の仕入税額控除を行う場合の帳簿及び請求書等の保存について教えてください。
X 課税売上割合の計算方法
(課税売上割合の計算方法)
問29 特定課税仕入れがある場合の課税売上割合の計算について教えてください。
Y 「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合の取扱い等
(「消費者向け電気通信利用役務の提供」の税額控除)
問30 国外事業者から提供を受けた「事業者向け電気通信利用役務の提供」以外の「電気通信利用役務の提供」、いわゆる「消費者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合の仕入税額控除について教えてください。
(「登録国外事業者」の意義)
問31 「登録国外事業者」とは、どのような事業者ですか。
(「登録国外事業者」の確認方法)
問32 取引先が「登録国外事業者」であるかどのように確認すればよいですか。
(登録日以前の「消費者向け電気通信利用役務の提供」の仕入税額控除)
問33 インターネットで確認したところ、相手事業者が登録国外事業者であることを確認できました。登録年月日以前にも同じ国外事業者から役務の提供を受けていますが、遡って仕入税額控除は可能ですか。
(登録番号の記載のない請求書等)
問34 消費者向け電気通信利用役務の提供を国外事業者から受けましたが、国外事業者から電子メールで届いた請求書には登録番号の記載がなかったので、インターネットで確認したところ、登録国外事業者であることは確認できました。登録番号の記載がない請求書により仕入税額控除は可能ですか。
Z 特定課税仕入れに係る支払対価の返還等を受けた場合の取扱い
(経過措置により、特定課税仕入れがなかったものとされた課税期間以後の課税期間において、当該特定課税仕入れに係る支払対価の額の返還等を受けた場合)
問35 一般課税で申告する課税売上割合が95%以上の課税期間や簡易課税制度が適用される課税期間においては、経過措置により、当分の間、特定課税仕入れはなかったものとされますが、このような課税期間に提供を受けた特定課税仕入れに係る支払対価について、その後の課税期間において値引き等により、対価の一部の返還等を受けた場合に、消費税の申告を行う際に「仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」や「特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除」の規定の適用はどのようになるのでしょうか。
(免税事業者であった課税期間において行った特定課税仕入れについて対価の返還等を受けた場合)
問36 免税事業者であった課税期間において行った特定課税仕入れについて、課税事業者となった課税期間に値引きがあり支払対価の一部の返還等を受けましたが、「仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例」など、消費税の申告の際に何らかの調整計算等を行う必要があるでしょうか。
(免税事業者となった後に特定課税仕入れに係る支払対価の額の返還等を受けた場合)
問37 課税事業者である課税期間において特定課税仕入れを行いました。また、その課税期間について一般課税で申告し、課税売上割合が95%未満でしたので、当該特定課税仕入れについて確定申告を行いました。その後、免税事業者となった課税期間において値引きがあり支払対価の一部の返還を受けましたが、特定課税仕入れに係る対価の返還等について、消費税の申告等を行う必要があるでしょうか。
[ その他経過措置
(継続的電気通信利用役務の提供に関する経過措置)
問38 継続的に電気通信利用役務の提供を行っている場合の課税に関する経過措置について、詳細を教えてください。
(消費税簡易課税制度選択届出書に関する経過措置)
問39 国外から日本国内向けに「消費者向け電気通信利用役務の提供」を行っている12月決算の国外事業者です。
改正前の消費税法に規定された内外判定基準に基づき当課税期間(平成27年1月1日〜12月31日)の基準期間(平成25年1月1日〜12月31日)及び特定期間(平成26年1月1日〜6月30日)の課税売上高を計算すると1,000万円以下となりましたが、改正後の消費税法に規定された新たな内外判定基準に基づき基準期間の課税売上高を計算すると3,000万円となりましたので、平成27年10月1日以後に行う「消費者向け電気通信利用役務の提供」等の国内において行う課税資産の譲渡等について納税義務が生じます。
この場合に、当課税期間について簡易課税制度を選択して申告を行うことはできますか。
\ 登録国外事業者の登録要件等
(「登録国外事業者」になるための要件等)
問40 「登録国外事業者」の登録を受けるには、どのような要件を満たしておく必要がありますか。
(「登録国外事業者」の取消等)
問41 「登録国外事業者」としての登録をやめる場合の手続き等について教えてください。
(「登録国外事業者」の発行する請求書等への記載事項)
問42 登録国外事業者が作成する請求書等に記載すべき事項はなんですか。
(事業者向け電気通信利用役務の提供のみを行っている場合の登録の可否)
問43 事業者向け電気通信利用役務の提供のみを行っている事業者ですが、登録国外事業者の登録はできますか。
] 芸能スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税方式の見直し
(「芸能スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税方式の見直し」の概要)
問44 「芸能スポーツ等の役務の提供に係る消費税の課税方式の見直し」の概要を教えてください。
(「特定役務の提供」の範囲)
問45 今回の見直しの対象とされている「特定役務の提供」とは、具体的にどのような取引が該当しますか。
(「特定役務の提供」から除かれるもの)
問46 当社は、音楽家を雇用して各国でコンサートを実施している国外事業者です。今般、日本の会場を借りて、直接、日本の観客にチケットを販売してコンサートを開催しようと考えています。日本のプロモーター等は一切関与しません。この場合、当社が行うコンサートの開催は、「特定役務の提供」に該当しますか。
(仲介者等に支払う仲介手数料等)
問47 国外の音楽家に国内で演奏してもらうために、当該音楽家を仲介する国外の事業者に仲介手数料を支払いました。このような手数料の取扱いを教えてください。
(国外事業者のために負担する旅費等)
問48 当社は、国内でスポーツ競技を開催する事業者ですが、国外事業者であるスポーツ選手に来日して競技を行ってもらうために、滞在中の滞在費等については、当社が負担することとし、直接ホテルに支払いを行うこととしています。このような場合に当社がホテルへ支払った費用の取扱いを教えてください。
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