作成日:2015/09/16
台風18号の影響により被害を受けた方への支援
台風18号の影響により被害を受けられた方へは、心よりお見舞い申し上げます。
被害を受けられた方に向けた税制上の支援もありますが、被害を受けられた方へ支援をされた方についての税制上の優遇措置もあります。被害を受けられた方は税制上の支援よりも、まず目の前のことがあるでしょうから、取り急ぎ被災を受けられた方へ支援をされた方についてお伝えします。
事業者の方へ:
事業者の方については、さまざまな支援方法に係る税制上の優遇措置があります。代表的なものをいくつかご紹介いたします。
(支援対象者が不特定多数の場合)
被災者への自社製品提供のような不特定又は多数の被災者のために緊急に行う自社製品等の提供は、広告宣伝費に準じて損金となります。(法基通9−4−6の4、措通61の4(1)−10の4)
(取引先への支援)
法人が被災した取引先の復旧支援を目的として、取引先の復旧過程において行った次の費用等は、税務上の交際費等や寄附金に該当せず、損金となります。(法基通9−4−6の2〜3、措通61の4(1)−10の2〜3)
この場合の取引先とは、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のほか、商社等を通じた取引であっても価格交渉等を直接行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者も含まれます。
- 災害見舞金の支出
- 事業用資産の供与等のために要した費用
この場合の事業用資産は、自社製品のみならず、他社から購入したものも該当し、被災した取引先の従業員等に対して供与される福利厚生用品も含まれます。 - 自社製品等を取扱う小売業者等に対して、災害により滅失等した商品と同種の商品を交換又は無償補填した場合の費用
- 売掛金、貸付金等の債権を免除した場合の免除相当額
- 既契約のリース料、貸付利息、割賦代金の減免など既契約の条件を変更する場合又は災害発生後に従前の条件を変更する場合の既契約との差額相当分
- 低利又は無利息融資を行った場合の通常収受すべき利息との差額相当分
法人が義援金を寄附した場合、その義援金が「国又は地方公共団体に対する寄附金(国等に対する寄附金)」、「指定寄附金」に該当する場合は、全額が損金となります。(法法37B)
たとえば、次の義援金が国等に対する寄附金に該当します(法基通9−4−6)。
- 被災した各自治体へ直接寄附をした義援金
- 日本赤十字社や中央共同募金会などが募集を行っている、「****義援金」
執筆日現在、日本赤十字社は「平成27年台風第18号等大雨災害義援金」としての名称で、中央共同募金会は「茨城県台風18号等災害義援金」として募集しています。いずれも茨城県が対象となっていますが、栃木県や宮城県の一部も災害救助法の適用を受けていますので、いずれはこれらの県も義援金の対象になるのではないかと思われます。(追記:9月16日現在、日本赤十字社では栃木県や宮城県も義援金の対象となり、中央共同募金会では栃木県や宮城県それぞれ単独での共同募金会での募集を開始した他、3県全てを対象とした専用の義援金「平成27年台風第18号による大雨等災害義援金」をつくり、募集しています。)
個人の方へ:
個人が「特定寄附金」に該当する義援金を寄附した場合には、一部を除き確定申告をすることにより、所得税の計算上、次の算式で計算した寄付金控除額を所得金額から控除することができます。(所法78@A)
年中に支払った特定寄附金の合計額 − 2,000 円 = 寄附金控除額
(総所得金額等の40%が限度)
たとえば、上記法人と同様の義援金の寄附を行った場合には、個人は“特定寄附金”に該当します。
確定申告を行う際には、法人と同様の証明書が必要です。証明書は、大切に保管しておいてください。
ところで個人の税は、所得税の他、個人住民税がありますが、寄附に対する優遇は異なります。上記1.2.の義援金は、個人住民税の計算上、都道府県・市区町村に対する寄附(いわゆる“ふるさと納税”)となり、寄附税額控除の対象となります。寄附税額控除は、通常、寄附金のうち2,000円を超える部分の10%相当額ですが、ふるさと納税の場合、これに個人住民税の所得割の20%を上限とした特例控除額が上乗せされて控除されます。
なお、個人住民税も確定申告を行うことにより寄附税額控除の適用を受けることができますが、所得税の確定申告を行えば、別途個人住民税の確定申告を行う必要はありません。(ふるさと納税で一定の場合には、事前手続をすることで所得税・個人住民税いずれも確定申告をする必要はありません。)
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