報道により、市町村が実施する障害者相談支援事業について、税務上の取扱いを誤認している市町村があることが公となり、2023年10月4日、厚生労働省が事務連絡を発出しています。
その後、2024年2〜3月の全国会議の場を通じて、直接自治体へ依頼していますが、今般、国税庁とともに、4月26日に説明会を開催し、周知徹底を図っています。
これらに関する特設サイトが、4月26日付で、国税庁サイトで公表されました。
今般の誤りの対象は、市町村が地域生活支援事業として行うこととされている「障害者相談支援事業」です。
「障害者相談支援事業」は、障害者に対する日常生活上の相談支援を行うものであり、社会福祉法上の社会福祉事業に該当しません。つまり、消費税は課税になりますが、これが非課税として取り扱われていた、というものです。
そもそも消費税法では、社会福祉法に規定する社会福祉事業として行う資産の譲渡等は非課税とされているため、社会福祉関係の事業は課否判断が難しく、誤認されやすいものでもあります。
今般の「障害者相談支援事業」に近いものとして、入所施設や病院からの地域移行等の相談を行う「一般相談支援事業」や、障害福祉サービスの利用に係る計画作成等の支援を行う「特定相談支援事業」は、社会福祉法上の第二種社会福祉事業であるため、これらが非課税として取り扱われていることも誤認を助長したのかもしれません。
なお、仮にこれまで非課税として取り扱ってきた場合には、修正申告が必要である旨、上記サイトでは示されています(当然ではありますが)。消費税の課税事業者にあっては、ご留意ください。
ちなみに、加算税や延滞税などについて、「消費税法を解釈適用する行政機関ではない市町村が、自らの判断により、消費税法の取扱いについて納税者に対し誤った指導を行い、納税者の方がその誤った指導を信頼したとしても、「納税者の責めに帰すべき事由」が無いとまでは言えないことから、免除することは困難です。」とありますので、関係者はその点も併せて確認されておかれるとよいでしょう(「障害者相談支援事業」に係る消費税等の取扱いレジュメ3ページ目「障害者相談支援事業」等に関するお問い合わせ(Q&A)の(答)注書き)。