作成日:2017/04/07
営業権償却 平成29年4月1日以後取得分から月割計算へ
平成29年度税制改正の法案成立に関しては、以前ご案内したとおりです。
また、成立後に係る各省庁サイトでの情報更新については随時ご案内しているとおりです。
ところで、平成29年度税制改正大綱内には、次の改正案が記載されていました。
[平成29年度税制改正の大綱(財務省HPより)]
営業権の償却方法について、取得年度の償却限度額の計算上、月割計算を行うこととする(所得税についても同様とする。)。資産調整勘定及び負債調整勘定についても同様とする。
営業権は「のれん」と呼ばれ、ブランドなどの目に見えない超過収益力を意味し、M&Aなどの際にはこの価格を算定して時価純資産額に上乗せして売買価額を算定しています。買収側は、この営業権を無形固定資産として計上します。日本の会計基準では、この営業権を減価償却資産として償却しますが、現状におけるこの償却の取扱いについて、会計上は取得後20年以内の均等償却、税法上は耐用年数5年の定額法(平成10年4月1日〜平成19年3月31日取得分は旧定額法)となっています(法令48A四、耐令別表第三)。
また税法上の償却計算について、これまでは事業年度単位での償却計算であったため、事業年度内でいつ取得しても事業年度が12ヶ月であれば、12ヶ月分償却することができました(旧法令59@、耐令5A)。これが上記改正により“(営業権を除く。)”が外され、「月割計算」となりました(法令59@)。
この改正については、附則により平成29年4月1日以後の取得分について適用されます(附則8)。
第八条
新令第五十九条第一項(事業年度の中途で事業の用に供した減価償却資産の償却限度額の特例)の規定は、法人(人格のない社団等を含む。以下同じ。)が施行日以後に取得をする減価償却資産について適用し、法人が施行日前に取得をした減価償却資産については、なお従前の例による。
対象は少ないと思われますが、昨今M&Aは盛んですから、初年度の償却についてこれまでとは違います。事例が少ないゆえに誤りやすい事項となりやすいため、ご留意ください。
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