
知らないうちに譲渡されていた……とならぬよう
中小機構の運営する事業承継・引継ぎ支援センターの実績が、2025年5月20日に公開された。それによると「第三者承継の成約件数が過去最高を更新」とあった。
- 令和6年度の事業承継に係る相談者数が23,000者を超えた
- センター開設以来の累計数は15万者超となった
- 令和6年度の第三者承継の相談者数は16,045者、累計で119,294者に達する
- 令和6年度の第三者承継の成約件数は2,132件と、過去最高を記録した
- 第三者承継の成約件数は累計で12,306件で、対相談者数比で約10.3%となった
成約譲渡企業の業種は、サービス業、製造業、卸・小売業、宿泊・飲食サービス業、建設業が主で、売上規模1億円以下が約68%を占めている。
日本政策金融公庫が5月に公表した「事業承継マッチング支援」の実績に関するレポートによると、
- 令和6年度の引き合わせ数が709件(前年比106.5%)
- 成約数が163件(前年比158.3%)
- 過去6年間の引き合わせ数の累計は2,058件
- 同期間内の成約数は331件(約16%の成約率)
- 譲渡側は年商で5千万円以下が7割、譲渡価格は500万円以下が5割
- 赤字企業の成約も約3割ある
- 令和6年にオープンネームで後継者の公募に対し48社の事業者が参加した
このように、金融公庫も中小規模の事業承継の取り組みを活性化してきている。
宮崎県に拠点を置くライトライトが運営する「オープンネーム事業承継relay(リレイ)」は、事業承継のマッチングをオープンネームで行い、後継者を募る方法で成約率を伸ばしている。このrelayが公表したニュースリリースによれば、
- 2020年のサービス開始以来、約800件の後継者募集案件に対し約160件の成約があった
- relayには無料会員とプレミアム会員があり、無料会員でも社名や一定の企業情報は閲覧できる
- 現在110の自治体・商工団体・支援センターとの連携が進んでいる
- 経産省の「中小企業支援事業補助金」に採択されている
- 内閣府の「関係人口創出・拡大のための対流促進事業」にも採択されている
今後は特に、創業者の高齢化や親族承継の不発等で、ますます「第三者承継」による事業承継活動が活発化する。小規模企業の税理士は「知らぬうちに譲渡されていた」とならないよう、関与先企業の承継問題に注視する姿勢が重要になるだろう。