作成日:2017/03/01
配偶者の公的年金等から特別徴収される介護保険料等の取扱いと誤りやすい事例
先日、配偶者が公的年金等を受取っている場合の、配偶者控除の適用についてご紹介しました。
この配偶者が収受する公的年金等については、介護保険料等が特別徴収されて差し引かれるケースがありますが、この分は配偶者本人の所得控除(社会保険料控除)として取り扱います。たとえ申告者本人の控除対象配偶者として配偶者控除の対象者であっても、申告者本人の所得控除とすることはできません。
この点については、平成28年度税制改正では申告者本人の所得控除とする改正の検討項目として取り上げられていましたが、今回の29年度で「介護保険制度の見直しにより対応が図られる見込みであることに鑑み、税制改正は行わない」と結論付けられています。
○平成29年度税制改正大綱(自民党HP)
https://www.jimin.jp/news/policy/133810.html
ところでMyKomonでは毎年、情報公開(開示請求)手続きに則って、国税局等から資料を取り寄せて随時MyKomon内で公開しています。今回28年分の確定申告に当たり参考となる最新版を、今年2月に入手しMyKomon内に公開しました。
たとえば所得税に関しては、上記社会保険料控除の取扱いについて、毎年“誤りやすい事例”として取り上げられています。また、今回入手した資料には、次の誤った取扱いについて追加がなされていました。
【非課税】
平成28年中の税制適格ストックオプションの権利行使価額の合計額が1,200万円を超える者に対して、一律に1,200万円までは、権利行使時の経済的利益について、所得税が課されないとした。
【雑所得】
平成28年分の公的年金等に係る収入金額が400万円以下で、他に公的年金等以外の個人年金収入が50万円(控除すべき掛金の額が40万円)、シルバー人材センターの収入35万円(実額経費5万円)がある者は、家内労働者等の特例を適用するために、確定申告の必要があるとした。
【必要経費】
平成27年中に購入した取得価額10万円以上20万円未満の器具備品について、一括償却資産として申告(3分の1の金額を必要経費算入)したが、平成28年中にその一部を除却したので、その未償却残高を除却損として必要経費に算入した。
平成27年中に購入した取得価額10万円以上20万円未満の器具備品について一括償却資産として申告(3分の1の金額を必要経費算入)していたが、平成28年中にその納税者が死亡した場合、取得価額の3分の1をその者の平成28年分の必要経費とし、残額については必要経費算入できないとした。
平成28年に中小企業者(常時使用する従業員の数が1,000人以下で青色申告者)が、26万円のパソコン11台と23万円のパソコン1台(合計309万円)を購入、使用した。
これらのパソコンを少額減価償却資産として、全額平成28年分の必要経費に算入していた。
【損益通算】
上場株式等に係る譲渡損失の金額と特定公社債等の利子所得の金額との損益通算はできないとした。
公募株式投資信託を中途換金して利益が出た場合において、上場株式の譲渡損失と通算ができないと指導した。
【繰越損失】
前年からの雑損失の繰越控除がある場合でも、本年の分離課税の株式等(「一般株式等及び上場株式等」をいう。以下同じ。)に係る譲渡所得等の金額から控除できないとした。
平成27年分の純損失について、平成27年分の申告が期限後申告の場合は、その損失を翌年に繰り越せないとした。
平成28年分において、同年分に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と上場株式等の配当等(大口株主でない。)に係る配当所得の金額との損益通算をしてもなお控除しきれない譲渡損失の金額については、翌年分以後に繰越控除することはできないとした。
平成28年に発生した雑損失の金額を翌年に繰り越すためには、雑損失の金額に関する事項を記載した確定申告書をその提出期限までに提出する必要があるとした。
【医療費控除】
平成27年12月に特定健康診査を受診し、検査料を支払った。
この結果、高血圧症と診断され、平成28年2月に特定保健指導(積極的支援)を受けることとなったので、特定健康診査及び特定保健指導(積極的支援)に係る自己負担額を平成27年分の医療費控除の対象とした。
【社会保険料控除等】
平成28年11月に、国民年金保険料の「後納制度」により過去の保険料を納めた場合、一括方式又は分割方式のいずれかの方法により社会保険料控除を適用できるとした。
【扶養控除】
国外に居住する配偶者と子について、配偶者に対してまとめて送金している場合は、配偶者に係る親族関係書類と送金関係書類の添付があることをもって、子に係る扶養控除についても認めた。
【外国税額控除】
平成27年中に生じた国外所得に係る外国所得税を平成28年に納付したが、平成28年には国外所得が発生していないため、外国税額控除の適用はないとした。
【住宅借入金等特別控除】
海外赴任中(非居住者)、帰国後に居住するための住宅の取得等をした場合、非居住者期間中に取得等をした住宅について、住宅借入金特別控除の適用はできないと指導した。
ソーラーパネル葺住宅(建材型ソーラーパネルを使用したもの)を取得した者の住宅借入金等特別控除額の計算について、建材型ソーラーパネルの取得対価相当額を家屋の取得価額に含めず、居住用割合については、面積按分しなければならないとした。
【住宅耐震改修特別控除】
地震に備えて、25年前(平成元年)に新築した家屋の耐震改修工事を行い、その費用の10%相当額を住宅耐震改修特別控除として、所得税額から控除した。
【予定納税】
平成27年分の確定申告において、予定納税基準額が147,000円である者に対して、平成28年分の予定納税は不要であるとした。
正しい取扱いは、MyKomon内で掲載しております。
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