先日は、所得税の確定申告書を作成する上で、28年分から変更される事項についてご案内しました。
今日は、特例適用条文に関してご案内しましょう。
「特例適用条文」とは、文字通り、優遇措置(特例)を適用するにあたり、確定申告書に適用する特例の条文を記載する必要があるものの、その条文番号を指します。
記載する場所は、総合課税所得及び税額控除関連の特例適用であれば、確定申告書A様式もB様式も第二表内にある、次の箇所です。
分離課税所得に係る特例適用については第三表、損失申告を行う場合に係る特例適用は第四表内にも、それぞれ次のように記載箇所があります。(譲渡所得の内訳書にも特例適用条文を記載する箇所はありますが、ここでは省略します。)
特例適用条文については、MyKomonTaxでも、過去何回かご案内してきました。
★特例適用条文等に、何を書く?
★再居住した場合に適用を受ける住宅ローン控除に係る特例適用条文等の記載
確定申告書を何件か作成していますと、必ず記載しなくてはいけない特例の適用に当たります。作成者は都度「手引き」や明細書の裏面の書き方等で確認し、記載漏れのないようにしなければなりません。
そこで今年は、特例適用条文を記載するときに探しやすいようにリンクを以下にご紹介します。すべてではありませんが、よく出てくる項目をピックアップしました。
[第二表]
特別償却や特別控除関連:
○申告書・申告書付表と税額計算書等 一覧(申告所得税)
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm
上記URLから、該当する特別償却や特別控除の計算明細書にてご確認ください。検索の仕方としてお勧めなのは、「Ctrl+F」を押し、検索バーを出して明細書名(一部)を入力し検索すると、比較的早く見つけることができます。
■…の特別償却に関する明細書
適用が多い特別償却に係る特例適用条文は、次です。
・中小企業者が機械装置等を取得した場合の特別償却「措法10の3」
・生産性向上設備等を取得した場合の特別償却「措法10の5の4」
・医療用機器等の特別償却「措法12の2」
■中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書
「措法10の3」
■雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除に関する明細書
「措法10の5の3」
■生産性向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書
「措法10の5の4」
上記の他、医療の概算所得計算は、次です。
・医師等の社会保険診療報酬にかかる必要経費の特例「措法26」
税額控除(寄附金特別控除)関連:
○政党等寄附金特別控除を受ける場合
「措法41の18」
○認定NPO法人等寄附金特別控除を受ける場合
「措法41の18の2」
○公益社団法人等寄附金特別控除を受ける場合
「措法41の18の3」
税額控除(住宅ローン控除)関連:
○住宅借入金等特別控除を受けられる方へ
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/pdf/10.pdf
○特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けられる方へ
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/pdf/11.pdf
○再び居住の用に供した場合の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の手続をされる方へ
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/pdf/12.pdf
ちなみに、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅新築等特別税額控除の適用については、特例適用条文を記載する必要はありません。
[第三表]
譲渡所得(土地・建物)関連:
○主な特例の適用を受ける場合の申告書添付書類チェックシート
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/kisairei/joto/pdf/joto-4.pdf
居住用財産の売却に係る特例:
・居住用財産の譲渡の3,000万円の特別控除の特例「措法35条1項」
・被相続人の居住用財産を売却した場合の3,000万円控除の特例「措法35条3項」
・居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例「措法31条の3」
・特定の居住用財産の買換えの特例「措法36条の2」
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例「「措法41条の5」
・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例「措法41条の5の2」
収用等に係る特例:
・収用に伴い代替資産を取得した場合の特例「措法33条」
・収用等の場合の5,000万円の特別控除の特例「措法33条の4」
・特定住宅造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特例「措法34条の2」
その他:
・特定の土地等を譲渡した場合の1,000万円の特別控除「措法35条の2」
・特定の事業用資産の買換えの特例「措法37条」
・相続財産に係る譲渡所得の特例「措法39条」
・固定資産の交換の特例「所法58条」
譲渡所得(株式譲渡)関連:
○申告分離課税の上場株式等の配当等に係る配当所得等がある場合
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2016/kisairei/kabushiki/pdf/11.pdf
・上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例「措法37条の12の2 1項」