平成29年度税制改正に係る施行規則、いわゆる省令の改正が財務省サイト上で公表されました。
○平成29年度税制改正 省令
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/syourei/index.html
これまでの年度でも、税制改正に関する法律、政令については同省サイト上で公表されており、新旧対照表も掲載されていました。今回の29年度においてはこれらに加え、省令についても公表されています。
ところで、省令は書類の記載事項等について定められています。とりわけ今回の改正では、配偶者控除や配偶者特別控除が改正されているため、マル扶やマル保、源泉徴収票などの書類の改正が予定されています。これらの記載事項等についての改正も省令内に規定されていました。
配偶者控除については、これまで「控除対象配偶者」の一言で済んでいましたが、改正後は次の3つの配偶者が登場します(所法2)。
- 同一生計配偶者(三十三):
居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が38万円以下である者をいう。 - 控除対象配偶者(三十三の二):
同一生計配偶者のうち、合計所得金額が1,000万円以下である居住者の配偶者をいう。 - 源泉控除対象配偶者(三十三の四):
居住者(合計所得金額が900万円以下であるものに限る)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が85万円以下である者をいう。
特に、改正後の“控除対象配偶者”と改正前の「控除対象配偶者」は言葉は同一ですが、意味が異なります。改正前の「控除対象配偶者」は、改正後の「同一生計配偶者」のことを指しています。これは、改正により本人の所得制限が改正前の配偶者特別控除と同様になったことに由来するわけですが、実にややこしいです。いずれにしろ、ここは誤りやすいポイントになりますので、ご注意ください。
ちなみに、源泉控除対象配偶者とは、配偶者控除、配偶者特別控除の所得控除名如何に関わらず、38万円満額控除が受けられるケースに該当する配偶者です。
省令の改正内容を読む限り、これまでマル扶に配偶者控除である「控除対象配偶者」の情報を記載していましたが、改正後は源泉控除対象配偶者の情報を記載することになるようです。
また、配偶者特別控除申告書は、改正後は“配偶者控除等申告書”となり、ここに改正後の“控除対象配偶者”の情報を記載することになるようです。
つまり、ざっくりとしたイメージをお伝えするならば、配偶者控除、配偶者特別控除の所得控除名如何に関わらず、満額控除を受ける配偶者の情報はマル扶に、減額して控除を受ける配偶者の情報は配偶者控除等申告書(マル配)に、それぞれ記載するということでしょうね。
実際、国税庁から公表されるこれらの書類がどのような記載内容(形式)となるのかは、改正施行である平成30年にあわせ、この年末までにはまずマル扶が公表されると思われます。公表され次第、改めて記載内容の確認とご案内をする予定です。