前回、前々回に引き続き、観光庁(国土交通省)サイトの“よくあるご質問(FAQ)”より、事業者側の税務上の取扱いについて、確認しましょう。
前回は、地域共通クーポンの取扱店舗が商品を販売して地域共通クーポンを受領した時の税務上の取扱い(仕訳例)を見ました。
この地域共通クーポンは、お釣りが出ません。そのため、販売額が地域共通クーポンを下回った場合にどの金額が売上になるのか、今回はこの点にフォーカスをあてたFAQを確認することにしましょう。
Q.129 地域共通クーポンはお釣りを出さないとのことですが、消費税の課税事業者に該当する地域共通クーポンの取扱店舗(土産物店等)が、880円(消費税込)の商品販売の際に、1,000円の地域共通クーポンを受領した場合、取扱店舗における消費税の課税売上げはいくらとなるのですか。
A. 消費税の課税事業者に該当する地域共通クーポンの取扱店舗(土産物店等)が、レシート等により、通常販売価格が消費税(10%)込で880円(もしくは税抜価格800円、消費税額80円)であることを消費者に明示し、差額の120円について雑収入など、不課税収入として経理している場合には、取扱店舗の課税売上げ(税抜)は800円となります。
なお、取扱店舗が、通常販売価格と釣銭相当額をレシート等において区分していない場合には、消費税込1,000円で商品を売ったことになりますので、取扱店舗の課税売上げ(税抜)は909円となります。
<レシート表記の例>
※レジシステムの入力の都合上「お釣」の表示が出ても、実際にはお釣は出さない。
<地域共通クーポンの取扱店舗の処理例(税抜処理)>
(商品販売時)
借方 | 貸方 |
未収入金 1,000 | 売上 800(消費税課税) 仮受消費税(10%)80 雑収入120(消費税不課税) |
(クーポン精算時)
借方 | 貸方 |
現金等 1,000 | 未収入金 1,000 |
上記例は、『A.』内の前段部分ですね。
後段の場合だったときの商品販売時の処理例は、以下のようになるのでしょう。レシート表記の違いで、消費税の預かりが多くなる(=消費税の負担が増す)ことが一目でお分かりになるかと思います。塵も積もれば…ですね。
(商品販売時)
借方 | 貸方 |
未収入金 1,000 | 売上 909(消費税課税) 仮受消費税(10%)91 |