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作成日:2018/07/23
民法の特例は経営承継円滑化法で確認しよう



 先日、相続法(民法)の改正の成立と公布について、ご案内しました。


 その際に、「遺留分に関する事業承継といえば民法特例もありますので」と記しましたが、先の事業承継税制の特例と同様、中小企業の事業承継は国も重点施策に掲げています。具体的にはこの“中小企業の事業承継”を円滑に進められるよう、国は法を制定(経営承継円滑化法:中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律)しており、この法に基づき認定を受けた事業者等は先の事業承継税制をはじめとした、様々な支援を受けることができます。

 この支援については、中小企業庁のサイトでまとめられており、先般情報が更新されました。

 ○経営承継円滑化法による支援
  http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu.htm
 
 今回の更新は、金融支援部分の申請様式と申請先のようです。

 ところで下にもあるとおり、この法律で支援するのは大きく、1.事業承継税制、2.民法の特例、3.金融支援の3つです。

 先般の“民法特例”とは、2.民法の特例です。
 これは、遺留分の計算上、相続人への贈与は事実上過去に遡りほぼ全て遺留分算定時の価額を財産として加算されていました。これによる弊害、とりわけ事業承継をするにあたり足かせとなる上記2.@Aについて解消するための特例が設けられた、いうわけです。
 ただし、これを適用する前提として
  • 遺留分権利者全員との合意
  • 所要の手続き
が必要であり、特に遺留分権利者全員との合意は、実務ではハードルが高かったと思われます。

 先日の相続法改正により、遺留分の計算における相続人に対する生前贈与分は10年に期間が区切られたため、これまでよりも早期の事業承継がしやすくなったといえるでしょう。

 このように事業承継を行なうには、他の相続人らとの調整が必要となる場合があります。そこでは相続法(民法)が柱となるわけですが、先の“民法の特例”は相続法の規定ではなく経営承継円滑化法の規定です。確認すべき法律を誤らないように留意する必要があります。このほか、税制面からは通常の相続税や贈与税の知識だけでは足りず、事業承継税制(一般措置・特例措置)も深く理解しなくてはなりません。また、事業承継に絡んだ補助金も受給できるケースがあるため、こちらも別途確認する必要があるでしょう。
 事業承継は、様々な面から問題がないか、メリットを享受できないかを検証する必要があり、到底税理士1名だけでは対応しきれないのではないでしょうか。
 事業承継に係る国等からの支援は得られるメリットが大きいケースもあることから、信頼のおける弁護士等とタッグを組んで慎重に事を進めていく必要があるでしょう。




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