平成28年度税制改正では、学資貸与に係る免除益の所得税が非課税とされることとなりました。この改正法案が成立したため、関連通達も改正され、国税庁サイト上で公表されました。
○「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/160318/index.htm
所得税法第9条では非課税所得について規定されていますが、そのうちの第1項第15号で“学資金”の非課税規定が設けられています。
この規定が、28年度税制改正で改正されました。
改正後は、次の規定となります。
(新規定)
十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
イ 法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合
ロ 法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合
ハ 個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
ニ 個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
上記のうち、赤字部分が改正による追加になります。
通達では、9-14〜16が上記“学資金”の非課税規定に係るものとなっていますが、この3つすべてが改正されました。
- 新9-14…通常の給与に代えて給付されるものは課税
- 新9-15…上記イ〜ニに該当するときは、原則、給与をもらっている人に課税
- 新9-16…上記ロ又は二の規定について、学資給付対象者が使用人かつ使用人の親族である場合には、その者のみを学資給付対象としてなければ、ロ又は二には該当しない(つまり非課税)
なお、おそらく税理士の先生方がよく判断で使われているであろう9-15(使用人等に対し技術の習得等をさせるために支給する金品)については、内容は改正前と一切変わらず今回の改正により36-29の2へと移動しました(“学資金”→“給与等に係る経済的利益”)。上記URLより確認することができますので、ご確認いただくとよいでしょう。