作成日:2015/09/09
雇用促進税制、2年の延長を厚労省が要望
雇用保険一般被保険者に該当する雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)、かつ、10%以上の増加など一定の要件を満たした場合に、増加した雇用者数1人あたり40万円の税額控除を受けることができる「雇用促進税制」があります。
所得拡大促進税制との選択適用であるものの、この税制の適用は、例えば法人であれば適用年度開始後2ヶ月以内にハローワークへ雇用促進計画の提出を行うことの他、適用年度終了後2ヶ月以内にハローワークで計画の達成状況の確認を受け、この確認を受けた計画の写しを確定申告書に添付して申告することとなります。計画の達成ができるかどうかは定かではないものの、とりあえず提出しておきましょう、ということで計画を提出することを指導される場合もあります。
この雇用促進税制は、“雇用保険一般被保険者に該当する雇用者数を増やす”ことが目的であるため、厚労省からいろいろと情報が提供されています。
○雇用促進税制
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/roudouseisaku/koyousokushinzei.html
ハローワークへ提出する雇用促進計画についても、その件数が厚労省のサイト上で公開されています。
○平成26年度雇用促進計画の達成状況報告件数[93KB]
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/koyousokusinzeisei261031H26_7.pdf
○ ○平成27年度雇用促進計画の受付件数[88KB]
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/koyousokusinzeisei260529H27.pdf
8月31日付で公表されている26年度の雇用促進計画の達成状況報告件数(速報値)によれば、事業年度開始月が4〜6月での計画受付数は合計で14,045件、達成状況は3,143件であり、22%程度の達成率となっています。
ちなみに、平成25年度の雇用促進計画の達成状況報告件数によれば、25年度全体での計画受付数は合計で39,707件、達成状況は9,681件であり、24%程度の達成率です。また、25年度の事業年度開始月が4〜6月での計画受付数は合計で13,418件、達成状況は3,526件であり、26%程度の達成率となっていましたので、3ヶ月間の状況からでは、26年度は25年度よりも計画の提出件数は多いものの、達成状況は低いといえるようです。
ところで、この雇用促進税制は、期間が限定されており、現行では平成28年3月31日までの期間内に開始する事業年度までの適用税制となっています(個人事業は平成28年分まで)。
そのため、厚労省は、先の平成28年度税制改正要望のなかで、この税制について見直しを図った上で、適用期限の延長(2年)を掲げています。
同省の要望によれば、「租税特別措置の適用実態調査の結果に関する報告書」における雇用促進税制適用対象者の累積概算は約6万人とし、今回の要望が通った場合における一般被保険者の雇用増加数を年間約11万人と推計しています。
さて、どうなるでしょうか。
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