作成日:2015/07/29
平成28年度税制改正に向けた動きが本格化へ
女性が働く阻害要因と騒がれている、いわゆる「103万円の壁」については、“配偶者控除”という所得控除の問題だけでなく、企業から支給される配偶者手当なども絡んでおり、税だけで解決するには限界があることは、政府税制調査会の報告他でご存知の通りです。
先日、某自動車メーカーが配偶者手当の廃止を発表するなど、配偶者にまつわる取扱いに関して、企業側からもアプローチを開始しはじめていることから、「動きはじめたな」と感じる方もいらっしゃるでしょう。国においては、6月30日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」内において、
税制・社会保障制度・配偶者手当等の在り方については、女性が働くことで世帯所得がなだらかに上昇する、就労に対応した保障が受けられる等、女性が働きやすい制度等への見直しに向けて具体化・検討を進める。
とありました。
○経済財政運営と改革の基本方針2015 〜経済再生なくして財政健全化なし〜
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2015/decision0630.html
また、「公的年金等控除を含めた年金課税の在り方の見直し等について、引き続き検討を行う。」と記載もされており、公的年金等控除額の縮減の検討が進んでいくようです。
その他税制の構造改革について、改革の基本方針が次のように述べられています。
@)成長志向の法人税改革
・現在進めている成長志向の法人税改革をできるだけ早期に完了する。
A)低所得若年層・子育て世代の活力維持と格差の固定化防止のための見直し
・年齢ではなく経済力を重視する一方、成長の担い手である若い世代を含む低所得層に対しては、社会保障給付制度との整合性を勘案しつつ総合的な取組の中で、勤労意欲を高め、安心して結婚し子どもを産み育てることができる生活基盤の確保を後押しする観点から税負担構造及び社会保険の負担・適用構造の見直しを進める。
B)働き方・稼ぎ方への中立性・公平性の確保
・女性の活躍推進・子ども子育て支援の観点等を踏まえつつ、多様化する働き方等への中立性・公平性をより高めるため、早期に取り組む。
C)世代間・世代内の公平の確保等
・年齢ではなく所得や資産などの経済力を重視しつつ、世代間・世代内の公平を確保する。
・資産格差が次世代における子女教育などの機会格差につながることを避ける必要があること、また、老後扶養の社会化が相当程度進展している実態の中で遺産の社会還元といった観点が重要となっていること等を踏まえた見直しを行う。
D) 地域間の税源の偏在是正
地方が自らの責任で地方創生に取り組むためには税財源が必要との考えの下、引き続き税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築する。
なお、7月24日の麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見において、同大臣は、次のように述べています。
閣議では平成28年度税制改正についても発言をいたしております。この中で法人税改革など様々なテーマが想定されるところですけれども、課税ベースの拡大に向けて租税特別措置をゼロベースで見直すなど要望段階から主体的に取り組んでいただきたい旨、各大臣に伝えたところです。
平成27年度税制改正では、先行して法人税率等の引き下げが行われています。28年度以降では課税ベースの拡大が予想されていますが、果たしてどの部分から具体化していくのでしょうか。
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