作成日:2016/05/16
3月決算申告、前年度の申告と何が違う?
3月決算申告が佳境に入っていると思います。
この3月決算申告は、比較的規模の大きな会社あるいはその子(孫)会社が多いため、すでに数字は確定されている場合もあるでしょう。申告に際して気をつけるべき点は、多々あります。とりわけ、新しい税制の適用開始が実質3月決算から、ということもあるため、より注意しなければなりません。
そこで今回、1年決算法人を対象に、3月決算申告を行うに当たり、新しい税制の適用開始が3月のものについて、4つご紹介します。
なお、申告に当たっては、国税庁からも申告書チェックリスト(申告書確認表等)が公表されていますので、そちらも活用されるとよいでしょう。
- 法人税率(別表一関連)
平成27年4月1日〜28年3月31日までの間に開始する各事業年度の法人税率は、23.9%です。(それ以前は25.5%)
お使いになる申告ソフトが更新されているか、確認しましょう。
なお、中小法人等の年800万円以下の所得金額に対する軽減15%は変わりません。
参考:平成28年度税制改正 2年連続の法人税率引下げ - 受取配当等の益金不算入額(別表八関連)
平成27年4月1日以後開始事業年度から、受取配当等の益金不算入額の計算上、区分や計算式が改正されています。
あわせて別表の様式も前年度と異なっている他、当然ながら書き方も異なります。
参考:受取配当等の益金不算入制度改正に伴う、別表の書き方 - 均等割に係る「資本金等の額」(地方税)
平成27年4月1日以後開始事業年度から、均等割の税率区分の基準となる「資本金等の額」について、無償増資・減資等による欠損補填分を調整する改正がされています。また、調整後の資本金等の額が『資本金+資本準備金』の合計額に満たない場合には、その合計額となることとされました。
無償減資等については証明する書類を添付しますが、この場合の書類とは、東京都のサイトによれば、「例:法人税申告書別表5(1)、株主資本等変動計算書、株主総会議事録、債権者に対する異議申立の公告(官報の抜粋) 等」とあります。(東京都主税局HP<法人事業税・法人都民税 Q&A>【均等割 No.4】より)実際の申告にあっては、必ず申告する自治体の資料等でご確認ください。
参考:平成27年度税制改正 法人事業税等の改正事項が一目でわかる資料
地方税均等割に係る資本金等の額の改正 『証する書類』の添付が必要に - 外形標準課税関連(地方税)
法人事業税の負担変動の軽減措置
平成27年4月1日から31年3月31日までの間に開始する各事業年度において、外形標準課税の拡大によって生じる税負担の変動を緩和する措置(付加価値割から負担増の一部を控除する)が創設されました。
外形標準課税における「所得拡大促進税制」
また、平成27年4月1日から30年3月31日までの間に開始する各事業年度において、所得拡大促進税制の適用を行った場合に、付加価値額から雇用者給与等支給増加額を控除することができる改正がされています。
参考:平成27年度・28年度税制改正経過措置等(東京都主税局HP)
http://www.tax.metro.tokyo.jp/kazei/info/gaikeiqa.html#a14
その他、3月決算申告からではありませんが、受取利子等に係る法人の利子割が平成28年1月1日以後の受取り分から廃止されています。別表も変わっていますので、その点もご留意ください。
参考:平成28年1月1日以後の利子受取り分から、法人の利子割が廃止
平成28年1月1日以後終了事業年度分から、法人税の確定申告書別表が変わっています
なお、冒頭にも記載しましたが、3月決算申告は比較的規模の大きな会社あるいはその子(孫)会社が多いこともありますので、優遇税制の適用にあたっての中小企業者等の定義にご注意ください。
参考:「中小法人等」、「中小企業者」、「中小企業者等」
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