作成日:2015/02/17
税額控除を複数適用する場合の控除限度額計算
個人事業者の確定申告をしていくにあたり、複数の投資減税について、いずれも税額控除を適用した場合の控除限度額計算に、戸惑われる方がいらっしゃるようです。
たとえば、26年分では、
・中小企業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除
・生産性向上設備等を取得した場合の所得税額の特別控除
・雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除に関する明細書
の3種類を適用するケースが考えられます。
このような場合、中小企業者に該当したならば、いずれの制度も控除限度額の計算は「事業所得に係る所得税額の20%相当額」となるため、すべての制度総額で「事業所得に係る所得税額の20%相当額」以下にしなければならないと勘違いされる方がいらっしゃいます。
それは、間違いです。
それぞれの制度における控除限度額が「事業所得に係る所得税額の20%相当額」なのであって、これらの税額控除の限度額を総額で考えるときに比較対象となるのは、26年分の確定申告においては“事業所得に係る所得税額”を超えているかどうか、です。
つまり、それぞれの税制適用について、それぞれ控除限度額と比較して計算していき、その結果全体として事業所得に係る所得税額を上回ってしまった場合には、全体で超過しないように調整します。
この点について、この超過額を計算する明細書があります。
○所得税の額から控除される特別控除額に関する明細書
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/pdf/016.pdf
上記ケースにおいては、3つの税制すべて控除限度額を適用したとしても、税額控除額は事業所得に係る所得税額の6割程度でしかありません。つまり、超過額は発生しない、ということになります。
なお、27年分以降については改正がされていて、比較対象となるのは“事業所得に係る所得税額”ではなく、“事業所得に係る所得税額×90%相当額”になります。この点もあわせて確認しておきましょう。
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